ギムネマ茶(ギムネマ・シルベスタ)
健康茶と期待される効果効能紹介

甘みを感じにくくするアーユルヴェーダハーブ

摂取した後に甘いものを食べると甘さを感じなくなるハーブとして、ダイエットにも取り入れられているギムネマ。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは古くから糖尿病対策として用いられてきた存在でもあります。作用秩序などについても未解明な点が多く、現在の段階では糖尿病予防への有効性は認められていませんが、血糖値上昇抑制に対する有効性が示唆されている実験報告もあることから血糖値が気になる方のサポートとしても取り入れられています。

Gymnema sylvestre medicinal herb at Kambalakonda Visakhapatnam

 

ギムネマについて

植物紹介:ギムネマ・シルベスタ

ミラクルフルーツと共に、味覚を変える作用があるハーブとして知られるギムネマ。チョコレートなどの甘いものが美味しくなく感じることに加え、小腸からの糖の吸収抑制効果を持つ可能性があると報じられたことでダイエットハーブとして脚光を浴びるようになったハーブの一つです。減肥茶などダイエットサポートをやダイエット系のサプリメントの原料の中にギムネマ、もしくはギムネマ・シルベスタという表記を目にしたことがある方も少なく無いのではないでしょうか。

植物としてはキョウチクトウ科ギムネマ属(旧分類ではガガイモ科ホウライアオカズラ属)に分類されるツル性植物で、学名はGymnema sylvestre。単にギムネマと呼ばれることもありますが、ギムネマ属には100以上の種があるので学名から“ギムネマ・シルベスタ”と呼び分けることもあります。そのほかヒンドゥ語のGurhmar(グルマール)・サンスクリット語のMeshashringi(メシャシュリンギ)なども呼称として一部で用いられています。

ギムネマ原産地はインドの中南部からスリランカにかけての熱帯林地帯と考えられており、現在はインドを中心とした熱帯・亜熱帯アジアに自生しておいます。原産地であるインドの伝統医学アーユルヴェーダでは5000年前からハーブとして利用してきたと伝えられています。またギムネマの甘みを消す作用が発見されたのは19世紀頃とされていますが、アーユルヴェーダでは2000年以上前から糖尿病の治療に取り入れられていたそう。大々的に発見したと発表こそされていなかったものの、葉を噛んでいると舌が甘味を感じなくなるということは知られていたのでしょう。
余談ですがヒンドゥ語のGurhmar(グルマール)という呼び名も“甘みを壊すもの”を意味していると言われています。糖尿病以外にもアーユルヴェーダでギムネマは強壮薬・胃腸薬・利尿薬などとしても用いられていたようです。

世界的にギムネマの存在が知られるようになったのは19世紀にインド駐在のイギリス人将校が「甘味を消す不思議な作用のある葉」と本国に報告して以降となります。1892年になるとイギリスの化学者がこの甘みを感じにくくする成分の抽出に成功し“ギムネマ酸”と名付けられました。ギムネマやギムネマ酸については動物実験などの研究結果として様々な有効性を持つ可能性が示唆されているものの、データが不十分であることから現在の段階では公的に認められていません。ギムネマ酸が甘みを感じにくくする作用についても仮説段階ですから、未だ作用や効能については完全に解明されていないハーブと言えます。

基本データ

通称
ギムネマ(Gymnema)
別名
ホウライアオカズラ(蓬莱青葛/蓬莱青蔓)、ギムネマ・シルベスタ、グルマリ、グルマルブーティ
学名
Gymnema sylvestre
(Marsdenia sylvestris)
科名/種類
キョウチクトウ科ギムネマ属/つる性多年草
花言葉
誕生花
使用部位
葉部
代表成分
ギムネマ酸、ギムネモシド、グルマリン、コンズリトール、ギムネマシン、ギムネマサポニン
代表効果
味覚鈍化(甘み)、糖吸収抑制、肥満予防
こんな時に
甘いものの摂取抑制、血糖値上昇抑制、ダイエットサポート、糖化予防、便秘
おすすめ利用法
ハーブティー(健康茶)
お茶の味
爽やかな草っぽい香り、味はやや渋いがクセはない
カフェインの有無
ノンカフェイン

