【ゴツコーラ/ツボクサ】
原料植物、ハーブティーに期待される効果効能

「食べるIQ」と注目されるアーユルヴェーダハーブ

アーユルヴェーダの最も重要なハーブの1つ・WHO(世界保健機構)が「21世紀の驚異的薬草」と発表した植物として紹介される機会の増えているゴツコーラ。中国やインドではアンチエイジングハーブとして利用されたほか、またインドでは紀元前から脳機能を高めてくれる生薬として取り入れられていたとも伝えられています。現在でも記憶力アップや認知症予防など脳機能サポート効果が期待されている他、むくみや下肢静脈瘤対策・外用ではダメージ肌のケアやコラーゲン生成促進作用など様々な働きを持つ可能性が報告されています。

ゴツコーラ/ツボクサのイメージ画像

ゴツコーラとは

植物紹介:ツボクサ

アーユルヴェーダの最も重要なハーブの1つ・WHOが重要なハーブとして認めた植物として紹介され、世界中で注目されているハーブとなっているゴツコーラ。「ゴツコーラ」や「アーユルヴェーにおいて重要視されているハーブ」と聞くと馴染みのないものの様に感じますが、日本でも本州(関東以西)から沖縄県までと比較的広いエリアに分布しているツボクサのこと。余談ですが、和名の“ツボクサ(壺草)”は坪=庭や道ばたに生えていることが名前の由来とも言われるように、該当地域であれば野原や道端にも生えているため日本では雑草の一つという扱いになっています。こんなビジかな植物がハーブとして評価されているとは意外ですね。

日本以外にもゴツコーラは朝鮮半島から中国・熱帯アジアにかけてや、南アフリカ・アメリカなど世界中に分布している植物。原産地はインドもしくは南アジア地域と考えられており、インドやスリランカ・ミャンマーなどでは野菜としてサラダ・スープなどにして食べられることもあります。英名としても一般的なGotu Kola(ゴツコーラ)はスリランカ語での呼び方で、そのほか野生のトラが怪我をした時に身体に擦り付けるという伝承からタイガーハーブ、マレーシア名のペガガなど様々な名前で呼ばれています。Gotu Kolaの読み方のバリエーションでゴツコラ・ゴトコラなどとも呼ばれますし、属名のセンテラ・和名のツボクサ・生薬名として使われる積雪草(セキセツソウ)など様々な呼び名があります。

ちなみにアーユルヴェーダでも使用しているサンスクリット語でゴツコーラはブラフミーと呼ばれています。ブラフミーという呼び名は宇宙の根本原理“brahman(ブラフマン)”もしくは創造神“Brahma(ブラフマン)”が呼び名の由来とされていますから、名前からもインドで重要な植物と考えられていたことがうかがえますね。「アーユルヴェーにおいて重要視されているハーブ」と言われている通りインドでは3000年以上も前から記憶力や集中力を高める薬草として利用されていたと伝えられているほか、霊性の高い植物として瞑想用の薫香としても利用されていたようです。現在もアーユルヴェーダでは老化や老衰を遅らせる長寿ハーブとして、また記憶力や集中力を高める脳の強壮剤として利用されているそうですし、湿疹など皮膚疾患のケアにも用いられています。

また中国医学においてもゴツコーラ(積雪草)は薬効高い生薬として大切にされ、約2000年前に成立したとされる中国最古の薬物書『神農本草書』にも積雪草が登場しています。生薬としては解熱・利尿や止血などの利用が主ですが、不老長寿をサポートしてくれる植物としても親しまれているそう。これは256歳まで生きたと信じられている中国の医師“李青曇(Li Ching-Yun)”が霊芝・クコの実(ゴジベリー)高麗人蔘・ツルドクダミ(フォーチ)・ゴツコラを食べていた、長寿の秘訣のハーブとして推奨したと言われることから「奇跡の不老不死薬」の1つに数えられることになったのだそうです。そのほか東南アジアでは生葉を揉んで傷や皮膚炎症の手当に使ったと言われていますし、北米の先住民もまた皮膚炎の治療や利尿剤として利用していたようです。

