サフラワー/紅花(ベニバナ)
ハーブティーと期待される効果効能紹介

月経トラブルや冷え・老化予防に「女性に優しい健康茶」

日本では紅花と呼ばれ、染色料や食用油の原料としても親しまれてきたサフラワー。古くから高価な紅色染料として愛されてきただけではなく、血行不良や冷えの改善・女性領域での不調に役立つ生薬としても利用されてきました。現在でも黄色色素サフロミン(サフロールイエロー)や紅色色素カルタミンには血流関係への働きかけが期待されていますし、抗酸化作用を持つことから美容面でのメリットもあると考えられていますよ。似た働きを持つサフランよりも安価で利用しやすいことからも多くの女性に親しまれています。

画像:サフラワー(紅花/ベニバナ)

 

サフラワーについて

植物紹介:サフラワー(紅花)

日本では紅花(ベニバナ)の名で、紅色染色料や食用油の原料としてよく知られていますサフラワー。植物分類上はキク科ベニバナ属に属しますが、アヤメ科の多年草サフランと似ており混同されやすいことからBastard saffronやFalse saffronなど「サフランの偽物」というような意味合いの呼び名も付けられています。

紀元前2500年頃のミイラの着衣にもサフラワー(ベニバナ)で染められていたものがあると言われており、4500年以上昔からサフラワーは染料植物として人々に利用されていたと考えられています。サフラワーの原産はエジプト原産する説が有力ですが、紀元前のかなり古い時代から栽培が行われていたためはっきりと特定は出来ず確定されていません。

日本への伝来時期については諸説ありますが、早ければ3世紀頃、遅くとも6世紀にはシルクロードを経由して伝えられています。万葉集に含まれている柿本人麻呂の歌「くれなみに衣染めまく欲しけども著くにほはばや人の知るべき」から、1000年以上前の日本でも既にベニバナ染料による染色が行われていたと考えられています。当時赤色に染められる染料は貴重であったこと、聖徳太子が指定した女性の最高位色が「紅」であったことなどから、紫色と並んで貴族女性の憧れの色であったようです。

平安時代から各地でベニバナ(サフラワー)栽培が行われていましたが、江戸時代ことになると山形県で「最上紅花」の栽培が大規模で行われるようになります。紅花染めや小町紅と呼ばれる口紅原料としての利用や、紅花油の採油、花を乾燥させた生薬「紅花(こうか)」としてなど広く利用されました。
ちなみに紅花は現在でも血行促進作用があるとして日本薬局方に収録され、葛根紅花湯、通導散などの感冒薬や養命酒などにも配合されています。女性領域で高い効果が期待出来ることからハーブティーは「女性に優しい健康茶」とも呼ばれています。

基本データ

通称
サフラワー(Safflower)
別名
紅花(ベニバナ・コウカ)、末摘花(スエツムバナ)、呉藍(クレノアイ)
学名
Carthamus tinctorius
科名/種類
キク科ベニバナ属/一年草または越年草
花言葉
情熱、愛する力、特別な人、包容力、几帳面
誕生花
6月11・29日、8月1・11日、10月30日など
使用部位
花弁
代表成分
フラボノイド類、リグナン類、サフロミン、カルタミン、脂肪酸、ビタミンE、ステロール
代表効果
子宮刺激、通経、ホルモンバランス調整、血行促進、発汗、緩下、消炎、鎮痛、抗酸化
こんな時に
生理痛、生理不順、更年期障害、月経前症候群(PMS)、イライラ、冷え性、便秘、肌荒れ
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、浸出油、手作り化粧品
ハーブティーの味
独特の香りがあるが、フローラル系であっさりしている
カフェインの有無
ノンカフェイン

サフラワーの栄養・成分・期待できる効果

サフラワーティー(紅花茶)

女性の不調へ

サフラワー(紅花)は血液の巡りを良くし体を温めるハーブ・生薬として、特に女性特有の不調緩和に用いられてきました。古くは紅花で染めた布を身につけると体が温まると言われ、腹巻や腰布にも利用されていたようです。サフラン(番紅花)と似た働きを持ちますが、価格が安価あることと副作用の危険性が低いことから近年はサフラワーティーがよく利用されています。

冷え性・血行不良に

サフラワーには不飽和脂肪酸、ビタミンEなど血流改善に役立つ成分が含まれています。また黄色色素サフロミン(サフロールイエロー)や紅色色素カルタミンも血行促進や血液浄化にも有効とされており、血液を綺麗にして血液循環を整える働きが期待出来ます。

