バジル(スイートバジル)
ハーブティーと期待される効果効能紹介

ストレス緩和や胃腸機能向上効果が期待できる「ハーブの王様」

料理用ハーブとしてイタリアンなどでもお馴染みのバジル。インド原産のシソ科植物で、古くから様々な用途で利用されてきたため「ハーブの王様」とも呼ばれています。殺菌抗菌作用があるので風邪予防や口内炎対策に、鎮静作用を持つ芳香成分を多く含んでいるため神経疲労の回復や抗鬱効果が期待できますし、ストレス性の不眠や頭痛・胃痛などの緩和にも取り入れられているハーブです。

画像:スイートバジル(バジリコ)

 

スイートバジルについて

植物紹介:スイートバジル

ハーブというと好き嫌いや使用するしないがハッキリ分かれますが、日本でも多くの人に親しまれている存在と言えるのがバジル。シソ科の植物であり、紫蘇をまろやかにしたような爽やかでクセの少ない風味も受け入れやすかったのかもしれません。乾燥ハーブとして利用するだけではなく、フレッシュハーブはサラダ用としてそのまま食べることも出来ますし、ハーブティーやアトマテラピーなどの民間療法・ハーブ療法にも欠かせない存在。その活用性の広さや薬効から「ハーブの王様」とも呼ばれています。

バジルというとイタリアなどヨーロッパのハーブという印象がありますが、実はインド・熱帯アジア地域が原産。インドでは5000年以上前から神様(クリシュナ神とビシュヌ神)へ捧げる神聖な植物として大切にされていたそうです。現在でもインドの伝統医学であるアーユルヴェーダでバジルは利用されていますし、ヒンドゥー教の宗教儀礼などでも使われているようです。
4000年ほど前にはエジプトへと伝わり、意識をハッキリと覚醒させる働きから冠として利用されたとも言われています。古代ギリシアへ伝播についてはエジプトからという説と、インドからアレキサンダー大王が持ち帰ったとする説があります。英語のバジル(Basil)もイタリア語のバジリコ(Basilico)も語源は王を意味するギリシア語に由来しており、これはバジルが古代ギリシアで王侯貴族の香水や目薬などに利用されたことから“王様の薬草”と呼ばれていたためなのだとか。

16世紀頃になるとバジルはイギリスへも伝えられますし、香料としての精油製造も行われるようになります。17世紀にはアメリカ大陸へも伝播していきますし、香水や飲料・歯磨き粉などの香り付け用(香料)として需要が高まったことで商業的な栽培が各地で行われるようになります。バジルは日本にも江戸時代に中国から伝えられますが、葉をハーブ・生薬として利用するのではなく、水に浸すことでゼリー状になるバジルの種子の特性を活かして目のゴミ取り用としての使用が主だったそう。このことから“メボウキ(目箒)”という和名が付けられました。

ちなみにバジルと呼ばれるもの(メボウキ属)は150種類以上もの品種があります。単にバジルと言った場合は料理用として多く使われるスイートバジル Ocimum basilicumを指すのが一般的です。代表的な他の品種としてはライムバジルやシナモンバジルなどがあります。近年はタイ料理やインド料理などに使われているホーリーバジル(トゥルシー)に生活習慣病予防や免疫力向上効果が見られたことも報告され、日本でも「奇跡のハーブ」として報じられる機会が増えています。

基本データ

通称
スイートバジル(Sweet basil)
別名
バジル、バジリコ(Basilico:イタリア語)、メボウキ(目箒)
学名
Ocimum basilicum
科名/種類
シソ科メボウキ属/多年草(※日本では一年草)
花言葉
好意、神聖、高貴、良い望み、何という幸運
誕生花
6月24日、7月22日、10月15日
使用部位
代表成分
フラボノイド、タンニン、ビタミン類、精油(リナロール、メチルカビコール、チモールなど)、苦味質
代表効果
健胃、消化促進、駆風、鎮痙、強壮、抗うつ、鎮静、殺菌、抗菌
こんな時に
胃痛、胃炎、食欲不振、吐き気、消化不良、腹部膨満感、便秘、軽度の抑鬱、神経疲労、情緒不安定、不眠、ストレス症状、風邪予防、月経トラブル、更年期障害
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、浸出油、湿布、スチーム吸引、料理用ハーブ(香辛料)、精油
ハーブティーの味
爽やかな香り、味はスパイシーさと軽い苦味がある
カフェインの有無
ノンカフェイン

