サフラン/蕃紅花
ハーブティーと期待される効果効能紹介

女性特有の不調改善から、冷えとり・美容まで

パエリアなどの料理に香辛料兼着色料として利用されるサフラン。利用されるのはめしべ部分だけだけなので、スパイス類の中でも効果な部類ですね。古くから高貴な色のスパイスとして愛されてきた歴史がある他、月経トラブルなど女性の不調に対して用いられてきたハーブでもあります。現在でもサフラナールなどの成分の働きで体を温めつつ女性のバランスを整える働きが期待されていますし、カロテノイドなどの抗酸化物質補給源として美肌作り・アンチエイジング・ダイエットなど美容面でも注目されています。

画像:サフラン(番紅花)

 

サフランについて

植物紹介:サフラン

パエリアやサフランライスの香辛料・着色料としてもお馴染みのスパイスであるサフラン。西南アジア原産のアヤメ科で、観賞用種と区別するために薬用サフランと呼ぶこともあります。水に浸すと鮮やかな黄色を呈すことが大きな特徴で、サフランという名前もアラビア語で黄色を意味する「ザファラーン」が由来と言われています。スパイス・ハーブとして利用されるのはめしべ部分だけであり、収率が低いため比較的貴重で高価な部類に属します。

サフランは古代エジプトで紀元前1550年頃に記された世界最古の薬物書「エーベルス・パピルス」にも記録が見られる植物です。エーベルス・パピルスは紀元前3400年頃の文章を書き写したと考えられていますから、サフランもまた非常に古くから利用されていた歴史あるハーブであると考えられています。また古代ギリシアではサフランの黄色が珍重され、王族だけしか使う事の出来ないロイヤルカラーとされていた時代があるほか、裕福な古代ギリシア人とローマ人は香水・脱臭剤としてもサフランを珍重していたようです。

中世ヨーロッパになると富裕層だけではなく一般の家庭でもサフランが利用されるようになり、薬草としてや料理に入れるスパイスとしても活用されるようになります。その他にちょっと変わった用途として、金髪を装う為の髪染め染料として用いられていました。自分の分が入手できなくなったイギリス国王が女官の染髪を禁止したという逸話もあるようです。

サフランはインドを経由して中国に伝えられ、鎮静・鎮痛・通経などの効能を持つ生薬「番紅花」として漢方でも利用されるようになります。日本には江戸時代初期に伝来したと考えられいますが、当時も香辛料ではなく薬として伝えられました。現在はスパイスとしての利用が主流ですが、近年女性特有の不調改善、冷えとり、美容に役立つハーブとして再び注目される機会が増えています。

基本データ

通称
サフラン(Saffron)
別名
咱夫藍(サフラン)、薬用サフラン、蕃紅花・番紅花(バンコウカ)
学名
Crocus sativus
科名/種類
アヤメ科クロッカス属/多年草
花言葉
陽気、歓楽、愉快、節度ある態度、過度を慎め
誕生花
1月24日、11月4日、12月1日など
使用部位
雌しべ(柱頭)
代表成分
カロテノイド系色素(クロシン、β‐カロテン)、苦味配糖体ピクロクロシン、精油(サフラナール)
代表効果
血行促進、鎮静、鎮痛、発汗、健胃、通経、子宮刺激、抗酸化
こんな時に
冷え性、精神安定、軽い鬱症状、ヒステリー、月経前症候群(PMS)、生理痛、生理不順、更年期障害、風邪の初期症状、記憶力向上
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、浸出油、手作り化粧品、料理用スパイス
ハーブティーの味
スパイス同様のサフランの香り、味は苦味・独特のクセがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

サフランの栄養・成分・期待できる効果

サフランティー

女性の不調へ

サフランは通経・鎮痛作用などをもつ生薬として、漢方で古くから利用されてきました。体を温める作用にも優れているため、婦人科系の様々な不調に用いられていますが高価なためサフラワー(紅花)を代用として利用することも多いようです。

体を温める

サフランの芳香成分(精油成分)であるサフラナールには体を温め発汗を促す作用があります。サフラナールは微量でも効果が期待出来ると言われており、お茶として飲んだり、スパイスとして利用することでも充分に体を温める効果が期待出来ます。冷え性の改善や冷えによる痺れの改善などにも利用されています。


月経不順や生理痛に

サフランは漢方で通経作用のある生薬として、月経の促進などに用いられてきました。血行を促進することで冷えによる子宮機能の低下や生理痛悪化の予防に繋がりますし、直接的な鎮痛作用もあると考えられるため痛み緩和にも効果が期待出来ます。

