ソロモンシールティー(ドングレ茶)
ハーブティーと期待される効果効能紹介

疲労回復や美肌効果が期待できる韓国茶として再注目されたお茶

日本では山菜の一つとして食されてきたアマドコロ。韓国で飲まれてきたドングレ茶(トゥングルレ/トングレ茶とも)が注目されるようになり、美白・美肌など美容面での効果を期待して取り入れる方も増えているようです。また伝統的に強壮・疲労回復用としても取り入れられてきた存在ですし、水溶性食物繊維を含むことから肥満予防や糖尿病予防などにも効果が期待されています。

画像:ソロモンシール(アマドコロ)

 

ソロモンシール(アマドコロ)について

植物紹介:ソロモンシール

ソロモンシール、と言ってもピンとこなくともでも、和名のアマドコロもしくは韓国のトゥングルレ茶(ドングレ/トングレ茶とも)と言うと聞き覚えがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本でも韓流ブームの影響などから流通が増えているトゥングルレ茶はかつて朝鮮王朝では高麗人参茶よりも重宝された美容健康茶とも言われ、気軽に飲めるようになった現在では麦茶やコーン茶と並んでポピュラーな存在なのだそう。比較的クセがなく親しみやい風味であることに加え、老化予防・美肌に役立つと紹介されたことも日本で注目される要因となったのかもしれませんね。

英名の“Solomon’s Seal(ソロモン王の印章)”という呼び名は膨らんだ根茎に残る断面が古代の印章に似ているためと言われており、属名のPolygonatumも地下茎の印象からギリシャ語の多い+節という言葉が語源となっています。ヨーロッパでソロモンシール=アマドコロ属の植物は根を家の四隅に置くと家を守る・煎じ汁を撒くと悪霊を払うなどと考えられていた時期もあるそうです。現在でも健康茶としてだけではなく魔術系・スピリチュアル面のサポートとして購入する方も居らっしゃるのだとか。

ところでソロモンシールはアマドコロ属の総称として用いられる言葉ですが、その中には50以上の種類が含まれています。このうちハーブ感覚で用いられるのは和名アマドコロ(甘野老)と呼ばれるPolygonatum odoratum・ナルコユリ(鳴子百合)と呼ばれるPolygonatum falcatumの二種が主となっています。生薬としては滋養強壮に良いとされる黄精(オウセイ)はPolygonatum falcatumの根茎、玉竹(ギョクチク)または萎蕤(イズイ)と呼ばれているものがPolygonatum odoratumの根茎と区分されています。ただし生薬名も園芸用の呼び名も、混同が多いとも言われていますので学名を見るようにしたほうが確実でしょう。

ちなみに日本に自生しているアマドコロはPolygonatum odoratum var. pluriflorumとされ、一変種として扱われていますです。根茎がヤマノイモの近縁であるオニドコロに似ているが甘い=アマドコロと命名されたとも言われています。日本では東北地方などではタケノコとアスパラの中間のような若芽が山菜として食されてきましたから、根も薬用植物というよりは山菜(食材)という認識が強かったのではないかと考えられます。若芽はアスパラ感覚でお浸しや炒め物に、根は芋感覚で茹でたり天麩羅にして食べると美味しいようです。

基本データ

通称
ソロモンシール(Solomon’s Seal)
別名
甘野老(アマドコロ)、鳴子百合(ナルコユリ)、玉竹(ギョクチク)、萎蕤(イズイ)、둥굴레차(ドングレ/トゥングルレ/トングレ茶)
学名
Polygonatum odoratum(アマドコロ)
Polygonatum falcatum(ナルコユリ)
科名/種類
キジカクシ科アマドコロ(ナルコユリ)属/多年草
花言葉
元気を出して、心の痛みの分かる人、小さな思い出
誕生花
5月23日、6月8日
使用部位
根茎
代表成分
食物繊維(オドラタン、フルクタン)、強心配糖体(コンバラマリン、コンバラリン)、ケリドリン酸、ニコチン酸、タンニン、フラボノイド、アルカロイド
代表効果
強壮、強心、代謝向上、血行促進、整腸、血糖値上昇抑制、抗酸化、消炎
こんな時に
滋養強壮、疲労回復、血行不良、便秘・下痢、肥満予防、アンチエイジング、美白、生活習慣病予防
おすすめ利用法
健康茶、湿布
お茶の味
濃い目のほうじ茶のような風味で、ほろ苦いが微かに甘みがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

