コリアンダーシード
ハーブティーと期待される効果効能紹介

消化器系の不調軽減や、気持ちを整える働きが期待

数千年前から利用されてきた最古のハーブの1つとも言われるコリアンダー。葉部(パクチー)は独特の香りがあり苦手な方も多いですが、種子は柑橘系のような爽やかさとスパイシーさを持ち合わせた香りがあります。ハーブティーとして使われている他、紅茶の香り付けにもオススメ。芳香性健胃・整腸作用を持つハーブとされているように胃腸機能のサポートに優れているほか、爽やかな香りでリラックス・気持ちを整えるのにも役立ちます。

画像:コリアンダー(Coriander)

 

コリアンダーについて

植物紹介:コリアンダー

日本にいるとアジア料理のスパイスというイメージがあるコリアンダーですが、原産は地中海東部。数年年前から食用とされていたと考えられ、人類が用いてきた最古のスパイスの1つとも言われています。紀元前3500年頃のメソポタミアの楔状文字板、紀元前1552年のテーベの医薬書に記述が見られるほか、エジプトの遺跡からも種子が発見されています。古代ギリシアやローマでも頻繁に薬草として用いられており、医学の父ヒポクラテスも効能を認めたいたと言われています。

古くから用いられてきたスパイスですから薬草やスパイスとして以外に儀礼・呪術的にも用いられてきた歴史があります。古代エジプトではコリアンダーは幸福のスパイスとも呼ばれ、亡骸をいっしょに墓に葬る習慣もありました。中世には催淫剤(惚れ薬)としても用いられたのだとか。アラビアンナイトで愛のおまじないとして登場しますし、コリアンダーを身につけると妊娠できるなどの言い伝えもあったようです。

日本には中国を経由して古い時代に伝来していたと考えられています。930年頃に編纂された和名類聚抄に「古仁之(こにし)」として記述されているものがコリアンダーではないかと推測されています。その後江戸時代にポルトガル人によって再伝来しているものの、強い香りが好まれず定着はしませんでした。
近年は葉部分はタイなどエスニック料理のパクチーや中華料理の香菜(シャンツァイ)として、一般に種子と呼ばれる果実部分(コリアンダーシード)はカレーに欠かせないスパイスとしてなど、馴染みのあるハーブ・スパイスとなっています。

パクチー(葉)の独特の香りが苦手という人も多いですが、ハーブティーはコリアンダーシードを利用します。クセの強いパクチー臭ではなく、柑橘系のような爽やかさとスパイシーさを持ち合わせた香りが楽しめます。ミルクとの相性も良いですよ。

基本データ

通称
コリアンダー(Coriander)
別名
香菜(コウサイ、シャンツァイ)、パクチー、コエンドロ、カメムシソウ(椿象草、亀虫草)、チャイニーズパセリ、胡荽子(コズイシ)
学名
Coriandrum sativum
科名/種類
セリ科コエンドロ属/一年草
花言葉
隠れた美点、隠れた才能、辛辣
誕生花
3月19日、6月12日、12月4日
使用部位
果実(種子と呼ばれる部分)
代表成分
精油(リナロール、チモール、シメン、リモネンなど)、フラボノイド、タンニン、フィトステロール、脂肪酸、粘液質
代表効果
消化促進、食欲増進、駆風、健胃、抗菌、鎮静、鎮痙、去痰
こんな時に
消化不良、食欲不振、腹部膨満感(お腹のハリ)、便秘、腹痛、頭痛・偏頭痛、口臭予防、体臭予防
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーブチンキ、湿布、料理用ハーブ(香辛料)、精油
ハーブティーの味
香り味ともにスパイシーさが強いが、ややフルーティーさもあり爽やか
カフェインの有無
ノンカフェイン

