高脂肪食が好きな方・脂っこい食事のお供としても人気
麦茶や緑茶と同じくらい日本でも定番の飲み物となっている烏龍茶。脂っこい食事の後や脂肪摂取量が気になる方にも親しまれている存在です。カフェインを含むためお子さんや妊娠中の方は飲用量に注意が必要ですが、烏龍茶特有の成分であるウーロン茶ポリフェノールには脂肪吸収を抑える働きが認められトクホ商品にも使われています。また虫歯予防などにも効果が期待されています。
烏龍茶について
原材料紹介:烏龍茶(茶の木)
麦茶や緑茶と並び、缶・ペットボトル飲料でもお馴染みのウーロン茶(烏龍茶)。飲み会などでノンアルコール派の方が頼むお茶としてもメジャーですし、外食時に脂っこい食事対策として頼まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。“ウーロン茶重合ポリフェノール”を多く含み脂肪吸収を抑えるトクホ認定商品「黒烏龍茶」を販売しているサントリーさんによる、トップモデルのミランダ・カーを起用した『おいしく脂マネジメント』のCMも魅力的ですね。
烏龍茶は緑茶・紅茶・プーアル茶などと同じチャノキを原料としたお茶です。チャノキから作られるお茶は大きく発酵させない緑茶などの不発酵茶(無発酵茶)・紅茶などの発酵茶・熟成を軽く仕上げる烏龍茶などの半発酵茶の3つに分かれます。中国では発酵段階によって発酵が浅い順に緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶の6段階に分けられており、烏龍茶は“青茶”に含まれます。烏龍茶(青茶)の製法が成立したのは14~16世紀頃と推定され、始まりは“摘み取った茶葉を運んでいると、太陽の熱と摩擦によって酸化が起こり茶葉が藍色になっていた”という伝承がよく知られています。
きちんと確立された製法という点では広東省潮州市で作られていた「鳳凰単叢」が現在の烏龍茶のルーツとする説が有力ですが、福建省発祥説もあります。日本に烏龍茶が伝わったのは明治から大正頃ですが、本格的な普及となると1970年代とごく最近。70年台後半にピンクレディーが美容維持のために愛飲していることが報じられ、80年台前半にかけて一大ブームとなります。当初はお湯で浸出させるタイプでしたが、1981年には烏龍茶飲料が商品化され手軽に飲める存在となったのも、日本にここまで烏龍茶が定着したきっかけと言えるでしょう。
第一次烏龍茶ブームの沈静化も粗悪品の流通によると言われていますし、21世紀になってからも中国から安全性への疑惑から烏龍茶の消費低下が起こっています。これに対して2015年からは日本国内で収穫された茶葉を使用した“国産烏龍茶”も発売されています。国産で安心性が高いというだけではなく、日本人の味覚やご飯(お米)との相性も良いことから高評価を得ています。
烏龍茶の種類について
烏龍茶、中国茶の分類で言う青茶は半発酵のお茶と表現されます。製法としてはある程度発酵させた後に加熱処理をして発酵を止めるというものですが、この“ある程度の発酵”というのはお茶の種類によって15~80%くらいと大きく差があります。概ね浸出した時のお茶の色が薄いほど発酵が浅く、濃くなること発酵度合いが進んでいます。
黄金桂など色・風味ともに緑茶に近い印象のものは発酵度が~30%と低め、日本での流通量が多いとされる鉄観音や武夷岩茶・水仙などが40%前後とやや高め、東方美人になると70~80%程度と非常に高くなります。凍頂烏龍茶は青茶の中でも発酵度が低い部類と言われていますが20~40%程度と差があるようです。
また春茶・秋茶・冬茶(雪片)など季節によっても風味が異なります。一般的には春のお茶が香り高く、味にもコクがありとして良品とされています。ただし香りに清涼感がありアッサリとした風味の秋茶、香りは薄いものの味に甘みのある冬茶にもファンの方はいらっしゃいますから、個人個人の好みによるところも大きいでしょう。夏場のものは香りが薄く苦み・渋みが強いためあまり利用されていないようです。
