【ハイビスカス/ローゼル】
原料植物、ハーブティーに期待される効果効能

美肌&アンチエイジングに期待♪

ローズヒップティーと組み合わせて使用されることの多いハイビスカス。ローゼルと呼ばれる種類のガクが原料で、濃いピンク系の水色と酸っぱい風味が特徴のハーブティーにです。クレオパトラの美貌の秘訣と紹介されることもある存在で、成分的にもアントシアニンやビタミンCなどの抗酸化物質を多く含んでいる事が注目されています。アンチエイジングや美肌作りのサポートに親しまれている他、便秘・むくみの解消やダイエットサポートなど美容面の幅広い効果が期待されていますよ。目の疲れが気になる方にも良いでしょう。

ハイビスカスティー/ローゼルティーのイメージ画像

ハイビスカス(ローゼル)とは

植物紹介:ローゼル

鮮やかな赤紫~ピンク色の液体と、独特の酸っぱさが印象的なハイビスカスティーピンク色で酸っぱいハーブティーと言うとローズヒップティーを想像される方も多いかも知れませんが、実はローズヒップティーだと認識されているお茶の色や味はハイビスカスティーによるものなんです。シングルで使用した場合のローズヒップティーの水色は淡黄色で、酸味はなくトマトを薄めたような独特の風味。シングルだと飲みにくい・見た目がぱっとしないなどの理由から、ドラッグストアなどで比較的お安く販売されているのは「ローズヒップ&ハイビスカスティー」とブレンドされたものなんですね。

ハイビスカスという言葉は広義であればアオイ科フヨウ属(Hibiscus)の植物全体、原種(野生種)で約250種・交配種を含めると更に多くの品種を指す言葉として使われています。日本ではより狭義にフヨウ属のうち仏桑華など熱帯および亜熱帯性の幾つかの種を指す言葉として親しまれています。このためハイビスカスティーと言われると沖縄やハワイなど南国リゾートの印象があるお花を乾燥させたものが茶葉になっているように感じがちですが、ハイビスカスティーの原料として使用される植物は学名Hibiscus sabdariffa、通常はローゼルやロゼリ草と呼ばれている種類です。ハイビスカスと言われて私達が連想するものよりも、オクラに似た花を咲かせる種類です。このためローゼルとハイビスカスは別の植物であると紹介されることもありますが、ローゼルもフヨウ属(Hibiscus)に分類される植物ではありますからハイビスカスと言っても間違いではありません。

またハイビスカスティーはローゼルの花びらを乾燥させたものではなく、俗に花や果実とも呼ばれれている部位=萼と苞が原料ローゼルは開花後に萼と苞が肥厚し赤く熟す性質があり、熟したものは酸味がありますが生のままでも食べることが出来ます。乾燥させてハーブティーにするだけではなく、ジャムやゼリーなどにも用いられていますし、お酒作り、着色料などにも使われていますよ。そのほか若葉は東南アジアなどでは野菜や香辛料感覚で、茎からはジュートに似た繊維も生産されています。繊維生産のために栽培される事もありますが、葉やガクを食べるために栽培されるることも多い“食用種”であるという事がローゼルの大きな特徴と言えます。

食用としても繊維の供給源としても役立つローゼル。原産地については諸説ありますが熱帯アフリカという説が有力視されており、今より6000年ほど前にはスーダンなどで栽培が行われていたのではないかと考えられています。スーダンやセネガルなどアフリカ各国ではローゼルを原料にした飲み物が現在も愛されています。古代エジプトの女王クレオパトラもハイビスカスティー(ローゼルティー)を愛飲していた・美貌を保つ秘訣であったという逸話もありますよ。余談ですがハイビスカス(Hibiscus)という呼び名の由来にも、古代エジプトの美の女神「ヒビス(hibis)」+ギリシャ語で「似る(isko)」が語源という説がありますよ。

