ボタニカル♪ラブ

ハーブ・生薬・スパイス…植物のチカラで日々を素敵に

葛湯(本葛粉/葛の花茶)
健康茶と期待される効果効能紹介

風邪っぽい時や冷え対策に、花はダイエット効果も期待

体を温めたい時や風邪っぽい時に古くから飲まれてきたくず湯。デンプンが主成分ですが血行促進作用なども期待できることから、肩こり軽減などにも取り入れられています。また近年はイソフラボン類やサポニン類を豊富に含む葛の花に肥満予防効果が報告され、ダイエット成分として注目されています。そのほか女性ホルモン(エストロゲン様)作用による更年期障害や月経トラブルの緩和、アンチエイジングなどにも効果が期待されています。

画像:本葛(葛の花)

 

葛(クズ)について

植物紹介:葛

日本で古くから活用されてきた薬草の一つ、葛(クズ)。美しい紅紫色の花から秋の七草の一つにも数えられていますし、観賞性に優れているとされる秋の七草の中で唯一食材として使われるものであるとも言われています。葛と言えば根から抽出されたデンプン“本葛粉”がよく知られておりますし、葛餅・葛切りをはじめとした和菓子類、風邪をひいた時などに飲むくず湯などを口にしたことがある方も多いのではないでしょうか。また根をそのまま乾燥させたものは生薬“葛根”となり、現在でも葛根湯などの漢方薬の原料として使われています。葛根にするなら初夏頃、葛粉にするなら秋から冬に根を掘り出すと良いという話もあります。

植物分類としてはマメ科に属すつる性植物で、原産は日本・朝鮮半島~中国にかけての地域とされています。漢字の葛には“かずら”という呼び方もあり、つる草の総称としても用いられます。それだけポピュラーなつる草であったとも言えるかもしれません。日本で一般的に葛と呼んでいるのは学名がPueraria lobata種で、花の白いシロバナクズ・花が淡ピンク色のトキイロクズなどはその品種。同属の近縁種には沖縄などに分布しているタイワンクズ(P. montana)など15~20種くらいがあるそうです。

葛は一日に1メートル伸びるとも言われるとおり、非常に生命力が強い生き物。切り取っても根茎が残っているとすぐ再生してしまうので、農業や林業では厄介な有害植物とされています。また繁殖力の強さから観賞用や飼料用として導入したアメリカでは自生するようになり爆発的繁殖が問題になっていたりと、国際自然保護連合(IUCN)の『世界の侵略的外来種ワースト100』に選ばれているほど。そうしたことから“くず”という名前の語源も良くない意味かと思われがちですが、これは奈良県の国栖(くず)という地域が葛粉の産地だったためと言われています。

葛というと本葛粉や葛根など根の利用がよく知られていますが、若葉や新芽(つる)は山菜感覚で天ぷらや和物などにも使われます。見た目がキレイで甘い匂いを放つ葛の花も天ぷら・和物のほか混ぜご飯の具やお漬物などにも使われています。また乾燥させた花は“葛花”と呼ばれる生薬になり、日本だけではなくアジアの様々な地域で二日酔い対策に使われてきたそう。食用以外にも葛のつるは新石器時代から繊維として布を編むのに使われてきましたし、古くは布・壁紙などにも用いられたそうです。カゴなどの民芸品用としても使われていますね。
こうして様々につかえることから「クズは捨てるところのない植物」とも言われていますが、マメ科の植物なだけに枝豆に似た果実をつけるものの、この実(種子)だけはほとんど活用されません。毒があるというわけではないそうですが、実が小さいし美味しくもないのだそうです。

基本データ

通称
葛(クズ/Kudzu)
別名
真葛(マクズ)、ウラミグサ(裏見草)、ジャパニーズ・アロウルート(Japanese arrowroot)、葛根(カッコン)、葛花(カッカ)
学名
Pueraria lobata
(Pueraria montana var. lobata)
科名/種類
マメ科クズ属/つる性多年草
花言葉
芯の強さ、根気、活力、治癒、恋の溜息
誕生花
9月12日・13日・21日
使用部位
根、葉(葛粉) もしくは葛の花
代表成分
デンプン、フラボノイド類/イソフラボン誘導体(ダイゼイン、ダイジン、プエラリン、テクトリゲニン)、サポニン類(クズサポニン)、β-シトステロール
代表効果
血行促進、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙、抗炎症
加えて花はホルモンバランス調整(エストロゲン様)、抗肥満、抗酸化、肝臓保護
こんな時に
血行不良、冷え性、風邪の初期症状、発熱、肩こり、筋肉痛、更年期障害、月経不順、ダイエット、老化予防、動脈硬化予防、二日酔い
おすすめ利用法
食用、くず湯・ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ
ハーブティーの味
くず湯:ほぼ無臭で味は薄口だが若干のクセがあり、とろみが出る
葛の花:少しフルーティーさのある香り、味は薄い
カフェインの有無
ノンカフェイン

