ウィッチヘーゼル(ハマメリス)
ハーブティーと期待される効果効能紹介

手作りコスメなど外用利用で収れん剤として注目

欧米では男女問わず、スキンケア用品としてよく利用されているウィッチヘーゼル。収斂作用や抗炎症作用が期待できるとして、日本でもハーバルウォーター(芳香蒸留水)やウィッチヘーゼルエキスを手作りコスメに取り入れる方が増えています。外用利用が主ですが、ハーブティーも下痢止めや鼻炎・花粉症軽減などに役立つと考えられています。

画像:ウィッチヘーゼル(ハマメリス)

 

ウィッチヘーゼルについて

植物紹介:ウィッチヘーゼル

ハーバルウォーター(芳香蒸留水)や化粧水など、スキンケア用に役立つハーブとして注目されているウィッチヘーゼル。アメリカではドラックストなどに必ずと言って良いほどウィッチヘーゼル・ウォーターが置いてあると言われるほとメジャーな存在なのだとか。日本でも輸入コスメだけではなく、国産メーカー産のドラッグストアコスメなどでも「ハマメリス水」や「ハマメリス葉エキス」を配合したものがあります。

原料となるウィッチヘーゼルはアメリカからカナダが原産とされる樹木で、北米先住民達は傷や虫刺されなどの皮膚炎の塗り薬・下痢や月経過多などに対する煎じ薬と、内服外用両方で伝統的に利用してきたと伝えられています。アメリカ大陸へ入植後はヨーロッパにも紹介され、欧米での植物療法に取り入れられる事となります。ちなみにWitch hazel=“魔女のはしばみ”という黒魔術を連想させる英名は先住民が占いなどにウィッチヘーゼルで作った棒を使っていたからなのだとか。細長い花びらの形状も神秘的ですが、花言葉に呪文や魔力などのワードが並んでいるも呪術的な利用がなされていたことが大きいと考えられています。

近縁種には日本固有種とされるマンサク(Hamamelis japonica)もあり、こちらも日本で古くは止血剤として利用されてきました。2~3月頃に花を咲かせるため、地域によっては花がよく咲くと豊作になるという伝承もあったようです。マンサクという呼び名も花が早く咲くことから“まず咲く”が変化したという説のほか、「豊年満作」を願ったという節もあるようです。北陸近畿・中部、中国・四国と地域によって亜種や変種もあります。
そのほか中国には12月下旬からと冬に花を咲かすシナマンサク(Hamamelis mollis)があり、こちらは花に強い芳香を持っているのが特徴。現在園芸品種として栽培されているものは日本のマンサクとシナマンサクを交配して品種が多いようです。

ウィッチヘーゼルは化粧品基材としての芳香蒸留水の流通も多く、飲用よりも皮膚利用の頻度が高いハーブと言えます。ただし独特のクセ・苦味がありますがハーブティーとして飲むことも出来ますし、ドライハーブを煮出したものを痒み止め・うがい薬などに使いまわすことも出来ますから、お好みや使う用途に合わせてドライハーブ・ハーバルウォーター・エキスから選ぶと良いでしょう。

基本データ

通称
ウィッチヘーゼル(Witch hazel)
別名
ハマメリス、アメリカマンサク(満作/万作)
学名
Hamamelis virginiana
科名/種類
マンサク科マンサク属/落葉広葉樹
花言葉
呪文・魔力・不思議な力
誕生花
1月6日、2月11日、3月21日など
使用部位
葉・小枝・樹皮
代表成分
タンニン(プロアントシアニジン)、サポニン、フラボノイド類(ケンフェロール、ケルセチンなど)、コリン
代表効果
収斂、止血、抗炎症、抗酸化、抗菌、抗ウィルス
こんな時に
下痢、月経過多、不正出血、風邪の初期症状、鼻血、鼻詰まり、花粉症
【外用】脂性肌、ニキビ、湿疹、抜け毛、虫刺されほか皮膚炎症の軽減、痔、筋肉痛、静脈瘤、口内炎
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、湿布、手作り化粧品
ハーブティーの味
乾いた草の香りで、味は苦み・エグみがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

ウィッチヘーゼルの栄養・成分・期待できる効果

ウィッチヘーゼルティー

収れん・止血剤の代用に

ウィッチヘーゼルティーにはタンニンが多く含まれています。タンニンというと渋み・鉄分吸収阻害や胃腸への負担などマイナスイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であり、タンパク質に結合して収斂作用を発揮するなど有用な働きも持っています。ただし多量摂取・長期継続摂取は貧血や胃腸の不調の原因ともなりますので、不調が気になるけど薬に頼るほどではない…という時などに一時的に飲用するようにしましょう。


下痢止めに

経口摂取したタンニンは消化管を通り、収斂作用によって腸を引き締めることで下痢止め・軽減に役立つと考えられています。グァバキャットニップなどのハーブや紅茶が下痢改善に役立つと言われるのも、タンニンを含んでいることが要因となっています。そのほかタンニンには殺菌作用も期待できることから整腸・腸内環境を整える働きも期待されていますが、タンニンには便秘を悪化させる可能性が高いので便秘の方・便の硬い方は避けたほうが無難でしょう。