基本データ

通称
ハイビスカス(Hibiscus)
別名
ローゼル(Roselle)、ロゼリ草・ローゼリ草、ベニアオイ(紅葵)、カルカデー(carcade)、フロール・デ・ジャマイカ(flor de Jamaica)、ジャマイカ・ソレル(Jamaican sorrel)、レモネードブッシュ(lemonade bush)など
学名
Hibiscus sabdariffa
科名/種類
アオイ科フヨウ属/亜灌木(亜低木)
花言葉
新しい恋、常に新しい美
誕生花
12月17日(誕生果では10月6日)
使用部位
肥大化した萼(がく)
代表成分
ビタミンC、ミネラル類、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、ハイビスカス酸)、アントシアニン系色など
代表効果
抗酸化、美白、利尿、緩下、抗肥満、代謝促進、消化促進、強壮、視機能保持、抗菌、血圧降下、高コレステロール、収斂
こんな時に
アンチエイジング、美肌、シミ予防、むくみ、便秘、ダイエット、消化不良、食欲不振、疲労、眼精疲労予防、風邪予防、高血圧予防、生活習慣病予防
おすすめ利用法
食用、ハーブティー、ハーブチンキ、手作り化粧品、料理用ハーブ
ハーブティーの味
酸っぱさを感じる香りで、味も酸味を強く感じる
(すっぱさが苦手な方の場合は、シングルだと飲みにくい場合も)
カフェインの有無
ノンカフェイン

ハイビスカス(ローゼル)の成分と作用

ハイビスカスティーに期待される効果

抗酸化&美容サポーターとして

抗酸化(アンチエイジング)に

クレオパトラが愛した・美の女神が呼び名の由来となっているとも称されるハイビスカスティー。現在の研究でもアスコルビン酸(ビタミンC)が豊富で、マゼンタ色の元となっているアントシアニン系色素ほかフラボノイド系ポリフェノール類を含んでいることが認められています。こうした成分は抗酸化作用を持つことが特徵。2011年にナイジェリアでラットを使った実験ではローゼル由来のアントシアニン抽出物でフリーラジカルを最大90%以上除去したことも報告されており、強力な抗酸化作用を有するハーブとして人体への有益性が研究されています。

活性酸素は代謝過程の中でも発生する物質ですが、増えすぎると細胞や脂質を酸化させることで老化や劣化を促進する原因ともなります。ローゼル全体の抗酸化作用についてはまだ解明されていないところも多いですが、ハイビスカスティーに含まれているアスコルビン酸(ビタミンC)は抗酸化ビタミンとしてお馴染みの存在。加えてハイビスカスティーの酸味の元ともなっているクエン酸はアスコルビン酸と一緒に摂取することでそれぞれの作用を補完し合う可能性があることも報告されていますから、日常の中で取り入れるアンチエイジングティーとしては十分に抗酸化サポートが期待できるでしょう。


むくみ・便秘対策に

ハイビスカス(ローゼル)は抗酸化物質だけではなくカリウムなどのミネラルも含んでいます。カリウムはナトリウムと対になって働くミネラルで、ナトリウムの排出を促す働きがあります。人の身体は塩分を摂りすぎた時などナトリウムが過剰に存在している場合、水分を多く取り込むことでナトリウム濃度を一定に保とうとする働きがあります。塩辛いものを食べると喉が乾いたり、むくみやすくなるのもこのため。カリウムはナトリウムの排出を促し、ナトリウム濃度を保つために取り入れていた水分も合わせて排出させてくれることから、むくみの緩和に役立つミネラルと呼ばれています。

加えてローゼルにはペクチンなどの水溶性食物繊維も含まれています。水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になることで便の硬さを排泄に適した状態に保ったり、腸内の善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える働きがあります。こうした働きからハイビスカスティーは便秘改善やお腹の調子を整える働きも期待されています。利尿作用や緩下作用が期待できることから、体内に滞留している余分な水分・老廃物の排泄促進に役立つデトックスティーとしても親しまれていますよ


美肌作りのサポートに

ローゼルに期待されている高い抗酸化作用は、肌細胞の酸化を抑制することでお肌を若々しく保つことにも繋がります。活性酸素によって肌細胞が酸化することは、肌の弾力低下によるシワ・タルミ、シミなどの肌の老化現象を引き起こす原因にもなります。ハイビスカスティーなどに含まれている抗酸化物質を内側から補給することで、若々しい肌を保つことに繋がると考えられています。

