カキドオシ/グレコマ
健康茶と期待される効果効能紹介

血糖値対策・肥満予防として注目される和のハーブ

カキドオシは隣の土地から垣根を通り抜けて侵入することが名前の由来とも言われる生命力の強い野草で、日本全国に自生しています。古くは子どもの“疳の虫”を取り除く薬草として使われていたことから疳取草という別名もありますよ。日本でも民間療法の中で利尿・強壮・結石対策など様々に利用されてきた存在ですが、近年は血糖上昇抑制・血圧上昇抑制などの働きを持つ可能性が報告されたことで生活習慣病予防やダイエット茶としても注目されるハーブとなっています。

画像:カキドオシ/グレコマ

 

カキドオシについて

植物紹介:カキドオシ(垣通/籬通)

カキドオシは日本全域に自生している多年草で、丸みがあり縁に鋸歯(ギザギザの切れ込み)がある葉・薄紫色系で反転がある花が特徴の植物です。春頃になると道端や空き地でも見かけることも少なくない、良く言えば身近な野草・悪く言えば庭に勝手に生えてくる雑草というところでしょうか。カキドオシという呼び名も“地面を這いながら長く成長し、隣の土地から垣根を通り抜けて侵入してくる”ことが由来とされています。植物としてはシソ科に分類され、葉や茎を揉むとシソやミントに似た独特の芳香を放つことも特徴。踏みつけるように歩くと独特の匂いがするので、詳しい方であれば散策中に香りで「カキドオシがあるな」と分かるのだそう。

同じシソ科でもハッカ属とは別属とされていますが、カキドオシ属の属名Glechomaは古代ギリシャ語でハッカの一種を指す“glechon”という呼び名が由来とされています。いかにもハーブ系というような芳香が印象的だったからなのかもしれません。ちなみに日本に自生している学名としてはGlechoma hederacea subsp. grandisもしくはGlechoma hederacea var. grandisと表記されることが多く、ヨーロッパ原産の近縁種であるセイヨウカキドオシ(Glechoma hederacea)の亜種もしくは変種という扱いになっています。

カキドオシの英名としては“Alehoof”として紹介されることが多いですが、これはお酒(Ale/エール)とハーブ(hoof)を組み合わせたもの。中世頃まで主流であったグルートビールと呼ばれるお酒の味・香り付けに利用されていたことが名前の由来とされています。このため“Alehoof”が指すのは厳密にはカキドオシではなく、セイヨウカキドオシの方ではないとも考えられますね。セイヨウカキドオシはヨーロッパで古くから薬用植物として利用されており、2世紀頃に活躍したギリシャの医学者ガレン(ガレノス)も治療に用いれていたと伝えられています。そのほか“肺のハーブ”とし呼吸器系の不調に、風邪や咳などの軽減・強壮剤・利尿剤としてなどあらゆる事に用いられてきたのだとか。その用途の広さや、フレッシュハーブを使ったハーブティーはビタミンC補給源にもなるということでアメリカへの入植初期にも持ち込まれました。

話を元のカキドオシに戻しますが、こちらも日本列島以外に朝鮮半島や中国・シベシアなどにも自生しています。東アジアでも薬用植物として利用されており、乾燥した葉は中国で金銭草(※近縁種が使われていることが多い)・日本では連銭草という名前で生薬としても利用されています。民間医療・民間療法の中ではヨーロッパと同じく利尿剤や呼吸器系の不調に用いられてきたほか、江戸時代頃から子どもの熱・ひきつけ・疳の虫の特効薬として利用されてきたことから“疳取草”とも呼ばれています。また食べられる野草の一つでもあり、地域によってはお浸しなどにして食すこともあります。シソヨモギほどポピュラーではありませんが「和ハーブ」の一つと言える存在ですね。

