【ダンデライオン/西洋タンポポ】
原料植物、ハーブティーに期待される効果効能

むくみ対策・デトックス用としても定番

健康茶やコーヒーの代替え品として日本でも親しまれているタンポポ。原料として主に使われている西洋タンポポは英名でダンデライオンと呼ばれ、食材としても古くから活用されてきました。「おねしょのハーブ」と称されることもあるように利尿作用が期待されているハーブですし、イヌリンなどの食物繊維を含むこと・肝機能をサポートしてくれる可能性があることと合わせてデトックスティーとしても注目されています。血圧や血糖値が気になる方のサポーターとしても、スタイルやお肌を綺麗に保ちたい方のサポートとしても取り入れられています。

ダンデライオン(西洋タンポポ)のイメージ画像

ダンデライオンとは

植物紹介:セイヨウタンポポ

ノンカフェインのコーヒー代用品として使われているタンポポコーヒーや、むくみ・デトックスなどに役立つ健康茶としても利用されている西洋タンポポ。英名“Dandelion”からダンデリオンもしくはダンデライオンとも呼ばれています。ダンデライオン=西洋タンポポと聞くと日本人には馴染みのない植物のようにも感じますが、ヨーロッパが原産ではあるものの西洋タンポポは南北アメリカやオーストラリアなど各地に分布してます。日本でも帰化植物として扱われており、日本で確認されるタンポポの約8割は西洋タンポポもしくは日本在来種のタンポポとの交雑種であるとも言われていますよ。

日本在来種とされるタンポポにはシロバナタンポポやカントウタンポポ・カンサイタンポポなどいくつか種類がありますが、全国的に見ても西洋タンポポを目にすることが多いのだとか。西洋タンポポは日本の侵略的外来種ワースト100にも数えられている植物ですが、相対的に在来種の割合が減ったというだけで在来種を駆逐している訳ではないのだそうです。在来種と西洋タンポポなどの外来種の大きな違いは花の下、総苞片というガクのような部分が反り返るが否かという点。在来種は総苞片が締まった形をしているのに対して、西洋タンポポは花びらに紛れるように総苞片が反り返っていること・開花時期が長く夏~秋にも咲いているという事が特徵です。

どちらにせよ日本では野草・雑草くらいの目で見られているタンポポ。原産地のヨーロッパから東アジアにかけてと、ユーラシア大陸においては古くから食材として親しまれてきた食材でもあります。葉は生のままサラダにしたり茹でて料理に使用しており、中国や韓国でも野菜感覚で使うこともあるのだとか。そのほかイギリスでは中世からルートビアの一種として西洋タンポポとゴボウを発酵させた“Dandelion & burdock”というドリンクが親しまれており、現在でも炭酸清涼飲料へと変化はしているものの存在しています。アメリカではダンデライオンの花びらを使ったダンデライオンワインも生産されています。

また中国やアラビアの伝統医学ではタンポポの葉や根を生薬として1000年以上昔から利用していたとも伝えられています。記録はないものの、古代ローマでも医薬品感覚で用いられていたという説もありますよ。ちなみに英名の“Dandelion”というのはフランス語でライオンの歯(dent-de-lion)を意味する言葉が語源。そのフランスでは利尿効果を持つハーブとして「ベッドの中のおしっこ(piss-en-lit)」が変化した“pissenlit(ピサンリ)”とも呼ばれています。日本でもダンデライオンは「おねしょのハーブ」と紹介されることもあり、利尿効果からむくみに悩む女性が健康茶として取り入れるケースもありますね。

私達に馴染みのある西洋タンポポの活用法と言えば、健康茶コーナーに売られているタンポポ茶もしくはたんぽぽコーヒーカフェイン減量のための代替え品として注目されているたんぽぽコーヒーの歴史は比較的新しく、19世紀にアメリカで安価なコーヒー代用品として、身近なタンポポの根を焙煎することが考案され普及したのだとか。第二次世界大戦中にはコーヒー豆の入手が困難であったドイツなどでも普及し、戦後はその栄養価の高さや薬理作用が注目され健康食品として親しまれるようになりました。現在販売しているものはタンポポ茶は葉を乾燥させたもの・たんぽぽコーヒーは根を乾燥し焙煎したものという区分が多いですが、販売されているものに厳密な区分がないためメーカーによって異なっています。