また、ビタミンCはコラーゲンの生成促進作用、シミ・そばかすの原因となるメラニン色素の生成に関わる酵素チロシナーゼの働きを阻害することでメラニン色素の沈着を予防する美白効果があることが認められています。酸味成分であるクエン酸やリンゴ酸などにも新陳代謝を高める働きが期待できますから、ハイビスカスティーは抗酸化+αの働きで美肌作りのサポートをしてくれる可能性もあります。シワやたるみ予防だけではなくる肌のターンオーバー促進や、くすみ・肌荒れの軽減を感じる方も少なくないそうですよ。

ちなみにハイビスカスティーがローズヒップとブレンドして利用されることが多いのは、風味や見た目を良くするだけではなく、ビタミンCの働きを助けるビタミンP(フラボノイド)類が豊富なローズヒップと組み合わせることで相乗効果が期待できるという一面もあります。そのほかアンチエイジングや美肌のサポートとしてはクランベリーや、メラニン色素生成抑制作用が期待されるアルブチンを含むヒース(ヘザーフラワー)などとブレンドするものオススメです。


ダイエットサポーターとしても期待

ハイビスカス(ローゼル)は痩身サポートを目的としたブレンドティーや健康食品に配合されていることもあります。これは穏やかな利尿・緩下作用によってむくみや便秘を緩和してサイズダウンに繋がる可能性があること、抗酸化物質の補給によって基礎代謝の低下を抑制する働きが期待できることが大きいと言われていました。しかし近年はそれ以外の方向からもハイビスカスティーは肥満予防を手助けしてくれる可能性があると注目されています。

2007年に行われた動物実験ではハイビスカス抽出物がデンプンとグルコースの吸収を低下させることを示唆した報告が、2014年に行われたプラセボ対照試験ではハイビスカス抽出物投与群に体重・体脂肪・血清遊離脂肪酸(FFA)の優位な減少が見られたことが報告されています。こうした結果からハイビスカスが何らかの形でアミラーゼ活性を阻害し、消化吸収を阻害するのではないかという見解もあります。有効成分や作用秩序などは判明しておらず、有効性についても断定されていませんが、ハイビスカスティーは抗酸化物質を豊富に含むお茶でもあります。アンチエイジングをスタイルキープを兼ねて取り入れてみても良さそうですね。

身体の調子を整える手助けにも

キレート作用・貧血予防

ハイビスカスティーが持つ独特の酸味、青色のイメージが有るアントシアニンを含んでいるのに水色がマゼンタ系の色味をしているのは、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸類が含まれているためです。加えて、酸味の元であるクエン酸にはキレート作用=ミネラルの吸収を促進する働きがあります。これはカルシウムや鉄分などのミネラルを包み込むことで吸収しやすい状態にする働きで、カルシウムの場合はクエン酸と合わせて摂取することで吸収率が30~50%上昇するという説もあります。

この働きからホーステールワイルドストロベリーなどミネラル豊富なハーブティーとローゼルをブレンドすることで、ミネラルの吸収・活用率を向上させてくれると考えられます。またローゼル自体も鉄分などのミネラルが豊富な食品。豊富に含まれているビタミンCにも鉄分の吸収率を高める働きがあることから、ローゼルは鉄欠乏性貧血の予防にも役立つと考えられています。ただし鉄分などは不溶性の栄養素のため“お茶”として浸出された水分部分のみを摂取した場合にどの程度補給できるかは定かではありません鉄分補給を効率良く行いたい場合はローゼルティーを食前に飲むようにしたり、出し殻の部分もジャムなど活用し食べるようにすると良いでしょう。


疲労回復・消化促進

クエン酸やリンゴ酸は体内でエネルギーを作り出すクエン酸回路(TCAサイクル)で触媒のような働きを担う成分のため、外側から補うことでクエン酸回路の活発化=代謝を良くする働きが期待されています。かつてこのクエン酸回路の代謝物の一つである乳酸は疲労物質と考えられ、クエン酸回路が潤滑に回ることは乳酸の元となる物質(焦性ブドウ糖)の蓄積抑制・乳酸の代謝を高めることで、疲労回復や筋肉痛予防に有効とされていました。このためクエン酸を豊富に含む“酸っぱい”ハイビスカスティーは疲労回復に有効であると囁かれて来たのです。