長らく東洋医学もしくは民間療法の中で利用されることの多かったゴツコーラですが、18世紀にイタリアで強皮症緩和に利用されたことから徐々に欧米での研究・科学的な分析なども行われるようになっていきます。近年ではWHO(世界保健機構)が「21世紀の驚異的薬草」として紹介したことや、ラットを使った実験で脳神経細胞の樹状突起に増加が見られたという報告から日本でもバコパなどと共に「食べるIQ」として紹介される機会が増えているようです。認知症予防や受験生を応援してくれる健康茶として、またコラーゲン合成促進作用などが報告されていることからスキンケア・美容方面でも注目されつつあります。

基本データ

通称
ゴツコーラ(Gotu Kola)
別名
gotu kola(ゴツコラ/ゴトコラ)、Centella(センテラ)、壺草(ツボクサ)、積雪草(セキセツソウ)、Indian Pennywort(インディアンペニーワート)、Tiger Herb(タイガーハーブ)、Brahmi(ブラフミー)など
学名
Centella asiatica
科名/種類
セリ科ツボクサ属/多年草
花言葉
 -
誕生花
 -
使用部位
全草(地上部)
代表成分
トリテルペノイドサポニン(アジアチコサイド、マデカソサイド、マディッカソ酸、アジア酸など)、タンニン、ポリフェノール類、ビタミン類、ミネラル類
代表効果
脳強壮、神経強壮、鎮静、抗不安、抗酸化、抗炎症、血行促進、利尿、免疫機能調節、コラーゲン生成促進
こんな時に
記憶力・集中力向上、脳の健康サポート、ストレス、神経疲労、不眠、血行不良、むくみ・下肢静脈瘤、冷え性、デトックス、関節炎・リウマチ軽減、風邪予防、美肌保持、肌荒れ・肌老化予防
おすすめ利用法
食用、ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、湿布、スチーム吸引
ハーブティーの味
緑茶に似た草の香り、クセが少なくサッパリとした後味
カフェインの有無
ノンカフェイン

ゴツコーラ/ツボクサの成分と作用

ゴツコーラティーに期待される効果

脳・心への働きかけ

認知機能向上に

インドで「食べるIQ」と呼ばれていると紹介されることもあるゴツコーラ。脳の神経機能を活性化させることで記憶力や集中力向上効果を持つ可能性が示唆されているハーブの一つで、脳卒中後やアルツハイマー患者の認知機能サポートへの応用も研究されています。ゴツコーラ水抽出物を使ったマウス実験では、ゴツコーラ暴露によって認知増強効果が示されたことが2016年『Journal of Ethnopharmacology』に報告されています。オレゴン州の研究チームによるこの論文では記憶保持効果は高齢マウスに顕著に見られたこと、若いマウスに目立った効果が見られなかったのは加齢に伴う欠損が少ないからではないかという見解が記されています。そのほかモルモットを使った実験ではゴツコーラの抽出物を摂取したモルモットの脳神経細胞(脳神経樹突起数)が7倍に増加したという報告もなされています。

こうした働きはゴツコーラに含まれるアジアチコサイド(asiaticoside)やマディッカソ酸(Madecassoside/マデカソサイドとも)などのトリテルペノイドサポニンやポリフェノールなどの抗酸化物質が脳の酸化を抑えることで、脳神経の疲労を軽減することで理想的なパフォーマンスを助けるのではないかと推測されています。加えて2015年にはマウス実験で神経幹細胞からニューロンへの分化を促進させる効果を持つ可能性が示唆されたこと、少人数を対象としたヒト試験でも認知機能向上が報告されていることもあり、ゴツコーラは加齢などによる記憶や認知機能の低下を予防する・長期記憶形成に関連する経路を増強する可能性を持つハーブとして注目されています。

ただし人に対する有効性については未解明な部分も多く、ヒト実験では有効性が見られないという報告もなされています。有効性があるとしている報告でも効果の現れ方は年齢・性別などによって差異があることが報告されており、まだまだゴツコーラの作用については謎が残っています。このため現時点で効果が医学的には認められたものではありませんが、伝統的に利用されてきた効能や上記の実験報告から欧米では記憶力向上のサプリメントなどに配合されているケースも。日本でも脳ケア・勉強のお供としてサプリメントやハーブティーが取り上げられることがあります。


