枸杞(クコ)/ゴジベリー
健康茶と期待される効果効能紹介

疲労回復から老化予防まで様々な効果が期待される「延命茶」

近年スーパーフルーツの一つとして欧米でも注目されているクコの実。クコの実や葉を利用したクコ茶も延命茶とも呼ばれていた通り、ポリフェノールを豊富に含むため老化予防に役立つと考えられています。コレステロールの低下などにも役立ち血液循環改にも役立ちますし、冷え性の緩和・肌のハリや透明感アップなどにも効果が期待できるでしょう。ゼアキサンチンを含むため疲れ目対策などにも取り入れられています。

画像:クコ(ゴジベリー)

 

クコ/ゴジベリーについて

植物紹介:枸杞(クコ)

クコといえば杏仁豆腐やお粥の上にチョコンと乗っている赤い果実がよく知られています。少し前までは中華料理・薬膳料理以外で見かけることはほとんどありませんでしたが、近年クコの実(ゴジベリー)がスーパーフルーツの一つとして報じられ、美容面へ高い効果が期待できることから「飲む(食べる)エステ」とも言われ注目が高まっています。

植物としてはナス科に分類され、原産地は中国などを含む東アジアと考えられています。現在でもクコは中国医学(漢方)ではよく利用されている存在で、その歴史も古く3000~4000年前から利用されてきたと考えられています。中国最古の薬物書『神農本草書』では日々の健康に役立ち長期間服用しても害を持たない“上品(上薬)”に分類され、命を養う不老不死の名薬になる植物の1つとして非常に大切にされていたそう。そのほか皮膚の潤いを守り、血色を良くする膏薬(クリーム)など外用でも利用も古くからあったようです。

中国にはクコの根(地骨子)を食べて仙人になった“徐仙”という方の伝説や、楊貴妃が美容のため毎日欠かさずクコの実を食べていたという伝承もあります。その優れた働きからクコの実は「不死の実」、クコの葉などで作られたお茶は「延命茶」とも呼ばれているそうです。赤い実以外はあまり馴染みがありませんが、漢方では葉(枸杞葉)と根(地骨皮)も生薬として利用されています。

日本にも平安時代頃に中国から伝えられたと考えられており、文徳天皇がクコを栽培するための専用庭園を作ったと伝えられていますから薬効高い食材として珍重されていたことがうかがえますね。健康意識の高かった徳川家康もクコの実を好んで食べていたと伝えられていますし、江戸時代に貝原益軒によって編纂された本草書『大和本草』の中では「最良の薬菜」として紹介されています。クコは日本でも1000年近く薬効ある食材として利用されてきた存在です。

基本データ

通称
枸杞(クコ)
学名
Lycium chinense
Lycium barbarum(ナガバクコ)
別名
ゴジベリー(Goji berry)、Chinese wolf-berry、Chinese desert-thorn
※生薬としては実を枸杞子(クコシ)、葉茎を枸杞葉(クコヨウ)、根茎を地骨子(ジコッピ)と呼び分ける
科名/種類
ナス科クコ属/落葉低木
花言葉
誠実、お互いに忘れましょう、過去を水に流す
誕生花
8月18日、10月5日
使用部位
果実、葉、茎
代表成分
ベタイン、フラボノイド配糖体(ルチン、ヘスペリジン)、カロテノイド(ゼアキサンチン、βカロテン)、タンニン、β-シトステロール、リノール酸、ビタミン類、ミネラル類
代表効果
肝機能向上、血圧降下、コレステロール減少、循環器機能改善、強壮、抗酸化
こんな時に
肝疾患予防、高血圧予防、動脈硬化予防、血行不良、冷え性、疲労回復、滋養強壮、目の疲れ・視力低下、アンチエイジング、美白・シミ予防
おすすめ利用法
食用、ハーブティー、チンキ、手作り化粧品
お茶の味
青臭さがありクセが強い、好き嫌いは分かれる
カフェインの有無
ノンカフェイン

枸杞(クコ)の栄養・成分・期待できる効果

クコ茶(ゴジベリーティー)

枸杞茶には葉だけを原料とするもの、実だけを利用するもの、葉と実の両方を利用するものがありますが、下記では実と葉両方の成分・期待される効能をご紹介します。

健康維持に

肝機能保護・サポートに

クコ茶に含まれているアミノ酸の一種「ベタイン」には肝臓への脂肪蓄積を防ぐ・脂肪排出を促す作用があるため、脂肪肝の予防に役立つと考えられています。またベタインは解毒作用・抗酸化作用のあるグルタチオンの産生を増加することが報告されています。このため肝臓の抗酸化・デトックスを助け、肝炎や肝硬変などの予防にも役立つのではないかと期待されています。


生活習慣病予防に

LDLコレステロールが“悪玉”コレステロールと呼ばれるのは、必要以上に増加した場合に血管の内壁に付着・酸化することで血流を妨げてしまうためです。この性質から高血圧や動脈硬化の原因ともされています。クコ茶に含まれているβ-シトステロールは悪玉コレステロールを減少させる働きがあるとされていますし、リノール酸にもコレステロールの排出を助ける働きがあります。

加えてクコ茶には血管を強化し血流をスムーズにするルチンやヘスペリジンなどのフラボノイド類、コレステロールを胆汁酸へと変化させ排出を促すビタミンCなども含まれています。これらは活性酸素による酸化を抑制する抗酸化物質でもありますし、ベタインには抗酸化作用のあるグルタチオンの産生をサポートする働きもあります。これらの成分を含むクコ茶は血管・血液循環を正常に保ち、高血圧・動脈硬化などの予防効果が期待されています。脂っぽい食事が多い方はイチョウ茶韃靼そば茶などと組み合わせると良いでしょう。