基本データ

通称
ダンデライオン(Dandelion)
別名
ダンデリオン、セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)、キャンカーワート(Canker Wort)
学名
Taraxacum officinale
科名/種類
キク科タンポポ属/多年草
花言葉
愛の神託、神のお告げ、真心の愛、別離
誕生花
2月7・18・9日、3月10・13・23・29日、4月3日、5月3日など
使用部位
葉(ダンデライオン・リーフ)
根(ダンデライオン・ルート)
代表成分
ビタミン類、ミネラル類、カロテノイド類、多糖類(イヌリン、ペクチン)、フィトステロール(タラキサステロール)、苦味配糖体(タラキサシン)、タンニン、ポリフェノール類(チコリ酸、クロロゲン酸)など
代表効果
利尿、緩下、強肝、胆汁分泌促進、抗酸化、血圧降下、血糖値上昇抑制、健胃、消化促進、強壮
こんな時に
むくみ、便秘、デトックス、生活習慣病予防(高血圧、高コレステロール、動脈硬化、糖尿病など)、ダイエット、消化不良、食欲不振、肌荒れ
おすすめ利用法
ハーブティー・タンポポコーヒー、ハーブチンキ、食用
ハーブティーの味
ダンデライオンティー(乾燥):少し土臭さと苦味があるが、後味は甘め
たんぽぽコーヒー(焙煎):コーヒーを薄めたようなあっさりとした風味
カフェインの有無
ノンカフェイン

ダンデライオンの成分と作用

ダンデライオンティー/たんぽぽ茶に期待される効果

老廃物排出・デトックスに

むくみ予防・改善に

西洋タンポポの葉にはナトリウムとバランスを取り合い、ナトリウムが多すぎる場合にはその排出を促す働きを持つカリウムが多く含まれています。ナトリウムは必須ミネラルの一つですが、体内のナトリウム濃度が高くなりすぎると命の危険が生じるため、身体に水分を取り込むことでナトリウム濃度を保つというメカニズムがあります。塩辛いものを食べると喉が乾くのも身体が水分を要求するためで、むくむのは水分が多く取り込まれるためですね。カリウムを補給することで不要なナトリウムの排出が促され、ナトリウム濃度を保つために取り入れていた水分も合わせて排出させてくれます。このためカリウムの補給はむくみの予防・緩和に役立つと考えられています。

西洋タンポポ(ダンデライオン)の利尿作用はカリウムによる働きのため、利尿剤のように体内のカリウムを減らすことなく水分排出を促すという点も注目されています。またカリウム以外にも何らかの成分が肝臓や腎臓の働きを高める・膀胱刺激成分が含まれているのではないかという見解や、タンポポの根に含まれているフラボノイド系ポリフェノールのイソクエルシトリンは強い利尿作用を持つという説もあります。タンポポがどのようにむくみ・体液鬱滞を軽減するのかは解明されていないものの、伝統的に用いられてきたことと合わせてナトリウムや水分排出を促してくれるむくみ対策ハーブティーとして親しまれています。


便秘・お腹の調子が悪い時に

ダンデライオンは“water pills”とも称されるほど利尿・むくみ軽減などの働きが紹介される事の多いハーブですが、ペクチンやイヌリンなどの水溶性食物繊維に分類される多糖類を含む植物でもあります。ペクチンなどの水溶性食物繊維類は水に溶けてゲル状になることで便の硬さを排泄に適した状態に保ることで、穏やかな緩下剤のように便秘改善をサポートしてくれます、また腸内の善玉菌のエサとなることで善玉菌の増殖を促し、腸内環境を整える働きも期待できます。こうした働きからタンポポ茶は便秘予防、お腹の調子を整えたい方のサポートにも役立つと考えられます。


デトックスハーブとして

むくみ・便秘の改善効果が期待できるたんぽぽ茶は、老廃物の排出を助けてくれるデトックスティーとしても取り入れられています。便や尿の排出を促すだけではなく、肝臓組織を有毒物質や酸化ストレスから保護して機能回復を助ける働きを持つ可能性も示唆されています。肝臓は有毒物質や老廃物も解毒・浄化を受け持つ臓器でもありますから、肝臓の働きが高まることからも体の持つデトックス機能の向上に繋がる可能性があるでしょう。

のためダンデライオンは市販されているデトックスを目的としたブレンドティーや健康食品類にも用いられています。ハーブティーとして取り入れて見る場合であればネトルバードックミルクシスルホーソンベリーなどと組み合わせることが多いようです。ただし作用秩序やヒトの肝臓への働きかけについては研究データ数が少なく、未解明のハーブであるとも言えます。副作用や相互作用についても分かっていない部分が多いため、肝疾患や疾患に起因するようなむくみのある方・医薬品を服用中の方は医師に相談の上で利用しましょう。