不安・ストレス対策に

ゴツコーラは伝統医療の中で中枢神経系を刺激して神経の衰弱を軽減する働きがあるハーブと考えられ、精神・神経面での不調緩和に取り入れられることもある植物。成分的に見てもゴツコーラに含まれているトリテルペノイドのいくつかは精神に対する鎮静作用や抗不安作用を持つ可能性があると考えられており、ストレス対策・神経性疲労やイライラ感の軽減が期待されています。2016年『Malaysian Journal of Medical Sciences』に掲載されたマレーシアのレビューでは、ヒト実験でもゴツコーラが抗不安活性を有する可能性があると示す報告が複数存在すること・神経または脳組織再生関与する可能性が示唆されていることを紹介しています。

そのほか抗うつ薬の代わりにゴツコーラを60日間摂取してもらうと被験者はストレスや不安の減少を自己報告したこと、持続性うつ病性障害モデルマウスを使った実験では行動面でのいくつかの要素に有益であったなどの報告もあります。こうした実験報告からゴツコーラは心身をリラックスさせる働き・脳内の神経伝達物質調整作用を持つストレス対策ハーブとして期待されていますし、神経障害・精神疾患などへの応用についても研究されています。こちらもまだデータが不十分ではなく有効性は認められていませんが、ストレス対策や安眠のサポートとして取り入れてみても良いでしょう。鎮静・抗不安作用によって睡眠を誘発する=安眠サポートに役立つのではないかという見解もあります。

身体の健康維持にも

むくみ・下肢静脈瘤予防に

ゴツコーラは血管を丈夫に保ち、血液循環をスムーズに整える働きを持つ可能性が高いことが欧米の研究により報告されています。これはゴツコーラにトリテルペノイド類やポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれていることに加え、リラックス効果から血管収縮が的確に行われるようになる・アジアチコサイドやマデカソサイドがコラーゲン生成促進作用や抗炎症作用によって血管や毛細血管などを強化するなどの働きも考えられています。イギリス薬局方には抹消血管拡張薬として記載されていたこともあるようです。

こうした成分が複合して働くことで血行が良くなり、血行不良による肩こり・頭痛・腹痛や消化器系の機能低下・冷え性などの軽減にもゴツコーラは役立つ可能性があると注目されています。特に静脈の流れがうっ帯することにより起こる下肢静脈瘤・むくみなどの症状の改善に関しては高い改善効果が期待されており、1990年にイタリアの大学で行われた実験では1日60mgのツボクサ抽出物の摂取により毛細血管透過性・足のむくみに改善が見られたことが報告されています。このためゴツコーラは静脈瘤や慢性静脈不全の改善に繋がる可能性があるハーブとしても注目されています。


抗酸化・デトックスのサポートに

インドのアーユルヴェーダや中国でゴツコーラは「若返りのハーブ」とも考えられている存在です。現在でも成分的に見てアジアチコサイドやマディッカソ酸・アジア酸などのトリテルペノイド類やポリフェノールなどを含むことから抗酸化作用を持つハーブと考えられますし、伝統医学上の効能としては肝臓や腎臓の機能を高めることから利尿作用や解毒作用を発揮してデトックス・血液浄化を促すことも老化予防に繋がると言われています。余談ですが血行促進と水分代謝を整える働きから、むくみやだるさ対策・セルライト対策に良いとする説もありますよ。

ちなみにゴツコーラは抗酸化作用やデトックス効果から高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に役立つ可能性も示唆されています。この働きから心臓発作や脳卒中などの予防に繋がる可能性もありますし、脳への働きかけから記憶や認知機能の低下を予防するのも老化予防に繋がります。中国の伝承のように長生き出来るかはさておき、健康寿命を伸ばすサポートとして役立ってくれる可能性はありそうですね。


免疫機能のサポートに

ゴツコーラは腎臓や肝臓の働きを助けることで、体内に蓄積している老廃物や有害物質の排出を促す=デトックス効果があると考えられています。この働きから血液浄化や体質改善・水分代謝の正常化へと繋がり、アレルギーによる炎症を起こしにくくなる働きも期待されています。

