バードックルート/ゴボウ
ハーブティーと期待される効果効能紹介

バードックルートは日本で野菜として親しまれているゴボウのこと。日本でゴボウといえば野菜ですが、中国やヨーロッパでは薬用植物としての方が馴染み深い植物。ハーブティーとしてはむくみや便秘の解消役立つデトックスティーとして、老化防止に役立つアンチエイジングティーとして取り入れられることもあるんだとか。日本でもごぼう茶はイヌリンなどの水溶性食物繊維が豊富なことが注目され、腸内環境改善や血糖値抑制などをサポートしてくれる健康茶として親しまれていますね。

画像:バードックルート(牛蒡/ゴボウ)

 

バードックルートについて

植物紹介:バードック(ゴボウ)

バードックルートと言うと聞きなれない言葉ですが、日本の食卓で野菜としてお馴染み「ゴボウ(牛蒡)」のことです。burdock(バードック)という英名は、クリなどのイガを表すburとタデ科植物のギシギシを表すdockを合わせたもの。ギシギシに似た葉の形と総苞にトゲのある花から命名されており、花言葉の「私に触れないで」などもこの刺っぽい外見に由来していると考えられています。

バードック(ゴボウ)はユーラシア大陸原産のキク科植物。縄文時代の遺跡からもゴボウの存在が確認されていることから、日本にもかなり古い時代に中国から伝えられたと考えられています。ちなみにゴボウは日本と朝鮮半島・台湾・中国一部地域でしか食用利用はされません。英米人捕虜がゴボウを出されたことを「虐待だ」と訴えた戦犯裁判の話なども知られていますが、欧米諸国でも食用にはしなくともハーブとして用いられています。中国でも生薬としての利用が主で、根部を「牛蒡根」として発汗・利尿・解毒・皮膚疾患などに、実は「牛蒡子」もしくは「悪実」と呼んで風邪・湿疹・慢性炎症・利尿などに利用しています。

日本では平安時代には栽培が行われるようになり、薬草もしくは生薬として宮中で利用されていました平安時代後期には宮廷料理に利用されたという記載も見られますが、一般に広く食べられるようになったのは江戸時代以降と考えられています。1643年に刊行された料理本「料理物語」に幅広く調理できる食材として紹介されています。
戦後は「繊維質が多く栄養がない」と言われた時期もありますが、近年は食物繊維とポリフェノールを多く含む健康食材として人気なほか、ごぼう茶が「若返りの妙薬」と報道されたこともあり飲料としても多くの方に親しまれています。

基本データ

通称
バードックルート(Burdock root)
別名
牛蒡(ゴボウ/ギュウボウ)、馬蕗(ウマブキ)
学名
Arctium lappa
科名/種類
キク科ゴボウ属/多年草
花言葉
私に触れないで、用心、人格者、いじめないで
誕生花
3月29日、12月19日
使用部位
根部
代表成分
食物繊維(イヌリンなど)、ポリフェノール類(タンニン、リグナン、クロロゲン酸など)、苦味質、飽和脂肪酸
代表効果
緩下、消化促進、強肝、解毒、浄血、血行促進、利尿、発汗、抗菌、抗細菌、抗真菌、収斂、抗酸化
こんな時に
消化促進、便秘、むくみ、膀胱炎、老廃物排泄促進(デトックス)、冷え性、免疫力向上、痛風リウマチ、関節炎、坐骨神経痛、ニキビ、湿疹、肥満予防、老化防止
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーブチンキ、湿布、食用野菜
ハーブティーの味
少し牛蒡特有の土臭さがあるものの、風味ともに香ばしい
カフェインの有無
ノンカフェイン

バードックルートの栄養・成分・期待できる効果

バードックルートティー(ゴボウ茶)

便秘やむくみ緩和、デトックス

便秘の解消に

バードックルートティー(ゴボウ茶)の働きとして注目されている1つに便秘解消効果があります。野菜としてのゴボウも食物繊維が豊富なことで知られていますが、お茶で飲むメリットととしては「水溶性食物繊維」を多く摂取できることがあります。

食物繊維は不溶性・水溶性共に便秘の解消に役立つ一方、不溶性食物繊維は腸機能が低下していたり、腸に炎症があると腸に負担がかかる・腸を刺激して炎症を悪化させてしまうことがあります。抽出されたバードックルートティーは不溶性食物繊維(固形物)を含まず、ゲル状になって便を柔らかくする働きのある水溶性食物繊維だけを含みます。このため腸を著しく刺激せず穏やかな便秘解消効果が期待出来ると考えられています。