スイートバジルの栄養・成分・期待できる効果

バジルティー

精神面のサポートとして

精神安定・リラックスに

バジルには鎮静作用を持つリナロールや、メチルカビコール(エストラゴール)という芳香成分が含まれています。特にメチルカビコールは非常に強い鎮静作用があり、抗ストレス・抗うつなどの働きもあると考えられています。ただし非常に強い作用を持つとされる一方で、芳香のみを利用した場合の刺激の強いこと・毒性が示唆されていることなどの問題もあります。そのためフレッシュハーブやドライハーブなど、メチルカビコール含有が微量で危険性の少ない“バジルの葉そのもの”をお茶・食材として適切に利用する方が安全性が高いと考えられています。

バジルティーはその強い鎮静・抗鬱・抗ストレス作用から神経疲労・神経過敏・抑鬱・不安などの緩和に有効と考えられています。くよくよと考えこんでしまってマイナス思考から抜け出せない時・自信喪失時などにも、気持ちの切り替えを手助けしてくれると言われています。お疲れモードの時の回復用としても役立ってくれるでしょう。


不眠症の緩和に

バジルティーは優れた抗ストレス・鎮静作用が期待できることから不眠対策ティーとしても取り入れられています。疲労やストレスなどで神経が過敏になって寝付けないような場合や、不安や心配事が渦巻いて寝付けないなど、ストレス性の不眠に対して高い効果が期待できると考えられています。


胃腸サポートに

バジルティーは消化を促す働きがあり、脂っこい食事の後や胃もたれ胸焼けなどの改善に役立つとされています。また精神面に対するサポート効果と相乗して、ストレス性の胃痛や胃酸過多・食欲不振・吐き気・腹痛などの緩和にも効果が期待できるでしょう。腹部膨満感や便秘の改善にも役立つと言われています。

体調が悪かったり夏バテなどで食欲が無い時にも適しています。食欲不振や胃もたれ対策としてはペパーミントレモングラス、ストレス性の胃腸不調であればリンデンフラワーカモミールなどとブレンドして利用すると良いでしょう。


風邪・呼吸器系の不調に

バジルは殺菌・抗菌作用に優れていることから、風邪や気管支炎などの予防に役立つとされています。またサポニン・タンニン・メチルチャビコールなどの鎮痙作用をもつ成分を微量ずつですが含みますので、咳止めとしても効果が期待できるでしょう。体を温める作用があるとする説もあり、バジルは発汗・解熱用としても利用されています。


ストレス性の頭痛などに

神経を刺激し、精神バランスを整える働きがあるとされるバジルは胃腸以外にもストレスに起因する様々な不調緩和に役立つと考えられています、特に頭痛・偏頭痛の緩和に高い効果が期待されており、頭痛ケアとしては精油(アロマテラピー)よりもハーブティーのほうが悪化の心配がなく使用できると言われています。
副腎皮質に作用するとも言われており、ストレス性のアレルギー緩和などにも役立つと考えられています。


そのほか期待される作用

女性特有の不調緩和に

スイートバジルの芳香成分には女性ホルモン(エストロゲン様)作用のある「アネトール」や、エストロゲンの分泌を促す働きが期待される「ゲラニオール」が含まれています。これらのの働きによってエストロゲンの分泌促進やホルモンバランスを整える効果が期待できることから、生理痛や月経前症候群(PMS)、更年期障害など女性特有の不調緩和にも役立つと考えられています。

強い鎮痙作用を持つメチルチャビコールが含まれているため子宮収縮を和らげて生理痛を緩和したり、リナロールなど鎮静作用を持つ芳香成分の働きでイライラや落ち込みなどの精神的症状を緩和する働きも期待できます。女性ホルモンのバランスを整える働きと相乗して、女性特有の諸症状緩和に効果が期待できるでしょう。


