玉ねぎの皮茶
健康茶と期待される効果効能紹介

高い抗酸化作用や脂肪吸収抑制効果などが期待される健康茶

普段家庭で利用する際には捨ててしまう“玉葱の皮”ですが、食用している白い部分の数十倍と多くのポリフェノール(ケルセチン)を含む存在として注目されています。血液サラサラ効果や血糖値上昇抑制効果から生活習慣病予防に、脂肪吸収抑制効果が期待できることからダイエットサポート茶としてや、高い抗酸化作用からアンチエイジング・アレルギー緩和としてなど、様々な健康・美容サポート効果が期待されています。

画像:玉葱(タマネギ/オニオン)

 

玉ねぎの皮茶について

植物紹介:玉ねぎ

サラダ・スープから煮物やお味噌汁の具まで、日本の食卓でも定番野菜の一つといえるタマネギ。どんな料理にも使いやすい野菜としては勿論ですが、近年は抗酸化作用が高く健康維持に役立つ食材としても注目されています。タマネギ由来成分を売りにしたサプリメントやタマネギと酢の相乗効果を狙った“酢タマネギ”がブームになったことは記憶に新しいですし、普段は捨ててしまう皮部分もポリフェノールが豊富に含まれているためお茶として飲む方法が提唱されています。

植物として見るとタマネギはネギ属に分類され、普段タマネギとして食べている部分は鱗茎(りんけい)と呼ばれる葉が重なり合った部分。同属で同じく鱗茎を食用とするものにラッキョウやニンニクなどがあります。原産地は中央アジア辺りとする説が有力で、紀元前5000年以上前から食用とされていたと言われるほど人との関わりの歴史が長い存在です。紀元前3000年頃には古代エジプトで栽培が行われていたと考えられており、ピラミッド建設作業員にニンニクと同様にタマネギも配られていたそうです。

その後古代ローマ人に好まれたタマネギはローマ軍遠征と共にヨーロッパの広範囲へと伝播して行ったと考えられています。東ヨーロッパに伝わったタマネギは現在私達がタマネギと聞いてイメージする生だと辛味の強い“辛タマネギ群”に、南ヨーロッパに伝わったタマネギはサラダなどに使われる生でも辛味の少ない“甘タマネギ群”と系統が分かれていきます。
16世紀には両系統共にアメリカ大陸へと導入され、更に品種改良が行われて各品種が確立していきます。日本には江戸時代くらいに伝わりましたが観賞用とされ、食用として利用されるようになったのは明治時代になってからのことです。

現在は国産野菜の収穫量トップグループに含まれていますし、和食の中にもすっかりと定着しているタマネギですが、日本の食卓に登場するようになったのはさほど古くからと言うわけではありません。ここまで日本がタマネギ消費国になったのは、元々近縁種である“ネギ”を食べる文化があったから馴染みやすかったのではないかとする説もあるようです。
ちなみに属名のalliumはラテン語でニンニクを、種小名cepaはタマネギを意味する言葉ですが、cepaというラテン語の由来はケルト語の「頭」を意味する言葉とする説もあります。日本でも戦前までは「葱頭」が正式和名として利用されていました。

基本データ

通称
玉葱(タマネギ)
別名
Onion(オニオン)
学名
Allium cepa
科名/種類
ヒガンバナ科(ユリ科)ネギ属/多年草
花言葉
不死
誕生花
使用部位
代表成分
ケルセチン、食物繊維、フラクトオリゴ糖、ビタミン類、ミネラル類
代表効果
抗酸化、血流改善、血糖降下、中性脂肪抑制、抗コレステロール、抗炎症、脂肪吸収抑制、整腸
こんな時に
血液サラサラ、生活習慣病予防(高血圧・糖尿病・動脈硬化など)、関節痛、アレルギー症状(花粉症・アトピー性皮膚炎など)、便秘改善、デトックス、肥満予防、シミ・シワ予防
おすすめ利用法
食用、ハーブティー
お茶の味
オニオンスープに近い香り、味は薄く苦味と香ばしさがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

玉ねぎの皮の栄養・成分・期待できる効果

玉ねぎの皮(オニオンティー)

健康維持・増進に

老化予防(抗酸化)

玉ねぎの皮茶の代表成分とも言えるのがフラボノイド類に分類されるポリフェノール「ケルセチン」。ケルセチンは黄色色素成分ですので、普段食べている玉ねぎ本体にも含まれていますが、皮部分の方が約20~30倍と言われるほどケルセチンを多く含んでいます。そのためケルセチンの摂取源として皮部分のほうがより優れていることから玉ねぎの皮茶が注目されています。

