ガルシニア茶(ガルシニア・カンボジア)
健康茶と期待される効果効能紹介

脂肪蓄積予防や食欲を抑える働きが期待される

ダイエット系健康食品の成分として利用されているガルシニア・カンボジア。伝承医学アーユルヴェーダでは食欲抑制に古くから用いられてきたと言われており、現代でもヒドロキシクエン酸(HCA)がATPクエン酸リアーゼを阻害することで脂肪蓄積抑制や燃焼促進・空腹感の抑制などの働きがあるのではないかと注目されています。ただし肥満予防効果は見られないという報告もありますから、過剰摂取を避けてサポートとして取り入れるようにしましょう。

കുടപ്പുളി

 

ガルシニア茶について

植物紹介:ガルシニア・カンボジア

ダイエットサポート用のお茶やサプリメントなどの健康食品の中で、天然由来成分としてギムネマ・シルベスタと並んよく使われる“ガルシニア”というハーブ。アメリカで大流行となったハーブで、ミス・アメリカやトップモデルも取り入れていたなんて話もあるほど。日本でもアメリカのセレブやモデルなどが愛用したと報じられ注目されましたが、2002年には過剰摂取の危険性が指摘されたことで大ブームは収束しました。しかしダイエット系健康食品の定番として現在でも利用されいますし2012年にはオズ博士がアメリカの番組で紹介したことから人気が再燃したとも言われていますので、聞いたことがある・取り入れてみたことがあるという方も少なくないのでは無いでしょうか。

植物としてはオトギリソウ科フクギ属に分類されており、日本で使われているガルシニアという呼称は属名Garciniaの音から。しかし同属にはマンゴスチンなども含まれている事から、種子名を含めて“ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)”と呼ばれることもあります。原産地はインド・カンボジア・タイなど南アジアから東南アジアにかけてのエリア。産地では果皮を乾燥させて粉状にしたものを、酸味を持つスパイスとして利用しています。カレーの酸味付けや魚類の保存にも使われることがあるそうですよ。マメ科の果実であるタマリンドと料理内での用途がほぼ同じことからMalabar tamarind(マラバール・タマリンド)と呼ばれることもあるそう。

ガルシニア・カンボジアの果実は黄緑色の小ぶりなカボチャのような形状をしており、熟した果実は甘酸っぱい風味があるので現地では生のまま食べられています。ミカン科の植物ではありませんが、柑橘類に近い味がするのだとか。ダイエットティーやサプリメントに使われるのは主に果皮を乾燥したもの・そこから抽出されたエキスとなっています。またインドでは古くから伝承医学アーユルヴェーダの中で生薬として取り入れられており、胃腸の働きを整えるほか食欲を抑える為にも使われてきたと言われています。

そんなガルシニア・カンボジアが世界的に注目されるきっかけとなったのは1965年にインドの研究者がガルシニアの果皮にヒドロキシクエン酸(HCA)という成分が含まれていることを発見したことが挙げられます。後にヒドロキシクエン酸が体内の脂肪酸合成を抑制する働きを持つ可能性が報告され、世界的にダイエットへの注目が高まっていった時期とも重なったことでダイエット食品・サプリメント原料として利用される機会が増えていきました。
より自然な形で摂取できるガルシニア茶も世界中で飲まれていますが、難点は香り・味共に独特であること。発酵したようなと称される独特の香りがあることに加え、酸味の中にしょっぱさ・エグさを感じる味からシングルで飲むのはやや困難な存在です。そのため市販されている「ガルシニア茶」もプーアル茶杜仲茶などをベースにしてブレンドされたものが多くなっています。

基本データ

通称
ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)
別名
ゴラカ(Goraka)、タマリンドマラバー、藤黄果(トウオウカ)
学名
Garcinia gummi-gutta
(Garcinia cambogia)
科名/種類
オトギリソウ科フクギ属/常緑高木
花言葉
誕生花
使用部位
果皮
代表成分
ヒドロキシクエン酸(HCA)、酒石酸、クエン酸、ギ酸、ガルシノール
代表効果
脂肪生成・蓄積抑制、脂肪燃焼促進、満腹感維持、血糖値変動抑制、消化促進、高コレステロール
こんな時に
肥満・メタボリックシンドローム予防、ダイエットサポート、食欲抑制、胃炎予防、スタミナ向上、生活習慣病予防
おすすめ利用法
健康茶
お茶の味
発酵+燻蒸したような独特の香り、味は酸味が強く独特のしょっぱさを感じる
カフェインの有無
ノンカフェイン

ガルシニアの栄養・成分・期待できる効果

ガルシニア茶

肥満予防のサポートに

脂肪生成・蓄積の抑制に

ガルシニアの代表成分とも言えるヒドロキシクエン酸(HCA:hydroxycitric acid)は、クエン酸と似た構造を持つ酸味成分です。この成分が注目されているのは試験管実験・動物実験において体脂肪の生成阻止など脂肪代謝への働きかけを持つ可能性が報告されているため。通常私達が摂取した糖質はグルコースとして分解された後、肝臓でグリコーゲンに変えられて貯蔵されるもの・クエン酸回路(TCAサイクル)を通って細胞のエネルギーとして使われるものの大きく2つに分かれます。

