おから茶
健康茶と期待される効果効能紹介

肥満予防やホルモンバランス調整・美肌効果など女性に嬉しい働きが期待

豆乳を作る際に出るおからはヘルシーで安値な食材として親しまれています。おからを焙煎して作ったおから茶も大豆イソフラボンによってホルモンバランスを整えたり肌をキレイに保つなどの働きが期待されていますし、大豆レシチンやサポニンなど肥満・生活習慣病予防効果が期待される成分も含まれています。味もクセがなく飲みやすいですし、おからから作るとコスパも良いことから健康茶として人気を集めています。

画像:おから

 

おからについて

原料紹介:おから(大豆)

低糖質・低カロリーで食物繊維豊富なことから、ヘルシー&ダイエットフードとして定番のおから。おからクッキーやパンケーキなどお菓子感覚で食べられるものや、ハンバーグ・サラダなどのおから料理を作ってみたことがある方も多いのではないでしょうか? おからは日本固有の食材のように思われがちですが、韓国・中国ほか東アジアの広い範囲で見ることが出来ます。英語圏では“soy(soya) pulp”直訳すれば「どろどろした大豆」と表現されていたようですが、最近は日本食ブームの影響からか日本語の“Okara”が使われるようになってきているようです。

おからは大豆から豆乳を搾る際に出来る副産物的な存在。おからという呼び方の由来も、出し殻など搾りカスを意味する“から”に丁寧語の御(お)を付けたものと言われています。おからのことを「卯の花」とも呼びますが、これはおからという呼び名が“空”通じて縁起が悪いと考えられたため。白くホロホロとしたおからを、白く小さな葉を咲かせる植物ウツギ(卯の花)に見立てて言い換えたのが始まりといわれています。ちなみに関西では同じ理由からおからを雪花菜(せっかさい/きらず)と呼びます。かつて寄席芸人や客商売系の方は縁起を担いで「おおいり(大入り)」と呼んでいたそうですが、こちらは炒りつけるように料理することが由来とされています。空から大入りにと180度転換しますし、シャレが効いていて粋でもありますね。

ところで最近はおから=健康食品として商品価値が認識されているので売られていることが多いですが、昭和くらいまではお豆腐屋さんに行くと無料くれるところも多かったようです。江戸時代中期の儒学者である荻生徂徠は豆腐屋からおからを分けてもらって飢えを凌いだという逸話は落語などにもなっていますし、小説家の泉鏡花先生もおからの貧乏エピソードがあるそうです。ある程度のお年の方になるとおから=節約レシピというイメージが強いのもこのためだとか。無料提供はあまり見かけなくなりましたが、商業規模となると一部を保存性を高めて商品化たり家畜用飼料にしている程度で大半は産業廃棄物なっていると言われています。近年は化粧品原料やバイオ燃料など様々な再利用の研究や利用も行われています。

ただし計算上は全国民が少しずつ食事に取り入れると、おから廃棄ゼロも達成できるのだそう。おからレシピやおから茶などの活用は自分の体だけではなく、地球にとってもヘルシーと言えますね。また大豆の搾りかすとは言われるものの食物繊維にも栄養価は豊富に残っています。お茶として利用する場合はおからのほうが粉砕されていて成分が浸出しやすいというメリットもあります。丸ごと食べた方が余すところ無く栄養価を摂取できますが、ボソボソした食感が苦手・毎日おから料理を食べるのは…という方はお茶の方が取り入れやすいですね。

基本データ

通称
おから(Okara)
別名
卯の花、雪花菜(きらず)、Soy pulp
学名
Glycine max
科名/種類
マメ科ダイズ属/一年草
花言葉
可能性は無限大、親睦、必ず訪れる幸せ
誕生花
使用部位
種子(豆乳を絞った後の大豆)
代表成分
レシチン、サポニン、イソフラボン、食物繊維、オリゴ糖、ビタミン類、ミネラル類
代表効果
コレステロール低下、肝機能向上、体脂肪蓄積防止、血流改善、緩下、整腸、ホルモンバランス調整(エストロゲン様)、免疫力向上、脳活性化
こんな時に
動脈硬化・脂肪肝・生活習慣病予防、血行不良、冷え性、むくみ、便秘、ダイエット、更年期障害、骨粗鬆症予防、女性ホルモンの乱れ(月経不順・PMSなど)、美肌・美髪、風邪・インフルエンザ予防、記憶力向上、認知症予防
おすすめ利用法
食用、飲用、手作り化粧品
ハーブティーの味
微かに大豆(おから)の香りがあるが、香ばしく飲みやすい
カフェインの有無
ノンカフェイン

