セロリの葉茶(セロリリーフ)
健康茶と期待される効果効能紹介

ストレスが多い・寝付きが悪い方のサポートにも

独特の香りから「どうしても苦手」という方も少なくないセロリですが、基本的な栄養価のほか香りによる精神面でのサポート効果が期待されている食材でもあります。食べずに捨ててしまうことも多いセロリの葉を使って作るセロリ茶(セロリの葉茶)も精油成分の働きからストレス緩和効果や不眠症対策に効果が期待されています。そのほか血行促進やむくみ改善などにも効果が期待されているほか、頭痛対策の民間療法としても使われています。

画像:セロリリーフ(セロリの葉)

 

セロリの葉について

植物紹介:セロリ

シャキシャキした食感から野菜スティック・サラダ・ピクルスなどでもお馴染みのセロリ。炒め物やスープなど加熱料理に加えることで風味を良くしたり、香味野菜としてドレッシング作りなどにも役立つ用途の広い野菜でもあります。その反面、清涼感があるとも青臭いとも言われる独特の香りから好き嫌いがはっきりと分かれ、子供が嫌いな野菜ランキングでよく見かける存在でもあります。一昔前から比べるとセロリを使ったお惣菜類や外食メニューも増えていますし、香りにも有用な働きがあることが認められつつありますが、大人でも苦手という方は少なくは無いでしょう。

そんなセロリはヨーロッパ~中近東の湿地帯が原産とされるセリ科の植物で、紀元前の古代ギリシアやローマにおいて整腸剤・強壮剤のような形で薬用として利用されていたと言われています。しかし古い時代は私たちが「セロリ」と呼び野菜として利用している茎部分ではなく、セロリシード(種子)が主に用いられていたと考えられています。現在もセロリシードは香辛料や精油原料など香料感覚で用いられていますが、古代ローマやギリシャでもお酒の香り付けなどの香料として利用されていたそうですよ。また祭典や宗教儀式などにも利用されており、遺体の臭い消しに利用していたという説もあります。中世にかけては様々な不調に有効な“万能薬”と考えられていた時期もあったのだとか。

⇒セロリシードはこちら

ちなみに茎を野菜として利用するようになったのは17世紀以降と言われています。日本に伝わったのは諸説ありますが、加藤清正が朝鮮出兵時に持ち帰った・1800年頃にオランダ船によって長崎にもたらされたなどの説が知られています。おそらく伝来時には種子の利用ではなく葉や茎を食べることも伝わっていたと考えられますが、独特の香りから定着はしなかったと言われています。セロリが野菜として食されるようになったのは戦後に食の洋食化が進んでからのことですし、広く受け入れられるようになったのは平成に入ってからではないかという見解もあるほど。

とは言え一般的に食用として利用されるのはセロリの茎部分。店頭でも葉付き・葉を落とされているものと両タイプがあり、葉が付いているものを買っても切って捨ててしまう方も少なくありません。しかし実は淡色野菜に分類される茎部分よりも葉の方が栄養価が高いことが分かっており「葉も捨てずに食べよう」と様々なレシピが考案されています。

利用法としては細かく刻んでパセリやバジルのように料理の上に散らす・煮込みやソース作りの際に香り付けとして入れるなどがありますが、乾燥させてから煎じて“お茶”にして飲むという方法もあります。水分に溶け出しにくい栄養素もありますが食材の再利用&栄養補給に役立つことに加え、セロリに含まれている芳香成分に鎮静作用が期待されていることからリラックスティーとしても注目されています。

基本データ

通称
セロリ(塘蒿の葉)
別名
Celery leaf(セロリリーフ)、オランダ三葉(オランダミツバ)、清正人参(キヨマサニンジン)
学名
Apium graveolens
科名/種類
セリ科オランダミツバ属/二年草
花言葉
真実の愛、会える幸せ
誕生花
 -
使用部位
葉、茎
代表成分
精油(リモネン、セリネン、ジヒドロフタライド類、ピラジンなど)、フラボノイド(アピイン)、ミネラル類、ビタミン類、キャベジン(ビタミンU)
代表効果
鎮静、抗ストレス、催眠、血行促進、利尿、肝機能向上、血圧降下、抗酸化、鎮痛、健胃
こんな時に
ストレス、神経疲労、イライラ、不眠、血行不良、疲労、むくみ、デトックス、生活習慣病(高血圧・動脈硬化)予防、頭痛、生理痛、胃痛、胃もたれ、食欲不振
おすすめ利用法
食用、健康茶、ハーバルバス
お茶の味
味は微かに苦味を感じる程度でほぼ無いが、セロリ特有の香りがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

セロリ(葉)の栄養・成分・期待できる効果

セロリの葉茶(セロリリーフティー)