月経過多の軽減に

タンニンの収斂作用からウィッチヘーゼルティーは月経過多や不正出血など女性期に関わる出血・産後の子宮周りの回復サポートなどにも役立つと考えられています。ネイティブアメリカンも女性の不調に取り入れていたのだとか。現代でもタンニンは婦人科系ではなく様々な出血を止める働きや炎症を抑制する消炎作用が期待されていますが、月経過多などの場合は鉄分吸収を妨げることで“鉄分不足・貧血”を起こす可能性もあるので注意が必要です。


呼吸器系の不調に

タンニンの収斂・消炎作用は鼻づまりや鼻血など呼吸器系、特に鼻のトラブル軽減にも効果が期待されています。タンニンには殺菌作用がありますし、ウィッチヘーゼルティーには粘膜刺激・免疫力を高める働きなどが期待されていますから、相乗して花粉症などのアレルギー反応による呼吸器系炎症の軽減に役立つと考えられています。余談ですが「レンコンに花粉症軽減効果が期待」と報じられた事があるのも、タンニンを含んでいることが理由として挙げられています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケア・ヘアケアに

脂性肌・ニキビに

タンニンは、外側から皮膚に塗布することでも収斂作用を発揮して毛穴や皮脂腺などを引き締める働きがあります。このためウィッチヘーゼル(ハマメリスエキス)はサッパリ系・引き締め用化粧水によく配合されています。毛穴の黒ずみが気になる方や、汗や皮脂によるテカリが気になる夏のスキンケアにも役立ちます。

タンニンには殺菌作用もありますし、ウィッチヘーゼルにはプロアントシアニジンやフラボノイドなどの抗酸化物質も含まれています。収斂作用による皮脂分泌抑制と合わせてニキビ予防にも役立ってくれるでしょう。ハーバルウォーター(芳香蒸留水/ハマメリス水)の場合であればタンニンは含まれていないそうですが、アルコールなどその他の成分の働きで同様の効果が期待出来ると言われています。


老化・肌トラブル予防に

ウィッチヘーゼルは抗酸化物質を含むこと、タンニンによる収斂作用で皮膚のたるみを予防する働きが期待できるため、肌のアンチエイジングにも役立つと考えられています。タンニンはメラニン色素増殖を抑制するという報告もなされていますから、紫外線ケアや美白用に取り入れる方もいらっしゃるようです。デイリーなスキンケアに利用するのであればカレンジュラやローズ・カモミールなどと組み合わせると良いでしょう。

またタンニンには抗炎症作用あるとされていますから、日焼け後の肌のケア、赤み・熱を持ったニキビや湿疹などの予防もしくは改善サポートなどにも効果が期待されています。アメリカなどでは男性のアフターシェーブローションにもよく使われています。


頭皮・毛髪を清潔に保つ

ウィッチヘーゼルは殺菌・収斂作用によって肌をさらりとした状態に保ってくれる成分として、頭皮のベタつき・髪の脂っぽさなどの軽減にも利用されています。抗酸化物質類が働くことで皮脂の酸化を抑え、気になる頭皮の臭い予防としても役立ってくれるでしょう。頭皮にニキビが出来やすい方にも適しています。


炎症軽減・ケアに

ウィッチヘーゼルは収斂・殺菌・抗炎症作用が期待できることから、様々な傷や炎症のケアに利用されています。赤ちゃんのオムツかぶれなどの皮膚炎症抑制に有効だという臨床報告もあるようですし、虫刺されによる腫れや痒みの軽減などに取り入れている方も多いようです。夏場にはあせも予防にドライハーブを入浴剤として使ってみても良いかもしれません。
皮膚炎症以外には筋肉痛やリウマチ・関節痛の痛み軽減用として湿布などにして利用されています。また止血作用があるため軽い外傷の手当や痔疾などにも有効と考えられています。


静脈瘤のケアに

イギリスなどでは古くから静脈瘤ケアのための民間療法として、ウィッチヘーゼルの浸剤や軟膏が利用されてきたそうです。ドイツのハーブの効果・安全性の協議委員会“コミッションE”でもウィッチヘーゼルを静脈瘤の外用治療薬として承認しており、欧米ではチンキの内服と合わせて内側・外側両方からウィッチヘーゼルを取り入れている方も多いのだとか。


口腔ケアに

ウィッチヘーゼルは歯肉炎・口内炎など口腔粘膜の炎症を和らげるのにも取り入れられています。個人輸入品の軟膏などを口腔内に塗るのは言語に自信がある方でないと不安が残りますが、お茶やチンキをマウスウォッシュのようにして利用しても緩和効果が期待できますし、飲み込んでしまった際の心配も少ないでしょう。口腔内を清潔に保つことで口臭予防にも良いと言われています。

ウィッチヘーゼルの注意事項

  • 妊娠初期の方は使用を避けましょう。
  • お子さん・高齢の方・胃腸が弱い方は飲用を避けるか、成分が弱いとされる葉のみのものを選ぶようにしてください。