ソロモンシール(アマドコロ)の栄養・成分・期待できる効果

アマドコロ/ドングレ茶(ソロモンシールティー)

韓国のドングレ茶は一般的に“アマドコロの根(玉竹)を煎じたお茶”とされていますが、アマドコロ属植物の根・黄精を煎じたものとしている人・販売社もありハッキリとしません。英名のソロモンシールと同じように総称なのかもしれません。下記ではアマドコロ(Polygonatum odoratum)の方を主としてご紹介します。

元気な日々のサポートに

強壮・疲労回復に

トゥングルレ茶は滋養強壮や疲労回復に役立つお茶として紹介されることが多いかと思います。韓国では病後の回復用などに用いられることもあるそうですし、日本でもアマドコロ茶や酒に漬け込んで作った薬用酒は民間療法として強心・強精・疲労回復などに用いられていました。

成分としてはコンバラマリンやコンバラリンなどの配糖体やニコチン酸などが複合して働くことで代謝を高める働きがあると考えられています。またアマドコロに含まれているコンバラマリンやコンバラリンは“強心配糖体”とも呼ばれるように、有毒物質ともされていますが少量の場合は強心剤として働くと考えられています。代謝促進と強心作用が合わさることで強壮効果がある・疲労回復に繋がるのではないかと考えられます。

作用の強い成分を含んでいますから、日常使いであればでルイボスティーをメインにアマドコロを少量足すなどして取り入れてみると良いでしょう。より頑張りたい時にはワイルドヤムやシベリアンジンセンなど、合わせるという方もいらっしゃるようです。


血行不良・冷え緩和に

アマドコロには脂質代謝向上や毛細血管拡張作用を持つニコチン酸(ナイアシン)を含が含まれています。ニコチン酸の脂質代謝向上は血液を綺麗に保つことにも繋がしますから、毛細血管のみならず全体の血行促進にも効果が期待されています。強心作用や代謝促進作用と合わせて冷え性の改善にも役立つのではないかと考えられていますが、漢方の考え方だとアマドコロ茶(トゥングルレ茶)は冷え性の人に良くないという見解もあります。

冷え改善については向いている・不向きであるの両説ありますから、気になる方は生姜など体を温める働きがあるものと組み合わせてホットで飲む、お茶ではなく薬酒にするなどして飲むと良いでしょう。体に合わないと感じた場合は止めるようにしましょう。


整腸・便通改善に

アマドコロの代表成分とも言われるのがオドラクタン、フルクタンなどの多糖類です。これらは水溶性食物繊維に分類され、便の水分量を調節して排便に適した固さを保持し、便秘や下痢を改善する整腸作用があると考えられています。また腸の善玉菌の増殖を助けることで腸内フローラのバランスを良くする働きもありますから、お腹の調子が乱れやすい方の根本改善としても期待できるでしょう。


美容面での働きかけ

ダイエットサポートに

アマドコロに含まれているコンバラマリンやニコチン酸は代謝を促す働きが期待されています。またフルクタンなどの水溶性食物繊維も腸内フローラを整えることで間接的に代謝向上に繋がると考えられていますし、糖の吸収を抑えることで血糖値上昇を抑制することでも肥満予防に役立ってくれるでしょう。


老化予防・美白に

アマドコロ茶(ドングレ茶)は美容サポート茶としても注目されています。古くは中国最古とされる薬物書『神農本草経』には食べ続けると顔のシミや黒ずみが取れ艶と潤いが高まる・体が軽くなって長寿を保つという効能が書かれているのだとか。現代風に言うと美白や美肌に役立つアンチエイジングハーブ、というところでしょうか。漢方では滋陰作用=体液を補う作用があり乾燥対策に良いとも言われており、現代でも中国では美肌・美顔用として需要が高いのだそうです。

