黒豆(黒大豆)
健康茶と期待される効果効能紹介

抗酸化やホルモンバランス改善など女性に嬉しい働きが期待

中国最古の薬物書『神農本草書』にも薬効ある食材としての記述が残る黒豆。大豆の成分として知られるイソフラボンの働きによる女性ホルモン作用や、皮に含まれるアントシアニンなどの抗酸化物質を豊富に含むことから女性の美と健康を支える存在として注目されています。食物繊維の補給に役立つことや、脂肪吸収・蓄積を抑える働きにも期待できるためスタイルが気になる方にもオススメです。

画像:黒豆(黒大豆)

 

黒豆について

植物紹介:黒豆

お正月料理の一つとしてもお馴染みの黒豆は正式には“黒大豆”言うように、大豆の一品種です。そのため大豆とほぼ変わらない栄養成分+色素成分のアントシアニンを含む、健康維持に役立つ食材として現在でも煮豆・スナック感覚で食べられる炒り豆・お茶などの飲料・スイーツへの応用など様々な形で取り入れられています。

大豆の原産地については諸説ありますが、約4000年前に中国で作物化されたという説が主流です。中国最古の薬物書『神農本草書』に黒豆は疲労回復・利尿・解毒作用があることが記されています。16世紀に成立した『本草網目』にも“大豆は五色あるが薬用利用されるのは黒大豆のみ”という旨が記述されています。
ちなみに漢方では乾燥した黒豆(黒大豆)のほか、皮のみを黒豆衣(こくずい)として養血・滋陰剤として、蒸した黒大豆を醗酵させた後に乾燥させたものは“豆豉(トウチ/ズシ)”もしくは“香豉(こうし)”と呼ばれ、発汗・健胃などの効能を持つ生薬として利用されています。

大豆・黒豆の日本伝来については諸説ありますが、平安時代には黒豆の栽培が行われていたと考えられています。当時黒豆は食材ではなく薬用利用が主と考えられており、黒豆を煮出す・煎じるなどして現代の黒豆茶と同じようなものを平安の人々も飲んでいたそうです。鎌倉時代には食用としても利用されはじめ、江戸時代にはおせち料理として黒豆を食べる習慣も定着します。黒豆=薬用という考え方は時代とともに減っていきますが、昭和後期~平成にかけ健康志向の高まりとともに再び黒豆が注目されることとなります。

近年でも栄養価の高さと脂肪蓄積を防ぐサポニンやシアニジンを含むことから“黒豆ダイエット”が提唱されたり、アントシアニンやイソフラボンの働きから美肌・アンチエイジングに注目されています。ポリフェノール含有量が高い「黒千石」に免疫力向上・アレルギー抑制効果が見られたことなども報じられるなど、科学的にも黒豆が健康面・美容面共に役立つ健康食材として認められつつあると言えるかもしれません。

基本データ

通称
黒豆(クロマメ)
別名
黒大豆、ぶどう豆、(米)Black soybean、(英)Black soya bean
学名
Glycine max
科名/種類
マメ科ダイズ属/一年草
花言葉
親睦、必ず来る幸福
誕生花
使用部位
種子
代表成分
ポリフェノール(アントシアニン、シアニジン、イソフラボンなど)、サポニン、レシチン、ミネラル類、食物繊維
代表効果
抗酸化、血管保護、血流改善、血糖値効果、エストロゲン用、解毒、利尿、脳活性
こんな時に
老化(酸化)予防、生活習慣病予防、糖尿病予防、視機能保持、疲れ目対策、アレルギー軽減、更年期障害緩和、骨粗鬆症予防、月経不順、PMS、便秘、むくみ、肥満予防、美肌、美白、集中力記憶力向上
おすすめ利用法
食用、ハーブティー、ハーブチンキ、手作り化粧品
ハーブティーの味
苦味やクセは少なく、炒り豆の香ばしい風味
カフェインの有無
ノンカフェイン

黒豆の栄養・成分・期待できる効果

黒豆茶

健康な生活のサポートに

老化予防・冷え性改善に

黒豆茶は黒色の元となる色素成分「アントシアニン」やイソフラボンなど、抗酸化作用を持つポリフェノール類が豊富に含まれています。これらの成分が活性酸素によって引き起こされる酸化ストレスを抑制しすることで老化や病気予防に役立つと考えられています。

またアントシアニンは血液中の中性脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の酸化を抑制することが報告されており、血液サラサラ効果や血管の柔軟さの保持などにも有効とされています。これらの働きから末端までのスムーズな血流をサポートするお茶としても黒豆茶は親しまれています。血流改善であれば松葉茶、体を温めたい場合は生姜などをブレンドすると相乗効果が期待できます。