長らく民間薬として利用されてきたカキドオシですが、近年は動物実験などでカキドオシ抽出物に血糖上昇抑制・血圧上昇抑制などの働きを持つ可能性が報告されており、ダイエットサポートや生活習慣病予防などの面でも臭目される存在となっています。有効性や安全性については十分なデータがないこと、過剰摂取による副作用や炎症誘発性・医薬品等との相互作用なども指摘されているので注意が必要ですが、健康茶・減肥茶として人気が高まっているお茶の一つですから少量から取り入れてみても良いかもしれません。

基本データ

通称
カキドオシ(垣通/籬通)
別名
かきどうし、グレコマ(Glechoma)、疳取草(かんとりそう)、連銭草(れんせんそう)、Alehoof、Ground ivyなど
学名
Glechoma hederacea subsp. Grandis
(Glechoma hederacea var. grandis)
科名/種類
シソ科カキドオシ属/多年草
花言葉
楽しみ、享楽
誕生花
5月28日
使用部位
葉・茎
代表成分
ビタミンC、硝酸カリウム、ウルソール酸、コリン、タンニン、サポニン、フラボノイド類、精油(リモネン、ピノカンフォン、メントンなど)
代表効果
血糖値上昇抑制、抗酸化、血圧降下、脂肪分解、結石溶解、利尿、鎮静、消炎、抗菌、去痰
、免疫力向上
こんな時に
生活習慣病(糖尿病・高血圧・動脈硬化など)予防、メタボ予防、ダイエット、結石予防、むくみ、ストレス、イライラ、咳・痰、風邪予防、肌荒れ
おすすめ利用法
食用、健康茶、ハーバルバス、湿布
お茶の味
ミントに似たシソ科ハーブっぽい香り、味はやや漢方系のクセがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

カキドオシの栄養・成分・期待できる効果

カキドオシ茶

肥満・生活習慣病予防に

血糖値対策として

カキドオシが健康茶として注目されている理由の一つとして、「血糖値を下げる働き」が期待できるお茶であるということが挙げられます。1968年の日本生薬学会において、カキドオシエキスには特異的な血糖値降下作用があると富山大学薬学部によって報告されたのが事の発端だと言われています。作用メカニズムについては分かっていないところも多いそうですが、ビタミンCや硝酸カリ・ウルソール酸など複数による複合効果ではないかと考えられているようです。十分なデータ不足などの事情から医薬品的効果をもつものとしては認められていませんが、薬のような副作用が認められない薬草であるという報告もあることから健康茶・民間療法の一種として人気を集めています。


高血圧・動脈硬化予防

カキドオシには抗酸化作用を持つフラボノイドやビタミンCが含まれています。このため血中脂質が酸化されることで出来る過酸化脂質が血管内に蓄積し、血管を狭めたり柔軟性を損なわせることで起こる血流障害の予防に繋がると考えられています。タンニンにも過酸化脂質の増加を防ぐ働きが報告されていますから、相乗して血管の状態を正常に保ち、動脈硬化や心筋梗塞などの予防を手助けしてくれるでしょう。

また血管の状態・正常な血液循環を保つことも高血圧予防に繋がりますが、カキドオシにはカリウムが含まれているためナトリウム排出を促すことでも血圧降下作用を持つことが認められています。2007年にヤヱガキ醗酵技研株式会社による実験では、カキドオシ抽出物を摂取したラットはナトリウムの排泄が促されたことも報告されています。血糖値上昇抑制と同様に血圧降下についてもカキドオシは薬のような副作用が無いと考えられているため、血圧降下薬を飲むほどではないけれど血糖値が高め…という方にセルフコントロールのサポートとして取り入れられています。


ダイエットサポートにも

カキドオシ茶に期待されている“血糖値上昇を抑える”という働きは肥満予防にも繋がります。インスリンは食事後などで血糖値が上昇すると分泌され高血糖状態を防ぐよう働きますが、血糖値を一定に保つために血液中のブドウ糖を脂肪細胞に蓄積させる・脂肪分解を抑制するなどの働きを持っています。このため血糖値の急激な上昇を抑えてインスリンの分泌量を抑えることは肥満予防にも繋がると考えられています。