またサフランの香りには女性ホルモンの分泌を高めるという実験報告もなされており、血行促進+ホルモン分泌促進作用から月経周期を整える働きも期待されています。冷え性気味で生理不順や生理痛がある方はオレガノとのブレンドもオススメです。


精神安定、更年期やPMSに

「ハッピーホルモン」とも呼ばれるセロトニンは不足すると情緒不安定・抑うつ・無気力状態を引き起こすと考えられていますが、SSRIなどの治療薬で過多状態となるとセロトニン症候群と呼ばれる頭痛・めまい・嘔吐・昏睡などを引き起こします。
サフランにはセロトニン分泌量を調整し、セロトニンのバランスを整えることで気持ちを安定させる働きが期待できますし、副作用の心配も少ないと考えられています。不眠症などにも有効とされています。

更年期障害やPMS(月経前症候群)ではホルモンバランスの乱れから自律神経のバランスが崩れるなどして、精神的な不調を感じる方も多く存在します。サフランはホルモンバランスとセトロニン調整の両方の面から更年期障害・PMSのような女性ホルモンの変動による様々な不調の緩和に効果が期待されています。チェストべリーブラックコホシュとのブレンドにも用いられています。

美容面への働き

老化防止・美肌作りに

サフランはクロシンやβ‐カロテンなどのカロテノイドを非常に豊富に含んでいることから、高い抗酸化作用があることが認められています。加えて血流を促すことで体のすみずみまで酸素と栄養素を届け、老廃物を速やかに回収し排泄を促す働きも老化予防に繋がります。
アンチエイジングハーブとしてハリウッドセレブがサフランティーを利用していることが報じられ、日本でも取り入れる方が増えているようです。

抗酸化作用や血行促進作用は老化防止だけではなく、美肌作りにおいても役立ちます。お肌のくすみが気になる方や、肌の乾燥やゴワゴワ感、クマが消えにくい方などにお勧めですし、抗酸化作用によるシワ・たるみ予防効果なども期待出来ます。


食欲抑制・ダイエットに

近年サフランに含まれているヒドロキシクエン酸(HCA:Hydroxyl Citric Acid)に、食欲抑制・脂肪吸収抑制作用があることが報告され、ダイエットスパイスの一つとして注目されています。
加えてセロトニン値が中立のバランスを維持できるようにコントロールしてくれる働きもあることから精神状態を安定させストレス性の過食を抑える効果が、血行促進効果と血液サラサラ効果から代謝の向上などにも期待できます。

アメリカNutrition Researchの実験では、サフランを摂取したグループの方がサフラン摂取なしのグループよりも大きな体重減少がみられた事が報告されています。(※粉末の安価なものでなく、めしべの形そのままの高品質のサフランが良いとされています)

そのほか期待される作用

風邪の初期症状

体を温める働きに優れたサフランは風邪の予防や初期症状のケアにも役立ちます。平均体温が1度上がると免疫力が60%活性化するとする説もあるほど、冷えは免疫力低下と密接な関わりがありますから、体を温めることで免疫力の向上にも効果が期待出来ます。発汗を促して熱を下げる働きもあるので、解熱用のティーとしても利用できるでしょう。


記憶障害の改善に

マウスを使った実験でもサフラン抽出物を投与したマウスの方が学習能力が高かったことが報告されており、サフランに含まれている色素成分のクロシンには神経伝達物質の伝達を向上させ記憶力向上などに役立つのではないかと考えられています。
漢方では物忘れや認知症などの治療に使われているようです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

サフランは美容液やクリームなどの化粧品原料としても配合されている成分で、肌のハリの維持・美白効果(メラニン色素生成抑制)・血行促進によるクマ・くすみの改善などに有効とされています。またアンチエイジング作用についても高い期待がなされており、くすみのない柔らかな肌作りに注目されています。
サフランをオリーブオイルなどのキャリアオイルに漬け込んで「サフランオイル」を作り、マッサージなどに利用しても美肌&血行促進効果が期待出来ます。

入浴剤代わりに

体を温める働きや精神安定に役立つサフランは入浴剤として利用しても、保温効果や血行促進による冷えの改善、生理痛や生理不順の改善、ストレス緩和、不眠改善などに有効とされています。

サフランの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の摂取は避けましょう。
  • オリーブ属、オカヒジキ属、ドクムギ属植物にアレルギーのある方は注意が必要です。
  • 過剰摂取は非常に危険とされており、5g以上で重篤な副作用・12-20gで致死量と言われています。ティーにする場合も1カップにサフラン数本で十分ですので使いすぎには注意しましょう。