ザクロ茶(ザクロジュース)
健康茶と期待される効果効能紹介

アンチエイジングや美肌効果が期待できることから女性に人気

美と健康をサポートしてくれるフルーツの一つに数えられるザクロ。最近では韓国ブームなどの影響もあり“ザクロ茶”と呼ばれているザクロジュースに近い飲料やザクロのお酢なども身近な存在となっています。かつて囁かれていた女性ホルモンとしての働きはあまり期待できませんが、ポリフェノールやビタミンCを豊富に含むことからアンチエイジングや美白効果が期待できる美容面でも嬉しい飲み物と言えるでしょう。

画像:ザクロ(石榴/柘榴)

 

ザクロについて

植物紹介:ザクロ

赤い実の中に、更に赤いツブツブが沢山詰まっているビジュアルが印象的なザクロ。食用とされるルビーのような色の粒は果肉でも種子でもなく“種衣”と呼ばれる部分で、中にある白い芯のようなものが種子になります。ザクロと言えば美と健康をサポートしてくれるフルーツとして長く女性に愛されている果物でもあります。近年は韓国ブームの影響などもありザクロ茶/ザクロジュースや、ザクロのお酢「紅酢(ホンチョ)」など手軽に取り入れられる商品も多く流通していますね。

ザクロの原産地はアジア・ヨーロッパ・北アフリカなど諸説あり分かっていませんが、有史以前に既にエジプト・ギリシア・イラン・トルコなど広い範囲で栽培が行われていたことが分かっています。中国には3世紀頃、日本には平安時代に中国を経由して伝えられました。「医学の父」と呼ばれるピポクラテスをはじめアーユルヴェーダや中医学などなどでも生薬として用いられていることから、食料としてだけではなく薬としても重宝されていたと考えられています。古くは“生命の果実”と呼んだ地域もあったのだそう。実の中に果実(種衣)がみっしりと入っていることから豊穣や子孫繁栄の果物として世界的には縁起が良いと考えている地域も多いようです。

ザクロの花言葉には「愚かしさ」という良くない意味のものがありますが、これはギリシア神話で冥府の神ハデスによって乙女ペルセポネが冥界に連れてこられた伝説に由来しています。ペルセポネはハデスとの結婚を拒んていましたが、冥界の食べ物であるザクロを口にしてしまったため冥界に留まらなくてはいけなくなってしまったのだとか。花言葉には「円熟した優雅さ」というものもありますが、こちらは冥界の女王となったペルセポネを表現していると言われています。若いときは少し愚かでも年齢と共に魅力的な存在になるイメージなのかもしれませんね。

ところで「ザクロ茶」と呼ばれる飲料には山本漢方製薬さんなどが販売されている“お茶”形態のものもありますが、このページでは流通量が多いシロップやバウダーなど正確に言うとザクロエキスもしくはザクロジュースに該当するものを“ザクロ茶”としてご紹介しています。韓国食品・韓国茶として販売されているのもこのタイプですね。ザクロ茶(ザクロジュース)はフルーティーで非常に飲みやすいことからも人気を集めていますが、飲みやすくするため砂糖や甘味料を添加して甘さを出しているものも少なくありませんので飲み過ぎには注意しましょう。

基本データ

通称
ザクロ(石榴/柘榴)
別名
Pomegranate(ポメグラネート/ポミグラニット)、石榴(セキリュウ)
学名
Punica granatum
科名/種類
ミソハギ科ザクロ属/落葉小高木
花言葉
子孫の守護、優美、円熟した優雅さ、結合、愚かしさ
誕生花
12月28日(実を7/18・12/20、花を7/31とするものも)
使用部位
果実(種子を含むものもあり)
代表成分
アントシアニン類(デルフィニジン、シアニジン、ペラルゴニジン)、タンニン、エラグ酸、クエン酸、ビタミンC(アスコルビン酸)、ミネラル類
代表効果
抗酸化、血圧降下、代謝促進、免疫力向上、視機能保持、美白
こんな時に
老化予防、高血圧・動脈硬化予防、疲労回復、風邪予防、眼精疲労・眼病予防、むくみ、肌老化予防、美白
おすすめ利用法
食用、ジュース・お茶、ハーブチンキ、湿布、手作り化粧品、キャリアオイル
ザクロ茶の味
実際はジュースなので甘酸っぱくフルーティーな風味
カフェインの有無
ノンカフェイン