生薬としての「紅花」も血液の巡りを整え体を温める目的で長く利用されてきた歴史がありますから、成分的にも経験則的にも血流改善や冷え性改善に有効と考えられます。冷え性の改善や寒い季節にはジンジャーとのブレンドもオススメです。


月経不順や生理痛に

サフラワー(紅花)が月経トラブルに古くから利用されてきたのは、血行を促進させて体を温める働きがあることが第一の理由と考えられます。冷えによって子宮の機能が低下することによる月経不順や無月経、生理痛の悪化などの緩和に役立ちます。

またサフラワーに含まれているポリフェノールの一種「リグナン」にはホルモンバランスの調整作用もあると言われています。血行不良・冷えの改善と相乗することでバランスを崩しやすい月のリズムを正常化してくれると考えられています。


ホルモンバランスの乱れに

近年サフラワーはPMS(月経前症候群)や更年期障害の緩和に役立つ健康茶としても親しまれています。改善される根拠は分かっていませんが、ホルモンバランスを整える働きと抗酸化作用が改善に働くとする説が現時点では有力なようです。

ホルモンバランスの乱れから引き起こされるイライラや落ち込みなどにもサフラワーは有効とされていますが、精神面での症状が強い方はリンデンフラワーチェストベリーレディースマントルなど鎮静作用のあるハーブとブレンドして利用すると相乗効果が期待出来ます。


美容と健康のために

老化防止(抗酸化)に

サフラワーは若返りのビタミンとも呼ばれるビタミンEが豊富なうえ、黄色色素成分サフロミン(サフロールイエロー)やリグナンなど抗酸化作用を持つ成分がたくさん含まれています。

肌など外見の老化予防はもちろんのこと、動脈硬化や高血圧、生活習慣病の予防としても役立ちます。テローム(粉瘤)を溶かすなどの働きも期待されていますから、女性だけではなく男性にも摂取メリットがある健康茶と言えるでしょう。


便秘・下痢の改善に

サフラワーに含まれているフラボノイド類(フラボン、カルコン)には整腸作用があり、便秘や下痢の改善にも有効とされています。特に女性の場合は血流改善効果と相乗して腸の蠕動運動促進につながり、便秘解消を実感する人が多いと言われています。


美肌効果

少量のサフラワーは血液や栄養の不足を補うことで美肌効果をもたらすと考えられており、薬膳料理の材料としても活用されています。便秘解消から肌荒れの予防にも繋がりますし、リグナンには抗菌・抗炎症作用が期待されているので肌トラブルの改善にも効果が期待出来るでしょう。

血行促進作用と合わせて顔色が青白い方の血色を良くしたり、色艶なく黄ばんで見えるような方はトーンアップも期待できると言われています。抗酸化作用と合わせて肌のくすみやハリ低下の予防・改善にもと美肌を目指す方や維持したい方には心強い助っ人となってくれそうです。

外用(飲食以外)で期待できる効果

スキンケアに

サフラワーは抗菌・抗炎症作用から湿疹や皮膚炎などの肌トラブル改善に有効とされています。また血行促進作用や抗酸化作用からエイジングケアなどにも効果が期待出来ます。

※オレイン酸を豊富に含んだハイオレイックタイプの紅花油(サフラワー油)がキャリアオイルとして販売されており、ハーブティーやチンキを使って化粧品を作るというよりはオイルを利用する方法がメジャーです。


手作りコスメの色素として

紅花は日本で数百年前から化粧品(主に紅)として利用されてきました。現在でも天然派コスメの原料としてや口に入れられるくらいの安全性を求める方に愛されている素材です。手作りの口紅・色付きリップクリームに使われることが主ですが、扱いに慣れるとチークやアイカラーなどにも応用出来ます。


ハーブバスとして

サフラワー(紅花)は入浴剤代わりに利用することでも様々な効果が期待出来ます。血行促進作用が高いため新陳代謝の向上や疲労回復・風邪予防、体を温めることでの安眠効果などが期待できます。またリウマチやアトピーの緩和や生理不順の改善にも有効とされています。

少しクセのあるスパイシーな香りがしますので、苦手な方はカモミールなどとブレンドして利用すると使いやすいでしょう。生花やドライハーブを利用するのが一般的ですが、ハーブティーの出がらしを再利用してもある程度の効果は期待できます。

サフラワーの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の摂取は避けましょう。
  • 出血性疾患・消化性潰瘍のある方は使用を避けましょう。
  • キク科植物にアレルギーのある方は注意が必要です。