またカキドオシに含まれているウルソール酸(ursolic acid/ウルソル酸とも)もダイエットをサポートしてくれる成分として注目されている存在。ウルソール酸はリンゴの皮・ローズマリーペパーミントなど様々な植物に含まれている成分ですが、近年の研究で筋量減少を抑える働きやタンパク質同棲促進による筋肉量増加・中性脂肪の分解促進などの働きを持つ可能性が報告されています。そのほかウルソール酸摂取で熱を生産する(脂肪を燃やす)褐色脂肪細胞の増加が見られたという報告もあることから、ウルソール酸を含むカキドオシ茶も脂肪を溶かす働きがあるお茶として注目されています。

これらの成分のヒトに対する有効性については十分なデータが不足しているとも言われていますし、カキドオシ抽出物ではなく“お茶”として飲む場合の摂取量で効果があるか否かも分かっていません。このためカキドオシ茶に過度なタイエッド効果を期待するのは避けたほうが良いと考えられますが、食事の改善や運動などと合わせて取り入れることで肥満予防をサポートしてくれる可能性はあるでしょう。メタボリックシンドローム予防にも注目されています。


健康維持のサポートに

結石予防・むくみ改善に

カキドオシは利尿作用を持つ薬草として利用されてきた歴史があり、近縁種を含めるとヨーロッパから中国まで広範囲で利尿剤として利用されてきたハーブでもあります。むくみ対策として以外に腎臓や胆道・膀胱・尿路などにできる結石の改善にも有効と考えられ、結石対策の民間療法としても煎じて飲まれてきました。作用秩序などははっきりと分かっていないようですが、サポニンやリモネンなどが肝臓や腎臓の働きを高める・カリウムの働きと合わせて利尿効果を持つことから、結果として尿路結石や腎臓結石などに繋がるのではないかと考えられています。

そのほかタンニンが結石の構成物質であるカルシウムと結合して結石が出来るのを予防する・結石を溶かす働きがあるのではないかという見解もあります。ただしカルシウムはシュウ酸と結合して便として排出されるので結石予防の場合には必要な栄養素でもあると言われていますから、既に結石がある方であれば病院で受診し、補助療法・再発予防として取り入れても良いかを確認するようにして下さい。また腎疾患・肝疾患のあるかたの使用は禁忌とするという注意喚起もなされていますので、結石以外にも持病のある方は医師の支持を仰ぎましょう。


リラックスサポートに

カキドオシはシソ科のハーブで「踏めば分かる」とも言われるように独特の芳香を持つ植物でもあります。ミントのようなとも称される香りにはリモネンなどの芳香成分が含まれており、香りによる鎮静・リラックス効果が期待できると考えられています。はっきりと解明はされていないものの子供の疳の虫(興奮・癇癪・夜泣きなど)に良いと用いられてきたのも、こうした芳香成分による働きかけが大きいのではないかと言われていますよ。大人の場合でも気持ちを落ち着けたりストレスを緩和してくれる働きが期待できますから、リラックスティーとして取り入れてみても良いでしょう。


風邪・呼吸器系の不調に

カキドオシに含まれているタンニンは殺菌作用や収斂作用を持つ成分でもあります。タンニンは抗炎症作用を持つ可能性も報告されていますし、サポニンも咳や痰などの改善効果が期待されている成分です。このためお茶として飲むことで呼吸器系からのウィルス侵入を抑制したり、咳や気管支炎を緩和する働きが期待されています。

またリモネンなどの精油成分にも抗菌作用や抗ウィルス作用がありますし、乾燥した葉にどの程度の量が含まれているかは定かではないもののビタミンCも白血球の機能を高めるなど免疫機能を高める働きが報告されている栄養素です。サポニンにも免疫機能を司るナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化する働きがあると言われていますから、合わせて風邪やインフルエンザ予防としても役立ってくれるでしょう。


