シモン芋/カイアポ芋/白甘藷
健康茶と期待される効果効能紹介

豊富な栄養・食物繊維を含むことから「根菜の王様」とも

南米原産のサツマイモの一種であるシモン芋は“必要な全ての微量栄養素が含まれている”とも称されるように様々な栄養を含み、古くはインディオたちが滋養強壮薬として用いたとも伝えられています。現在でも栄養バランスの偏りが気になる方のサポートや骨粗鬆症・貧血予防などに役立つと考えられていますし、便通改善からダイエットサポートなどにも取り入れられています。糖尿病に対する有効性も報告され、健康食品として注目されています。

SweetPotato

 

シモン芋(白甘藷)について

植物紹介:シモン芋

健康食品・健康茶の原料として注目を集めているシモン芋。栄養価が豊富なことや薬効が期待できることから一部では「根菜の王様」「南米の朝鮮人参」などとも呼ばれています。シモン芋という名前はご存知でも植物そのもののイメージがつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はサツマイモの一種で芋の外皮も中身も“白い”ことが特徴とされています。ちなみに鹿児島県などではシロユタカなど白いサツマイモの品種もありますが、シモン芋とは別物なのだそう。サツマイモやジャガイモよりも食物繊維が豊富なので便秘改善に役立つことに加え、血糖値を下げる働きが期待できるという報告もなされており、近年は女性を中心にダイエット・美容用としても注目されていますね。

シモン芋の原産地は南米アマゾン川上流周辺とされています。後にブラジルのカイアポ山脈エリアでインディオたちが食していることが発見されたため、別名“カイアポ芋”とも呼ばれています。世界的に知られるようになったのは遅いですが、マヤ文明以前からその周辺に住んでいたインディオ達によって栽培されていたと伝えられています。と言っても主食(炭水化物)としてではなく、内服で滋養強壮や血液浄化に、外用で傷薬として使われるなど“薬”として大切にされていたそう。インディオたちは「薬芋」と呼んでいたそうですし、現在でも中南米の秘食・秘薬として紹介されることもあります。

南米原産とされるシモン芋ですが、現在健康食品として販売されているものの多くは国産です。日本へ伝わったのは1973年、シモン芋の研究をしていた台湾人医師の楊天和先生が高地県の沖ノ島診療所に持ち込んだのが初とされています。この時の芋は発見者であるブラジル国立農家大学教授のシモン博士にちなみ「シモン1号」と命名され、日本の土壌でも同じように栄養豊富な芋ができるように栽培化が進められました。葉柄などにも優れた栄養があること・レシチンやポリフェノールなどによる機能も報告され、栄養豊富で健康サポートに高い効果が期待できる食材として注目されるようになっています。

サツマイモの一種であるシモン芋は、もちろんそのまま食材として使うことも出来ます。芋部分の形状としては私達の知るサツマイモよりも大振りで、甘みが少ないので風味としてはジャガイモに近いと称されます。そのまま焼き芋にしたり茹でただけでは美味しいとは言い難いので、芋を食べる場合はポテトサラダにしたり炒め物の具のように使われることが多いようです。芋以外にも葉はサラダや天ぷらなどに、葉柄やツルは炒め物や漬物などに、根は酒に漬けて…と植物全体が余すところなく用いられています。産地にお住まいの方以外は生のシモン芋を入手する機会は少ないかもしれませんが、葉や茎を使ったシモン茶・芋を粉末化したものなどは通年流通しています。

基本データ

通称
シモン芋(Simon)
別名
Simon batatas(シモンバタタス)、白甘藷(シロカンジョ)、カイアポ芋(Caiapo)、白さつまいも
学名
Ipomoea batatas
科名/種類
ヒルガオ科サツマイモ属/ツル性一年草
花言葉
乙女の純情、幸運
誕生花
10月13日
使用部位
葉と茎、芋
代表成分
タンパク質、レシチン、ミネラル類、ビタミン類、食物繊維、ヤラピン、酸可溶性糖タンパク(CAF)、葉緑素、ポリフェノール類
代表効果
滋養強壮、骨形成促進、造血、血液浄化、血行促進、緩下、抗酸化、血圧降下、
こんな時に
栄養補給、骨粗鬆症予防、貧血、血行不良、冷え性、便秘、むくみ、アンチエイジング、美肌、肥満予防、高血圧予防、生活習慣病予防
おすすめ利用法
食用、健康茶
お茶の味
【葉・茎】香ばしさの中に薬のような癖がある、味は微かに甘みがある
【芋】葉よりも香りが弱く、ほんりとした甘みを感じる
カフェインの有無
ノンカフェイン

