毎日飲めて、貧血・冷え性・スッキリサポートに役立つ
トウモロコシの実が原料で、ほんのり香ばしいとうもろこしの風味があるコーン茶。ノンカフェインかつ刺激成分も含まないため妊娠中の方やお子さんでも毎日飲める健康茶で、韓国では日本で言うところの「麦茶」に近い存在です。日本ではカリウムや水溶性食物繊維を含むとコーン茶が注目され、韓国美容ブームの影響もあって便秘・むくみ解消やダイエットをサポートしてくれる健康茶として取り入れる方も少なくありません。そのほかに貧血予防や血行促進(冷え性の緩和)などの働きも期待出来ますよ。
コーン(トウモロコシ)について
植物紹介:フリントコーン/トウモロコシ
トウモロコシは小麦・米と共に世界三大穀物の一つとされ、人の食料だけではなく飼料用、コーンスターチ・油・バイオエタノールなどの原料となる工業作物として世界中で栽培されています。日本では穀物というよりも野菜という印象が強いですが、粒をそのまま食べるにしろ製粉してコーンブレッドやトルティーヤなどの原料にするにしろ、主穀として扱う地域も多く見られます。
トウモロコシの原産・原種は諸説ありますが、テオシント起源説・中南米原産説が有力です。、紀元前5000年頃には大規模な栽培も行われ、南北アメリカ大陸の主要作物としての地位を獲得していたと考えられています。マヤ文明やアステカ文明の食基盤であったとされており、トウモロコシの神様も信仰されていました。インカ帝国においても段々畑などを作りトウモロコシ大量栽培に力を注いでいたことが知られています。
コロンブスがアメリカ大陸に到達した以後、16世紀後半までには世界中に伝播していきます。最初の大規模栽培はトルコ帝国で行われていたことから、フランスなどでは「トルコ小麦」とも呼ばれたそう。伝来当初は下賎な食べ物とみなしていたヨーロッパでも、食料難の時代になると圧倒的に収穫率が高いトウモロコシが広まり親しまれるようになっていきます。ちなみにトウモロコシの学名Zea maysのZeaは“生命の元”、maysは“我が母”を意味していると言われています。
そんなトウモロコシを原料とするお茶ですが、同じトウモロコシでもヒゲと呼ばれている部分を利用したコーンシルク茶と、実の部分を使ったコーン茶(とうもろこし茶)の2つに大きく分かれます。コーン茶は鉄分などのミネラル・ビタミン・食物繊維などが豊富とされており、栄養補給として優れていると考えられます。またコーンシルクのみを使用すると苦味があるため「トウモロコシのヒゲ茶」として販売されているものでも、風味を良くするためにコーン(実)を入れているものも多くあります。
基本データ
- 通称
- コーン(Corn)
- 別名
- トウモロコシ(玉蜀黍)、トウキビ(唐黍)、フリントコーン(Flint corn)、メイズ(maize ※イギリス英語)
- 学名
- Zea mays
- 科名/種類
- イネ科トウモロコシ属/一年草
- 花言葉
- 富、財宝、豊富、喧嘩、繊細さ
- 誕生花
- 8月4日、8月7日
- 使用部位
- 種子(実)
- 代表効果
- 利尿、整腸、利胆、血圧降下、血糖値抑制
- 代表成分
- ミネラル類(カリウム他)、ビタミン類、ゼアキサンチン、リノール酸、食物繊維
- こんな時に
- 貧血、血行不良、冷え性、むくみ、便秘、高血圧・糖尿病予防、ダイエットサポート、肌荒れ・くすみ改善
- おすすめ利用法
- ハーブティー、食材として
- ハーブティーの味
- 香ばしさの中にほんのりと甘みがあり、親しみやすい味
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
コーンの栄養・成分・期待できる効果
コーン茶(とうもろこし茶/オクスス茶)
女性の健康維持に
コーン茶は韓国では日本で言うところの「麦茶」に近いポピュラーなお茶で、お水代わりに毎日飲まれているお茶です。材料植物が馴染みのあるトウモロコシであることに加え、カフェインやタンニンが含まれていないので妊娠中の方やお子様でも安心して飲用出来ますね。
やや苦味のあるヒゲ部分を使ったコーンシルク茶に比べて、甘みが強く飲みやすい味であるのも愛されているポイントです。個人的な感覚としては、うっすらポップコーンの香りのする甘めの麦茶。トウモロコシの匂い・味が嫌いでなければお子様でも美味しく飲むことができます。
貧血予防・妊娠中の方に
トウモロコシは鉄分を多く含む穀物であることから、コーン茶も鉄分補給に役立ち、貧血の予防・改善に役立つと考えられています。コーン茶1杯に含まれる鉄分の量はさほど多くありませんが、毎日飲用量を気にせず飲めるという点から考えると鉄分不足を緩和する役割は十分に果たしてくれるでしょう。鉄分の吸収を阻害するタンニンを含まないのも嬉しいポイントですね。妊娠中の鉄分補給にも役立ちますし、鉄分以外にもビタミンやミネラルが含まれていますので悪阻であまりものが食べられない時にも利用されています。
冷え性の改善