葛(クズ)の栄養・成分・期待できる効果

葛湯(本くず粉/葛の根部)

血行不良や風邪ケアに

血行促進・冷え性軽減に

クズの根をそのまま乾燥させた生薬“葛根”よりは劣りますが、本葛粉にも血液中に増えすぎたコレステロールを減少させるイソフラボン類、同じくコレステロール低減や過酸化脂質の生成抑制などの働きで血流改善に役立つサポニン類などが含まれています。加えてイソフラボン類には血管や筋肉の緊張を緩める働きがあるという説もありますから、血行不良や冷え性の軽減に役立つと考えられます。

また主成分がデンプンでとろみがあるため熱が冷めにくく、お腹の中でも温度を保持してくれるので体感的に温かいというメリットもあるでしょう。くず湯を水で溶いて温めただけのものは味がなく飲みにくいですから、体を温めるショウガとハチミツなどを加えたり、他のお茶にとろみを付ける感覚で利用すると良いでしょう。


風邪予防・ケアに

漢方薬であれば葛根湯、民間療法であればくず湯が風邪のケアとして使われているのは第一に体を温める働きに優れていることが挙げられます。発汗作用や解熱作用があるとされていますから、寒気がする時や熱が出ている時に役立ってくれるでしょう。ちなみに東洋医学で気味が平性~微温性とされているのも、体を温める働きと解熱効果の両方があるためと言われています。

加えてくず湯(本葛粉)に含まれているサポニン類には、免疫力を高める働きや鎮咳去痰作用を持つものも含まれていると考えられています。植物性ステロールのβ-シトステロールも抗炎症作用や免疫強化などの働きが報告されていますから、くず湯を飲むことで風邪による炎症の軽減にも効果が期待できます。体が温まることも免疫力アップに繋がりますし、消化に負担がかかりにくいデンプンからエネルギー補給も出来るので、風邪予防やひきはじめのケアに長く使われてきたのでしょう。


肩こり・筋肉痛に

イソフラボン誘導体のダイゼインという成分には、筋肉の緊張を和らげてこりや筋肉痛などの痛みを軽減する働きが期待されています。ただし本葛粉にもダイゼインは含まれていますが、その量は微量。そのためくず湯が風邪のときだけではなく普通の肩こり・腰痛などにも良いと言われるのは、血行が良くなることの方が大きいのではないかと考えられています。

肩こりや腰痛・頭痛などの原因の一つには「筋肉が凝り固まることで起こる血行不良(もしくは血行不良で筋肉がこわばる)」ことが挙げられます。葛は血行促進のほか鎮痛・抗炎症作用があるとされていますから、血行不良によって悪化している様々な痛みの軽減に効果が期待されています。落語では『葛根湯医者』という何の症状でも葛根湯をすすめる医者の演目がありますが、ただヤブ医者を揶揄したものではなく広い用途に葛根が使われていという見方もできますね。

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そのほか期待される作用

更年期障害の不調軽減に

葛は大豆イソフラボンと同じく植物エストロゲン作用が認められているイソフラボン(ダイゼイン)を含有しているため、抗酸化作用と合わせてエストロゲン低下によって起こる更年期障害の軽減や骨粗鬆症予防効果が期待されています。ただし生成されている葛粉の場合はダイゼイン含有量は微量と考えられますので、バストアップや美肌効果などは期待しないほうが良いでしょう。

そのほかに葛は自律神経を整える働きも期待されています。こちらは女性ホルモン(エストロゲン)のサポート効果から・筋肉の強張りが緩み血行が良くなる(副交感神経が活発化しやすくなる)・ホメオスタシス調節成分が含まれているなど理由は諸説ありハッキリは分かっていません。ただ体が温まりほっとするような飲み物ではありますから、イライラしたり寝付きが悪い時に取り入れてみても良いでしょう。

クズの花を使ったハーブティー

葛の花茶をお茶として飲む場合は摘んだ花を水で洗った後、水分が抜けるまで天日干ししたものを煮出すのがポピュラーなようです。摘んですぐ生花の状態で洗ってから、お湯を注ぎ数分蒸らしてそのまま飲むという方法もあるそう。なるべく空気のきれいな所の花を使うようにして下さい。

