オリエンタルジンセング/高麗人参茶
健康茶と期待される効果効能紹介

日本でも見かける機会の多い「漢方薬の王様」

日本でも珍重されてきた歴史のある生薬であり、東洋を代表するハーブの一つとも言われるオタネニンジン。高麗人参やオリエンタルジンセングなどとも呼ばれています。古くは不老長寿に近づく生薬・万能薬のように考えられていた存在で、近年でもジンセノサイド(ギンセノシド)群と呼ばれるサポニンに様々な有効性を持つ可能性が報告されています。代表的なアダプトゲンハーブとされストレス抵抗力を高める働きも期待されているため精神的・肉体的にお疲れの方に、また血行や代謝が悪くぐったりしている方に適していると考えられています。

画像:高麗人参(御種人蔘/オリエンタルジンセング)

 

オリエンタルジンセングについて

植物紹介:オタネニンジン(御種人蔘)

日本でも古くから珍重されてきた生薬であり、東洋を代表するハーブの一つとも言われるオタネニンジン。高麗人参やオリエンタルジンセングという名称でも呼ばれており、サプリメントなどの健康食品や栄養ドリンクなどにも配合されていますね。呼び名にニンジンが付くことから野菜として食べられているニンジンの仲間のように感じますが、緑黄色野菜のニンジンがセリ科であるのに対してオタネニンジンはウコギ科と全くの別物。ちなみに混同されやすい田七人参(三七人参)は学名をPanax notoginsengとされる近縁種で、こちらは中国南部が原産とされています。またアメリカジンセング(花旗参)も同属種であり、名前は似ているもののシベリアジンセング(エゾウコギ)はウコギ属と別属になります。

日本でオタネニンジンは高麗人参以外に朝鮮人参や薬用人参と呼ばれることもあります。元々日本には現在野菜として食べられているセリ科のニンジン(carrot)が無く、人蔘と言えば高麗人参を指す言葉でした。しかし野菜として普及したセリニンジンの方が一般的な存在となるにつれ、セリニンジン→ニンジンと呼び名が変わっていきました。オタネニンジンは輸入元にちなんで“朝鮮人参”と呼ぶようになりましたが、戦後は輸入元である韓国に配慮して“薬用人蔘”という名称で販売されるようになります。しかし薬として認められていないものに「薬用」を付けるのは薬事法に抵触すると行政指導が入り、現在は“高麗人参”という呼称で落ち着いています。現在でも人によって呼び方がまちまちなのは、こうした紆余曲折があったためなのかもしれません。

オタネニンジン(高麗人参)は紀元前から中国や朝鮮半島で生薬として重宝されていたと伝えられ、秦の始皇帝が愛飲していたという伝説もあります。後漢(1~2世紀)頃に成立したと言われている中国最古の薬物書『神農本草書』の中でも副作用なく長く服用でき不老長寿に繋がるとして上品に分類されており、効能として“五臓を補い、精神を安んじ、魂魄を定め…(中略)…久しく服用すれば身を軽くし、年を延ばす”など様々な効能が記されています。こうした働きから高麗人参は現在に至るまで非常に優れた生薬として重宝され「漢方薬の王様」とも呼ばれています。

日本伝来は奈良時代頃、739年(天平11年)に渤海の文王からの修好使節が聖武天皇にあてて30斤の高麗人参を献上したのが初ではないかと言われています。真偽はさておき、初めて高麗人参を口にした日本人は聖武天皇であるという説もあるほど。これ以降高麗人参の輸入が行なわれるようになりますが、非常に高価で稀少なことから皇族と選ばれた貴族しか口にすることは出来なかったようです。後に豊臣秀頼が朝鮮に出兵した理由の一つにも、高麗人参が欲しかったのではないかという説もあるそう。健康オタクと言われる徳川家康も高麗人参を非常に重宝し携帯するほどだった、という伝承が残っていますよ。

江戸時代に入ると高位の人だけではなく、お金さえ出せば庶民でも高麗人参が入手できるようになります。当時は現在のように医療・医薬品が発達していなかったため万能薬として持て囃され、高麗人参を買うために娘を売る事もあったそう。時代劇でも時折描かれているシーンですね。「孝行は薬の鍋へ身を投げる」という川柳が出回ったり、分不相応なことを戒める「人参飲んで首縊る」という例えが普及したのも江戸時代の話だそうです。八代将軍徳川吉宗の時代になると高麗人参を国内で栽培することが試みられ、薬草園で栽培に成功した種苗を各地の大名に与え栽培が推奨されました。このことから将軍から下賜された人参として“オタネニンジン”という呼び名が定着したと言われています。