生活習慣病の予防に

黒豆茶にはアントシアニンやサポニンなど血液や血管の状態を整える働きがある成分を含むことから、動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞などの予防に効果が期待できます。そのほかイソフラボンや食物繊維によるコレステロール減少、サポニンやカリウムによる高血圧予防などにも効果があると考えられています。

またアントシアニンには内臓脂肪を減少させる働きや、インスリンの働きを正常化するなどの働きも報告されています。黒豆茶には食物の吸収スピードをゆっくりにすることで血糖値の急激な変動を抑える水溶性食物繊維も含まれていますから、複合して働くことで高血糖改善・糖尿病予防にも効果が期待されています。


眼精疲労(目の疲れ)に

ブルーベリーやビルベリーなどに含まれ、アイケアサプリの成分としても知られているアントシアニン。アントシアニンは目の網膜にあるタンパク質「ロドプシン」の再合成を促進する働きがあり、目の疲労回復・視力回復などに役立つとされています。また血行促進効果と合わせてドライアイや目の下のクマ改善などにも効果が期待されています。

黒豆茶もアントシアニンを含むため視機能保持・負担軽減に役立つお茶として親しまれています。アントシアニンを始め抗酸化物質を豊富に含んでいますから、白内障や緑内障予防としても役立つと考えられます。


記憶力向上

黒豆や大豆に含まれている不飽和脂肪酸のレシチンが含まれています。レシチンは脳の情報伝達物質アセチルコリンの原料として利用されるため、神経伝達物質合成を促進し脳の機能を高める=記憶力や集中力を高める働きが期待されています。

レシチンの摂取は老人性認知症の予防・改善にも有効とされていますし、黒豆茶は抗酸化物質を豊富に含みますから脳の血流障害によって引き起こされる脳血管性認知症予防にも役立ってくれるでしょう。


花粉症などのアレルギー緩和

花粉症などのアレルギー症状はアレルゲンと呼ばれる異物に対して免疫機能が過剰に反応を起こすことで発症します。この免疫異常を起こしやすくなる原因の一つとして、過剰に活性酸素が発生したことで免疫力が低下していることが考えられています。そのため黒豆茶の飲用などによって抗酸化物質を摂取することで症状緩和、アレルギー体質の改善に役立つと考えられています。

また花粉症を発症しやすい性質のマウスを使った実験では、アントシアニンを摂取した場合ヒスタミン放出量が減少することが報告されています。人体に対しても同様にヒスタミンの放出抑制効果があるのではとする説もありますから、抗酸化+αの働きでアレルギー症状の緩和に役立ってくれるかもしれません。


女性の健康維持に

更年期障害・骨粗鬆症予防

黒豆は大豆の一品種であり、女性ホルモンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を含んでいます。そのため加齢によってエストロゲン分泌が減少することで起こる更年期障害の予防・改善に効果が期待されています。更年期障害の緩和としてはチェストツリーラズベリーリーフ、精神面での不快感が強い場合にはセントジョーンズワートなどとブレンドしても良いでしょう。

閉経前後から骨粗鬆症になる女性が多いとされていますが、その大きな原因として骨にカルシウムを保持させる働きのあるエストロゲンが減少するためと考えられています。大豆イソフラボンなどのフィトエストロゲン(植物性エストロゲン)を摂取することでカルシウム流出を防げると考えられており、黒豆茶も骨粗鬆症に役立つお茶とされています。


PMSやホルモンバランスの乱れに

フィトエストロゲンは本来のエストロゲンよりも作用が弱いという性質があります。本来のエストロゲンと競争してエストロゲン受容体へ入り込もうとするため、エストロゲン分泌が過剰な状態であれば作用の弱いフィトエストロゲンが入り込むことで全体的んはエストロゲンの働きを弱めることになります。そのため不足したエストロゲンを補うだけではなく、女性ホルモンのバランスを整える働きが期待されています。

PMS(月経前症候群)の原因についてはプロゲステロン過剰・エストロゲン過剰など諸説ありますが、植物性エストロゲンの摂取でホルモンバランスが改善することで緩和に繋がると考えられています。またエストロゲン分泌量の低下は加齢のほか生活習慣やストレスなどによって起こります。そうした場合の月経不順や自律神経の乱れによる不調の緩和にも有効とされていますから、フィトエストロゲンを含む黒豆茶はホルモンバランスの乱れから起こる女性の不調全般の改善に役立つと言われています。