精神面のサポートに

ストレス対策に

嫌いが理由としても挙げられるセロリ独特の芳香は、ポリフェノールでもあるアピイン・セダノライドやブチルフタライドなどのジヒドロフタライド類・リモネンやセリネンなどのモノテルペン類など約40種類の芳香成分によって形成されています。アピインやセネリンなどには神経の興奮や緊張を落ち着ける鎮静作用があると考えられているため、セロリの香りはストレス緩和や精神安定に役立つのではないかと考えられています。

2012年に放送された日本テレビ系列の番組『世界一受けたい授業』でセロリ茶(セロリの葉茶)がストレス解消に良いお茶として紹介されたこともあり、ストレス性の疲労感軽減などに取り入れている方も少なくないそう。イライラしやすい・気持ちが落ち着き付かないという時にも良いと言われています。セロリの葉には神経伝達などに関わるミネラルも豊富に含まれていますから、栄養補給という面からもストレス対策をサポートしてくれるかもしれません。


安眠サポートにも

セロリやセロリの葉の香りは鎮静作用によって神経の興奮を鎮め、神経の状態や気持ちをリラックスさせることで眠りに就きやすくする働きも期待されています。特にストレス・心因性の寝付きの悪さがある時に良いそう。セロリティーはノンカフェインでもありますから、帰宅後のリラックスタイムに取り入れるにも適していますね。嫌いな香りであれば無理してお茶にする必要はありませんが、少し香りが気になる程度であればカルダモンディルなどと組み合わせてみてみるのもオススメです。


健康維持のサポートに

血行促進・疲労回復に

セロリの葉に含まれているアピインは香りの元と紹介されることが多い成分ですが、ポリフェノールの一種であり抗酸化作用を持つ成分でもあります。血液サラサラ効果が期待されるピラジンやリモネンなど血行を促す働きが期待される成分も含まれているため、抗酸化作用と合わせて血液循環を良くする働きも期待されています。このため血行不良による代謝低下・肩こり・腰痛などの予防にも効果が期待されています。冷え性の軽減にも役立つと考えられますが、セロリそのものは体を冷やす食材という見解もあるので生姜などを加えてホットで飲むと良いでしょう。

抗酸化物質が補給できること・血行が良くなることに加え、代謝に関わるビタミンb群やミネラルも含まれていることからセロリの葉茶は疲労回復にも有効と考えられています。ちなみにセロリやセロリの葉が強精・強壮に良いと言われるのもビタミンやミネラルを補給出来、かつ血行を良くする働きがあることが大きいそうです。精油成分のセリネンも強壮効果が期待されていますし、香りによる精神面のサポート効果も期待できるのでお疲れの時に取り入れてみても良いのではないでしょうか。


むくみ軽減・デトックスに

アピイン・ピラジンなどの働きで血流が良くなることに加え、セロリはトリウム排出を促す・細胞内外の浸透圧を調節するなどの働きを持つミネラルであるカリウムの補給源としても役立つ存在。またリモネンやセリネンも利尿作用をもつと考えられているため、血液循環の改善と合わせてむくみ軽減にも有効と考えられています。東洋医学・薬膳などの考え方でもセロリは水分代謝を高める働きを持つ食材とされているそうですよ。

また血行が良くなること・利尿作用から体内の老廃物や毒素の排出が促されると考えられますし、体内の水分量が一定に保たれることから腎機能の疲労を防ぐ=腎臓機能向上に繋がるのではないかという説もあります。ジヒドロフタライド類のうちセダノライドは肝臓などの臓器で解毒作用を持つグルタチオンの活性を高める働きも期待されていますから、セロリ茶は体の持つデトックス力を高めるサポートにも役立つのではないかと言われています。


高血圧・動脈硬化予防に

カリウムはナトリウムとバランスを取り合い、余剰ナトリウムの排出を促す働きがあります。カリウムの補給が少ない状態でナトリウムの摂取量が多くなると、身体は血中ナトリウム濃度を一定に保つために水分を取り込みます。結果として体液(血液)量が多くなり、血液を送り出す心臓や血管への負担が高まることで血圧が上がると考えられます。アピインにも血圧抑制作用があるとされていますから、相乗して高血圧予防に役立ってくれるでしょう。血圧対策としてはゴーヤ茶などと組み合わせて使われることもあるようです。

加えてセロリの葉には抗酸化作用を持つポリフェノールの一種アピインや、血液サラサラ効果(血小板凝集抑制作用)を持つピラジンなども含まれていますから、血栓や動脈硬化の予防としても効果が期待できます。ただしセロリの葉に含まれている抗酸化物質にはβ-カロテンやビタミンEなどの脂溶性成分も多いため、抗酸化作用や動脈硬化予防効果を期待する場合はお茶を飲むだけではなく出がらし部分も食べるようにした方が効果的でしょう。


そのほか期待される作用

頭痛・生理痛軽減に

セロリに含まれているアピインや、セダノライドなどのジヒドロフタライド類は鎮痛作用を持つと考えられている成分でもあります。鎮静作用によってストレスを軽減したり寝付きを良くするなどの働きが期待できること・血液循環をサポートしてくれることも頭痛軽減に繋がりますね。このためセロリの葉茶は頭痛対策の民間療法としても名前が上がる存在であり、また生理痛や腰痛・関節痛・リウマチなど様々な痛みの軽減にも効果が期待されています。


