キャラウェイシード
ハーブティーと期待される効果効能紹介

ストレス・食べ過ぎ・加齢など様々な原因の胃腸不調の緩和に

キャラウェイシードはクミンやイノンドとよく似た外見を持つ、爽やかな香りが特徴のセリ科植物の果実。石器時代の遺跡からも発見されたほど歴史が長いハーブの1つで、健胃・消化促進・駆風作用など消化機能サポートとして各地の伝統医療・民間療法でも用いられてきました。芳香成分の働きから口臭予防や精神安定・リラックスなどにも役立つと考えられているほか、呼吸器系の不調や風邪のケア、天然の虫除けなどにも活用されています。

画像:キャラウェイ(Caraway)

 

キャラウェイシードについて

植物紹介:キャラウェイ

キャラウェイは西アジア・東ヨーロッパ辺りが原産とされるセリ科のニ年草です。キャラウェイの語源はアラビア語の”Karauiya (カラウィヤー)”という言葉とされています。クミンとは同じ語源とされ、アジアでは誤訳・混合されている地域も多いようです。
クミンに関わらず、フェンネルイノンド(ディル)アニスシードなどセリ科のハーブは外見が似ており、混同されやすいと言われています。日本でもキャラウェイとイノンド(ディル)が同じ「姫茴香」と呼ばれており紛らわしい状態です。見た目や名前は混同されているものの、香りを嗅いだり噛んでみると風味はそれぞれ異なりますので区別できるでしょう。

キャラウェイはスイスにある紀元前5,000年頃の遺跡からも発掘されており、人類が食用としていた歴史が古いハーブであると考えられています。西アジア最古の都市フェニキアでも利用され、紀元前1,000年頃までには交易品としてヨーロッパ各地やエジプトへと伝えられていきます。古代エジプトではキャラウェイを医薬品・化粧品・遺体の防腐保存・調味料にと幅広く用いており、ギリシャの医師ディオスコリデスも「キャラウェイは貧血がある女性の強壮に良い」と記録しています。古代ローマでも食用・薬用など幅広く利用されたと言われています。

そのほか魔除けや媚薬としてもキャラウェイはよく用いられる存在でした。繋がりを維持する・物を引き止める力があると信じられ、愛人をつなぎ止める・種子を入れた品物は盗難に遭わない・餌に種子を入れると家畜が逃げないなどの伝承もあります。夫婦仲が続くようにとウェディングケーキに入れられたり、「惚れ薬」の原料としても人気があったようです。

ヨーロッパだけではなくインドのアーユルヴェーダや中国の漢方でも生薬として、主に健胃薬・消化薬・駆風薬などに配合されています。キャラウェイはドイツ料理の定番であるキャベツの漬物「ザワークラウト」によく用いられる存在として知られていますが、これも風味の問題だけではなく、食べた後のお腹の張りを防ぐという生活の知恵でもあると言われています。

基本データ

通称
キャラウェイ(Caraway seed)
学名
Carum carvi
別名
姫茴香(ヒメウイキョウ)、kummel(キュンメル・キャンメル)、葛緌子(カツズイシ)
花言葉
迷わぬ愛、強い心
誕生花
1月22日、2月6日
科名/種類
セリ科ヒメウイキョウ属/二年草
使用部位
種子(果実)
代表成分
精油(リモネン、カルボンなど)、タンニン、脂肪酸、タンパク質
代表効果
健胃、消化促進、駆風、去痰、鎮痙、鎮痛、抗菌、消臭、催乳
こんな時に
胃痛、疝痛、消化不良、下痢、腹部膨満感、便秘、口臭予防、咳、気管支炎、生理痛、喉の不快感
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、料理用ハーブ(香辛料)、精油
ハーブティーの味
香りは爽やかで甘みがあり、味はさっぱりしてほろ苦い
カフェインの有無
ノンカフェイン

キャラウェイシードの栄養・成分・期待できる効果

キャラウェイティー

精神面への働きかけ

リラックス・精神安定

キャラウェイはハーブティーとして浸出した場合でも精油成分(芳香成分)を豊富に含んでいます。精油成分の主成分はリモネンとカルボンで、リモネンは体内で吸収されると脳内でリラックス時に出るα波が放出されることが報告されていますし、カルボンにも鎮静作用があると言われています。

この香りの働きからキャラウェイには気持ちを落ち着けてリラックスさせる働きが期待できます。ヨーロッパなどではお菓子・ティー・入浴剤などリラックスタイムを演出するハーブとしてもよく用いられているよう。夕食後~就寝前のリラックスタイムなどにオススメのハーブティーと言えます。


疲労や無気力に

キャラウェイはアーユルヴェーダでは興奮剤としても利用されることがあるようです。成分的に見ても精油成分のカルボン(ケトン類)には中枢神経刺激作用があり、頭をクリアにしたり前向きさ・活力を取り戻す働きがあると考えられています。

鎮静作用に優れていますから、がっつりと覚醒・興奮というよりは神経疲労・疲労による無気力感を回復してやる気や元気を復活させると考える方が良いでしょう。媚薬的な効果が期待されることもありますが、こちらも同様と考えられます。


消化器系のサポートへ

消化促進・胃もたれ防止

キャラウェイは優れた消化促進作用を持つハーブとして、紀元前から食後に食べられてきた歴史があります。食欲がないときや胸焼けがしている時にハーブティを飲むと、食欲の回復やもたれ感の改善にも役立つと言われています。胃酸の過剰な生成を抑えるとも言われています。