おからの栄養・成分・期待できる効果

おから茶

生活習慣病・肥満予防に

生活習慣病予防

おからの原料である大豆にはリン脂質の一種である「レシチン(大豆レシチン)」やサポニンが含まれています。レシチンとサポニンは水と油の両方に溶ける特性があり、乳化剤のような形で働きます。そのためコレステロールや老廃物を血液に溶かしやすくして、血液や血管を健やかに保つ働きが期待されています。加えて大豆サポニンの投与による実験では血中脂質・総コレステロールの低下が認められていますし、血糖値の上昇抑制効果も期待されています。

コレステロールと言うと良くないイメージがあるかもしれませんが、リポタンパクというたんぱく質と結合した形で血液に流れ込み、細胞やホルモンなどの構成成分としても利用されています。レシチンはこのリポタンパクとコレステロールを結合させる接着剤としても利用されており、レシチンが多いと移動時に血管内の余分なコレステロールを掃除してくれる善玉コレステロールとして働く・肝臓内のコレステロール合成酵素ACAT働きを抑制するという報告がなされています。
このためレシチンは悪玉コレステロール減少・高脂血症予防などに効果が期待されており、サポニンと相乗して働くことで大豆やおからは動脈硬化を始めとした生活習慣病の予防に役立つと考えられています。


肝機能改善・脂肪肝予防

レシチンは肝臓細胞(クッパー細胞・多核細胞)を増加させる働きが報告されている他、構成成分に含まれているコリンは肝臓での脂質代謝時に必要とされる成分でもあります。これらの働きからレチシンは肝機能向上や、脂肪代謝を促すことで脂肪肝・肝硬変の予防に役立つと考えられています。

加えてサポニンも中性脂肪やコレステロールなどの脂質が酸化されることで出来る、過酸化脂質の生成を抑制する働きが認められています。過酸化脂質の増加は肝臓に負担をかけ肝機能障害のリスクを高めると言われていますから、レシチンの働きと複合して肝臓の保護・機能向上効果が期待できるでしょう。


血行不良・冷え性に

レシチンやサポニンが血管や血液をきれいに保ちスムーズな血液循環を保持することから、おから茶は血行不良による肩こりなどの症状・冷え性の改善に対しても効果が期待されています。血液循環を改善することでむくみ、特に循環機能低下の可能性が高い下半身のむくみ軽減にも役立ってくれるでしょう。アントシアニンを含む黒豆茶や、血行促進効果が期待されるイチョウ葉茶などと組み合わせて利用すると相乗効果も期待できます。


便秘・肥満予防に

おからの原料である大豆は食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食材で、おからの糖質にもオリゴ糖や食物繊維は残っています。おからの食物繊維は不溶性食物繊維が多いのでお茶の場合は水溶性食物繊維を主体としたごく一部となりますが、食物繊維補給・腸内フローラ改善をサポートしてくれるでしょう。サポニンにも便通を促す作用があるとされていますから、相乗して便秘改善に効果が期待できます。

またサポニンにはブドウ糖と体内の脂肪の結合を防ぎ、体脂肪蓄積を抑制する効果も期待されています。そのほかにコレステロール値低下・過酸化脂質生成抑制作用なども報告されていますし、レシチン+サポニンの働きによって血流が改善されることで基礎代謝向上にも役立つと考えられています。このためおから茶は肥満予防・ダイエットを助けるお茶として利用されています。


女性に嬉しい働きかけ

更年期障害・骨粗鬆症予防

大豆に含まれている成分として、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きを持つ「大豆イソフラボン」もサプリメント化なども行われており知られた成分と言えるでしょう。大豆イソフラボンはエストロゲンをサポートしてくれるため、加齢に伴ってエストロゲン分泌量が低下することで起こる更年期障害の予防や軽減に役立つと考えられています。