基本データ
- 通称
- ウーロン茶(烏龍茶/Oolong Tea)
- 別名
- 青茶(あおちゃ/せいちゃ/チンチャァ)
- 学名
- camellia sinensis
- 科名/種類
- ツバキ科ツバキ属/常緑樹
- 花言葉
- 純愛、謙遜、追憶
- 誕生花
- 5月26日、11月2・29日
- 使用部位
- 葉部
- 代表成分
- ポリフェノール類(ウーロン茶ポリフェノール、カテキン、タンニンなど)、カフェイン
- 代表効果
- 脂肪吸収抑制、利尿、抗酸化、コレステロール低下
- こんな時に
- 肥満予防、ダイエット、二日酔い、老化予防、肌の健康維持、生活習慣病予防
- おすすめ利用法
- 健康茶、入浴剤、手作り化粧品(化粧水)
- お茶の味
- 上記の様に種類・等級などにより異なるが、概ね飲みやすい
- カフェインの有無
- 緑茶・紅茶と同程度のカフェインを含む
烏龍茶の栄養・成分・期待できる効果
烏龍茶(飲用)
肥満予防・ダイエットに
脂肪吸収を抑制
烏龍茶は若干カリウムなどを含んではいるものの、ビタミンやミネラルはほとんど含んでいません。緑茶の代表成分であるカテキンも発酵の途中で変化してしまうため豊富とは言えませんが、発酵過程でカテキンが重合した通称“ウーロン茶重合ポリフェノール(OTPP)”という烏龍茶特有の成分に脂肪吸収を抑える働きがあることが注目されています。
ウーロン茶重合ポリフェノールは中性脂肪を分解する消化酵素(リパーゼ)の働きを抑制することで、摂取した脂肪の吸収を抑えて体外へそのまま排出させる働きがあると考えられています。高脂質・高糖質のエサをマウスに食べさせる実験では、ウーロン茶重合ポリフェノールをエサに混ぜたマウスに体重と脂肪の増加抑制効果が見られたことも報告されています。またウーロン茶ポリフェノールのほか烏龍茶に含まれているサポニンにも脂肪吸収・蓄積予防効果が期待されています。このため烏龍茶は脂質が気になる食事と合わせて飲用することで、脂質摂取量のコントロールに役立つと考えられています。
脂肪燃焼アップに
ノンカフェインの印象もありますが、烏龍茶も緑茶や紅茶などチャノキを原料とした「茶」類と同等のカフェインを含んでいます。カフェインには興奮作用や血行が悪くなるなどの働きもあり摂取を控えている方も多いですが、交感神経を刺激することで運動時のエネルギーとして利用する遊離脂肪酸を増やす働きがあります。遊離脂肪酸は中性脂肪を分解して作られますので、カフェインを運動前に摂取することで脂肪燃焼効率が高まると考えられています。脂肪分解には水分も必要ですので、烏龍茶と同量くらいの水を合わせて飲むようにすると効果的と言われています。
大量のカフェイン摂取は心身への悪影響を及ぼす・依存などの危険性がありますが、EFSA(欧州食品安全機関)から“妊娠中を除く健康な成人の場合は1日400mg未満であれば健康被害はない”と報告されており、妊娠中の女性であればその半分の200mg未満が安全と考えられています。烏龍茶のカフェイン量は100mlに対して20mg程度ですから、ウーロン茶ポリフェノールによる脂質吸収・脂肪蓄積予防を期待して食中・食後に飲む+運動前に飲むなど、1日3~4杯程度の摂取であれば心配は低いと考えられます。
二日酔い・むくみ対策に
カフェインを含む烏龍茶は利尿作用を持つお茶でもあり、飲んだ翌朝に顔がパンパンになってしまった…など一時的なむくみの改善に役立つと考えられます。カフェインはアセトアルデヒドの分解を早めたり、頭部の血管を収縮することで頭痛を緩和する働きもありますので、二日酔い時対策と合わせて効果が期待できるでしょう。この場合も水分が不足しないように烏龍茶とは別に水分補給をするようにしましょう。