現在では高麗人参の価格もピンキリ。首を縊る心配もしなくても購入できる健康食品も多く流通していますし、薬用養命酒などにも配合されているので昔よりは身近な存在になったと言えるでしょう。昔の万能薬の名残であったり、近年になって高麗人参抽出物に様々な健康効果を持つ可能性が報告されていることから「とりあえず身体に良さそう」というイメージがある食材でもありますね。そんな高麗人参はどういった成分を含み、どのような働きが期待されているのかを改めて調べてみました。ただし医薬品・食品両方の扱いで販売されているものがあり、食品の場合は効果が認められていないものとなります。また下記では人に対する有効性が認められていない研究段階で有効性が示唆されているもの・伝統医療上の効能の紹介も含みますことを予めご了承下さい。

基本データ

通称
オリエンタルジンセング(Oriental ginseng)
別名
オタネニンジン(御種人蔘)、チョウセンニンジン(朝鮮人蔘)、コウライニンジン(高麗人参)、Asian ginseng、Chinese ginseng、Korean ginseng
学名
Panax ginseng
科名/種類
ウコギ科トチバニンジン属/多年草
花言葉
愛の告白、博愛
誕生花
 -
使用部位
根、根茎
代表成分
サポニン(ジンセノサイド/ギンセノシド群)、ビタミン類、アセチレン化合物(バナキシノール)
代表効果
アダプトゲン、鎮静、興奮、強壮、自律神経調整、抗血液凝固、免疫力向上、抗酸化
こんな時に
ストレス抵抗力アップ、滋養強壮、疲労回復、血行不良、低血圧、冷え性、風邪・インフルエンザ予防、老化予防、生活習慣病(糖尿病・動脈硬化など)予防、肥満予防、美肌
おすすめ利用法
健康茶、サプリメント、チンキ
お茶の味
泥臭いような独特の匂い、味はエグいような苦味と微かな甘さがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

オリエンタルジンセングの栄養・成分・期待できる効果

高麗人参茶(オリエンタルジンセングティー)

元気な毎日のサポートに

ストレス抵抗力アップ

高麗人参(オリエンタルジンセング)は「アダプトゲン」と呼ばれるハーブの一つに数えられる存在であり、利用されてきた歴史の長さもあり代表的なアダプトゲンハーブとして紹介される事も少なくありません。アダプトゲンというのは1947年にNikolai Lazarev 博士により“体に悪影響を与える物理的、化学的、または生物学的なストレッサーを、非特異性の抵抗力を高めることによって撃退するもの”と定義されています。大まかに言うと精神的緊張・不安・肉体疲労などのストレスに対する抵抗力をアップさせ心身のバランスを整える働きを持つものということですね。

高麗人参にはジンセノサイド(ギンセノシド)群と呼ばれるサポニン成分が含まれており、生人蔘を水蒸気で蒸してから乾燥させた“紅参”であれば約30種類のジンセノサイドが含まれていることが報告されています。ジンセノサイドには多くの種類がありますが、高麗人参には中枢神経に対して抑制的に働くRb群(Rb1、Rb2、Rcなど)・反対に興奮的に働くRg群(Rg1、Rg2、Reなど)の両方が含まれていると言われています。この抑制系・興奮系のジンセノサイドがバランスよく働くことで、様々なストレスへの抵抗力を高めたり、乱れた神経系のバランスを整える働きが期待されています。


滋養強壮・疲労回復

高麗人参は古くから滋養強壮薬として利用されてきました。かつて万病に良いとされていた一端としても、現在のように医療が発達していなかったため身体が本来持つ力を取り戻す=自然治癒力を高めるという働きが大きかったのではないかという見解もあります。現在でもジンセノサイド(ギンセノシド)によって自律神経のバランスを整えたり・低血圧を改善する働きがあると考えられており、胃腸機能を含む体調を整えて活力を高める効果が期待されています。栄養吸収や新陳代謝が良くなることにも繋がるので、結果として滋養強壮や疲労回復をサポートしてくれるでしょう。

ただし高麗人参(オリエンタルジンセング)は近縁種であり基本的には似た働きを持つとされるアメリカジンセングに比べ、作用が興奮系寄りである・循環器系への刺激が強いとする見解もあります。このため高麗人参が微温性で興奮系寄りの“陽の人参”アメリカジンセングを微涼性で鎮静寄りの“陰の人参”と称することもあるそう。高麗人参は血行がよく元気な人が飲むと鼻血や頭痛などの副作用が出る・高血圧患者には適さないとも言われています。元々虚弱体質であったり体温・体力が低い方でなければ、アメリカジンセングやより穏やかなクコ・甘草・オートストローなどから試してみても良いでしょう。精神的な面でもイライラなど興奮系の不調が出る方であれば、高麗人参よりアメリカジンセングの方が適しているという見解もあります。