ケルセチンはフラボノイドの中でも強い抗酸化活性を示すとされており、活性酸素による酸化ダメージ抑制に対して高い効果があるとされています。またケルセチンはビタミンCを安定化させる働きがあるビタミンPの一つにも数えられています。ケルセチン自体の抗酸化力だけではなく、ビタミンCの働きと相乗して抗酸化(アンチエイジング)に高い効果が期待できるでしょう。


血液サラサラ効果

玉ねぎの皮茶の代表成分がケルセチンであれば、代表効果ともいえるのが「血液サラサラ効果」です。抗酸化物質には活性酸素によって赤血球の柔軟性が低下するのを防ぐ働きや、動脈へコレステロールが蓄積することを防ぐなどの働きがあります。ケルセチンの摂取量が多いほど悪玉コレステロール値が低い傾向にあることも報告されていますから、コレステロール自体の低下作用も期待されています。

またケルセチンを摂取することで食後の血管内皮機能の改善が見られることも報告されています。血管内皮機能というのは血管の内側の細胞機能のことで、血管壁の収縮弛緩や血管透過性など血管機能の調整を行っています。これらのことから玉ねぎの皮茶はスムーズな血流をサポートする働きによって、血圧上昇抑制・血圧降下や、動脈硬化・血栓などの血流トラブルを予防する働きが期待されています。生活習慣病予防としても注目されていますね。


血糖値が気になる方に

ケルセチンはインスリン感受性を高める(インスリン抵抗性を改善する)と考えられています。インスリン感受性の低下もしくはインスリン抵抗性というのは、インスリンの分泌・働き自体に問題はないものの“効き”が悪く、インスリンが分泌されていても血糖値が下がりにくい=高血糖になりやすい状態のことを指します。つまりケルセチンはインスリンの効果を高め、血糖値上昇を抑える働きが期待されています。
アメリカ国立衛生研究所の発表ではケルセチンを1日2000mg、3ヶ月間摂取した糖尿病予備群の男女が投与したところ有為な血糖値低下が見られたことも報告されています。

また高血糖状態の場合は血液がドロドロになり、毛細血管をスムーズに循環することが出来ないために糖尿病合併症を引き起こす事があります。血液・血管状態を改善する働きを持つケルセチンはこの合併症の予防に対しても有効と考えられています。ケルセチンを豊富に含む玉ねぎの皮茶も糖尿病予防や悪化・合併症効果が期待できるでしょう。


関節痛の緩和に

ケルセチンの抗酸化作用は、活性酸素による筋肉減少を抑制する働きがあることが報告されています。老化による関節痛は軟骨の減少のほか、関節を支えてクッションのような役割を持つ筋肉の減少も関係しています。このため筋肉減少を抑制する働きのあるケルセチンを軟骨再生を促すグルコサミンやコンドロイチンなどと一緒に摂取することで、関節痛の改善効果が期待されています。加えてケルセチンは抗炎症作用をもつため、より直接的な痛み緩和にも役立つと考えられています。


花粉症などアレルギー症状の緩和

ケルセチンにはアレルギーの原因物質であるであるヒスタミンに対して、強い抑制作用があるとされています。このため花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の緩和・体質改善についても効果が期待されています。腸内環境改善や脂肪・老廃物の排出促進作用からも免疫力の強化(正常化)が期待できるでしょう。

アトピー性皮膚炎の場合は活性酸素と脂質が結合して過酸化脂質が発生し、過酸化脂質が皮膚の保湿成分や保湿機能を低下させることで症状が悪化すると考えられています。またアレルギー症状を起こしている部分に活性酸素が生じることで炎症を悪化させる・長引かせるという説もありますので、“抗酸化”という点からもアレルギー症状の緩和改善に役立つと考えられています。


ダイエット・美容面への働き

便秘・腸内フローラ改善に

タマネギは野菜の中でもオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)を多く含んでいます。オリゴ糖は腸内で善玉菌の餌になることで善玉菌の増殖・活性化をサポートし、腸内環境を整える働きがあります。加えてケルセチンにも善玉菌を保護して腸内環境を改善する働きがあるとされていますから、相乗して腸内フローラを整え便通改善や免疫力向上などに役立つと考えられています。玉ねぎの皮には食物繊維も含まれていますから、腸内フローラに働きかけるこれら成分と相乗して便秘の改善にも効果が期待できるでしょう。


デトックス・肥満予防に

ケルセチンには油と結合する性質があり、腸内の脂肪と結びつくことで便として体外への排出を促進する働き(デトックス効果)があります。この働きから腸管による脂肪吸収抑制効果が期待できますし、肝臓での脂肪燃焼・排出を促すことで肝機能を改善する働きもあると考えられています。この働きからタマネギも玉ねぎの皮茶も肥満予防・ダイエットサポート食品として注目されています。