またゴボウに含まれている水溶性食物繊維のイヌリンは分解されるとフラクトオリゴ糖として働き、腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を増加・活性化させる働きが認められています。腸内フローラのバランスが改善されるため、便秘の根本対策としても効果が期待できるでしょう。


むくみ解消・デトックス

ごぼう茶はむくみ改善に役立つお茶としても女性に親しまれています。ハーブとしては発汗・利尿作用があると言われています。バードックルートティー(ゴボウ茶)は古くから優れた血液浄化作用や肝臓の解毒効果を持つお茶とされ、利尿・発汗・緩下・胆汁分泌促進作用と合わせて老廃物の排出(デトックス)に役立つと考えられてきました。

尿酸の排泄を促す働きもあるとされ、痛風やリウマチ、神経痛、関節痛などの改善にも有効と言われています。デトックスティーとして利用する場合はダンデライオン(タンポポ茶)ネトルなどとブレンドして用いると良いでしょう。


血糖値抑制・ダイエット

バードックルートティー(ゴボウ茶)に含まれるイヌリンなどの水溶性食物繊維は水に溶けるとゲル化し、胃から小腸への食べ物の移動を緩やかにして食後の血糖値変動を穏やかにする働きもあります。そのため糖尿病予防にも効果が期待されています。

また便秘やむくみの改善やデトックスにも役立つことからダイエットティーとしても利用されています。コレステロールや中性脂肪を抑える働きが期待出来るポリフェノールなども含んでいますので、ダイエット中の方や偏った食生活・生活習慣病が気になる方にも役立ってくれるでしょう。


そのほか期待される作用

冷え性改善

バードックルートティー(ゴボウ茶)にはサポニンが含まれているとする説があります。サポニンには血小板の凝縮を抑えることで血液を流れやすい状態に整え、血流を改善する働きがあります。またサポニンは抗酸化作用によって脂質や悪玉コレステロールの酸化を防ぐ=過酸化脂質の生成を防ぐと考えられており、こちらからも血液状態を整えて血行促進効果が期待出来ます。

ただしゴボウ茶の商品説明や公的な論文等にサポニン含有量の記載が見られないことなどから「ゴボウ茶はサポニンを含まない」とする説もあります。この論争については決着がついていませんし、サポニンを含まないにしろ抗酸化作用のあるポリフェノールなどがバードックルートには含まれています。気になる方は自分に合うか・効果を感じられるかを試してみると良いでしょう。


アンチエイジングに

メディアで「若返りの妙薬」として紹介されアンチエイジングティーとしても注目を集めたバードックルートティー(ゴボウ茶)。抗酸化作用を持つクロロゲン酸やリグナンなどのポリフェノールを含んでいるほか、ペルオキシダーゼやセレンなどにも活性酸素除去能力があると考えられています。

これらの成分が相乗することで老化防止・アンチエイジングに役立ってくれるでしょう。また腸内善玉菌が活発であれば体内毒素の減少・ビタミン類やセロトニンの分泌量向上効果なども期待できますので、合わせてアンチエイジングに役立ってくれそうです。


美肌作りに

バードックルートティー(ゴボウ茶)に含まれているポリフェノールなどの抗酸化物質はお肌においても老化予防・防止効果が期待出来ます。また水溶性食物繊維イヌリンの働きで腸内環境が整うことで便秘による肌荒れの予防、血液循環の改善からくすみや乾燥肌の緩和効果なども期待出来ます。

その他にもバードックルートは血液浄化・解毒作用があると考えられるため慢性の皮膚炎症(湿疹、乾癬、腫物、ただれ)などの改善や、殺菌・抗菌作用からニキビ・肌荒れなどの改善にも有効と考えられています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

痛みの緩和に

布にバードックルートティー(ゴボウ茶)を浸して湿布・パップとして利用することでリウマチ、関節炎、神経痛、痛風などの痛みの緩和に役立つと言われています。


スキンケア・ヘアケアに

バードックルートティー(ゴボウ茶)は外用でも肌荒れ・湿疹や痒みの緩和に有効とされています。抗菌や抗真菌作用があるためニキビや水虫のケアにも効果が期待出来ます。コスメに混ぜるような形ではなく、湿布・パップとして患部に当てて使う方法が一般的です。

またドイツではバードックとネトルで頭皮を頭皮マッサージ用のヘアローションに用いることもあるようです。ペットの皮膚・毛を清潔に保つために利用する方もいるようです。

バードックルートの注意事項

  • キク科植物にアレルギーのある方は注意が必要です。
  • 妊娠中の方や小さなお子様への使用は控えましょう。