日々の健康サポーターとして

高血圧・生活習慣病予防に

ダンデライオンに含まれているカリウムはナトリウムを排出させる働きがあることから、高血圧対策にも繋がるミネラルです。血中ナトリウム濃度を保つために水分が取り入れられると、血液量が増えて血液を送り出す役割を持つ心臓に負担がかかります。このためナトリウム過多は高血圧のリスクを高める要因に数えられており、カリウムの摂取は血圧を一定に保つことに繋がると考えられています。

またダンデライオン(西洋タンポポ)にはルテインなどのカロテノイドやポリフェノール類も含まれており、抗酸化作用も期待できます。過剰な活性酸素が細胞を酸化させると、正常な機能を失う・老化が促進されるなど様々な悪影響を及ぼす原因ともなります。血中脂質の酸化がリスクファクターとされる動脈硬化や心筋梗塞などもその一つ。ダンデライオンは抗酸化物質の補給源として役立つことに加え、肝臓強化による悪玉コレステロールの抑制や血液サラサラ効果が期待できると考えられていること・水溶性食物繊維類にはコレステロールの排出作用が報告されていることから生活習慣病の予防を手助けしてくれる可能性もあります。


血糖値対策・糖尿病予防にも期待

ダンデライオンに含まれているイヌリンやペクチンなどの水溶性食物繊維類はお腹の調子を整えるだけではなく、水に溶けてゲル化することで同時に摂取した食物を包み込み、消化管の移動をゆっくりにすることで糖質の吸収・分解速度を穏やかにする働きもあります。糖吸収スピードが抑えられるとインスリンの急激な分泌を抑えることにもなり、結果として糖尿病予防にも繋がります。

加えてダンデライオンに含まれているチコリ酸やクロロゲン酸などのポリフェノールにも膵臓からのインスリン分泌を改善する働きが見られたことが報告されており、水溶性食物繊維の補給と合わせて西洋タンポポは血糖値対策・糖尿病予防にも役立つ可能性がある植物としても研究が行われています。研究段階で有効性が認められたものではありませんが、血糖値対策の一つとしてたんぽぽ茶を取り入れてみても良さそうですね。


貧血予防には微妙

西洋タンポポ、特にダンデライオンリーフと呼ばれる葉部分にはビタミンB2やビタミンCなどのビタミン類も含まれています。またミネラルを多く含む植物でもあり、カリウム以外に鉄分を多く含んでいることも認められています。鉄分と植物性鉄分の吸収を助けてくれるビタミンCを含むことから、鉄欠乏性貧血の予防に役立つのではないかという説もあります。ただし鉄分などは不溶性の栄養素のため“お茶”として浸出された水分のみで補給できる量は微々たるものであると推測できます。葉をサラダや炒め物に利用する場合はさておき、たんぽぽ茶を飲んで鉄分補給をしたと過信しないことをお勧めします。

そのほか期待される作用

肥満予防・美肌作りに

デトックスティーとして用いられることもあるたんぽぽ茶は、むくみや便秘を改善することによってスタイルキープ用としても注目されています。ポリフェノールなどの抗酸化物質の補給や、体内毒素の排泄を促すことから代謝低下の予防にも繋がるでしょう。また近年は水溶性食物繊維類が血糖値上昇を抑えること、クロロゲン酸に脂肪蓄積を抑制する働きが報告されたことから、より直接的な肥満予防効果も期待されています。マウスを使った実験では西洋タンポポ葉抽出物に脂質蓄積の減少が見られたことも報告されており、タンポポの生理活性成分が減量をサポートする可能性があることが示唆されています。

そのほかデトックス効果からニキビや肌荒れの予防解消に、抗酸化物質の補給から肌のアンチエイジングに繋がる可能性もあります。たんぽぽ茶はビタミンやミネラルの補給源としても役立ってくれますから美容茶として取り入れ


鎮静効果も期待

タンポポの茎を折った時に出てくる白い乳液質にはタラキサステロール(Taraxasterol)というフィトステロールが含まれています。このタラキサステロールの作用については分かっていないものの、穏やかな弛緩作用を持つのではないかという説があります。リラックスを促すハーブとして、ストレスや神経性の不調軽減に用いられることもあるのだとか。全く見方が違いますが東洋医学的ではストレスや怒りなどの精神的なデトックスも肝臓で行われるという思考があり、肝臓の浄化・機能向上に役立つタンポポはイライラや気分ムラなどの緩和効果を持つと考えられています。根拠が曖昧で伝統医学城の効能の域を出ない話ではありますが、コーヒーや紅茶などと置き換えるとカフェイン減量の方向からも神経系の興奮を鎮めてくれる可能性はあるかもしれません。