ザクロの栄養・成分・期待できる効果

ザクロ茶(ザクロジュース)

毎日の健康維持に

老化・生活習慣病予防に

ザクロの代表成分と言えるのがビタミンCとアントシアニンなどのポリフェノール類。抗酸化物質を豊富に含むことから活性酸素によるダメージを抑制し、体を若々しく維持する働きが期待されています。また活性酸素が脂質を酸化させることで出来る“過酸化脂質”の生成を抑制にも役立つため、過酸化脂質の蓄積によって血管の柔軟性が損なわれる動脈硬化の予防にも役立つと考えられています。

加えてザクロはカリウムを比較的多く含む果物でもあります。カリウムは過剰に摂取したナトリウムの排出を促す働きがあり、血中ナトリウム濃度を一定に保つために保持されていた水分排出を助けることで心臓への負担を軽減する働きがあります。高血圧気味の方はカリウムを意識的に摂取した方が良いと言われるのはこのため。カリウムの働きと抗酸化物質の働きによって動脈硬化や脳卒中のリスク低減にも繋がるでしょう。


疲労回復・風邪予防に

ザクロの酸味の元にもなっているクエン酸などの有機酸は、体内のエネルギー産生(代謝)において重要な「クエン酸回路(TCAサイクル)」の過程に関わる成分です。クエン酸などは代謝産物のため極端に不足するという事はありませんが、クエン酸を補うことでクエン酸回路を活性化出来るのではないかと考えられています。クエン酸回路が効率よく機能することでエネルギー代謝が良くなると考えられることから、疲労回復効果が期待されています。

加えてビタミンCも抗酸化物質であることに加え、エネルギー生産に関係するカルニチンの生成に必要な物質であることから間接的に疲労回復をサポートする働きが期待されています。またビタミンCはコラーゲン生成を促すことで細胞の密度を高める・インターフェロンの生成促進など免疫力に関係する働きも認められています。ポリフェノール類などの抗酸作用も免疫システムの低下を予防することに繋がりますから、相乗して風邪やインフルエンザ予防にも効果が期待されています。


疲れ目軽減・眼病予防

ザクロにはアントシアニンが含まれていることから、目の疲れを軽減して眼精疲労予防にも効果が期待されています。アントシアニンは網膜において光の情報を伝えるロドプシンの再合成を促進する働きがあるほか、抗酸化力によって水晶体や視神経の酸化ダメージを抑制し白内障や緑内障などの眼病を予防する働きも期待されています。ビタミンCも抗酸化作用によって白内障予防への有効性が報告されていますから、目の酷使や老化が気になる方にもザクロは取り入れられているようです。


女性に多い不調軽減に関して

ザクロのエストロゲンについて

「ザクロにはエストロゲン(エストロン)」が含まれているとして、女性特有の不調軽減やバストアップなどにザクロが良いと話題になった時期があります。現在でもザクロはエストロゲンを含むと紹介されている事も多いですが、国民生活センターが流通しているザクロジュースやエキス錠剤を分析し、エストロゲンは発見されなかったという報告がなされています。またザクロの摂取で血液中の女性ホルモンレベルが上昇したという報告もないとのこと。

ザクロの種子部分には若干のエストロンが含まれているため種子を含むザクロ茶やザクロエキスを摂取を勧める傾向もありますが、種子に含まれている微量なものは体内で代謝されてしまう・エストロンの生理活性はエストラジオールよりもかなり低いことからエストロゲンとしての働きは期待しない方が良いという見解が主流となっています。またエストロンは系へ敬語の主なエストロゲンとされていますが、過剰状態になると乳がん・子宮がんのリスクを高める危険性も指摘されています。少ないなら沢山摂取しようと大量にお茶やサプリメントを摂るのは控えたほうが良いでしょう。


