ハブ茶(エビスグサ/決明子)
健康茶と期待される効果効能紹介

お腹スッキリのサポート・目の疲れ軽減などに取り入れられる

ハブ茶はセンナ属に分類されるエビスグサの種子、生薬では決明子(ケツメイシ)と呼ばれる部位を焙煎したものを原料とする健康茶です。腸を刺激して蠕動運動を促すアントラキノン誘導体類を含むことから便通改善効果が期待されるほか、肝機能のサポートなどにも役立つと考えられています。またビタミンAを含むことと合わせて視機能の保持・疲れ目対策としても用いられることがあり、決明子という呼び名も目に良いことから命名されたと言われています。

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ハブ茶について

植物紹介:エビスグサ

スーパー・ドラッグストアなどの量販店でも目にする機会がある、比較的ポピュラーな健康茶「ハブ茶」。呼び名から毒蛇のハブ・沖縄などを連想される方も少なくありませんが、エビスグサと呼ばれるマメ科植物の種子を乾燥・焙煎し煮出したもののことを指します。乾燥させ焙煎していない種子部分は「決明子(ケツメイシ)」と呼ばれ生薬としても用いられていることから、エビスグサ茶やケツメイシ茶と呼ばれることもあります。

「ハブ茶」という呼び名は本来、同属別種のハブソウと呼ばれる植物を原料としたお茶の呼び名でした。しかしハブソウは収穫量が少ないため、成分にほとんど差異がなく栽培しやすいエビスグサで代用するようになったと言われています。生薬名の場合にはハブソウ種子は望江南(ボウコウナン)・エビスグサ種子は決明子(ケツメイシ)と呼び分けています。中国では古くから生薬として用いられていたと伝えられており、現在使われているエビスグサの種子であったのかは定かではありませんが、中国の医学古書『神農本草経』にも上品にカテゴライズされ収載されているそうです。

また決明子という生薬名は“明(めい)を決(ひら)く種子”=目が良くなることが由来ともされており、『神農本草経』や『本草綱目』などにも目の不調に対する効能が記されています。メボウキと呼ばれたバジルは洗眼など外用で用いられましたが、決明子の場合は内服用として利用されました。そのほか民間療法の中でも消化不調や便秘などにも古くから利用されてきたと言われています。健康茶として現在「ハブ茶」を取り入れる場合はお腹がスッキリしないなど、こちらの方の効果を期待してということの方が多いと考えられます。

ちなみに植物分類ではエビスグサもハブソウもセンナ属に分類されています。同属の植物には高い緩下(瀉下)作用を持つとして医薬品に利用されている“センナ(Senna alexandrina)”や、デトックスティーとして用いられる“キャンドルブッシュ(Senna alata)”などもあります。これらの瀉下効果はセンノシドという成分に由来しており、ハブ茶もアントラキノン誘導体と呼ばれる同系統下剤成分を含んでいますが作用は数段穏やかであると言われています。体質や摂取量によってはお腹を下してしまう危険性もありますが、食品(健康茶)として摂取する場合にはハブ茶の方が無難と考えられますね。

基本データ

通称
ハブ茶
別名
エビスグサ(胡草/恵比須草/夷草)、決明子(ケツメイシ)、Shicklepod(シックルポッド)、Coffee senna(コーヒーセンナ)
学名
Senna obtusifolia
※本来はハブソウ Senna occidentalis
科名/種類
マメ科センナ属/一年草
花言葉
誕生花
使用部位
種子
代表成分
アントラキノン誘導体(クリソファノール、オブツシフォリン、エモジンなど)、ビタミンA、タンニン
代表効果
緩下、整腸、利尿、血行促進、血圧降下、抗コレステロール、強壮
こんな時に
便秘、むくみ、デトックスサポート、二日酔い、肝臓疲労、視機能保持・眼精疲労予防、生活習慣病(高血圧、動脈硬化、糖尿病)予防、滋養強壮、肌荒れ
おすすめ利用法
健康茶
お茶の味
焙煎の香ばしい香り、味も少し苦いが麦茶などの焙煎茶に近い
カフェインの有無
ノンカフェイン

エビスグサの栄養・成分・期待できる効果

ハブ茶

デトックスサポートに

便秘改善に

ハブ茶の代表成分とも言われるアントラキノン誘導体は腸を刺激し、蠕動運動を促進する働きがあります。この働きから便通促進・便を柔らかくするなど下剤として作用すると考えられており、生薬としても潤腸通便=腸を潤わせることで便通を良くする効能を持つとされています。ただし刺激・緩下作用が高いため体質や摂取量によっては腹痛や下痢の原因ともなるため注意が必要です。健康茶(食品)ではありますが漢方薬としても用いられているものですから、飲用は1日に1~2杯程度に留めるようにしましょう。

またアントラキニン系成分を含むアロエやセンナなどを長期間服用すると、腸粘膜の筋力低下・色素沈着による大腸メラノーシス(大腸黒皮症)を起こす可能性も指摘されています。ハブ茶は作用が穏やかで安全性が高いと言われていますが、腸を刺激する成分が含まれていますので継続摂取は避けたほうが確実でしょう。同様の成分を含むハーブとのブレンドは避け、組み合わせる場合はハトムギ麦茶ジンジャーなどを使うようにしてください。