またマディッカソ酸(マデカソサイド)などのトリテルペノイドにはより直接的は抗炎症を持つとする説や、副腎を強化することで免疫機能の働きを正常化する・炎症を抑制するという説もあります。2014年に行われたマウスを使った実験ではゴツコーラの経口摂取によってコラーゲン誘発関節炎の減少に役立つ可能性があることも示唆されています。こうした見解からゴツコーラはアレルギー症状の軽減や関節炎・リウマチなどの痛み軽減にも役立つ可能性があると言われています。ゴツコーラには抗菌作用や抗ウィルス作用が報告されているため、風邪やインフルエンザなどの予防にも取り入れられています。

そのほか期待される作用

美肌・アンチエイジングに

ゴツコーラは美肌効果が期待できる植物としてサプリメントからスキンケア商品まで幅広く取り入れられている存在でもあります。これは抗酸化作用を持つ成分が多く含まれていることに加えて、トリテルペノイドにはタンパク質の合成を刺激しコラーゲンの産生促進・自然治癒力を高めるなどの働きを持つ可能性が報告されていることも大きいようです。乾燥茶葉にどの程度含まれているか・お茶としてどの程度摂取できるかは分かっていないものの、ゴツコーラ(ツボクサ)にはビタミンCやフラボノイド軽ポリフェノールも含まれていることも認められていますから肌の老化予防にも役立ってくれる可能性はあるでしょう。

そのほかデトックスを促すことから肌荒れの予防に、血液浄化や免疫機能調節などの働きから湿疹や疥癬などの皮膚炎症を予防もしくは軽減するという説もあります。血液がキレイになりスムーズに流れることでも肌の新陳代謝向上や透明感アップが期待できますね。内服でのコラーゲン生成促進や皮膚細胞再生などの働きについてはデータが少なく民間信仰の域を出ないという指摘もありますが、こうした働きやストレス軽減などからも美肌作りのサポートとして無意味とは言い切れません。自分の体調やお肌の状態と相談しながら取り入れてみると良いでしょう。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

ゴツコーラは外用として利用することでも皮膚に対しての様々な働きかけが注目されており、ゴツコーラエキス(ツボクサエキス)は日本国内でも有名な高級化粧品の原料として配合されています。期待されている働きかけとしては抗酸化作用やコラーゲン生成促進作用(コラーゲン分解酵素群阻害)。コラーゲンの合成を高めることから肌の回復を促進し傷跡などを目立ちにくくする働きもあると考えられていますし、2015年に行われたラットを使った実験ではゴツコーラ抽出物に切除・感染・擦過型創傷の治癒促進効果が見られたことも『International Journal of Pharmaceutics』に発表されています。

また、ゴツコーラの特徴成分の一つであるマディッカソ酸(マデカソサイド)には抗炎症作用が報告されていることから、皮膚炎症やダメージ肌の軽減にも役立つと考えられています。肌荒れ改善のほか膿瘍・火傷・乾癬の回復促進や、ニキビ跡・妊娠線などのケアに有効とする声もあります。近年話題になっている韓国の“マデカソサイドクリーム”も、ツボクサ由来のマデカソサイドが配合されていますね。ゴツコーラの皮膚に対する働きかけもさらなる研究が必要な段階ではありますが、ニキビ跡などの軽減・肌のハリや艶を高めシワやシミを予防するエイジングケアラインのスキンケア商品では配合されているものもあります。

ヘアケアにも

ゴツコーラのは皮膚以外に毛髪や爪などの組織強化に役立つとも言われており、毛髪の成長促進・抜け毛予防などヘアケア面でも効果が期待されているハーブです。毛髪や頭皮の治療薬としての有効性は認められていませんが、育毛剤の中にはツボクサエキスを配合したものもあるそう。毛穴汚れの除去や皮脂の酸化を抑えるとする説もありますので、ヘアトニックやシャンプーにチンキを混ぜて利用してみても良いかも知れません。

ゴツコーラの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
  • 疾患・病歴のある方、服用中の薬がある方は医師に相談の上利用してください。
  • 稀に鎮静作用が強く表れることが指摘されています。集中力が必要なシーンでの内服は避け、アルコール類などとも併用しないようにしてください。
  • メリーランド大学メディカルセンターからは医師の指導外であれば6週間以上の継続利用を行わないようにと言う警告がなされています。長期間利用する場合はお休みの期間を設けるようにし、過剰摂取も控えてください。

参考元