ギムネマ・シルベスタの栄養・成分・期待できる効果

ギムネマ茶

肥満・糖尿病予防に

甘いものを控えたい時に

ギムネマ・シルベスタの代表成分と言えるギムネマ酸は甘みを抑える働きがある事が認められています。メカニズムはハッキリと解明されていないものの、ギムネマ酸に踏まれているグルクロン酸という成分が舌にある味蕾に働きかけ甘みの受容体を麻痺させるのではないかという説が有力となっています。ギムネマの葉をかじっても同じ効果が得られると言われていますが、若葉よりも成熟した葉のほうが働きは強いのだとか。

この働きからギムネマを摂取した後に砂糖などの甘味を食べても味を感じない=美味しくなく感じるため、甘いものを控えたい時のサポートとしてギムネマは用いられています。そこまでお腹は空いていないのについお菓子に手が伸びてしまうタイプの方は、休憩時間の開始などにギムネマ茶を飲んでおくと甘いものの摂取量を減らせるでしょう。摂取量・濃度・体質などにもよりますが味覚の変化は30分から2時間程度持続し、通常量であれば甘みを感じにくくするだけでほかの味覚には変化がないとされています。


血糖値対策・肥満予防に

ギムネマは甘さを感じにくくすることで糖質の摂取量を抑えるだけではなく、小腸からの糖質吸収を抑制する働きがあるのではないかと考えられています。摂取した炭水化物は私達の体内で消化酵素によって麦芽糖→ブドウ糖へと分解され、小腸から吸収されています。ギムネマは麦芽糖からブドウ糖への変換を担っている消化酵素(αグルコシターゼ)の働きを阻害する事で、小腸におけるブドウ糖吸収抑制効果を持つのではないかと考えられています。作用する消化酵素などは違いますが、働きのイメージとしてはグアバに近いですね。

食事によって摂取した糖質が体内に吸収されると、血液中に含まれるブドウ糖の量が増える=血糖値が上昇します。血糖値が急激に上昇し高血糖状態にならないように働くのがインスリンですが、血糖値を一定に保つために血液中のブドウ糖を脂肪細胞に蓄積させる・脂肪分解を抑制するなどの働きを持っています。このため血糖値の急激な上昇を抑えてインスリンの分泌量を抑えることは肥満予防にも繋がると考えられています。そのほかギムネマ酸は脂肪の吸収を抑える可能性なども示唆されていることから、甘み摂取を控えさせる以外の面からも肥満予防・ダイエットサポートに効果が期待されています。ダイエットのサポートとしてはガルシニア茶プーアル茶と組み合わせて飲まれることも多いようです。


糖尿病予防にも期待

糖尿病はインスリンによる血糖の処理がうまく行かず、血糖値が高い状態が続きます。このためギムネマの糖吸収を抑制する働きは血糖値上昇を抑制する=糖尿病対策としても注目されています。日本人(成人)の糖尿病患者の90%以上を占めると言われているのがインスリン分泌が悪い・もしくはインスリンの効きが悪い状態になることで発症するⅡ型糖尿病。Ⅱ型糖尿病の発症要因は遺伝的なものやストレスなど様々ですが、食べ過ぎや肥満など普段から血糖値が高い状態になりやすい生活をすることで膵臓が疲弊し発症リスクが高まることも指摘されています。生活習慣病に数えられる所以でもありますね。このためギムネマの摂取で血糖値の上昇を抑えることが糖尿病予防にも繋がるのではないかとも考えられています。

研究成果としても2001年に北京大学医学部が行った動物実験ではギムネマ酸と経口血糖降下薬アカルボースと同時に使用するとラットの腸でのマルトース(麦芽糖)吸収減少が見られたことが報告されています。また2004年にはジョージタウン大学が肥満成人60名に対して行った実験や、2012年にインドで高脂肪食ラットにギムネマ葉水抽出物を投与した実験において示唆されています。また膵臓内分泌系の修復作用があるとする説や、糖尿病患者を対象にギムネマ抽出物を投与した実験でも有効性が示唆されているものがありますが、現在の段階では全ての糖尿病患者に有効か・どの程度の摂取量が良いかなどについては研究段階と言えます。

一部の伝統医療やハーブ療法などではギムネマを糖尿病予防にも取り入れられているようですが、血糖値をコントロールするためのインスリンや糖尿病治療薬などの代替物としては認められていません。日本でも健康食品として扱われているものですから血糖値が気になる方が改善サポートとして取り入れるのは問題ありませんが、糖尿病と診断されている方や薬を処方されている方は自己判断での使用・切り替えを避けましょう。