成分的にも抗酸化作用があるフラボノイドやタンニン、新陳代謝向上が期待できるコンバラマリンなどを含んでいるため、アンチエイジングや皮膚のターンオーバー正常化に役立つと考えられています。2006年に中日新聞で取り上げられた岐阜大学の研究グループによるマウスを使った実験では、乾燥アマドコロ粉末の入った水溶液を投与されたマウスの方が通常飼育マウスよりもコラーゲン線維の並びに乱れがなかった=シワを出来にくくする効果を持つ可能性があることも報告されています。

そのほかチロシナーゼ活性阻害作用を持つキノン類を含み、メラニン色素の生成を抑えてシミ予防に役立つとも言われています。フルクタンなどの水溶性食物繊維によって腸内環境を整えることは便秘(老廃物)による肌荒れ予防・腸内細菌によるビタミン合成活発化に繋がりますから、肌をキレイに保つサポートとしても役立ってくれるでしょう。


そのほか期待される作用

生活習慣病予防に

アマドコロに含まれている水溶性食物繊維の一種“フルクタン”は整腸作用だけではなく、血液中の中性脂肪・コレステロール低減作用が認められている成分でもあります。このためフラボノイドなどの抗酸化物質の働きと合わせて、高血圧や動脈硬化の予防に役立つのではないかと注目されています。またフルクタンは糖の吸収を抑制することで血糖値上昇を抑えつ働きもありますから、糖尿病予防にも効果が期待されています。


呼吸器系の不調に

アマドコロ(玉竹)は空咳や気管支炎など呼吸器系の不調に良いとも言われますが、これは漢方で滋陰・潤肺・生津の効能があるとされている影響が大きいかと考えられます。生津=喉の乾きを取る働きと肺を潤す働きから、口や喉の渇き・それによる液などの炎症などの軽減に役立つとされているようです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

湿布代わりに

アマドコロは消炎作用があると考えられ、民間療法ではアマドコロを湿布代わりに外側からも利用してきました。方法としては生の根茎をすりおろしたもの、もしくはそれに少量の小麦粉を加えて練ったものを患部に塗って置いておくもので、捻挫・打撲・腰痛などのほか湿疹や疼痛などにも良いと言われています。乾燥させた根茎を粉末にして酢で溶いて使うという方法もあるそうです。

ただしアマドコロを皮膚につけるとアレルギー反応を起こす可能性もありますので注意が必要です。現代では商品化された湿布が手軽に手に入りますし、天然にこだわるにしろアマドコロより流通量が多く使いやすいハーブも多くありますから、特に理由がない限り利用はお勧めできません。


スキンケア

アマドコロは古い時代から美白・美肌作用を持つと考えられていました。中国では保湿のために入浴剤やパックなどにも使っていたそうですし、日本でも上で紹介した根茎の擦りおろし湿布(パップ)も、昔はシミやソバカスを薄くする方法として使われていたそうです。

現代でもアマドコロエキスにはメラニン合成に関わるチロシナーゼの活性抑制作用がある・抗酸化作用があるという実験報告がなされています。このためアンチエイジングや美白成分として注目されていますし、コンバラマリンなどの働きで新陳代謝が促されるので出来てしまったシミを改善する働きも期待されています。フルクタンなどの水溶性食物繊維(多糖類)も保湿効果がありますから、乾燥肌対策にも役立ってくれそうですね。

そのほかステロイドサポニンを含み抗炎症作用をもたらすという説もあり、幅広い効果が期待できる美肌成分として化粧品にも配合されています。ただしアレルギー反応を起こしてしまう可能性も指摘されていますので、自作化粧品などの原料に使うのは避けたほうが確実でしょう。

ソロモンシール(アマドコロ)の注意事項

    アマドコロについての十分なデータがないこともあり禁忌・注意事項などが明確に定まっていません。お茶として伝統的に飲まれてきたこと・食材として利用されていたことから少量の摂取については問題がないと考えられていますが、毒ともなりうる強心配糖体を含むため多量摂取は避けるようにしましょう。妊娠中・授乳中の飲用も控えたほうが確実です。