シモン芋(白甘藷)の栄養・成分・期待できる効果

シモン茶

栄養補給・健康維持に

滋養強壮・疲労回復に

シモン芋は一度栽培すると数年間はその土地で何も栽培できないと言われるほど、土の養分を根こそぎ吸い上げて成長します。そのためかシモン芋はサツマイモなどと比較すると非常に多くのミネラルを含んでおり、加えてβカロテンやビタミンB群などのビタミン類も幅広く含まれていることが分かっています。一日の推奨摂取量をすべてカバーできるというわけではありませんが、人に必要な全ての微量栄養素が含まれていることも認められています。

ほとんどの日本人は飢えと関係のない生活を送っていますが、食生活の偏りから不足する栄養素があることは否めません。このためシモン芋は栄養バランスのサポートに役立つ食材として有用とされています。ビタミンやミネラルだけではなくタンパク質なども含まれており、インディオたちが滋養強壮薬として取り入れていたのも栄養価が高かったためと考えられています。特に強壮や疲労回復に有用な成分が多いというわけではありませんが、バランスを整えることで体全体のコンディションを整えてくれるでしょう。


骨粗鬆症予防に

シモン芋はサツマイモの5倍以上のカルシウムを含む食材です。葉や茎を使ったシモン茶にもカルシウムは含まれていますし、加えてシモン葉には抹茶の2倍以上とも言われるほどビタミンKが非常に多く含まれていることも分かっています。ビタミンKは止血のビタミンと紹介されることの多い存在ですが、そのほかにカルシウムを骨に沈着させるために働くタンパク質の活性化にも関わっています。このため骨の形成促進にも必要なビタミンと考えられていますし、骨吸収を抑制する効果も報告されていることから骨粗鬆症予防にも有効とされています。

このためカルシウムとビタミンKが同時に摂取できるシモン茶は骨粗鬆症予防として更年期~閉経後の女性にも適した健康茶であると考えられています。ただしビタミンKは脂溶性ビタミンですし、カルシウムも水に溶けだしにくいものですので浸出するタイプのものよりは溶いて使う粉茶(パウダー)タイプの方が効率は良いでしょう。


貧血予防・血行促進

シモン茶は造血に関わる鉄分や亜鉛などのミネラル、葉緑素の前駆物質であるポルフィリンなどが含まれていることから貧血予防にも役立つと考えられています。またビタミンEやナイアシンなど血流を促進する働きのあるビタミン類、血中の悪玉コレステロール低減・コレステロールの血管壁への沈着抑制に役立つとされるレシチンなども含まれていますから、血液循環改善にも効果が期待できるでしょう。

貧血は鉄欠乏など血液そのものの不足だけではなく血行不良によっても起こることがあります。シモン茶は造血に必要な成分とスムーズな血液循環をサポートする成分の両方が摂取できることから貧血やめまい・立ちくらみなどの改善に繋がると考えられています。血流が良くなること・栄養バランスが整うことなどから冷え性の軽減にも効果が期待できます。貧血気味の方はラズベリーリーフマテ茶、冷え性が気になる方はシナモンチャイブなどとブレンドするのもおすすめです。


便秘・むくみ対策に

シモン茶に期待される代表的な働きとして紹介されるのが便通改善。シモン芋は食物繊維が非常に多く含まれていることに加え、サツマイモなどに含まれているヤラピンという緩下作用を持つ成分も含まれています。ヤラピンには便を柔らかくする働きや腸の蠕動運動を促す働きがあると考えられています。お茶にして飲むことで水分もしっかりと補給できますので、食物繊維・ヤラピン・水分の3つが複合して便通を促してくれるでしょう。

加えてシモンに豊富に含まれているミネラルの中には、ナトリウムの排出を促すことでむくみ軽減に役立つカリウムもあります。血行が良くなることからもむくみ改善に繋がりますし、腸の機能を正常にする働きも期待できます。


妊娠中の栄養補給に

鉄分やカルシウムなど妊娠中に意識的に摂取したいミネラルの補給源として適していること、ノンカフェインであることからシモン茶は妊娠中の方にオススメのお茶として紹介されることもあります。食物繊維やヤラピンの働きで穏やかな緩下作用も期待できますから、便秘が気になるけれど下剤を飲みたくないという時にも役立ってくれるでしょう。


老化・生活習慣病予防に

アンチエイジング・美肌に

シモン茶にはクロロゲン酸やトリカフェートなどのポリフェノールも含まれています。これらは高い抗酸化作用があるとされていますし、シモン茶にはビタミンEやβカロテンなどの抗酸化ビタミンも含まれています。このため活性酸素によって細胞が酸化されることで起こる老化・各機能低下の予防にも役立つと考えられています。抗酸化成分にはβカロテンなど脂溶性のものもあるので、粉末化されている粉茶タイプのものの方が高い効果が期待できるでしょう。