そのほか期待される作用

老化・生活習慣病予防

ギムネマは糖質の吸収を抑制する働きがあることから、過剰な糖質と体内のたんぱく質や脂肪などが結びつき変性・劣化して出来るAGEs(糖化最終生成物)の増加抑制にも役立つ可能性があります。AGEsは身体のコゲとも称されれており、酸化と同等かそれ以上の老化原因とされる“糖化”の原因物質とされています。AGEsが蓄積されるとその部位の機能低下や劣化を引き起こし、場所により脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる可能性もあると言われています。

またAGEsが生活習慣病のリスクを高める可能性も指摘されており、老化予防だけではなく健康維持のためにも酸化だけではなく糖化を予防することが大切であると考えられいます。ギムネマには総コレステロールやLDLコレステロールの低下が見られたという報告もなされていることから、糖尿病以外の生活習慣病予防にも効果が期待されています。


便秘・腸内環境改善

ギムネマの働きによって小腸での糖質吸収が抑えられると、吸収されなかったものは腸内で食物繊維のような形で働くと考えられています。便の容量が増えることで腸への刺激となり、蠕動運動を促すことで便通改善に役立ってくれるでしょう。また腸内善玉菌のエサになることで腸内フローラのバランスを整えてくれるという説もあり、腸内環境を整えることからもダイエットや便秘対策に繋がるのではないかと期待されています。


伝統医療での効能について

アーユルヴェーダでは胃腸や肝臓のケアなどに、また中医学では武靴藤(ブカトウ)という生薬名で腫れ物や乳腺炎などの治療にも用いられているギムネマですが、こうした伝統医療上の効能は科学的な研究の中では否定されている傾向にあります。ギムネマ自体が研究途中で未知領域が多いハーブとも言われていますから不明な点も多いですが、自己判断でこうした不調に対して取り入れるのは避けたほうが確実でしょう。

ギムネマの飲み方・考えられる副作用

摂取タイミングについて

ギムネマの甘味抑制作用や腸管吸収抑制作用は数時間経つと回復されるため、血糖値対策や肥満予防としてギムネマ茶を取り入れる場合は食事の10分程度前~食事直後までに飲むと良いと言われています。甘いものの摂取量を減らしたい場合は当然食前に飲んでおく必要がありますが、通常の食事を行う場合は味覚に影響してしまうので食後直後に飲むようにすると良いでしょう。甘味抑制作用は長い場合であれば2時間程度継続しますから、夕飯を作る方などは時間を計算して飲むようにすることをお勧めします。

ギムネマに考えられる副作用

ギムネマは重篤な健康被害の報告がないことから安全性の高いハーブと考えられており、持病や服用中の薬がある方でなければ通常量の摂取は問題ないとされています。ただし吐き気・かゆみなどの症状が出たという報告もあるため、お茶やサプリメントなどを摂取する場合は定められた用法・用量を守って使用し、体調に違和感がある場合は使用を中止するようにしましょう。データが少なく解明されていない点も多いハーブですので、サプリメント類との併用も避けるようにしてください。

そのほか鉄分吸収を阻害する可能性が指摘されており、妊娠中や授乳中は避けたほうが確実であるとする説もあります。貧血気味の方や鉄剤を飲んでいる方も摂取タイミングに注意したほうが良いでしょう。鉄分不足は貧血だけではなく集中力低下・情緒不安定さなどの原因にもなりますから、ギムネマを飲み始めてこうした症状を感じた場合は摂取を中断するようにします。

またギムネマは甘みの受容体だけに働きかけると言われていますが、過剰摂取により他の味覚を低下させる・味覚障害を引き起こす可能性もあります。同じく過剰摂取では低血糖を起こす危険もありますから、ダイエット目的などで過剰摂取しないように注意してください。適量の摂取であっても継続的に利用せず、数週間くらいお休みの期間を作るようにすると良いでしょう。

ギムネマ茶の注意事項

  • お子さんの飲用は避けましょう。また問題ないとしている文献もありますが、妊娠中・授乳中の方も飲用を控えたほうが確実です。
  • 糖尿病治療中の方・血糖降下剤ほか医薬品を服用中の方は医師に相談しましょう。