また実験では胃の圧迫感や重苦しさなどの改善も報告されていることから、消化機能を高めるだけではなく消化器保護作用もあると考えられています。そのため加齢による消化機能の低下に関しても効果が期待できます。精神面に対してもリラックス効果などが期待できますから、キャラウェイはストレス性のもの、暴飲暴食など生活習慣によるもの、加齢によるものなど様々な原因の消化器系の不調・機能低下に出来るハーブと言えます。ジンジャーカモミールなどとブレンドして取り入れてみると良いでしょう。


お腹の張りを和らげる

キャラウェイは芳香性駆風剤(腸内ガスの排出を促しお腹のハリを改善する)として利用されており、同科同作用を持つアニスフェンネルと比較しても、駆風作用に最も優れていると言われています。ドイツの自然療法では同量のアニス・フェンネル・キャラウェイを使ったお茶を「AFC tea」と呼び、駆風剤として利用しているそうです。


便秘・下痢に

キャラウェイには消化促進作用があるとされており、お腹の張り以外に便秘や下痢の改善効果も期待出来ます。特に鎮痙・収斂作用から腸管の筋肉の痙攣を落ち着けたり、腸を引き締めることで、下痢止めもしくは下痢の緩和に役立ってくれるでしょう。

薬のように無理やり便を固める・腸の蠕動運動を強制するものではないため便秘・下痢両方に利用できますし、精神面への働きかけと合わせ神経性の腹痛や下痢、過敏性腸症候群の改善などにも効果が期待できます。下痢がひどい場合はキャットニップアグリモニーなど強めのハーブを加えると良いでしょう。


口臭予防に

消化器の保護・機能亢進に役立つことに加え、殺菌・消臭作用があることから口中清涼剤や消臭剤としてもキャラウェイは用いられています。ヨーロッパではデザートに入れる・ハーブティーを飲むなどのほか、食後に種子をそのまま噛む風習があり、消化を助けるためだけではなく口臭予防としても一役買ってくれる存在として知られていたためと考えられています。うがい薬として利用しても良いでしょう。


そのほか期待される作用

咳や痰があるときに

去痰・鎮痙・殺菌作用などがあると考えられることから、キャラウェイは咳・痰が絡むとき、気管支炎の緩和などにも有効とされています。消化機能を高めてくれる働きもありますので、風邪の初期症状で喉に不快感があるときなどにティーを飲むと症状緩和と強壮(治癒促進)の両方に役立ってくれるでしょう。


母乳の出を良くする

キャラウェイは母乳の出を良くするとされ「授乳茶」にもよくブレンドされている存在です。はっきりとした成分やメカニズム等はわかっていませんが、母乳を増やすというよりはお母さんの消化吸収能力を高めることで母乳にしっかりと栄養が行き渡るようにするという用途で用いられることが多いようです。

配合としては直接的に母乳分泌に働きかけるフェンネルとのブレンドされることが多いですが、フェンネルの場合は授乳中に使用しないほうが良いとする説もあります(※女性ホルモン様成分を含むため)。無難なところではミルクシスルラズベリーリーフとブレンドして飲むと良いと言われています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

天然除虫剤として

キャラウェイお芳香成分の1つであるケトン類のカルボンには昆虫忌避作用があります。カルボンは特にゴキブリが嫌う香りとされ、キャラウェイ精油はゴキブリ避けとしてはナンバーワンとも言われるほど高い効果が期待されています。精油を希釈してお掃除に使ったりアロマスプレーにすることで天然の虫除けを作ることができますし、精油がない場合は濃い目に煮出したものやハーブティーを浸出したあとの茶葉(種子)の絞り汁利用しても効果が期待出来ますよ。


ハーブバスに

キャラウェイシードを布袋などに入れて入浴剤として利用することで、リラックス効果を高めたり寝付きを良くしてくれます。消化器系への働きかけも香りによるものですから、お腹の調子がすっきりしない時にもオススメです。加えて昆虫忌避作用がありますので、排水口を伝って出てくるゴキブリ対策に繋がる可能性もありますね。


キャラウェイ精油に期待される作用

浸出油の場合はそのまま利用することもできますが、精油をスキンケアやマッサージに利用する場合は必ず希釈して利用してください(協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、肌に使用する場合は概ね1%以下が安全とされています)
飲用など精油の経口摂取は出来ません。

心への作用

キャラウェイの精油もディル(イノンド)と成分構成が近く、リモネンやd-カルボンなど鎮静作用を持つ成分が主成分となっています。そのため神経疲労や興奮・イライラ・不安などを鎮めて気持ちを落ち着けてくれるとされています。

加えて微量ながらα-ピネンやサビネンなど強壮作用を持つ成分も含まれていますから、自信喪失時や気持ちの落ち込み・無気力時などにもサポートが期待出来ます。情緒不安定気味な方やストレスが多く精神的に参っているときなどに適しているでしょう。


体への作用

消化器系への働きに優れており、消化を高めることで食欲不振や消化不良の改善に有効とされています。腸内ガスの排出を促進する働きもありますので、お腹が張りやすい方にも適しているでしょう。また精神面への働きかけと合わせて神経性(ストレス性)の胃痛・胃潰瘍・下痢・腹痛などの緩和にも役立ちます。

そのほか血行促進作用による冷え性の改善、去痰作用作用や鎮痙作用から気管支炎・咳・咽頭炎などの緩和にも有効とされています。血行促進・鎮痙作用がありますから生理痛の改善にも効果が期待出来ます。

キャラウェイシードの注意事項

    ティー・スパイスとして適切に使用する場合は問題はないと考えられています。

  • 精油は妊娠中・授乳中の方、幼児への使用は避けましょう。また刺激が強いため敏感肌の方は注意が必要です。