貧血・冷え性軽減

高麗人参は低血圧だけではなく貧血・血行不良に起因する冷え性やめまい・だるさ・倦怠感・肩こりなど様々な不調の軽減にも利用されてきました。高麗人参が貧血に良いと言われているのは鉄分や葉酸などを豊富に含んでいるという訳ではなく、赤血球の生成を促進する働きを持つと考えられているためのようです。ジンセノサイドもしくは他どの成分の働きかけであるかは解明されていないので信憑性はイマイチな部分もありますが、アダプトゲンとして体全体の機能を整えることで赤血球生成促進に繋がる可能性もないとは言い切れません。

また血流改善に関しては中枢神経系への働きかけを持つとされるジンセノサイド(サポニン)によって自律神経のバランスが整うこと、血小板凝集を抑える働きにより血流を改善するなどの働きが考えられます。高血圧の方は控えたほうが良い・循環器への刺激が強いという指摘もあるほどなので、逆から見ると低血圧や循環不良の改善には効果が期待できる可能性はあるでしょう。高麗人参には自律神経バランス調整や新陳代謝向上も期待されているので、合わせて冷え性や血行不良による不調緩和に効果が期待できるでしょう。貧血に良いとされるのも血液を作るだけではなく、血液循環を整えてくれる方面からのサポートもあるかもしれません。


免疫力向上・風邪予防

高麗人参に含まれているジンノセサイドなどのサポニン類には殺菌・抗菌作用があります。また免疫機能を司るナチュラルキラー細胞を活性化する働きがあるという報告もなされているため、殺菌作用と免疫力を高める働き両方から感染症予防に有効とされています。高麗人参エキスを毎日100mg・12週間摂取するという実験では、プラセボ摂取群に比べて高麗人参エキス摂取群には風邪やインフルエンザ罹患数が少なく、免疫機能を司どるナチュラルキラー細胞の活発化が見られたという報告もなされています。


老化予防・美容サポートに

老化予防(抗酸化)

アダプトゲンと呼ばれるハーブの特徴として、どれも抗酸化作用を持つ物質を含んでいることが挙げられています。高麗人参やアメリカジンセングであればサポニン(ジンノセサイド)が抗酸化物質でもあり、期待されている様々な働きの中には活性酸素の働きを抑制するというものもあります。このため活性酸素によって細胞が酸化されることで起こる機能不全や老化・細胞変性などを抑制し、若々しく健康な状態を保つにも高麗人参は役立つと考えられています。かつて老人病に良いと言われていたのにも、優れた抗酸化作用を有していたことが関係しているのかもしれません。


動脈硬化・糖尿病予防

サポニンは抗酸化作用を持ち、血中脂質が酸化してできる過酸化脂質の生成を防ぐ働きが報告されている成分でもあります。過酸化脂質が血液中に増えると血液の粘度が上がる・酸化したLDLコレステロール蓄積しスムーズな血液循環が行なわれにくくなります。この結果、高血圧や動脈硬化・血栓などを起こすリスクが高まると考えられるため、高麗人参はこうしら血流トラブルの予防にも効果が期待されています。2008年に京都大学で行なわれた高麗人参をや甘草など粉末を摂取した実験では、高麗人参などの生薬は副交感神経活動を増強することで心臓血管健康維持に有用な働きを持つ可能性があることも報告されています。

また人に対する有効性として十分なデータでは無いとされていますが、近年近年ジンセノサイドは血糖値上昇抑制作用やインスリン感作性の改善効果が期待できるのではないかと注目されています。2型糖尿病マウスにアメリカジンセング抽出物を投与した実験では、体重減少および血糖値低下が見られたことも報告されています。加えてサポニン類には抗酸化を始め脂肪吸収抑制・悪玉コレステロール低下などの働きが期待されていることと合わせて、糖尿病や糖尿病合併症の予防に繋がる可能性も注目されています。


代謝向上・肥満予防

ジンセノサイドに期待されている血糖値上昇を抑える働きは肥満予防としても注目されています。インスリンは食事後などで血糖値が上昇すると分泌され高血糖状態を防ぐよう働きますが、血糖値を一定に保つために血液中のブドウ糖を脂肪細胞に蓄積させる・脂肪分解を抑制するなどの働きを持っています。このため血糖値の急激な上昇を抑えてインスリンの分泌量を抑えることは肥満予防にも繋がると考えられています。