胃の健康サポートに

セロリに含まれているアビオイルなどの芳香成分は口の中をサッパリとさせる働きがあり、食欲を高める働きも期待されています。またセロリにはビタミンU(キャベジン)が含まれていることから胃粘膜の保護・修復作用が期待されていますし、香りによるストレス緩和からも神経性の胃腸トラブル軽減に繋がると考えられます。

こうした働きからセロリ茶は健胃作用・消化促進作用が期待できるお茶とされ、胃もたれ・むかつき・胃痛・消化不良などの軽減にも役立つと考えられています。ストレスや暴飲暴食で胃腸の調子が悪い時だけではなく、爽やかなセロリ茶は夏バテ気味で食欲が無い時などにも役立ってくれそうですね。頭痛軽減と合わせて二日酔い軽減にも有効とされています。古代ギリシアでは二日酔いによる頭痛時にセロリで編んだ冠を頭にのせるという民間療法があったそうですが、単なるおまじないとも言い切れませんね。

セロリの葉の使い方

セロリ茶(セロリの葉茶)の作り方

本格的なセロリ茶の作り方としては“開花時期に採取した全草”を使うというものもありますが、セロリを購入した時に付いてくる葉の部分を使ってもセロリ茶を作ることが出来ます。作り方はセロリの葉をキレイに洗ってしっかりと水気を切り、適度な大きさに切ったものをカラカラに乾燥するまで天日干しするというのがポピュラー。レンジで水分を飛ばしてフライパンで炒るなどの方法でも代用できるでしょう。

葉だけではなく茎を一部加えるという方もいらっしゃいます。お茶として飲む場合は煮出す・熱湯を注いで蒸らす両方の方法が使えます。葉だけを乾燥させたものの場合は蒸らすだけだと薄すぎることもありますので、味を見てお好みで調整するようにしてください。単体だと味はほぼないもののセロリ独特の香りがありますので緑茶とブレンドしたり、レモン果汁を加えるなどした方が飲みやすいです。

ちなみにセロリの葉を焼酎やホワイトリカーなどに漬け込んで“セロリ酒”にするという方法もあります。お酒にする場合は漬け込んでから1ヶ月以上熟成させると良いそう。セロリと酒の比重はセロリ2:酒3程度としているもの・セロリの3~4倍の酒を加えるとしているものまで様々で、セロリについても葉と茎を入れるタイプ・葉だけを入れるタイプがあります。葉だけでも効能は変わらないとされていますから、お好みで良いでしょう。セロリ酒は血行促進・疲労回復・滋養強壮・精神安定などに役立つと言われています。


食材として使う場合は…

上記ではセロリ茶について紹介してきましたが、茶葉を煮出して作ったお茶を飲む場合には脂溶性の栄養成分の補給はさほど期待できませんから、栄養を余すところなく補給したい場合には“まるごと食べる”方が効率は良いと考えられます。お茶ではあまり摂取できない鉄分やβ-カロテンをしっかり補えることから貧血予防や風邪予防に、食物繊維が豊富なことから便秘改善や肥満予防などにも良いと言われています。

セロリの葉の使い方としては天ぷらにする・葉野菜感覚で炒め物に加える・細かく刻んでサラダやスープに散らすなどの方法がポピュラー。セロリの香りや葉の苦味が気になる方は細かく刻んで佃煮やかき揚げなどにすると食べやすいです。カロリーや砂糖・塩分量などの問題はありますが、お茶を煮出したあとのセロリの葉も佃煮にして食べると栄養を余すところなく摂取できます。


入浴剤代わりにも

セロリの葉は生のまま、もしくは乾燥したものを入浴剤として利用することも出来ます。お茶を出した後の茶葉の再利用としても使えますね。葉はなるべく細かく刻んでからお茶パックや布袋に入れ、浴槽のお湯に入れてから少し揉むと良いそう。単体の場合はよく言えば清涼感のあるハーブ・悪く言うとセロリの青臭い香りがしますから、カモミールレモンピールなど他のハーブと組み合わせて使ってみるのもオススメです。

セロリ入浴の効果としては精油成分の働きによって血行促進・保温効果が、冷え性改善や疲労回復などに役立つされています。湯冷め対策にも良いでしょう。またセロリ・セロリの葉の香りは鎮静作用も期待できるので、ストレスが多いなぁと感じている時やイライラしている時にも適していると考えられます。ストレスや心のお疲れを緩和して、ゆっくり寝たい時にも良いかもしれません。

セロリ葉の注意事項

    食材・お茶として通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。

  • セリ科植物にアレルギーのある方は使用に注意が必要です。
  • 葉や茎は問題ありませんが、セロリシード・シードオイルは妊娠中の利用を避けましょう。