蕎麦茶/韃靼そば茶
健康茶と期待される効果効能紹介

ポリフェノール(ルチン)による健康メリットや、美白効果が話題に

麺類としてもお馴染みの蕎麦(ソバ)には抗酸化作用や毛細血管の保護・強化などが期待される「ルチン」というポリフェノールが含まれ、アンチエイジングや生活習慣病予防に役立つと考えられています。中でも“韃靼そば茶”はルチン含有量が極めて高く、メラニン色素生成・沈着防止効果がある美白成分として注目されている「シス・ウンベル酸」も豊富なため美容面にも嬉しい効果が期待できます。

画像:蕎麦茶

 

蕎麦茶/韃靼そば茶について

植物紹介:蕎麦/韃靼蕎麦

日本を代表する麺類といえる蕎麦ですが、韓国の冷麺やフランスのガレットなど実は世界各地で食用とされている存在です。蕎麦といえばソバの実(胚乳部分)を挽いて作られたそば粉などの印象が強いですが、若い茎や葉はスプラウトとしても食用されていますし、食べる以外にもソバの実の殻を使って作った蕎麦枕がよく知られていますね。

ソバは中国南部説が原産と考えられているタデ科ソバ属の植物で、種子はイネ科ではないためアマランサスやキヌアなどと共に「擬穀類」に分類されています。食用の歴史はかなり古いと推測されており、また日本が大陸と陸続きだった時に人々とともに日本に来たとも言われています。9000年以上前の高知県の遺跡からもソバ花粉が発見されていますし、弥生時代頃には既に栽培が行われていたと考えられています。

奈良時代の『続日本紀』では救荒植物として記述が見られますが、鎌倉時代には中国から“挽臼”が伝来するまでは米と混ぜて炊く・粥のようにして食べていたようです。鎌倉以降そば粉としての利用が増え、戦国時代には現在私達が食べているような「そば切り」も成立したと言われていますが、江戸時代中期くらいまでは蕎麦がきの方が主流だったようです。

韃靼蕎麦(苦蕎麦)について

私達が“蕎麦”と呼んで普段食用としているものは普通種(F. esculentum)で、中国などでは「甘蕎麦」と呼ばれている種類です。対してそば茶のパッケージなどでよく見かける韃靼蕎麦というのは、高地やより環境の厳しい地域でも育つ近縁種に当たります。モンゴルの遊牧民族(タタール人/韃靼人)が食していたことから韃靼蕎麦と命名されましたが、苦味が強いことから「苦蕎麦」とも呼ばれています。

中国の『本草網目』に生薬として苦蕎麦の記述がありますが、名前の通り苦味が強いため日本ではほとんど使用されていませんでした。しかし蕎麦の健康成分として注目されているポリフェノール「ルチン」を甘蕎麦よりも数10倍~数100倍多く含むことが報じられてから一気に人気が高まりました。近年は美白効果が期待される「シス・ウンベル酸」含有量が多いこともわかり、美容面からも注目されています。

基本データ

通称
蕎麦(ソバ)
学名
Fagopyrum esculentum
Fagopyrum tataricum
別名
Fagopyrum esculentum⇒甘ソバ、和蕎麦、common buckwheat、sweet buckwheat
agopyrum tataricum⇒韃靼蕎麦(ダッタンソバ)、苦ソバ、Tartary buckwheat、Bitter buckwheat
科名/種類
タデ科ソバ属/一年草
花言葉
幸福、懐かしい想い出、喜びも悲しみも、あなたを救う
誕生花
9月24日、11月1日
使用部位
種子
代表成分
ポリフェノール(ルチン、ケルセチン)、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、シス・ウンベル酸
代表効果
抗酸化、毛細血管保護・修復、血管透過性改善、中性脂肪低下、血圧降下、血糖値上昇抑制、記憶力向上、利尿、視機能保護、美白
こんな時に
老化予防、生活習慣病予防(動脈硬化、高血圧、糖尿病など)、出血性疾患予防、認知症予防、血行不良、冷え性、むくみ、疲れ目・眼病病予防、肌のアンチエイジング、ニキビ予防、シミ予防・美白
おすすめ利用法
食用、飲用
ハーブティーの味
微かに蕎麦の香りがあり、風味ともに香ばしく飲みやすい
カフェインの有無
ノンカフェイン