たんぽぽT1エキスについて

近年西洋タンポポの葉や根に含まれている糖鎖T-1(タンポポT-1)と呼ばれる多糖体の1種が健康成分として注目されています。T-1は医学博士である邵輝先生が発見・抽出して成分で、ホルモンバランスの調整作用や脂肪燃焼促進効果・抗炎症作用・血管拡張作用など様々な作用を持つ可能性が報告されています。このタンポポT-1が含まれているたんぽぽ茶「ショウキT-1」などは妊活中の方・アトピー性皮膚炎の方・血行不良や冷えの改善などに取り入れられています。

ただしタンポポT-1の含有量は少なく、一般的に市販されているたんぽぽ茶・たんぽぽコーヒーにどの程度含まれているのかは定かではありません。微量成分であることから通常のハーブティーとして摂取する場合、T-1効果は期待できないという説が主流となっています。T-1に報告されている何らかの効果を期待する場合であれば、T-1エキスが配合されている商品を選んだほうが確実でしょう。

ダンデライオンルート/たんぽぽコーヒーについて

たんぽぽコーヒーはタンポポの根(ダンデライオンルート)を乾燥し焙煎したものを指します。クロロゲン酸を含み苦味もありますが、ノンカフェインであるということがメリット。コーヒーをよく飲む方がカフェインを摂りたくない場合などにも代用品として、妊活・妊娠中などにもよく利用されています。ただしコーヒーとは少し風味が異なりますから、コーヒーそのものの風味は期待せず、薄めたコーヒーもしくはコーヒー風味のお茶と思って飲むと無難。

タンポポコーヒーに利用されているのは基本的に寝部分のみであることが多いため、若干たんぽぽ茶とは成分や期待される働きが異なると考えられます。葉の方がビタミン・ミネラルなどの栄養成分は豊富であるという見解が多くなっています。

期待される働きについて

タンポポは葉や茎も苦味のある野草。コーヒーの代用品として使われるダンデライオンルートは特に苦味が強く、苦味成分であるタラキサシン(taraxacin)などが多く含まれていることが分かっています。漢方ではタンポポが苦味健胃剤として活用され、民間医療の中でも消化促進や食欲増進・食べ過ぎたあとの胃もたれ解消などに用いられてきた歴史があります。タラキサシンだけによるものなのか、ほかの生理活性物質との複合効果であるのかは定かではありませんが、現在でもタンポポの根に健胃作用や胃酸分泌促進作用など胃腸機能を整える働きは期待されています。

また根の部分のほうが葉よりもイヌリンが多く含まれていることから、たんぽぽコーヒーのほうが便通改善に役立つと考えられます。水溶性食物繊維の補給源として優秀なことに加えて脂肪蓄積を抑制効果が期待されるクロロゲン酸なども多く含まれていることから、ダイエット用としてもたんぽぽコーヒーが適しているのではないかという見解も。たんぽぽ茶と同様に利尿作用についても高い効果が期待されていますが、漢方でたんぽぽの根は解熱・清涼剤としても利用されることから冷え性の方は摂取量に注意が必要という指摘もあります。

たんぽぽコーヒーの作り方

たんぽぽコーヒーは簡単に言えば、たんぽぽの根を乾燥させて焙煎したもの。このため綺麗な所に生えているタンポポの根を掘り出してきて自作する方もいらっしゃいます。作る場合の大まかな流れとしては掘り出したタンポポの根を土が出てこなくなるまで綺麗に水洗いし、細かく切って天日干しor電子レンジで乾燥させ、フライパンなどで乾煎りするというもの。コーヒーの代用品になるかと言えば個人的には首を傾げたくなるお味ですが、これにお湯を注いで進出するとタンポポコーヒー?たんぽぽ茶?というものは飲むことが出来ます。

一度乾煎りした後でミキサーで粉砕し、再びサラサラになるまで乾煎りするとよりコーヒーに近い香りや苦味が出るそう。そのほかハーブティー用として販売されている茶葉を焙煎するという方もいらっしゃいます。個人的な見解としては、根を掘り出すのも洗うのも結構大変です。たんぽぽ茶とそう変わらない値段でたんぽぽコーヒーも販売されていますから、何らかのこだわりがなければ購入してしまったほうが味も安定していますし楽ではありますね。

ダンデライオン(西洋タンポポ)の注意事項

  • 肝臓にトラブルのある方は使用できません。
  • キク科植物にアレルギーがある方は使用に注意が必要です。
  • 低血圧・胃酸過多の方は症状が悪化する可能性があります。
  • 医薬品を服用中の方は医師・薬剤師に相談の上で利用してください。
  • 食品として通常料を経口摂取する場合は安全であると考えられていますが、妊娠中・授乳中の安全性に対してはデータが少ないため過剰摂取は避けましょう。

参考元