このうちエネルギーとして消費されなかったものはクエン酸へ変換され、酵素“ATPクエン酸リアーゼ”の働きによってアセチルCoAへと変換され、最終的には脂肪に変換されることで蓄積されます。ヒドロキシクエン酸(HCA)は余剰糖質を脂肪へと変換する引き金になる酵素“ATPクエン酸リアーゼ”を阻害する働きを持つと考えられています。このためヒドロキシクエン酸を含むガルシニア茶なども脂肪生成・蓄積を抑制することで肥満やメタボリックシンドローム予防に役立つのではないかと考えられています。グァバ茶ギムネマ茶と組み合わせて飲まれることもあるようです。

ただしガルシニア抽出物やヒドロキシクエン酸を使って行われた臨床実験では脂肪減少・体重減少に有意な変化た見られたという報告がある一方、効果がなかったという報告もなされており、有効性についての見解としては賛否両論という存在でもあります。糖質を多く摂取する方向けのサプリメントなどにも配合されていますが「好きなだけ食べてもOK」というような過度な期待は避けましょう。


脂肪燃焼の促進に

ヒドロキシクエン酸(HCA)は多く摂りすぎた糖質が脂肪として蓄積されるのを抑制するだけではなく、脂肪燃焼を促進するのではないかとも考えられています。体内に蓄えられている脂肪をエネルギーに変換するには大まかに、脂肪が酵素リパーゼによって遊離脂肪酸(FFA)とグリセロールに分解されることで血液中に放出される→脂肪酸がカルニチンと結合してアシルカルニチンに変換される→β酸化と呼ばれる代謝経路を通ってアセチルCoAへと変換される→クエン酸回路に送られる→体内エネルギーのアデノシン三リン酸(ATP)を作り出す、という流れが必要となります。

上記でも触れましたがヒドロキシクエン酸(HCA)は“ATPクエン酸リアーゼ”を阻害することで、アセチルCoA生成を抑制する働きがあるとされる成分。“ATPクエン酸リアーゼ”はクエン酸からのアセチルCoA変換に関わりますが、脂肪燃焼時に必要なβ酸化でのアセチルCoA取り出しには関与しません。このためエネルギーになるATPを生成するため身体に蓄積された脂肪を使うようになると考えられています。またアシルカルニチンの運搬に関わる酵素アシルカルニチントランスロカーゼを活性化する働きがあるのではないかという見解もあり、β酸化経路で代謝される脂肪酸の量を増加させることでも脂肪燃焼促進効果が期待されています。

このためヒドロキシクエン酸を含むガルシニア茶やガルシニアエキスなどを摂取することは、脂肪燃焼を促すことにも繋がると考えられています。男性運動選手6人を2グループに分け、片方にだけガルシニアエキス(ヒドロキシクエン酸換算250mg)を投与した後に同じ運動をしてもらった実験では、ガルシニアを摂取したグループの脂肪利用量が大幅に増加したことも報告されているそうです(出典:わかさの秘密)。


満腹感維持・食欲抑制に

ヒドロキシクエン酸(HCA)は脂肪蓄積に関わる酵素“ATPクエン酸リアーゼ”阻害作用が報告されていますが、この働きでアセチルCoAへと変換されなかった糖質はグリコーゲンに変換され蓄積されると考えられます。このため「ヒドロキシクエン酸はグリコーゲン合成を促す」物質とも称されています。グリコーゲンはブドウ糖の一時保管所とも言えるべき物質で、筋肉と肝臓にそれぞれ貯蔵されています。このうち肝臓のグリコーゲンは血糖値を維持するために、食後に少しずつブドウ糖として血液中に放出されています。

食後時間が経つと「お腹が空いた」と感じるのは胃が空になったということではなく、この肝臓のグリコーゲンが減少して血糖値が下がり始めるという信号によるものと言われています。このため肝臓のグリコーゲン貯蓄量を増加させるヒドロキシクエン酸、それを含むガルシニアの摂取は空腹を感じにくくすることに繋がると考えられています。直接的に神経を刺激するようなものではないため、安全性が高い食欲抑制剤として役立つのではないかとガルシニア(ヒドロキシクエン酸)は注目されています。


そのほか期待される作用

消化器系のサポートに

ガルシニアはインドの伝統医療アーユルヴェーダで古くから胃潰瘍のケアに用いられてきました。現代でもガルシニアに含まれている“ガルシノール”という成分に、胃の酸性状態を緩和する働きを持つ可能性があることが報告されています。またアーユルヴェーダでは酸味は消化を助けると考えられていたことから胃腸の働きを整えるハーブ・スパイスとしても利用されていたと伝えられています。こちらもクエン酸などの酸味は唾液や胃液の分泌をうながる働きがあり、消化促進・食欲増進などをサポートしてくれると考えられていますから、クエン酸と良く似た構造を持つヒドロキシクエン酸ほか酸味成分を多く含むガルシニアも消化器のサポートに役立ってくれるでしょう。

