スカルキャップ
ハーブティーと期待される効果効能紹介

メンタルサポートや神経性の不調軽減に取り入れられているハーブ

日本ではあまり用いられないマイナーなハーブと言えるスカルキャップですが、欧米では神経・精神面のサポート用として用いられることが多いと言われています。豊富なミネラルやフラボノイドの働きにより“天然の精神安定剤(トランキライザー)”として鎮静・神経強壮に役立つと考えられている他、神経を緩めることで筋肉の強張りや痙攣を落ち着けるなどの働きもあると考えられてます。安眠サポートにも効果が期待できるでしょう。

Scutellaria lateriflora 02

 

スカルキャップについて

植物紹介:スカルキャップ

あまりポピュラーではないものの、最近ではストレスに悩む現代人のサポートに適したハーブとして日本でも取り上げられる機会が増えてきたスカルキャップ。北アメリカが原産のシソ科ハーブで、花の形がツバなし帽子に似ていることが名前の由来となっています。日本ではあまり見かけないハーブですが、ヨーロッパでは“神経疾患のケアに最も良く用いられるハーブ”と称されることもあるんだとか。

アメリカ大陸原産のハーブのためヨーロッパでも使用の歴史が浅いハーブと言われていますが、アメリカの先住民族(インディオ)達は古くからこのハーブを薬草として使用していたと伝えられています。インディオたちは狂犬病・蛇や毒虫に咬まれた傷のケアや精神的不調・興奮状態を落ち着けるためなどに利用していたようです。欧米の医師たちも19世紀後半から20世紀初頭頃には、精神的または身体的疲労によって起こる諸不調の軽減にスカルキャップを処方するようになったと言われています。

日本ではスカルキャップと言うとアメリカ原産のScutellaria laterifloraを指すことが多いですが、同属の植物の中でいくつか呼び名にskullcapが付けられている種があります。このため英語の場合はAmerican Skullcap・blue skullcap・mad dog skullcapなどと呼んで近縁種と区別しているようです。地名や色はともかく“mad-dog skullcap(狂犬のスカルキャップ)”とは穏やかでないネーミングに感じられますが、これはヨーロッパに紹介された時も狂犬病の治療薬として紹介されたためだとか。そのため狂犬病に良いハーブ=mad-dog skullcapもしくはmad-dog weedという呼び名が定着することになったようです。

また近縁種のチャイニーズスカルキャップ(和名コガネバナ Scutellaria baicalensis)の根を乾燥したものは生薬“黄岑(オウゴン)”として清熱・抗炎症剤として配合されています。スカルキャップの根も厚生労働省の規定する『専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト』に含まれており、欧米ではハーブとして入手できるそうですが日本では一般販売されていません。地上部(葉や茎)は作用が弱く非医薬品とされているため、ハーブやサプリメントとして日本でも見かけることが出来ます。地上部は安全性クラス:1(適切に使用する場合は安全)とされていますが、情報不足であることも指摘されていますので摂取する際には注意したほうが良いでしょう。

基本データ

通称
スカルキャップ(Skullcap)
別名
ブルー・スカルキャップ(blue skullcap)、マッドドック・スカルキャップ(mad dog skullcap)、バージニア・スカルキャップ(Virginia skullcap)
学名
Scutellaria lateriflora
科名/種類
シソ科タツナミソウ属/多年草
花言葉
誕生花
使用部位
葉、茎
代表成分
 フラボノイド(スクテラリン、バイカリン、バイカレイン、オウゴニン)、イリドイド、タンニン、精油、ミネラル類
代表効果
抗酸化、鎮静、抗不安、神経強壮、抗痙攣、消化促進、利尿
こんな時に
ストレス、緊張、興奮(イライラ・パニックなど)、不安、抑鬱、不眠、神経過敏、ストレス性の胃腸トラブル(下痢・胃痛など)、肩こり、腰痛、リウマチ、むくみ、PMS(月経前症候群)、更年期障害
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーブチンキ、湿布
ハーブティーの味
香りはグリーンな印象で爽やかだが、味は苦みがあり少々草っぽい
カフェインの有無
ノンカフェイン

スカルキャップの栄養・成分・期待できる効果

スカルキャップティー

神経・精神面のサポートに

ストレス・精神的不調に

アメリカのインディオたちやヨーロッパで長く利用されてきたこともあり、スカルキャップは神経系のサポートに高い効果が期待されているハーブで“天然の精神安定剤(トランキライザー)”とも称されています。神経をサポートしてくれるミネラルが多いことに加え、スカルキャップに含まれているフラボノイド化合物にも抗酸化作用によって毒性フリーラジカルを中和し神経系をサポートする可能性が高いことも示唆されています。スカルキャップ抽出物を投与した動物実験では抗不安作用が見られたという報告もあるそうです。

またミネラルの補給と抗酸化作用によって神経を保護することから、神経系の強壮にもスカルキャプは役立つのではないかと考えられています。このためスカルキャプはストレスによるイライラやパニック・抑うつ状態などを落ち着け、またストレスに対する抵抗力を高める働きが期待されています。ヨーロッパではそのほかに神経過敏やてんかんなどのケアにも使用されているようです。