アレルギー・かゆみ緩和に

バジルに含まれているメチルチャビコールは多量に摂取すると毒性があるとされる一方、精神面への働きだけではなく高い抗炎症・抗アレルギー・去痰作用を持つと考えられています。このためバジルは痒みを抑える働きがある、喘息や花粉症の緩和に役立つとするとも言われているようです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

ハーブバスとして

バジルを入浴剤として利用することで、入浴によるリラックス効果と相乗して精神安定・神経疲労回復・不眠緩和などに役立つとされています。また蒸気を吸引することになりますので鼻・喉の乾燥やイガイガ感を和らげたり、風邪予防としても効果が期待できます。

精油の場合は皮膚刺激があり肌の状態や希釈濃度に注意が必要です。またバジルの葉そのものを利用する場合でも微量のメチルチャビコールが皮膚を刺激して炎症を起こす可能性がありますので、はじめは手浴・足浴など皮膚が厚く丈夫な部分のみを浸すなど注意しながら利用したほうが無難でしょう。


炎症・傷のケアに

殺菌作用が期待できることから、ニキビケアや虫刺され・皮膚感染症のケアなどに有効とされています。ただしこの場合も皮膚刺激を感じる可能性がありますから、肌に対してより穏やかなハーブを利用するか、外用薬として販売されているものを利用したほうが無難でしょう。何らかのこだわりがない場合、外用薬としてのバジル利用はオススメ出来ません。


スイートバジル精油に期待される作用

浸出油の場合はそのまま利用することもできますが、精油をスキンケアやマッサージに利用する場合は必ず希釈して利用してください(協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、肌に使用する場合は概ね1%以下が安全とされています)。精油の経口摂取は出来ません。

バジルの精油にはいくつかのケモタイプがありますが、一般的に「バジル」として利用されているのは“バジルct.リナロール”と呼ばれる、リナロールを多く含むケモタイプ精油です。“バジルCTメチルカビコール”はメチルカビコールを多く含むため高い抗アレルギー効果が期待されていますが、同時に毒性もあるため扱いに細心の注意が必要です。下記はリナロールタイプに期待出来る働きを紹介させていただきます。

心への作用

バジルの精油ハーブよりもよりスパイシーさが強く、疲れた心をリフレッシュさせる・集中力を高めるなどの働きがあるとされています。抗うつ作用がありますのでストレスや不安などを感じて気分が落ち込んでいたり、気力・やる気が出ない時などにも役立ってくれるでしょう。

また脳下垂体や副腎にする刺激作用もあると考えられており、自律神経のバランスを整えることについても効果が期待されています。一般的に利用される“バジル・リナロール”の主成分であるリナロールは優れた鎮静作用を持つ成分ですから、気持ちを落ち着かせたい時や寝付きを良くしたい時などにも有効とされています。


体への作用

精神面に対してのサポート・自律神経調整に優れた働きが期待できることから、ストレス性の諸症状や自律神経失調に伴う不調(めまい・耳鳴り・頭痛・吐き気・倦怠感など)の緩和に役立つとされています。また消化器系に対しての働きかけもあることから消化不良や腹部膨満感などの胃腸の不調、特に精神面に起因する胃痛や腹痛などの緩和に対して効果が期待できるでしょう。

そのほかに抗菌、発汗解熱作用などもあるとされていますから、風邪予防や呼吸器系の不快感緩和などにも利用されています。若干の通経作用が期待できること・強い鎮痙作用を持つメチルチャビコールという成分を含んでいることから月経不順や生理痛の改善に役立つとする説もあります。

スイートバジルの注意事項

  • 乳児や幼児への使用、長期継続しての飲用は出来ません。
  • 妊娠中・授乳中の方は長期・多量飲用を避けましょう。
  • 精油は妊娠中・授乳中の方、幼児への利用は出来ません。また長時間や高濃度での使用も避けるべき存在とされていますので注意して利用しましょう。敏感肌の方は皮膚刺激を感じる場合があります。