蕎麦/韃靼そばの栄養・成分・期待できる効果

蕎麦茶/韃靼そば茶

抗酸化・生活習慣病予防

蕎麦茶が健康飲料として注目されるきっかけとなったのが、フラボノイド系ポリフェノールの「ルチン」という成分を含んでいるためです。ルチンはポリフェノールでもありますがビタミンP(ビタミン様物質)の一つにも数えられています。

ビタミンPはビタミンCを安定させることでビタミンCの吸収・作用を高める働きがあることが特徴で、ルチン自体にも抗酸化作用がありますから合わせて摂取することで相乗効果があると考えられています。食後にフルーツなどと組み合わせて飲んだり、ビタミンCが豊富とされる緑茶柿の葉茶などとブレンドして飲むとより健康維持に役立ってくれるでしょう。


動脈硬化・出血性疾患予防に

ルチンには毛細血管の弾力性を保持する・損傷した血管を補修する作用があることが報告されています。このため血管や血液状態を整えるとでスムーズな血流をサポートしてくれると考えられますし、既に老化して弾力がなくなった血管の状態の改善も期待できます。そのほか毛細血管の強化によって脳卒中やクモ膜下出血・歯茎からの出血など出血性の疾患予防に対しても有効とされています。

またルチンには中性脂肪値を低下させることで悪玉コレステロールの減少などにも役立つとされています。悪玉コレステロールは活性酸素によって酸化されることで動脈硬化や血栓の原因となりますから、ルチンの摂取は動脈硬化や脳梗塞・心筋梗塞などの予防に役立つと考えられています。


高血圧予防に

悪玉コレステロールや活性酸素はドロドロ血液の原因でもあります。血液がドロドロになること、血栓や血管効果などによって血液循環が悪くなると心臓にも負担がかかりますから、血圧が高くなります。ルチンは血管や血液の状態を改善することで血圧を下げる働きがあるため高血圧予防に対しても有効とされており、欧米で血圧を下げるための医薬品やサプリメントにも利用されています。

また蕎麦茶にはナトリウム排出を促すことで血圧降下作用があるカリウムも含まれていますので、ルチンと相乗して血圧降下・高血圧予防に役立ってくれるでしょう。外食や塩辛い食事の後に飲むようにすると良いでしょう。


糖尿病予防に

そば茶に含まれているルチンは膵臓へ働きかけることでインスリン分泌を促し、血糖値の正常なコントロールをサポートする働きがあると考えられています。このためルチンの摂取は糖尿病予防や改善に繋がると考えられており、中国では韃靼そば(苦蕎麦)を糖尿病の漢方薬として利用することもあるようです。

またルチンは加水されることでルチナーゼという酵素によって分解され、ケルセチンに変化します。ケルセチンも高い抗酸化作用や血糖値上昇抑制効果が認められており、ラットを使った実験では血糖値や酸化ストレス指標の改善が報告され糖尿病予防に高い効果が期待されています。そのほか神経保護作用や血流改善、抗炎症作用なども報告されており、糖尿病合併症の予防についても役立つのではないかとする説もあります。


認知症予防・記憶力向上

ルチンは抗酸化作用によって脳細胞の酸化を防ぎ保護する・記憶細胞を活発化するなどにも関与していると考えられていますし、ソバには神経伝達物質アセチルコリンの材料となるコリン・神経細胞の合成に必要な亜鉛などの成分も含まれています。このためソバを食べる・蕎麦茶を飲むことで記憶力向上や認知症予防なにも役立つのではないかと考えられています。

またルチンには血管の柔軟性を保持し、血液循環を改善することで脳血栓など脳血管障害の予防にも役立つと言われていますから、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などから引き起こされる脳血管性認知症の予防に対しても効果が期待されています。