抗酸化は体機能の維持だけではなく、若々しい肌・外見を保持するためにも必要と考えられています。シモン茶には健康な肌の形成に必要なビタミン・ミネラル類も含まれていますし、レシチンも血流をスムーズにすることで酸素や栄養分を行き渡らせるサポートする働きが期待されています。何か特出した成分が含まれているわけではありませんが、美肌を保持したい方のサポートとしても役立ってくれるでしょう。


肥満・メタボ予防に

シモン茶は芸能人が取り入れているとTVなどでメディアで紹介されたこともあり、ダイエットサポート茶としても注目されています。成分的には脂肪燃焼を高めるようなものは含まれていませんが、豊富な食物繊維やヤラピンの働きで便通改善・腸内環境を整えることなどに役立つと考えられています。ビタミン類やミネラル類の補給にも役立ってくれますので、腸内フローラのバランスが良くなることと合わせて代謝向上にも効果が期待できるでしょう。

そのほかレシチンの構成要素であるコリンは肝臓での脂肪代謝に関与する物質であることから、肝機能向上や脂肪代謝促進などに繋がるという説もあります。こうした成分が複合して働くことで肥満やメタボリックシンドローム予防に繋がると考えられています。肥満予防用としては杜仲茶とブレンドされた商品なども販売されていますし、飲みにくさが気になるようであれば烏龍茶や緑茶と組み合わせると取り入れやすくなりますよ。


動脈硬化・高血圧などの予防に

シモン茶には脂質と結びつくことで過酸化脂質となる活性酸素を抑制する働きを持つポリフェノールなどの抗酸化物質、細胞内や血液中のコレステロールを調整する働きが期待されるレシチンが含まれています。これら成分の働きからシモン茶はコレステロール値が気になる方のサポート、高脂血症や動脈硬化予防にも有効とされています。古くは血液浄化に良いと言われていたのも、これらの働きによるところが大きいと考えられます。

またシモン茶に含まれているカリウムはナトリウムの排出を促すことで血液の水分量を調整し、心臓へ余計な負担がかかるのを予防する働きがあります。抗酸化物質やレシチンによる血液・血管の状態保持と合わせて高血圧予防にも役立ってくれるでしょう。食物繊維は肥満予防や血糖値の急激な変動を抑えることで糖尿病予防にも役立つと考えられていますから、これらの成分を含むシモン茶も生活習慣病予防効果が期待されています。


そのほか期待される作用

脳機能向上・認知症予防

シモン茶に豊富に含まれているレシチンは細胞膜の主要な構成成分であり、人間の脳細胞の働きをサポートしていいます。また神経伝達物質であるアセチルコリンの原料としても使われるため「脳の栄養素」とも呼ばれています。レシチンは学習・記憶・睡眠に関与しているとも考えられており、脳のアセチルコリン濃度が脳機能や記憶力に影響するという見解や、アルツハイマー型認知症患者の脳内ではアセチルコリンの量が健康な人に比べて少ないという報告もあります。

これらのことから不足なくレシチンを補うことがアルツハイマーや認知症の予防・記憶力や学習能力の向上に繋がるのではないかと考えられています。シモン茶はレシチンを多く含んでいることに加えて、活性酸素除去・血流をスムーズに保つことでの血栓予防にも役立つとされていることから、正常な脳の機能を保持するサポートにも役立つのではないかと期待されています。


花粉症などのアレルギー軽減

シモン茶は花粉症などのアレルギー症状の予防・低減に役立つという説もあります。これは抗炎症成分が含まれているというよりは、抗酸化作用を保つ成分を多く含むこと・食物繊維などの働きで腸内フローラの状態が良くなることから免疫力の正常化に繋がると考えられることが大きいようです。

シモン芋茶/パウターについて

糖尿病対策として期待

シモン芋(カイアポ芋)は、Ⅱ型糖尿病の予防や治療に対しての有効性が期待されている食材の一つでもあります。古くから民間療法で「皮付きのシモン芋を生のまますりおろして食べると良い」というものがあり、実際にこれを試した糖尿病の方の血糖値が下がったことから研究が行われるようになったと言われています。臨床実験においても空腹時血糖値の低下などが報告されており、血糖値コントロールに有効性高い食材として研究が進められているようです。

成分的にはシモン芋に含まれている多糖類の一種でCAF(Acid Soluble Glycoprotein)と呼ばれる酸可溶性糖タンパクに、インスリンの分泌促進作用があると推測されています。この酸可溶性糖タンパクCAFは芋の表皮部分、特に表皮から2~3mm程度の位置にほとんどが集中していると言われています。また長時間加熱すると分解されてしまい働きが低減するため、生のままジュースなどにして取り入れると効果的なのだとか。

シモン芋(白甘藷)の注意事項

  • 血糖値に関わる医薬品・ワルファリンなどの抗凝固剤を服用している方は医師に相談の上取り入れるようにして下さい。