そのほか期待される作用

疲労回復・強壮に

カキドオシやその近縁種は各地で滋養強壮薬としても利用されてきました。こちらもどの成分が有益な働きを持つのかは不明瞭な点が多いですが、ストレス軽減に役立つこと・抗酸化作用を持つことから疲労や疲労感の軽減をサポートしてくれるのではないかと考えられています。またリモネンやサポニンなどの働きによって肝臓や腎臓・胃腸機能が活発化することで、老廃物の排出促進や代謝向上に繋がるのではないかという説もありますよ。


肌荒れ予防・美肌保持にも

カキドオシ茶には抗酸化作用を持つフラボノイド類(ポリフェノール)やビタミンCが含まれているため、活性酸素の増加によって引き起こされるシワ・たるみなどの肌老化予防にも役立つと考えられています。ビタミンCにはメラニン色素生成抑制作用もありますので紫外線・シミ対策にも効果が期待できますし、コラーゲン生成を促す働きもありますので肌のハリを高める働きも期待できるでしょう。肝臓・腎臓の働きを良くすることで解毒力が高まり、肌荒れやくすみ予防に良いという説もあります。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

入浴剤として

到るところに生えている身近な野草(薬草)であるカキドオシは乾燥もしくは半乾燥させて入浴剤としても利用されてきました。働きとしては血液循環促進や毒素排出促進に良いとされており、血行不良による冷え性の軽減・あせもや湿疹などの軽減にも利用されているそうです。成分的に見ても精油成分には血行を促すものが含まれていますし、収斂・消炎・殺菌作用をもつタンニンも含まれているので湿疹やニキビの軽減に繋がると考えられます。芳香成分によるリラックス効果も期待できるので、疲労回復や安眠サポートにも役立ってくれるでしょう。

スキンケアに

ウルソール酸は加齢や光老化によって引き起こされるコラーゲン繊維束の崩れを修復する・コラーゲンを丈夫にする働きが報告されている成分でもあります。この働きからレチノール以上のシワ改善・アンチエイジング効果が期待できる成分として化粧品原料にも取り入れられています。カキドオシ全体としても、秋田大学の実験ではカキドオシ抽出物に細胞内メラニン顔料とチロシナーゼ活性の両方を減少させる働きがあることが報告されており、色素沈着の治療や美白化粧品成分としての有効性が示唆されています。カキドオシのチンキを作って手作りコスメを作るという方はあまりいらっしゃらないですが、化粧品成分として活躍する日が来るかもしれませんね。

また生葉の汁・擂り潰してペースト状にしたものは、水虫の民間療法としても用いられています。一日数回患部にすり込むように塗ると痒みが軽減するのだとか。そのほかのかゆみを持つ皮膚炎症・化膿性の湿疹や出来物にも良いと言われていますが、肌に合わない場合は逆に炎症を悪化させてしまう場合もあるので注意が必要です。

カキドオシの注意事項

カキドオシの摂取量について

カキドオシの摂取量としては大人の場合1日10~15g程度の茶葉使用が目安とされています。10gにつき水1リットル程度を加え、中火で10分程度煮たものを飲むと良いでしょう。水分が半分程度になるまで煮詰めるという方法もありますが、あまり長時間煮てしまうと芳香成分が揮発してしまうため煮詰め過ぎは避けたほうが良いようです。

ちなみに子供の場合は12~10歳程度であれば6~8g、6~9歳くらいであれば3~5g程度と言われているようです。伝統的に小さいお子さんにも利用されてきたお茶なので少量の摂取ならば問題はないという見解が主流ですが、十分なデータがないため乳児・幼児への使用は控えたほうが無難でしょう。また大人子ども関係なく、タンニンが含まれているので空腹時の飲用は控えるようにします。

  • 腎臓・肝臓疾患のある方は使用を避けましょう。
  • 発作性の疾患のある方は使用を避けましょう。
  • 医薬品を服用中の方は医師・薬剤師に相談のうえ摂取してください。
  • 過剰摂取は胃腸障害や腎炎を引き起こす可能性があります。
  • シソ科植物にアレルギーのある方は使用に注意が必要です。