コリアンダーの栄養・成分・期待できる効果

コリアンダーティー

消化器系への働き

消化機能サポートに

コリアンダーシードは芳香性健胃・整腸作用があり、胃腸の働きを助けるハーブとして胃腸トラブルの緩和改善に用いられてきた歴史があります。スパイスとして用いられる多くのハーブ同様に食欲を増進させる働きもあります。消化を促進する作用が強いので、食べ過ぎてしまったときや油っぽい食事のあとにハーブティーを飲むことで胃もたれ予防に役立ちます。

また駆風剤としてもよく用いられており、腸内に溜まったガスの排出を促す働きがありますので、お腹がハリやすい方にも適しているでしょう。便秘解消にも効果が期待出来ます。お腹のハリや便秘が気になる時はレモングラスフェンネルとのブレンドもオススメです。


口臭予防に

コリアンダーは消化機能を整えることで胃腸内での異常発酵による口臭を防ぐと考えられています。そのほかに抗菌作用や鎮静作用によるストレス緩和効果なども相乗して、口臭・体臭の予防に役立ってくれるでしょう。


そのほか期待される作用

精神面を整える

コリアンダーシードの少しフルーティーな香りにはリナロールという芳香成分(精油成分)が含まれています。リナロールには鎮静作用があり気持ちを落ち着けてリラックス状態へと導く働きがあると言われており、神経・心理的な疲労緩和や、前向きさを取り戻す力になってくれると考えられています。


頭痛・咳止めに

コリアンダーの穏やかな鎮静作用は頭痛や偏頭痛の緩和にも有効と考えられています。関節つなどの緩和にも良いと言われています。痛みが強い場合は場合には鎮痛作用を持つフィーバーフューマジョラムなどとブレンドして飲むと良いでしょう。

また鎮痙作用があることから咳止めとしても利用され、ハチミツと混ぜて咳止めシロップのように用いる民間療法も古くから行われてきました。


デトックス・美肌について

近年コリアンダーには体内に蓄積した老廃物・有害物質・重金属の排泄を促進するデトックス効果があると報じられ、デトックスハーブとしてもコリアンダーは注目を集めています。そのほかコリアンダーティーはビタミン・カロチンが豊富だとして、美肌効果や老化防止効果も注目されていますが、こちらは種子ではなく葉部の方が優れています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

皮膚への使用について

スキンケアなどに用いられることは少ないハーブで、関節痛などに湿布として使用するのが主です。浸出液や精油は火傷の回復期や皮膚炎症緩和に役立つとする書籍もありますが、データが少ないため専門家の判断なく使用することはおすすめできません。


コリアンダー精油に期待される作用

精油の経口摂取(飲用など)は出来ません。
またコリアンダー精油は皮膚刺激が強いためマッサージやスキンケアなど皮膚へ直接付けることは控えたほうが無難です。

コリアンダー精油の心身への効果

心への作用

刺激作用と鎮静作用があります。ストレス・神経疲労の回復やリフレッシュに役立つ精油とされており、やる気・記憶力や集中力の向上効果も期待できることから、特に無気力状態からの回復に役立つと言われています。また精油の主成分がリナロールですから、イライラしているときや神経過敏時など過剰な興奮状態にあるときにも効果が期待出来ます。


体への作用

ハーブティー同様にコリアンダー精油も消化器系のサポートに優れています。精神面への働きかけと合わせて、特にストレス性の便秘・下痢・お腹のハリ・食欲不振などの緩和に役立ちます。風邪でお腹の調子が良くないときや、夏バテ時の回復促進などにも利用されます。

血行を促進することで体を温める働き、内分泌系(リンパ)の流れも促進もあるとされており、冷え性やむくみの緩和に用いられます。鎮痛効果も期待出来ることから、血行不良が原因の肩こり・筋肉痛・関節痛・神経痛などの痛みの緩和などにも有効考えられています。

コリアンダーの注意事項

  • 妊娠中、授乳中の方は大量飲用を控え、濃縮物の使用は避けましょう。
  • 精油は妊娠中・授乳中・小さいお子様への使用を控えましょう。刺激が強い精油に分類されていますから、高濃度での使用も避けてください。