更年期障害軽減・骨粗鬆用予防

ザクロが更年期障害の予防や軽減に良いと注目を集めたのは女性ホルモンが含まれていると紹介されたことが大きいと考えられますが、上記の理由からエストロゲンの補給源としては期待しないほうが良いでしょう。ただしビタミンCは副腎皮質ホルモンの原料となる=ストレスへの抵抗力を高めるなどメンタルサポートにも効果が期待されていますし、抗酸化力が高い方が更年期障害の症状が重くなりにくいという見解もあることから、何らかの形で更年期障害による諸症状軽減に役立つのではないかという説もあります。

同様に骨粗鬆用予防についてもエストロゲン(エストロン)が骨からのカルシウム流出を抑えるという働きは期待しない方が無難ですが、ザクロに含まれているクエン酸はカルシウム他ミネラルの吸収を高めてくれる働きがあります。カルシウムそのものやビタミンDなどは含まれてないため単体で効果があるというものではありませんが、意識的な食生活と組み合わせて摂取すればサポート役として役立ってくれる可能性はあるでしょう。


冷え性の軽減に

ザクロが冷え性に良いと聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。なぜ冷えに良いとされるのかは諸説ありますが、ホルモンバランスが整うからというものが多いようです。ザクロの女性ホルモンへの働きかけ(エストロゲン作用)は期待しないほうが確実ですが、抗酸化作用を持つポリフェノールなどが含まれていること・ビタミンCにはコラーゲン生成を促すことで血管を丈夫に保つ働きがあることから血流改善に繋がる可能性はあるでしょう。

東洋医学的の分類ではザクロを“陽性食品”という体を温める性質のある食材としています。少なくともキンキンに冷やして飲むなどしなければ体を冷やす心配は低いと考えられますから、冷えの軽減に取り入れてみても良いと思います。血液サラサラ効果が期待できる酢と組み合わせた“ザクロ酢”の方が効果が高いという説もありますが、市販されているものは砂糖・甘味料を含むものが多いので注意が必要です。


美容サポートとして

むくみ予防・スタイルキープに

ザクロにはカリウムが比較的多く含まれていることから、むくみ軽減に役立つと考えられています。またザクロポリフェノールの中には内臓脂肪の蓄積を抑える働きが期待されているアントシアニンやレスベトロールなども含まれています。代謝に関わるビタミンB群も若干含まれていることから、ザクロは肥満予防に良いのではないかという説もあります。ただしよく見かけるパウダーや液状の“ザクロ茶”は砂糖などが添加されているものもあり、飲みすぎると逆に肥満の原因となる可能性もあるので注意が必要です。


肌のアンチエイジング・美白に

アントシアニン・エラグ酸・ビタミンCなどの抗酸化物質を豊富に含むザクロは肌のアンチエイジングにも高い効果が期待されています。紫外線やストレス・加齢などによって対処できないほと活性酸素が多量に発生すると肌細胞が酸化され、肌の弾力性が低下することでシワやたるみなどの肌老化現象が起こります。抗酸化物質を補給して活性酸素の働きを抑制することで、こうした肌の老化現象を予防する働きが期待できます。加えてビタミンCにはコラーゲン生成を促す働きもありますので、肌のハリや艶をしっかり保つことにも繋がると考えらます。

また紫外線を浴びると活性酸素が大量に発生し、その活性酸素から肌を守るためにメラニン色素が産生されることも知られています。メラニン色素が代謝できないほど多く生成された場合、シミとして肌に沈着してしまいます。ザクロに含まれているビタミンCやエラグ酸はメラニン色素の生成に関わるチロシナーゼという酵素の働きを阻害することでシミ(メラニン色素の沈着)を予防する働きが期待されていることから、シミを予防し透明感のある肌を維持する=美白効果も期待されています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

ザクロはビタミンCやポリフェノールを含むことから化粧品原料としても利用されています。期待される働きとしては抗酸化作用によるアンチエイジング効果やニキビ改善、エラグ酸による美白効果などが挙げられています。またザクロ種子から抽出された“ザクロオイル”は不飽和脂肪酸を豊富に含み、高い保湿作用が期待されています。

ザクロの注意事項

    果実・果汁の場合は通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。

  • 果皮や種子を含むものはアレルギーを起こす可能性があります。
  • 果実部分以外、それらを含むザクロ加工品は妊娠中・授乳の摂取の摂取を避けたほうが無難です。