レディースマントル
ハーブティーと期待される効果効能紹介

レディースマントルはバラ科に分類されるハーブ。「女性の最良の友」「女性の美と若さを保つハーブ」などとも呼ばれるように、ヨーロッパなどでは古くから女性のためのハーブとしても親しまれてきました。現在でもホルモンバランスを整える働きを持つ精油成分を含むと考えられており、月経不順・生理痛・不正出血などの月経トラブルから更年期障害やPMS(月経前症候群)の緩和まで幅広く活用されています。あっさりと飲みやすい風味ですし、抗酸化作用によるアンチエイジング効果も期待されていますよ。

画像:レディースマントル(Lady’s Mantle)

 

レディースマントルについて

植物紹介:レディースマントル

レディースマントルは「女たちの最良の友(a womans’s best friend)」とも呼ばれるほど婦人科系の諸症状に役立つハーブ。月経不順や性器の炎症をはじめ、近年は更年期障害やPMS(月経前症候群)の諸症状緩和としても注目され、日本でもハーブティーを飲用する方が増えています。またアラブ諸国では「女性の美と若さを保つハーブ」とも言われているそうです。

ハーブとしてはレディースマントルと呼ぶことが多いですが、園芸植物としては属名であるアルケミラとも呼ばれています。アルケミラ(Alchemilla)という属名の由来については、錬金術を表すAlchemelychが語源で魔力を秘めた植物であるとする説、葉一面に軟毛があることから軟らかい絹状の毛を表すalkemelyehが由来であるとする説の2つがあります。学名の由来となったかははっきりしませんが、レディースマントルは古くから魔力のあるハーブであると信じられていた植物です。

中世には錬金術に用いられる「賢者の石」と作るのにレディースマントルの葉に溜まった雫が必要であると考えられていました。16世紀になると葉の形状が聖母マリアのマントに似ていることから神聖視され、「レディスマントル(聖母マリアのマント)」という呼び名が定着していったと言われています。

ちなみに和名の羽衣草(ハゴロモソウ)は牧野富太郎博士がレディースマントルを意訳して命名したものです。「羽衣草」と呼ばれていても、日本に自生しているAlchemilla japonicaや、日本で多く流通しているアルケミラモリス(Alchemilla mollis)には薬効がないと言われていますので、ハーブティーを購入する際は学名を確認するようにした方が良いでしょう。

基本データ

通称
レディースマントル(Lady’s Mantle)
別名
西洋羽衣草(セイヨウハゴロモソウ)
学名
Alcbemilla vulgaris/
Alchemilla xanthochlora
科名/種類
バラ科ハゴロモグサ属/多年草
花言葉
輝き、初恋、献身的な愛
誕生花
5月7日、10月24日
使用部位
地上部(花、葉、茎)
代表成分
精油(スラレオール、トランスアネトールなど)、サリチル酸、タンニン、苦味質
代表効果
ホルモン様、子宮刺激、月経調整、利尿、消炎、抗炎症、収斂、鎮静
こんな時に
月経前症候群(PMS)、更年期障害、生理不順、生理痛、月経過多、不正出血、産後の母体回復促進、下痢、胃腸炎、のどの痛み、口内炎
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、手作り化粧品
ハーブティーの味
やや干し草のような青っぽい香りがあるが、爽やかで飲みやすい
カフェインの有無
ノンカフェイン

レディースマントルの栄養・成分・期待できる効果

レディースマントルティー

婦人科系のトラブルに

生理痛・生理不順などに

レディースマントルはフェンネルなどに含まれるトランスアネトール、クラリセージなどに含まれるスクラレオールなどの芳香成分(精油成分)を含んでいます。トランスアネトールやスクラレオールはフィトエストロゲン(植物性ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンエストロゲンによく似た分子構造を持つ成分で、女性ホルモンのバランスを整える働きが期待されています。

ホルモンバランスの働きを整えるため、レディースマントルは生理不順や無月経・少量月経・不正出血などの月経のトラブル改善に有効と考えられています。生理痛が重い場合は鎮痛作用のあるメドウスイートや、保温・鎮痛に役立つカモミールなどとのブレンドもオススメです。


更年期・月経前症候群(PMS)に

アネトールやスクラレオールなどの植物性エストロゲンはエストロゲンと競争してエストロゲン受容体へ入り込もうとする性質があります。エストロゲン分泌が減少している場合にはエストロゲンの代役として働くことで不足分を補う形で作用しますし、エストロゲン分泌過多の場合にはエストロゲン受容体のいくつかを埋めることで全体的なエストロゲンの働きを弱める効果もあると考えられています。

閉経前後にエストロゲンの急激な減少から引き起こされると言われる更年期障害の場合はエストロゲンの代用品として、もしくはエストロゲンをサポートする形で働くことで更年期障害の改善が望めます。

またPMS(月経前症候群)は生理前のエストロゲン減少・プロゲステロン増加を原因とする説が一般的ですが、エストロゲン過多の場合もあるとする説などもあります。レディースマントルに含まれているアネトールやスクラレオールはホルモンバランスを整える働きがあると考えられることから、どちらの場合にせよPMSの緩和にも効果が期待出来ます。ラズベリーリーフチェストツリーなどとのブレンドにもよく用いられています。


産後の利用について

レディースマントルは「産後の母体を回復させる」と紹介されることが多くあります。実際に出産後の女性に用いられることもありますが、十分なデータがないハーブでもあり妊娠中はもちろんのこと授乳中の使用は控えるべきとする意見もあります。
長く利用されてきているハーブですので、産後であれは1~2杯程度飲む分にはさほど問題はないとする説が有力ですが、利用を控えるか医師に相談のうえ利用するのが無難です。


そのほか期待される作用

下痢・お腹の不調に

レディースマントルのお茶は収れん作用のあるタンニンを含むため、下痢や胃腸炎の改善にも有効とされています。


むくみの緩和に

レディースマントルには利尿作用があります。加えてトランスアネトールやスクラレオールなどエストロゲン様作用を持つ成分を含んでいるため、特に生理前などプロゲステロンの働きでむくんでしまっている時に高い効果が期待できるでしょう。


口内のケアに

消炎・抗炎症作用があることからレディースマントルは喉の痛みやイガイガなどの不快感緩和にも有効とされ、ドロップなどにも配合されているようです。そのほか口内炎、歯肉の出血などのケアにも役立ちます。
濃い目に煮出したハーブティーをうがい薬がわりに利用するとより効果的です。


老化防止・美肌

レディースマントルにはタンニンやケルセチンなどのポリフェノールが含まれており、抗酸化作用による老化防止効果や、活性酸素から血液・血管を守り動脈硬化などの生活習慣病予防にも有効と考えられます。

またタンニンには収れん作用による肌の引き締めやメラニン色素生成抑制効果が報告されています。エストロゲン様作用によってホルモンバランスが整うことから肌の状態の改善にも役立ち「女性の美と若さを保つハーブ」という言葉通り、美容面にも効果が期待出来ます。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

お肌のケアに

レディースマントルは局所収斂剤として外用薬(軟膏など)に使用されています。

近年は収れん作用があることに加え保湿効果や酸化防止効果も期待され、レディースマントル抽出物(ハゴロモグサ葉エキス)がフェイス・ボディ用化粧品に配合されています。ハーブティーを化粧水代わりに利用することも出来ます。

レディースマントルの注意事項

  • 妊娠中の方は利用を避けましょう。
  • 心臓・肝臓・腎臓に疾患のある方、胃潰瘍の方は医師に相談してください。