ただしカフェインの利尿作用は交感神経を刺激し血管収縮を促すことによって起こりますので、一時的なむくみの軽減には役立つかもしれませんが、本質的なむくみ改善には繋がりません。どちらかと言うと脱水に近い状態になる・血管を収縮させることで身体が冷えるなどの可能性がありますから、むくみに良いと言って多量に摂取するのは避けてください。
そのほか期待される作用
老化予防・美肌保持に
ウーロン茶ポリフェノールは強い抗酸化作用を持つ成分でもあります。活性酸素が体内で過剰に発生すると細胞やDNAへダメージを与え、筋肉・内蔵などの活動を低下させてしまいます。このため活性酸素を抑えること(抗酸化)は様々な病気、老化による身体機能低下などのリスク低減効果が期待されています。
またシミやシワ・たるみなど肌の老化現象も活性酸素による酸化ダメージが大きく影響していると考えられています。抗酸化物質は内側からのアンチエイジングをサポートしてくれますし、活性酸素の発生源となる紫外線対策などにも役立ってれます。酸化=老化というイメージが強いですが、酸化は肌のバリア機能低下による乾燥や肌荒れ・過酸化脂質の増加によるニキビなどの原因ともなります。現時点で老化がさほど気になっていない方でも、抗酸化物質の補給は健やかな肌の保持をサポートしてくれるでしょう。
生活習慣病予防
ウーロン茶ポリフェノールは脂肪吸収を抑制する働きだけではなく、小腸内のコレステロールと中性脂肪を吸着し体外への排出促進効果も期待されています。烏龍茶には胆汁酸の分泌を促進することで血中コレステロール増加を抑制するカテキン、悪玉コレステロールの低減効果が期待されるサポニンなども含まれています。
ポリフェノール類やサポニンには抗酸化作用があり、過酸化脂質の生成を抑えることで血管・血流の状態を整える働きも期待されています。コレステロールの増加抑制と合わせて、動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病予防にも役立ってくれるでしょう。
虫歯予防に
サントリー・大阪大学・岡山大学の共同研究で、ウーロン茶ポリフェノールは虫歯原因細菌により産生される酵素(グルコシルトランスフェラーゼ:GTF)の活性を阻害し、デンタルプラーク(歯垢)沈着を抑制する作用があることが報告されています。食中と就寝前に水もしくは烏龍茶を4日間飲むという実験では、烏龍茶を飲んでいたグループの方が歯垢の沈着度合が低かったことも報告されています。
このため烏龍茶は歯垢沈着抑制・虫歯予防効果があると考えられています。昼食時や接待など歯磨きの時間が取れない時などに役立ってくれるそうですね。ただしウーロン茶は歯に着色しやすいとも言われていますので、食後に烏龍茶を飲む・烏龍茶で口をゆすいでおいても、後からきちんと歯磨きをしたほうが良いでしょう。
お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果
入浴剤代わりに
ウーロン茶ポリフェノールにはタンニンも含まれているため、烏龍茶を外用で利用することで抗菌・収斂・抗炎症・抗酸化作用などが期待できると考えられています。肌を清潔に保ってくれるのでボディニキビ対策などに役立つ他、抗炎症作用や抗酸化作用が期待できることからアトピー性皮膚炎の方症状軽減用にも取り入れられています。口に入ってしまっても害がないので、お子さん用の入浴剤として利用しても安心ですね。
また飲む場合はカフェインの作用もあるためリラックスする・興奮するの両説がありますが、烏龍茶の香りにはリラックス効果があると考えられています。飲用しませんので血行不良や冷え性が気になる方でも安心して利用できますし、入浴の効果と合わせて副交感神経の活発化によるリラックス・睡眠サポートや血行促進効果も期待できるでしょう。一度お茶を煮出した後の茶葉を使うことも出来ますよ。
烏龍茶の注意事項
- カフェインを含むため妊娠中の方・お子さんは飲用料に注意しましょう。また眠る前の飲用も控えたほうが無難です。
- 空腹時に摂取すると胃を痛める可能性があります。