食欲抑制に良いとされるハーブなのに食欲増進というのは矛盾しているように感じますが、ヒドロキシクエン酸は食欲を減退させるのではなく血糖値を下がりにくくして満腹感を維持してくれる成分とされていますから、食欲のバランスを整える働きが期待できます。そのほか便通を良くする働きがあるという説もあります。


疲労回復・スタミナアップ

ヒドロキシクエン酸(HCA)の働きによって酵素“ATPクエン酸リアーゼ”の働きが阻害されることで、糖質からのグリコーゲン変換が高まると考えられています。このグリコーゲンのうち肝臓に蓄えられたものは血糖値を一定に保つために用いられますが、筋肉に蓄えられたグリコーゲンは血糖値維持には使われませんが筋肉の収縮のためのエネルギー源として利用されます。グリコーゲンからのアデノシン三リン酸(ATP)転換は、脂肪からエネルギーを取り出すよりも非常に早く行えることが特徴です。このためグリコーゲン貯蔵量の増加は持久的能力向上に繋がるとして、特に無酸素運動系のアスリートには重視されています。

2003年には韓国で行われた実験でヒドロキシクエン酸の摂取により持久力運動能力と脂肪代謝を増加させる可能性があること、2012年には台湾で運動直後にヒドロキシクエン酸を補給すると運動3時間後に筋肉中のグリコーゲン合成に有意な上昇が見られたという報告がなされています。また運動後に筋グリコーゲンを素早く補給することが疲労予防・軽減に繋がるという見解もあるため、ヒドロキシクエン酸を含むガルシニアの摂取は疲労回復や持久力(スタミナ)向上に繋がるのではないかと期待されています。


生活習慣病の予防に

ガルシニアに含まれているヒドロキシクエン酸(HCA)は“ATPクエン酸リアーゼ”阻害作用によってアセチルCoAの生成を抑制することから、アセチルCoAから合成されるコレステロール抑制にも繋がるのではないかと期待されています。ブラジルのFeevale大学が2008に発表した研究報告では、肥満体の成人男女を対象に行なった比較試験においてガルシニア・カンボジア抽出物摂取群に総コレステロール値・LDL-コレステロール値の有意な低下が見られたことも報告されています。

加えてガルシノールには抗酸化作用があるとも言われていますから、肥満予防・悪玉(LDL)コレステロールの低下と合わせて脂質異常症や動脈硬化ほか生活習慣病予防にも役立つ可能性があると考えられます。糖質をグリコーゲンとして溜めおくことで血糖値の急激な変動を抑える=糖尿病予防に繋がるのではないかという説もあります。

ガルシニア茶の飲み方について

飲むタイミング・摂取量

肥満予防としてガルシニア茶を飲む場合は食事の30分程度前に飲む方法が効果的と考えられています。ヒドロキシクエン酸が十分に吸収された後に食事を摂ることで、肝臓グリコーゲン生成を促すことで食べ過ぎを防いだり、糖質の脂肪変換を抑制する働きが期待できると言われています。また飲み忘れてしまった場合でも、食後30分以内までに飲むようにすればある程度の効果が期待できるという説もあります。脂肪燃焼を高める働きを期待する場合であれば、運動を行う30分前くらいにガルシニア茶を飲むという方が多いようです。

ただしダイエット効果については十分な臨床データは得られておらず、効果が見られなかったとする研究報告も多くあります。ガルシニア・カンボジアは医薬品ではなく食品ですから好きなだけ摂取しようと思えば出来ますが、下記でご紹介するような副作用や毒性も指摘されています。効果が保証されているものではないことを念頭に置き、思ったような成果が出なかったからと言って多量に摂取するのは避けましょう。


摂取量や毒性について

ガルシニア(ヒドロキシクエン酸)はダイエット目的などでの過剰な摂取が問題視されており、海外では肝毒性や過剰摂取によって胃腸の不快感・吐き気・頭痛などを起こすことが、日本でも2002年に厚生労働省からラットを使ったガルシニア抽出物の投与実験(長期毒性試験)で精巣毒性が観察されたことから多量摂取に対する注意喚起がなされています。

現在一日あたりの推奨摂取量はヒドロキシクエン酸換算で250~1000mgとされています。サプリメントであれば用法用量を守るようにしましょう。抽出物ではなくお茶やスパイスとして利用する場合は過剰摂取のリスクは低いとされていますが、摂取目安が記載されているものはその通りに、記載されていないものは一日3~4杯以内にしておくと安心でしょう。味が独特で受け入れがたいという方も多いお茶ですから、シングルで飲むよりも飲みやすいお茶をベースにしてガルシニアを加える感覚で利用すると良いでしょう。風味も良くなりますし過剰摂取の心配も減ります。

ガルシニア茶の注意事項

  • 過剰摂取を避けて下さい。
  • 持病がある方・医薬品を服用中の方は医師に相談のうえ利用しましょう。
  • 長期間摂取における安全性について十分なデータがないため、規定量の摂取であっても定期的にお休みの期間を作るようにしましょう。
  • 妊娠中の摂取を可能としている文献もありますが、妊娠中・授乳中の使用についてもデータ不十分なため摂取は控えた方が確実です。