葉部分は成分が少ないため作用が弱いと言われていますが、高用量でのスカルキャップ摂取は動悸や精神錯乱などの副作用を起こす可能性も指摘されていますので、健康サポートに食品(ハーブ)としては摂取するには作用の弱い葉の方が適していると考えられます。スカルキャップは単体だと苦味があり少し飲みにくいので、心身の強壮にはオートムギバーベイン、気持ちを落ち着けたい時にはヒソップゴツコーラなどとブレンドしてみると良いかもしれません。


寝付きが悪い時に

神経の鎮静作用・メンタル面のサポートに効果が期待できることから、スカルキャップティーは安眠サポート用としても効果が期待されています。神経を鎮めることでイライラや不安などの精神的な緊張感だけではなく、筋肉など肉体面の緊張を解す働きも期待できます。夕食後のリラックスタイムに取り入れると効果的なのだとか。リラックスや不眠症軽減にはバレリアンやパッションフラワーと組み合わせて用いられることが多いようです。


タバコやアルコール絶ちのサポートに

スカルキャップはアルコール・タバコ・ドラッグなどを止める際、その禁断症状を軽減するハーブとしても用いられているそうです。筋肉を弛緩させる・気持ちを落ち着けて強い感情や苦痛を緩和してくれることから取り入れられているようです。ただし地上部はハーブ(食品)のため用量等の規制がありあせんが、多量に摂取すると悪影響を及ぼす危険性がありますので多量の飲用は避けましょう。また治療薬を使っている場合は互換作用が無いとは言い切れませんので、医師・薬剤師に確認するようにして下さい。


そのほか期待される作用

消化器系のサポートに

ストレスや神経性の不調軽減効果が期待されることから、スカルキャップは胃痛や下痢などストレス性の胃腸トラブルの緩和にも役立つと考えられています。スカルキャップに含まれているフラボノイド(バイカリンなど)には鎮痙・鎮痛作用も認められていますし、またスカルキャップには消化促進作用があるする説もありましすので、より直接的な働きかけも期待できるでしょう。神経性胃炎予防や過敏性腸症候群の方のサポートにも役立ってくれるかもしれません。


筋肉の強張り・むくみに

スカルキャップは神経の緊張を緩める働きが期待されており、筋肉の強張りを軽減することから肩こりや腰痛・座骨神経痛・リウマチなどの痛みの軽減にも繋がるのではないかと考えられています。特にストレスによって力んでしまうタイプの方の筋肉のコリ・強張りに良いとも言われています。

また神経・筋肉を緩めることから循環系を整え、むくみの改善にも役立つとされています。スカルキャップは利尿作用があるとも言われていますし、ミネラルを豊富に含むハーブともされていますから体の水分バランスや体液循環を整えてくれる働きが期待できますね。むくみや筋肉の強張り改善のサポートにはレモンバームジンジャーなどとのブレンドもおすすめです。


女性のサポートに

天然の精神安定剤と称されるハーブの一つであるスカルキャップは生理前・生理中のイライラ、更年期障害よる情緒不安定さなど、女性ホルモンのバランス変動に伴う精神的不調の軽減用としても用いられています。鎮静作用による筋肉の強張り軽減や鎮痙作用も期待できますから、PMS(月経前症候群)や更年期障害に伴う肉体面での不快感・生理痛の軽減に役立つのではないかという見解もあるようです。


老化予防・脳機能サポート

抗酸化作用によって毒性フリーラジカルを中和し神経系をサポートしてくれるという報告もなされているように、スカルキャップに含まれているフラボノイド類やタンニンは抗酸化作用を持つ物質です。このためスカルキャップは脳・神経だけではなく体全体の抗酸化をサポートし、アンチエイジング(老化予防)にも役立つのではないかと考えられます。

また抗酸化作用を持つことから肝臓の健康維持や動脈硬化・急性心筋梗塞などの心疾患予防にも役立つと考えられており、スカルキャップ抽出物(バイカレイン)を使った動物実験では心保護作用を持つ可能性があることも報告されています。そのほか抗酸化作用による脳神経保護がアルツハイマー病・パーキンソン病や認知症予防に役立つのではないかという説もあるそうです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

入浴剤・温湿布に

スカルキャップは患部に直接塗布すると炎症の軽減や鎮痛に役立つとされています。このためハーブティーを入浴剤や温湿布に利用することで肩こりや関節炎・リウマチなどの痛みの軽減に良いと言われています。またフェノール化合物とフラボンによる血液循環刺激作用も期待されており、皮膚の新陳代謝を促すことで傷・傷跡の治りを早める働きもあると言われています。

スカルキャップの注意事項

  • 心臓疾患のある人は使用を避けましょう。
  • 妊娠中・授乳中の摂取は控えましょう。
  • ハーブティーとして利用する場合は、成人で1日カップ2杯程度が摂取目安とされています。