美容面に嬉しい働き

便秘・むくみの改善に

黒豆は豊富な食物繊維やオリゴ糖を含む食材です。食物繊維量をたくさん摂るという点ではお茶よりも黒豆そのものを食べたほうが効率的ですが、お茶として浸出することで不溶性食物繊維摂取を抑え水溶性食物繊維を重点的に摂取できるというメリットがあります。食物繊維不足による便秘の方の場合は浸出後の黒豆も食べたほうが効果的ですが、お腹が張りやすい・下痢をしやすい方の場合はお茶だけを飲むほうが無難です。

オリゴ糖や水溶性食物繊維は善玉菌の餌となることで腸内フローラを改善してくれますし、黒豆茶には抗酸化物質による血流改善効果も期待できるので腸の働きを高めることにも繋がります。加えて解毒(デトックス)作用や利尿作用もあるとされており、むくみの改善にも効果が期待できます。便通の改善には緑茶マテ茶、むくみの改善用としてはハトムギドクダミ茶などとブレンドして利用すると良いでしょう。


肥満予防として

黒豆茶に含まれている「シアニジン」は脂肪の吸収を抑えそのまま排泄させると考えられています。ブドウ糖と脂肪の合体を阻害することで脂肪蓄積を抑制する働きのある「サポニン」も含まれています。これらの成分から黒豆茶は脂肪の吸収・蓄積を抑え肥満予防に役立つと考えられています。

加えて黒豆茶には3大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)の代謝に関し補酵素として働くビタミンB2も含まれているため、脂肪燃焼を促進する働きも期待できます。ダイエット中に起こりやすいむくみや便秘などの予防にも役立ちますから、ダイエットサポート用のお茶としても黒豆茶は支持されています。


美肌作りに

アントシアニンやフラボノイド類などの抗酸化物質を含む黒豆茶はシミ・シワ・たるみなど肌老化に対しても予防効果が期待できます予防にも役立ちます。加えて大豆イソフラボンのエストロゲン作用によって、コラーゲン生成促進効果や肌の水分保持力を高める働きが期待できます。抗酸化作用と相乗することで肌のハリ・潤いをサポートしてくれるでしょう。

黒豆茶は血流改善や老廃物の排泄を促す効果が期待されていますから、血行不良によるくすみ肌の改善・新陳代謝の向上・肌荒れ緩和などにも役立つと考えられてます。またアントシアニンはメラニン生成抑制作用がありますので美白ケアにも効果が期待されています。


黒豆茶の作り方

黒豆茶は健康茶の一つとして数多くの商品が販売されていますが、乾燥黒豆を使ってご自宅で簡単に黒豆茶を作ることも出来ます。料理用に買ったけれど余ってしまった時などにも活用できますので、ぜひお茶としても活用してみてください。

簡単な方法としては

  1. 乾燥黒豆(1杯分につき大さじ1程度)を耐熱容器に入れる。
  2. 電子レンジで皮が破れ香ばしい香りがするまで加熱する。
  3. コップ1杯分の熱湯を注ぎ、蓋をして5分程度蒸らす。

という手順で作ることが出来ます。

より本格的な方法としては外皮が破れ香ばしい香りがするまでフライパンで炒める、という方法もあります。こちらはまとめて炒って保存容器に入れておけば、熱湯を注いで蒸らすだけで飲むことが出来ます。お茶として使ったあとの黒豆は食材として使い回せます。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

黒豆はアントシアニンやサポニンなどの抗酸化物質、女性ホルモン(エストロゲン)様作用を持つ大豆イソフラボンを含んでいます。スキンケア用として利用した場合でも、これらの成分が複合して働くことでシミやシワなど肌老化予防に役立つと考えられています。アントシアニンはコラゲナーゼ活性阻害作用・コラーゲン繊維の抵抗性を高める働きなどが報告されていますし、エストロゲンもコラーゲン合成を促進する働きがありますので肌のハリ・潤い維持としても効果が期待されています。

黒豆化粧水を手作りする場合は煮出した黒豆茶をそのまま使う方法、グリセリンに数日~一週間程度つけて浸出液を作った後に精製水で希釈する方法の大きく2つに別れます。肌状態や目的に合わせて作り方を選ぶと良いでしょう。ちなみに化粧品原料として利用されている“黒大豆エキス”はタンパク質を加水分解処理したものが多く、整肌・保湿成分として配合されています。

黒豆茶の注意事項

  • ホルモン治療薬・避妊薬を服用中の方、乳がんなどエストロゲン依存性悪性腫瘍もしくは疾患等がある方は医師に確認しましょう。
  • 過剰摂取はホルモンバランスを崩す・アレルギーを起こすなど悪影響となる可能性があります。飲用は多くても1日3杯程度にしましょう。
  • マメ科植物にアレルギーがある方は注意が必要です。
  • 大豆アレルギーの方は摂取を避けましょう。