美肌・紫外線対策に

ポリフェノールの一種で強い抗酸化作用を持つケルセチンは、肌のアンチエイジングにも役立ってくれます。紫外線や加齢などによる活性酸素のダメージを防ぐことでシミやシワ・たるみ・くすみなどの予防に役立ちますし、血液サラサラ効果から肌の新陳代謝向上・ターンオーバーを正常化させダメージを受けた肌の回復を促す働きも期待できます。

またケルセチンは不安定なビタミンCを安定させることで、ビタミンCの働きをサポートしてくれる働きがあります。ビタミンCは抗酸化作用だけではなく、美白(メラニン色素生成抑制)効果やコラーゲン生成促進作用などもありますから、ビタミンCと合わせて摂取するとより高い効果が期待できます。ブレンド茶にする場合は柿の葉茶緑茶などと組み合わせると良いでしょう。


玉ねぎ皮茶の作り方

ご自宅で料理などに使ったタマネギの皮を再利用して玉ねぎ皮茶を作ることが出来ます。作り方は玉ねぎの皮を綺麗に水洗いして乾燥させたものを、沸騰したお湯に入れて3分程度煮立たせるだけ。

量は水500mlに対して玉ねぎ2~3個分の皮、とするものが多いようですがお好みに合わせて調整するようにしましょう。また内側の皮ほどタマネギっぽさが強くなるので、全体を使うか、外側のパリパリした部分だけを使うかで風味は変わってきます。こちらも好みに合わせて使う部分を選択するようにしてみてください。濃い目の味が好き・栄養成分を余すところ無く摂取したいという場合はフードプロセッサーなどで粉末化して利用する方法もあります(※残留農薬等に注意が必要です)。

玉ねぎの皮茶は量・煮詰め具合にもよりますが味はあまり濃くないので、玄米茶など他のお茶と組み合わせたほうが飲みやすいです。レモンや蜂蜜・生姜などを加えて飲む方や、スムージに玉ねぎ皮粉末を加えて飲む方もいらっしゃいます。お茶として飲む以外に、出汁のように利用することで料理の隠し味としても活用出来ます。そのままだと飲みにくいという方はお味噌汁などのベースに利用すると取り入れやすいかもしれません。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

タマネギの皮ではありませんが、タマネギを使った民間療法をご紹介します。

不眠症の緩和に

タマネギの香りには副交感神経をリラックスさせて眠りを誘う働き(催眠作用)があるのではないかと考えられています。日本テレビ系「所さんの目がテン!」でもタマネギのみじん切りを詰めた“タマネギクッション”を置いた場合に園児がお昼寝をしやすかったこと・脳波測定でタマネギの臭いを嗅ぐと入眠時出現するθ波が活発化したことが報じられました。


咳・風邪の緩和に

生タマネギを切るときに涙が出る原因とも言われている「硫化アリル」という成分には強い殺菌作用があります。汁などが飛んでいなくても涙が出るように、硫化アリルは気化しやすい性質があるため食べずに近くに置いておくことでも喉や鼻など呼吸器系の殺菌に役立ってくれるそうです。ネギを喉に巻くという民間療法もこの硫化アリルの働きに由来していると考えられます。

殺菌以外にも硫化アリルには血液サラサラ効果・毛細血管を広げることで血流を促すなどの働きがありますから、体を温めて発汗促進→解熱にも役立つとされています。寝付きを良くする働きも期待できるので、風邪を引いて早く休みたい時や咳き込んで寝付けない時など、半分~四分の一くらいにカットしたタマネギを枕元に置いておくと良いかもしれません。


虫刺され・炎症ケアに

タマネギには殺菌作用・抗炎症作用があるとされることから、虫刺されで炎症を起こしている部位にスライスした生タマネギを湿布のように当てることで痒みの緩和効果があると言われています。すりおろしたタマネギは皮膚炎症の緩和にも利用できると言われていますが、いきなり炎症箇所に付けると悪化させてしまう可能性がありますので注意が必要です。

その他にコラーゲン生成を助ける働きがあるため玉ねぎの汁を古い傷跡(変色)に塗ると目立ちにくくなる・玉ねぎの皮茶を更に煮詰めて濃縮したものは日焼け止め効果がある・焼けてしまった肌にカットタマネギを押し付けると良いなどの説もあります。

玉ねぎの皮の注意事項

    お茶として通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。

  • 妊娠中・授乳中の方は摂取量に注意してください。
  • 医薬品、特に血圧・血流関係の薬を服用中の方は医師・薬剤師に相談しましょう。