女性の体に

更年期障害軽減・骨粗鬆症予防に

根をそのまま干した葛根はさておき、デンプンを抽出した本葛粉と比較するとクズの花の方が多くのフラボノイド類(イソフラボン誘導体を含む)とサポニンを含んでいると考えられています。このためイソフラボンによるエストロゲン様作用は葛の花の方が高いと考えられており、エストロゲン不足による更年期障害や骨粗鬆症の予防により高い効果が期待されています。


月経不順などの月経トラブルに

フィトエストロゲン(植物性ホルモン)は本来のエストロゲンよりも作用が弱いという性質があります。このためエストロゲン分泌が過多の場合には作用の弱いフィトエストロゲンがエストロゲン受容体へ入り混むことで、全体的なエストロゲンの働きを弱めることにも繋がると考えられています。

この性質から植物性エストロゲンの摂取はエストロゲン不足・過多どちらからも起こりうる月経不順やPMS(月経前症候群)など若い女性の不調軽減にも効果が期待されています。またイソフラボンやサポニンの働きで血行が良くなり筋肉の強張り・冷えが改善することもPMSや生理痛などの軽減につながるでしょう。
ただし有効性が期待される反面、エストロゲン様作用がくず湯よりも高いと考えられますから妊娠中や授乳中の方は控えるようにしましょう。飲用して大量の悪化を感じた場合も、すぐに使用を中止するようにして下さい。

健康・美容維持に

肥満予防・ダイエットに

これまであまり注目されることのなかった葛の花ですが、近年は葛の花にダイエット効果が期待できることが紹介されサプリメント類の原料成分としても取り入れられています。これは葛の花に含まれているイソフラボンに体脂肪、特にお腹周りの体脂肪率の低下効果が期待できるため。葛の花エキスを使った臨床試験では内臓脂肪の体積減少が確認されており、葛の花由来のイソフラボン(テクトリゲニン類)は機能性表示食品として認められています。加えてサポニンも血行促進による代謝向上や脂肪吸収・蓄積を抑制するダイエット効果が期待されています。

老化・生活習慣病予防に

イソフラボンはボリフェノール(フラボノイド)の一種で抗酸化作用があります。サポニンも過酸化脂質の生成抑制に働くとかんがえられるため、これらの成分を含む葛の花はアンチエイジング(酸化による老化予防)にも有効と考えられてます。またイソフラボンには善玉コレステロールの生成促進作用が、サポニンも悪玉コレステロールの低減効果が報告されていますから、抗酸化作用と合わせて動脈硬化や高血圧などの予防にも役立ってくれるでしょう。肥満予防に繋がることなどから糖尿病予防に良いのではないかという説もあるようです。


肝臓サポート・二日酔い予防に

葛花は古くから肝臓サポートに良い生薬と考えられてきました。西暦400年代後半に書かれたとされる中国の『名医別録』には酒を消す、1578年に完成した『本草網目』にも酒毒を消す生薬として記載されています。日本でもお酒好きであった水戸光圀が二日酔いの時に使用していたというエピソードが残っており、水戸光圀が関わった薬物書『救民妙薬』にも“酒毒には、葛花かげぼし、粉にして用いよし”と書かれているそう。

近代の研究でも葛の花エキスには血中アルコールの上昇抑制効果や、悪酔い・二日酔いの原因とも言われるアセトアルデヒドの上昇抑制効果が見られたことが報告されています。また肝臓の異常を調べる際に指標とされるOT(AST)・GPT(ALT)数値の変化についても実験で有効性が確認されており、二日酔い対策だけではなく肝臓そのものの保護・機能強化に対しても効果が期待されています。


美肌・アンチエイジングに

抗酸化作用とエストロゲン様作用を持つ成分を含む葛の花は、肌を若々しく保つ働きも期待されています。抗酸化作用で肌ダメージを抑えることに加え、肌の弾力やハリの元であるコラーゲン生成を促す働きがある“美肌ホルモン”エストロゲンの不足が緩和することで若々しくハリのある肌の維持に役立ってくれると考えられます。そのほかコラーゲンは頭皮にも存在しており抜け毛予防にも効果が期待されていますから、薄毛対策や髪の艶保持などにも効果が期待できるでしょう。

葛の注意事項

    くず湯であれば、通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。

  • クズの花は妊娠中・授乳集の摂取を控え、それ以外の方も過剰摂取に注意しましょう。

健康茶

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