シェパーズパース/ナズナ
ハーブティーと期待される効果効能紹介

むくみ・便秘・血流改善などスタイルキープにも嬉しい

シェパーズパースは日本では春の七草としてお馴染みのアブラナ科植物「ナズナ(薺)」の事。各地で伝統医療・民間療法において古くから様々な働きを持つ薬草として利用され、特に止血用の薬草として重宝されてきた歴史があります。東洋医学では下痢・女性の月経過多などに利用することもあったようです。現在は薬草として利用されているわけではありませんが、むくみや便秘の改善・デトックスサポートに役立つお茶として親しまれていますよ。ボリフェノールによる抗酸化作用と合わせて美容面にも嬉しい効果が期待されています。

画像:シェパーズパース(ナズナ)

 

シェパーズパース/ナズナについて

植物紹介:シェパーズパース(ナズナ)

シェパーズパースと言うと馴染みのないハーブのように感じますが、日本では春の七草としてお馴染みのアブラナ科植物「ナズナ(薺)」のことです。ナズナという名前の由来には撫でたいほど可愛い花“撫菜”や、夏になると枯れる“夏無”が変化したなど諸説あります。そのほか花の下に付いている果実が三味線のバチに似ていることから三味線草やぺんぺん草などとも呼ばれていますね。

原産はヨーロッパから西アジアあたりと考えられていますが、繁殖力が旺盛で温帯・暖帯の世界各地に広がっているため定かではありません。チャタル・ヒュユク遺跡などからも発見されていることから、紀元前には食用とされていたと考えられています。日本にも麦作農耕に付随して入ってきたと考えられ、外国から入ってきて根付いた植物の中では最も古い“史前帰化植物”にカテゴライズされています。

食料に困ることの少ない現在では厄介な雑草の1つともされていますが、古くは冬季の貴重な野菜であるとともに、日本や中国では便秘・下痢から解熱・生理不順など様々な病気に対応する優れた民間医薬(薬草)としても利用されてきました。ヨーロッパでも止血用の薬草として特に薬の入手がしにくかった第一次世界大戦中にはよく利用されたそうですが、日本や中国のように幅広い薬効を持つ薬草としては重宝されていなかったようです。見方によっては私たち東洋人の体に合ったハーブなのかもしれません。

邪気を祓い、無病息災を願う七穀粥が平安時代頃に中国から伝わり、現在のような「七草粥」の形になったのは鎌倉時代頃と考えられています。セリ・ナズナ・スズナ・スズシロ・ホトケノザ・ゴギョウ・ハコベラは当時庶民に親しみがある野草かつ、縁起の良い形や名前をしていたために選ばれたのだそう。ちなみにナズナは「撫でて汚れをはらう」という意味があるとされています。

基本データ

通称
シェパーズパース(Shepherd’s purse)
別名
ナズナ(薺)、ぺんぺん草、三味線草(シャミセングサ)、薺菜(セイサイ)
学名
Capsella bursa-pastoris
科名/種類
アブラナ科ナズナ属/越年草
花言葉
あなたに全てをお任せします、私の全てを捧げます
誕生花
1月17日、2月3日
使用部位
全草(地上部)
代表成分
ポリフェノール(ジオスミン、ルチン)、コリン、アセチルコリン、シトステロール、サポニン、ミネラル類、ビタミン類、フマル酸
代表効果
殺菌、止血、利尿、収斂、抗炎症、子宮収縮、血圧降下、血行促進、解熱
こんな時に
むくみ、下肢静脈瘤、膀胱炎、尿道炎、便秘、ダイエット、血行不良、冷え性、月経過多、生理不順、高血圧・動脈硬化・生活習慣病予防
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーブチンキ、ハーバルバス、湿布
ハーブティーの味
味・香りともに草っぽくクセがあるが、葉野菜に近い
カフェインの有無
ノンカフェイン

シェパーズパースの栄養・成分・期待できる効果

シェパーズパースティー(ナズナ茶)

スッキリのサポートに

むくみ・泌尿器感染症に

シェパーズパースには利尿作用があるカリウムやサポニンに加え、ポリフェノール(フラボノイド系色素)の「ジオスミン」という成分も含まれています。ジオスミンは血管の弾性やハリを保持・回復を助け毛細血管の透過性を適切に維持できるようにする働きがあると考えられ、脚のむくみや腫れ、下肢静脈瘤、足が攣るなどの改善に有効とされています。

カリウム、サポニン、ジオスミンなどの相乗効果によってシェパーズパースは高い利尿効果を発揮すると考えられていますし、殺菌・消炎作用も含むため膀胱炎など泌尿器感染症のケアにも用いられます。むくみの改善の場合はダンデライオン(西洋タンポポ)ネトルなど同様に利尿効果が期待できるハーブとブレンドして利用すると良いでしょう。