またジンセノサイドには内臓機能の活発化や新陳代謝向上効果があるとも言われているため、基礎代謝を上げることで太りにくい体質作りに繋がるのではないかとする説もあります。自律神経のバランス回復や血液循環改善からはむくみ軽減にも繋がりますので、代謝や血行が悪いタイプの方であれば肥満予防・むくみ予防としても役立つ可能性があるでしょう。


美肌・アンチエイジング

高麗人参茶や高麗人参サプリなどは美肌作り・肌の老化予防としても取り入れられています。高麗人参が肌に対しても嬉しい効果を持つと言われる理由はいくつかありますが、ジンセノサイド(ギンセノシド)による血液循環を良くしてくれる働きと抗酸化作用が大きいでしょう。抗酸化作用は活性酸素の働きを抑えることで、肌細胞が酸化することで起こるシワ・たるみなどの肌老化を予防する働きが期待されています。また血液循環が良くなることで肌にしっかりと酸素が行き渡り、皮膚のクスミ軽減・新陳代謝(ターンオーバー)の促進に繋がると考えられます。

そのほかアダプトゲンとしてストレス抵抗力を高める働きから、ストレス性の肌荒れ予防に役立つのではないかという説もあります。脂質が酸化して出来る過酸化脂質は大人ニキビの原因と言われていますから、ニキビ予防にも効果が期待できそうですね。


脳機能向上・認知症予防

高麗人参やアメリカジンセングに含まれているサポニン配糖体の一種ジンノセサイド(ギンセノシド)には、脳内の受容体を刺激することで脳機能を活発化させ、加齢に伴って起こる認知機能の低下を予防する効果が期待されています。それ以外に血液循環を促す働きからも脳機能の保持・向上に、抗酸化作用・抗血液凝固作用と合わせて脳血栓や脳血管性認知症に繋がる可能性もあると考えられます。


そのほか期待される作用

古くから中国では『高麗人参七効説』と呼ばれる高麗人参の薬効を7つにまとめたものがあります。上記でご紹介した部分を含むところもありますが、簡単な要約を付けてご紹介します。高麗人参の効能として様々な効果が紹介されていますが、エビデンスだけではなくこの『高麗人参七効説』に起因する部分も多いようです。

  • 補氣救脱(ほききゅうだつ)
    ⇒活力を補い、虚脱を改善する
  • 益血復脈(えっけつふくみゃく)
    ⇒血液を増やし、血流を良くする
  • 養心安神(ようじんあんしん)
    ⇒精神を安静させる働きがある
  • 生津止渇(せいしんしかつ)
    ⇒体液を増し、渇きを改善する
  • 補肺定喘(ほはいていぜん)
    ⇒肺をサポートして喘息を止める
  • 健脾止瀉(けんぴししゃ)
    ⇒胃腸を健やかに保ち下痢を止める
  • 托毒合蒼(たくどくがっそう)
    ⇒毒素を排出させ、肌を整える

女性・男性トラブルについて

高麗人参は女性特有の不調や男性の生殖トラブル改善に有効な食品として紹介されることも少なくありません。更年期障害やPMS(月経前症候群)の軽減に役立つとされているのは、ジンセノサイドに自律神経のバランスを整える働きが期待できることが大きいと考えられます。更年期障害やPMSによる不調はホルモンバランスの乱れだけではなく、ホルモンバランスの乱れによって自律神経のバランスが崩れて起こると考えられているので納得できる部分も少なくありません。男性機能や不妊改善のサポートについても同様に、ストレス抵抗力アップ・自律神経調整・血流改善などから繋がる可能性はあると考えられています。

ただし妊娠中や授乳中の摂取を推奨している方もいらっしゃいますが、ジンセノサイドにはステロイドホルモンと酷似した構造をしているものがあることが指摘されています。刺激・興奮作用があること・未解明な部分が少なくないこともありますから、デリケートな時期やお子さんへの自己判断での使用は避けたほうが良いでしょう。

副作用のない万能ハーブ(生薬)と思われがちな高麗人参ですが、頭痛・動悸・吐き気・下痢などの副作用を起こすこともあります。一時的なものであれば問題ないとバッサリ切り捨てている方もいらっしゃいますが、体調に異変を感じた場合は無理をして飲む必要はありません。医薬品ではなく食品(健康食品)として摂取する場合は効果も副作用の無さも保証されておらず、不適切な摂取によって生じた副作用等も自己責任の範疇となります。自分の体調を第一に考え、不安がある場合は医療機関を受診しましょう。

オリエンタルジンセングの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けるか医師に相談しましょう。
  • 医薬品を服用中の方、持病のある方、高血圧の方は自己判断での使用を控えましょう。

参考元

高麗人参|クラシエ