コーン茶は体を温める働きのあるお茶としても親しまれています。成分的には末梢血管を拡張することで血流を促すビタミンEや、抗酸化作用によって血管を柔らかく保つゼアキサンチン、血行を促進する働きを持つビタミンBの一種ナイアシンなどが含まれいると言われています。
体を温める作用自体はさほど強くないと言われていますが、血流を整える成分が複合して働くことに加え、鉄分補給による貧血緩和効果やむくみ改善効果も期待できますので総合的に冷え性の改善にアプローチしてくれると考えられます。冷えの改善には生姜を入れるのが定番ですが、ナツメやネトル・明日葉などとも合います。こちらは冷えだけではなく貧血改善にもオススメのブレンドです。
スタイルキープに
便秘改善
トウモロコシには水溶性食物繊維(水に溶けやすい食物繊維)が含まれていることから、便秘の改善に役立つお茶として利用されています。食物繊維は大きく不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに分けられますが、水溶性食物繊維は水に溶けるというだけではなく、水分を含んでゲル化する性質があり便の水分量を調整してくれます。その働きから適量であれば下痢止めにも有効とされています。
例えば野菜・寒天などをたくさん食べても便通が改善しない(悪化する)・お腹が張る・逆に下痢になるなどの場合は不溶性食物繊維の摂りすぎの可能性があります。水溶性食物繊維は作用が穏やかですから、過剰に摂取しなければそういった心配は少ないと考えられています。加えて腸内の善玉菌のエサとなることで腸内フローラを整える働きもあります。
むくみの改善
生薬として認められているコーンシルク(南蛮毛)と比べると劣りますが、実部分のコーン茶もカリウムを豊富に含んでいます。カリウムは細胞の浸透圧を維持・調整することで過剰な水分の排泄を促してくれますし、腎臓に蓄積した老廃物の排泄を促して腎機能を高めるなどの働きもあると考えられています。
コーン茶の場合は血行を促進する働きを持つビタミンEや、血管の状態を整えるキサントフィルなど冷えを改善する成分も含まれています。カリウムとの相乗効果で血行不良・冷えによるむくみの改善、むくみによって悪化している冷えのケア両方に役立ってくれるでしょう。
ダイエットのサポートに
コーン茶に含まれている水溶性食物繊維はゲル化して消化管をゆっくりと進むことで食べたものの吸収スピートを遅らせる=血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。また腸内フローラが改善されることで、善玉菌が活発に働き代謝向上効果も期待できます。血行が改善されることもまた代謝向上に繋がりますし、ナイアシンも糖質や脂質の代謝をサポートしてくれる成分です。
便秘・むくみが改善されるだけでも見た目がスッキリとしますが、それに加えて食べたものを脂肪として蓄えにくくなる・代謝が高まって(低下していたものが正常になって)燃焼力がアップする働きも期待できますから、ダイエットの心強い味方になってくれそうですね。ダイエットサポートには杜仲茶や烏龍茶と混ぜて飲まれる方も多いようです。
そのほか期待される作用
生活習慣病・老化予防に
ナトリウム排出を促すことで高血圧・腎臓病予防に役立つカリウム、血糖値の上昇を緩やかにすることで糖尿病予防に役立つ水溶性食物繊維、動脈硬化などの血管疾患予防に役立つリノール酸などを含んでいます。その他に抗酸化作用のあるビタミンEやゼアキサンチンなども含まれていますので、生活習慣病や老化の予防にも役立つと考えられます。
美肌維持に
貧血の改善に役立つことや血液循環を助ける働きから、肌のくすみ改善に役立ちます。便秘やむくみが改善によるデトックス効果と合わせて肌荒れやニキビ予防にも効果が期待できるでしょう。腸内フローラが整えば美肌に必要なビタミン類の合成も促進されます。
コーン茶の作り方
トウモロコシのヒゲで作るコーンシルク茶よりは手間がかかりますが、実部分のコーン茶もトウモロコシから手作りすることができます、ヒゲ茶と異なり手間と材料費を考えると買ったほうが良いかと思いますが、トウモロコシが余ってしまった時や手作りが好きな方は作ってみると面白いかもしれません。
作り方①
初めにトウモロコシの実を軸から外し、粒にします。電子レンジもしくは低めのオーブン(100℃~120℃)で水分を飛ばします。その後フライパンで乾煎りするか、オーブンの場合は途中途中全体をかき混ぜつつ焼いていき、こんがりした焼き色が付くまで続けます。
作り方②
トウモロコシの皮を剥き、水分が抜けるまで一ヶ月くらい陰干しします。実部分が乾いたら軸から外し、フライパンで弱火で乾煎りしていきます。きつね色になり、弾けるような音がしなくなっていれば完成です。
お茶にする場合はカップ一杯に対し、焙煎トウモロコシ大さじ1程度を沸かしたお湯に入れて10分ほど煮出します。日持ち面を考えると作り方②の方が安心かと思いますが、①の方が手間がかからず失敗も少ないでしょう。
コーンの注意事項
- 通常の食用・飲用利用であれば安全と考えられています。
- イネ科植物にアレルギーのある方は注意が必要です。