そのほか期待される作用

むくみ・冷え性の改善に

そば茶、特に韃靼そば茶に豊富に含まれているルチンは血管をしなやかに保ち、血液をサラサラ状態にすることで末梢部までの血液循環をスムーズにする働きがあります。また近年の伊藤園さんの研究ではルチンの単独摂取よりも“そば茶”を飲用したほうが血液の流動性の改善効果が高いという報告もなされており、そば茶に含まれているルチン以外の成分にも血管拡張作用があると考えられています。これらの働きは高血圧や動脈硬化などの病気の予防だけではなく、血行不良によって起こる冷え性の改善に対しても効果が期待されています。

またそば茶にはカリウムが含まれており、ナトリウムの排出を促す働きも期待できます。塩分(ナトリウム)が増えたことで血液の水分量が増加し、その体液が毛細血管から滲み出し蓄積することで起こるむくみの改善にも役立ってくれるでしょう。加えてルチンには毛細血管を強化することで血管透過性を抑制し、下肢のむくみを予防する働きも期待されています。血流の改善からもむくみ緩和が期待できますし、むくみが改善することで冷えが緩和されることもありますから冷え性・むくみの緩和にも役立つと考えられています。

ただし蕎麦には体を冷やす説・温める説の両説があります。体を冷やすとする根拠は利尿作用があることや蕎麦の糖質量などが関係しており、温めるという説は北で採れるもの・有色・ルチンの血行促進効果が挙げられています。このことから血行不良やむくみによる冷えがある場合は改善に約立つ可能性が高い反面、エネルギー代謝(熱生成)自体が低い方の場合は注意が必要と考えられます。


目の健康維持に

ルチンは目の網膜(黄斑部)にも存在しており、眼圧を下げる効果があるとされています。眼圧が高まると目から脳へ情報を伝える役割を持つ視神経が圧迫され、緑内障と言われる視野が狭くなる(視野狭窄)・部分が出来る(視野欠損)などの視覚障害が起こりやすくなります。

またルチンは抗酸化作用を持つ成分でもありますから、紫外線やブルーライトなどで生じた活性酸素が細胞にダメージを与えることで起こる視力低下・目のかすみ・白内障などの予防にも効果が期待されています。膵臓へのサポート効果・血流改善効果などと合わせて糖尿病網膜症(飛蚊症・網膜出血・網膜剥離・黄斑浮腫など)予防にも役立つと考えられています。


肌のアンチエイジングに

蕎麦茶に含まれているルチンは抗酸化作用を持つポリフェノールですから、ストレスや紫外線などから生じる活性酸素を抑制し、肌の老化を防ぐアンチエイジング効果も期待できます。加えてルチンは毛細血管を強化して肌への血流を整える・ビタミンCの働きを助けてニキビの原因となる皮脂分泌や過酸化脂質生成を抑制する働きも期待できます。肌の老化予防・肌荒れ対策として役立ってくれますし、ニキビが気になる方はローズヒップクコの実などと組み合わせてりようするとより効果的でしょう。

またソバには「シス・ウンベル酸」というメラニン色素の沈着を抑える(チロシナーゼ活性を阻害する)成分が含まれていることも認められています。シス・ウンベル酸はシミ・ソバカス・ニキビ跡などの色素沈着を予防する美白成分として化粧品などへの応用も研究されているそう。
シス・ウンベル酸は通常の蕎麦(甘ソバ)には微量しか含まれていませんが、韃靼蕎麦には多く含まれていると言われています。ルチンなどの抗酸化作用を持つポリフェノールとの相乗効果も期待できますから、韃靼そば茶は美肌・アンチエイジングだけではなく美白効果が期待できるお茶としても注目されています。

蕎麦/韃靼そばの注意事項

  • そばアレルギーの方、その疑いがある方は飲用を避けましょう。
  • 飲食後に日光などの紫外線に当たることで光線過敏を起こす可能性があります。