またエストロゲン分泌量が減少すると骨にカルシウムを蓄える力が低下してしまい、更年期~閉経後の女性は骨粗鬆症の発症リスクが高まることも指摘されています。このためエストロゲン様作用を持つ大豆イソフラボンは骨粗鬆症の予防効果も期待されています。またお茶として利用する場合は出し殻に残ってしまう分が多いと考えられますが、おから自体は骨量を保つために必要なカルシウムやビタミンKなどのミネラル・ビタミン類も豊富に含まれています。


月経トラブルの軽減

エストロゲンと似た作用が期待されている大豆イソフラボンですが、フィトエストロゲン(植物性ホルモン)は本来のエストロゲンよりも作用が弱いという性質があります。若い女性がホルモンバランスの乱れから月経トラブルや生理前症候群(PMS)などを起こす場合はエストロゲン過剰という可能性もありますが、作用の弱いフィトエストロゲンがエストロゲン受容体へ入り混むことで全体的なエストロゲンの働きを弱めることにも繋がります。

もちろんエストロゲンが不足している場合はフォローする形で働く考えられますから、大豆イソフラボンなどのフィトエストロゲンは“ホルモンバランスを整える”働きがある成分として期待されています。そのためエストロゲン不足による更年期障害だけではなく、生理不順・生理痛・PMSなど様々なホルモンバランスの乱れに起因する女性のトラブルの緩和に役立つと考えられています。


美肌・美髪の維持に

エストロゲンは“美肌ホルモン”とも呼ばれている存在で、肌の弾力やハリの元であるコラーゲン生成を促す働きがあると考えられています。またコラーゲンは頭皮にも存在し髪の毛の艶やコシを保つ・抜け毛を防ぐなどの働きもあるとして、近年は薄毛対策などでも注目されていいます。コラーゲンそのものを摂取しても体内でアミノ酸に分解されてしまいますから、コラーゲン生成力を高めるエストロゲンを減らさないことで肌や髪を若々しい状態に保ちやすくしてくれるでしょう。

おから(大豆)にはレシチンやサポニンという、スムーズな血液循環をサポートしてくれる成分が含まれています。このため酸素や栄養分を体の隅々にまで行き渡らせることで、肌や髪の状態を健やかに保ってくれるでしょう。レシチンには皮膚保護作用があるとする説もあります。


そのほか期待される作用

免疫力アップ・風邪予防に

サポニンには免疫機能の一つである「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」を活性化させることで免疫力向上効果が期待されています。サポニンには過剰に摂取した場合は細胞膜を破壊して赤血球を壊す溶血作用などの副作用が指摘されていますが、大豆サポニンには毒性がなく副作用の心配が少ないと言われています。

おから茶は血流を整えて体を温める働きも期待できますから、風邪やインフルエンザが気になる時期のデイリーな飲み物として使いやすい存在と言えます。ビタミンCが豊富な柿の葉茶や、呼吸器系の不調緩和に役立つリコリス(甘草)などとブレンドする際のベースとしても利用しやすいでしょう。


認知症の予防に

レシチンは脳の情報伝達物質アセチルコリンの原料として利用されるため、神経伝達物質合成を促進し脳の機能を高める=記憶力や集中力を高める働きが期待されています。レシチンの摂取は老人性認知症の予防・改善にも有効とされていますし、アルツハイマー病予防にも効果が期待されています。

認知症の予防については大豆レシチンよりも卵黄レシチンの方が高い効果が期待されていますが、大豆・おからもレチシン補給現として記憶力アップや認知症予防に役立つと考えられています。またサポニンとの複合効果で血流改善にも役立ってくれますから、脳血管性認知症予防にも効果が期待できるでしょう。


おから茶の作り方

おから茶は商品として販売されているものも多くありますが、おからから自分で作ることも出来ます。自作するとリーズナブルですし、ハーブや豆・シード類そのままのものでお茶を作るよりも短時間かつ簡単に作ることが出来ます。半端に余ってしまったおからがあるとき時にもオススメです。