むくみ軽減・デトックスに

アントラキノン誘導体は緩下作用だけではなく利尿作用も持つと考えられています。余分な水分の排出をうながすことからむくみの改善、腎臓への負担を軽減などにも効果が期待されています。またアントラキノン誘導体は若干の毒性を持ち、肝臓を刺激することで肝機能を高める働きもあると言われています。肝臓は体内の解毒を担っている器官でもありますから、便秘・むくみ改善と合わせてデトックスサポートとしても効果が期待されています。


ダイエットについて

便通を良くする・むくみを軽減するなどの働きが期待されていることから、ハブ茶はスリミング系のブレンドティーなどダイエットサポート商品に配合されることがあります。しかし体内に蓄積されている便や水分の排出を促すことはポッコリお腹やパンパンに腫れた足などの改善・一時的な体重減少効果こそあれ、脂肪減少とは異なります。

刺激性成分の長期間摂取は身体が本来の持つ機能低下を引き起こす可能性もありますから「痩せるために」と飲み続けることはお勧めできません。抗肥満効果を示唆する実験報告もあるようですが、スタイルキープやデトックスの一時的なサポートにというくらいの認識で取り入れましょう。


健康サポートに

二日酔い予防・肝臓保護に

ハブ茶に含まれているアントラキノン誘導体は毒性成分でもありますので過剰摂取には注意が必要ですが、少量であれば肝機能向上に役立つと考えられています。このため肝臓疲労も回復・肝機能向上効果が期待され、肝臓サポートからアルコール分解機能の促進にも繋がるとして二日酔い予防などにも取り入れられています。中国で行われたラットを使った実験ではアルコール性肝硬変および脂肪肝の改善が見られたことも報告されており、肝臓保護作用を持つ可能性も示唆されています。


視機能保持・回復に

ハブ茶にはビタミンAが含まれています。ビタミンAは目の網膜で光を感じ脳に情報として伝えるロドプシンというタンパク質の主成分であり、光を受け分解したロドプシンの再合成にも必要とされています。そのほか光の受容体に存在することから色の見分け・暗いところでの視力確保などにも関係していると考えられていますし、粘膜などを保護する働きからドライアイ対策としても効果が期待されています。

こうした目・視機能のサポートと関わりの深いビタミンAを含む他、ハブ茶に含まれているアントラキノン誘導体も目の疲労軽減効果があるのではないかと考えられています。これは血液を浄化をする役割を持つ肝臓の働きが弱ることで、眼に十分な栄養が行き渡らなり疲れ目・かすみ・視力低下などを引き起こす可能性があるためだとか。中国医学では「肝は目に穴を開く」とされていますし、現代でも肝臓疲労は眼精疲労の原因となると考えられています。疲れ目や視力低下予防にはハブ茶のメグスリノキをブレンドして用いられることが多いようです。


生活習慣病予防に

アントラキノン誘導体はコレステロール低減作用を持つという報告もなされています。アントラキノン誘導体は利尿作用が期待されている成分でもありますし、ハブ茶にはタンニン他抗酸化物質が含まれていることから複合して高血圧や動脈硬化などの予防にも役立つのではないかと注目されています。血行不良に良いとされるのもコレステロール低下や抗酸化作用によるものでしょう。

またアントラキノン誘導体は血糖値上昇を穏やかにするという説もあり糖尿病やメタボリックシンドローム対策など、生活習慣病予防全般への有効性も期待されています。


滋養強壮・胃の健康維持に

ハブ茶に含まれているアントラキノン誘導体は滋養強壮に良いとも言われています。これは肝臓の働きを高める働きが期待されることに起因していると考えられます。肝臓は小腸で吸収された糖や脂質を体内で使える形に変換して貯蔵する・エネルギーに変えるなど代謝に関わる機能も担っている器官。また消化液の一種である胆汁を生成・分泌している部位でもあります。このため肝臓機能が回復し、滋養強壮に繋がるという考え方のようです。代謝をサポートすることからハブ茶は腸を温める作用があるとする説もありますが、中医学(生薬)としては若干体を冷やす性質を持つ“微寒”に分類されています。

そのほかアントラキノン誘導体は腸を刺激して便通を促す以外に、胃の働きを正常に保つとする説もあります。ただし胃では分解・吸収されない成分とも言われていますし、ハブ茶には胃の機能を阻害するタンニンも含まれているため実際にどう作用するかは微妙なところでしょう。


そのほか期待される作用

肌荒れ予防・改善に

便通改善やデトックス効果が期待できることから、ハブ茶は肌荒れの予防や改善にも役立つと考えられます。ビタミンAも皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあるため乾燥肌・肌荒れ予防に有効とされている成分。そのほか上皮細胞の生成にも関与しているため肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促進する働きも期待されています。抗酸化物質が含まれていると言われていますからアンチエイジング効果も期待できるでしょう。

ハブ茶の注意事項

  • 低血圧の方・下痢をしやすい方は使用できません。
  • 慢性肝炎、慢性腸疾患等の疾患がある方は使用できません。
  • 腸を刺激する成分が含まれているため、妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。