血行不良・冷え性の緩和に

ルチンやヘスペリジンなどによって血管の保護・強化、血液サラサラ効果が期待できるクコ茶は、血液循環を良くする働きもあると考えられています。このため血行不良によって引き起こされる肩こり・腰痛などの緩和にも効果が期待できるでしょう。

クコ茶には糖質の代謝をサポートするビタミンB1、脂質の代謝を促すビタミンB2も含まれています。このためエネルギー代謝を高める=体内での熱生成量を高める働きも期待できます。血行促進効果と相乗して冷え性の改善に効果が期待できますし、血行不良・冷えから起こるめまい・生理痛・むくみ・足腰のだるさ(重さ)など女性に多い不調の緩和にも役立つとされています。


疲労回復・滋養強壮に

クコには代謝に関わるビタミンB群が含まれています。中でも糖質の代謝に関わるビタミンB1は代謝サイクルを活発化することで糖質のエネルギー転換・乳酸などの疲労物質の代謝を高め、疲労回復や強壮に役立つと考えられています。血行促進に役立つことから内蔵や筋肉の活動を高める働きも期待できますし、筋肉痛の改善などにも役立ってくれるでしょう。そのほかビタミンCや鉄分・カリウム・カルシウムなどのミネラルも含まれており、栄養補給を助けることからも滋養強壮に役立つお茶とされています。


眼精疲労・眼病予防に

クコに含まれているカロテノイドの一種「ゼアキサンチン」は人の目の黄斑部に存在している物質でもあります。強い抗酸化作用を持つことが認められており、活性酸素によって生じる目のダメージ・黄斑変性症や白内障などの眼病予防に役立つと考えられています。

またゼアキサンチンは紫外線や青色光(ブルーライト)を吸収する働きを持っています。このためパソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見ている現代人の目の疲れを緩和し、視力低下や眼精疲労の予防に対しても効果が期待されています。目の疲れ・ドライアイが気になる方はアイブライトマリーゴールド・菊花茶などと組み合わせると相乗効果が期待できます。


美容面への働き

老化予防

クコ茶はフラボノイドやカロテノイド、タンニン、ビタミンCなどの抗酸化物質を含んでいます。またベタインによって生成が促進されるグルタチオンも高い抗酸化作用が認められています。これらの成分の働きによって活性酸素から引き起こされる酸化ダメージを抑制し、体(細胞)の老化予防に高い効果が期待されています。


美肌・美白

抗酸化物質を豊富に含むクコは美肌作り・肌のアンチエイジングに役立つ果物として人気を集めています。抗酸化作用によるシミ・シワ・たるみなどの肌老化を予防だけではなく、ビタミンCやタンニンによるメラニン色素生成阻害(チロシナーゼ活性抑制)作用がありますので内側からの紫外線・シミ予防としても高い効果が期待されています。

また近年はクコの実にコラーゲンを分解する“コラゲナーゼ”の活性阻害作用があることも報告されています。ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す働きもありますので、生成促進・分解抑制と両方の働きからコラーゲンを守ってくれるとして肌のハリ・潤い維持に効果が期待されています。

クコにはルチンなど血液循環をサポートする成分も含まれていますから、肌の隅々まで血行を促すことでくすみを解消し、血色がよく透明感のある肌を作ってくれると考えられます。血液とともに酸素・栄養が行き渡ることで乾燥肌やターンオーバーの乱れなどの改善にも役立ってくれるでしょう。


ダイエットサポートに

クコには代謝をサポートするビタミンB群や、コレステロールの排出を促すβ-シトステロール・ビタミンCなどが含まれています。また血液循環を改善するルチンやヘスペリジンなどの抗酸化物質も豊富に含まれていることから、脂肪燃焼・排出をサポートすることでダイエットにも役立つと考えられています。


そのほか期待される作用

ストレス緩和に

クコの実はビタミンCが豊富に含まれているため、神経伝達物質や副腎皮質ホルモンの生成・分泌をサポートしてストレス耐性を高めたり、イライラや興奮を緩和する働きが期待されています。お茶として飲む場合はクコの実(乾燥)を熱湯で浸出することになりますから実際のビタミン摂取量については疑問が残りますが、ローズヒップなどと同様にお茶を出した後に実部分を食べるようにすることでビタミンC補給源としても役立つのではないかと考えられています。


女性ホルモンの乱れに

クコの実に多く含まれている「βシトステロール」には女性ホルモンのバランスを整える働きがあると考えられています。またクコの実に含まれているベタインは月経促進薬などと似た作用を持つとする説もあり、枸杞子は無月経などに良いものの妊娠中・授乳中などに摂取しない方が良いとも言われています。

ホルモン系の働きについては医学的に認められていない部分もありハッキリとしていませんが、血行不良の改善に役立つため生理痛・月経時のお腹や腰の鈍痛(重さ)などの緩和には役立ってくれるでしょう。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケア・ヘアケアに

クコの実には天然の両性界面活性剤効果があるベタイン、抗酸化作用を持つビタミンやポリフェノール、収れん作用を持つタンニンなどが含まれています。特にベタインは高い浸透性を持つため保湿効果などが期待されていますし、帯電を防止するなどの働きを持つためヘアケア系化粧品にも頻繁に利用されています。

クコの実を精製水と日本酒などのアルコールに漬け込むことで手作り化粧水を作る事ができ、保湿・小じわ対策などに良いと言われています。ちなみにクコ実から抽出された“クコ果実エキス(抽出物)”は収斂剤・コンディショニング剤として肌・髪・爪用と幅広い化粧品に利用されており、最近はまつげ美容液などにも取り入れられているようです。

枸杞(クコ)の注意事項

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • お腹が弱い方は注意が必要です。