作り方はおからは予め電子レンジで数分程度水分を飛ばします(※乾燥おからの場合は不要)。ある程度水分が抜けてパサパサになったらフライパンにうつし、中火~弱火で軽く焦げ色がつくくらいじっくりと炒めるだけです。お茶を淹れる際はティーパックか目の細かい茶漉しに煎りおからを淹れ、熱湯を注いで5分程度浸出すればOK。炒め度合いについてはお好みで調整できますし、使用するおからの味によってお茶の味も変わってきますから、自分だけのオジリナル“おから茶”を模索してみるのも楽しいかもしれません。

まとめて作る場合は密閉容器に入れ、冷蔵庫など湿気が少ない場所で保存してください。保存期間は水分量や焙煎具合などによって変わってきますので、ある程度持たせたい場合は乾燥おからを使うかしっかりと数分を飛ばしましょう。とは言ってもものすごく日持ちがするというわけではありませんので早めに使い切るようにするか、量がある場合は冷凍保存するようにしてください。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

おからに含まれているサポニンは殺菌・抗菌作用があり、また水に溶かすと泡立ち脂質を溶かす働きがあるため昔から石鹸として利用されてきました。日本でも古くは平安時代からサイカチの実を石鹸のような感覚で利用していたことが分かっていますが、これもサイカチの実がサポニンを多く含み洗浄効果があるためです。

このサポニンの働きからおからも洗顔・洗髪・パックなどに利用されています。ただし生おからであれば日持ちがしませんので当日中に使い切るようにし、生・乾燥問わずにそのまま洗い流すと排水溝を詰まらせる危険があるので排水口にカーゼなどを付けるように注意してください。また低刺激とは言われていますが、肌の状態や体質によっては炎症を起こすこともありますので事前にパッチテストを行うようにしましょう。


洗顔・匂い消しに

現在は合成界面活性剤を利用した石鹸が主流となっていますが、皮脂まで取りすぎてしまい乾燥肌が悪化する・肌のバリア機能が低下するなどの問題も指摘されています。そのため適度な洗浄力がありつつ皮脂を取りすぎない植物由来のサポニンも天然志向の方や敏感肌・アトピー方の方に支持されています。おからはサポニンの働きで肌の汚れ・毛穴詰まりなどを落としてくれるだけではなく、イソフラボンの働きで穏やかなピーリング効果・美白効果も期待できます。

簡単な使い方は石鹸・洗顔料を泡立てた後におからを一摘み加えてよく混ぜるだけですが、より低刺激さを求める場合はカーゼにおからを包んだものに精製水を含ませ肌に押し当てるようにすると良いそうです。シャンプーに加えると頭皮の状態を整えることで髪の脂っぽさやパサつき対策にも役立つそうです。

またサポニンは汚れを落とす働き以外に消臭作用もあると考えられています。このためワキや足などの体臭対策としてや、調理時に手についてしまった玉ねぎ・魚などの臭い取りにも活用することが出来ます。


おからパックに

おからに含まれているイソフラボンにはピーリング効果のほか、保湿や美白効果なども期待されています。大豆イソフラボンを配合した基礎化粧品も多く販売されていますね。後者の保湿・美白効果をより高めるために“おからパック”として利用される方もいらっしゃるようです。

おからパックの基本レシピとしてはおからに少量の小麦粉を加え水で硬さを調節したものを顔に塗り、数分間置いて洗い流すだけ。お好みで水を牛乳・豆乳・ベビーオイルなどに変えたり、乾燥が気になるようであればハチミツやヨーグルトを入れる、毛穴汚れが気になる場合は少量のお塩を加えてスクラブ感覚で利用したりとアレンジすると良いようです。

おからの注意事項

  • ホルモン治療薬や避妊薬を服用中の方、乳がんなどエストロゲン依存性悪性腫瘍もしくは疾患等がある方は摂取の可否を医師に確認しましょう。
  • 過剰摂取はホルモンバランスを崩す・アレルギーを起こすなど悪影響となる可能性があります。飲用は多くても1日3杯程度にしましょう。
  • マメ科植物にアレルギーがある方は注意が必要です。
  • 大豆アレルギーの方は摂取を避けましょう。