便秘の改善・デトックスに

シェパーズパース(ナズナ)は民間医薬・健康茶として便秘の改善に取り入れられてきました。含有成分としても葉緑素(クロロフィル)には胃腸の中の老廃物を吸着し、体外への排泄を促す働きが期待できます。また腸を刺激して便通を促す腸内環境を改善する働きがあると考えられているサポニンも含んでいますから、合わせて便通のサポート・老廃物排泄促進(デトックス)効果が期待できるでしょう。


血行不良・ダイエットのサポートに

シェパーズパースにはサポニンやジオスミン、ビタミン様物質の「ルチン(ビタミンP)」など血流改善に役立つ成分も含まれています。そのため血行不良を改善し、冷え性の緩和や代謝向上などにも役立つと考えられています。

むくみ・便秘改善からスタイルをキープしたり“溜め込み体質”の改善にも役立ちますし、プラスして血行促進によって老廃物の排泄を促進する・代謝向上などの効果も期待出来ます。またサポニンは脂肪吸収・蓄積予防効果が期待されている成分でもあります。これらの成分の働きから、シェパーズパースは太りにくい体質作りなど、ダイエット的な面でも親しまれています。


そのほか期待される作用

月経トラブルに

シェパーズパース(ナズナ)は強い止血作用があるとされる「フマル酸」という成分を含み、古くから各地の民間医療で内蔵出血などに対する止血薬として用いられてきた歴史があります。怪我などの手当に利用された以外に、その止血作用から月経過多の女性のための経血量調整ハーブとして、ヤロウネトルレディスマントルなど共に使われてきました。

また子宮を刺激し収縮を促すとして分娩時のサポートや産後の止血にも用いられてきました。現在妊娠・分娩・産後のデリケートな状態の体に自己判断で利用することはオススメできませんが、子宮刺激作用があることから月経不順の改善に役立つとしている文献もあります。

ジオスミンも血流やむくみの改善に役立つだけではなく、プロスタグランジンの働きを抑えることで炎症や痛みを抑える抗炎症作用があります。臨床実験では月経前症候群(PMS)に対する有効性も示唆されていますから、生理前~生理中のむくみ・痛み・不快などのケアとしてブレンドに加えてみても良いでしょう。


生活習慣病の予防に

シェパーズパースには血圧降下作用を持つコリンやアセチルコリン、血管の保護・強化に役立つルチンやジオスミン、血液サラサラ効果が期待できるサポニンなどを含んでいます。そのため動脈硬化や高血圧予防にも役立つとされています。また 抗酸化作用を持ち、過酸化脂質の生成を抑制するなどの働きがあることからその他の生活習慣病予防にも効果が期待できるでしょう。


アンチエイジング・美肌作り

ジオスミンやサポニンなどのポリフェノール、コリン、葉緑素(クロロフィル)など抗酸化物質を豊富に含むシェパーズパースは生活習慣病の予防だけではなく、抗酸化作用による肌老化を抑制する働きも期待出来ます。酸化によって起こるシワ・シミ・たるみなどの予防にも役立ってくれるでしょう。

また便秘・むくみ改善による老廃物の排泄促進や血行促進効果も美肌作りをサポートしてくれます。肌荒れや肌のくすみ改善をはじめ、新陳代謝を高めターンオーバーを促すことで肌の角質化・ゴワつきを改善して肌のキメを整えることにも繋がります。抗酸化作用と合わせて出来てしまったシミの改善(美白)にも役立ってくれるでしょう。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

※現在シェパーズパース(ナズナ)は外用で利用されることはあまりありません。使用されてきた歴史や流通している情報の中から“期待できる効果”ご紹介しますが、より安全性が確認できるハーブを選ぶ方が無難と言えます。

ハーブバスとして

シェパーズパース(ナズナ)の煎汁を入浴剤として利用することで、体を温める働きを高めるとされています。腰痛の緩和などにも役立つほか、抗菌・殺菌作用やコリン・アセチルコリンなどによる整肌作用も期待できるといわれています。


止血用・洗眼について

シェパーズパースは服用だけではなく外用でも止血作用が期待できることから、外傷時の手当てにも利用されることがあります。肌を整える効果も期待できることから、化粧品原料(ナズナエキス)はアフターシェーブローション・クリームなどに配合されているようです。

また 眼底出血・目の充血にドライハーブ(薺菜)を煎じた濾し汁で洗眼をするという民間療法もよく知られています。しかし専門医などの監修なく個人で行う場合は感染症などのリスクが高いためお勧めできません。

シェパーズパース/ナズナの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の方、幼児への使用を避けましょう。
  • 腎臓・肝臓に疾患のある方は使用を避けるか、医師に相談してください(シュウ酸が含まれるため)。
  • 血圧降下作用があるため低血圧の方は使用量に注意が必要です。