しかし近年の研究では乳酸=疲労物質という考え方は否定されつつあり、クエン酸の疲労回復効果についてもプラセボ以上の効果はないとする報告が多くなされています。ではハイビスカスティーに全く疲労回復効果が期待できないのかと言えば、別方面からサポートをしてくれるか可能性があると考えられています。というのも疲労は活性酸素と関わりがあり、細胞の酸化によって疲労感を覚えるという説があるため。ハイビスカスティーにはビタミンCやアントシアニンなどの抗酸化物質が含まれていることから、抗酸化という方向から疲労・疲労感の予防効果が期待されています。

また、クエン酸の酸味は消化液の分泌を促すことで胃腸機能を高め、食欲不振や消化不良の改善を手助けしてくれる可能性もあります。しっかりと栄養を補給して代謝を整えることからも、疲労予防や疲労回復促進が期待できるでしょう。口の中がスッキリする酸味は夏場バテ気味の時にも嬉しいお味です。食欲が無い・消化が悪いように感じている時はペパーミントフェンネルなどとブレンドしても活用できますよ。


目の疲れ・視機能サポートに

見ているだけでテンションが上がるような、鮮やかな赤紫~ピンク色のハイビスカスティー。その色の元となっているアントシアニンは抗酸化作用を持つ成分であるだけではなく、目の健康をサポートしてくれる成分としても注目されている存在です。アントシアニンが目の健康維持に役立つと考えられる理由は、目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きを持つことが報じられているため。

私達の目の網膜にはロドプシンという色素体が存在しており、光の刺激を受けると分解されて電気信号を発することで脳に映像が認識されています。この時に分解されたロドプシンは再合成され、再び情報を伝えるために分解され…と分解・再生を繰り返し行っています。しかし加齢や視機能の酷使などによってロドプシン再合成が滞ると目の疲れやかすみ・ぼやける・視力が低下するなど影響が出てきます。

このためロドプシンの再合成を促すアントシアニンを補給し、ロドプシンの再合成が正常に行われることで目の疲労から起こる見づらさや不快感解消に役立つと考えられています。またアントシアニンは抗酸化作用を持つことから、酸化ダメージによって発症する白内障・緑内障の予防に繋がる可能性もあります。アントシアニンが体内に留まっていられる目安は24時間程度ですので、目の酷使が気になる方は定期的に補給すると良いと言われています。ルテインを含むカレンデュラ(マリーゴールド)とブレンドするものオススメです。

ただし疲れ目や眼精疲労の原因はロドプシン再合成低下によるものだけではありません。アントシアニンの摂取は軽減に繋がる可能性があるという程度、全ての疲れ目や視力低下改善に役立つわけではありませんから注意しましょう。


風邪予防に

ハイビスカスティーに多く含まれているビタミンCは抗酸化作用によって免疫機能低下を予防するほか、抗ウイルス作用を持つインターフェロンの生成を促進することで免疫力を高める・自身が免疫細胞のように細菌やウイルスを攻撃する働きなども報告されています。ハイビスカスティーは消化を助ける働きも期待されているため、栄養補給と合わせて風邪予防にも役立つのではないかと考えられています。またハイビスカス抽出物を用いた実験では大腸菌などの細菌を抑制する、抗菌作用を持つ可能性も報告されていますよ。

そのほかローゼル(ハイビスカス)に含まれているペクチンなどの粘液性のある成分は、粘膜を保護し炎症を和らげる働きがあるという説もあります。このため伝統的に風邪予防や喉の痛みの緩和、気管支炎の軽減などにハイビスカスティーを用いることもあります。胃腸も粘膜に覆われた部位であることから、ストレスや暴飲暴食などによる胃痛・胃炎の軽減に役立つという説もあります。


血圧・コレステロール対策に

ハイビスカスティーに含まれているカリウムは、ナトリウムの排出を促す働きがあります。ナトリウム濃度を保つために水分が取り入れられるとむくみの原因となるだけではなく、血液量が増えて血液を送り出す役割を持つ心臓に負担がかかります。このためナトリウム過多は高血圧のリスクを高める要因に数えられており、カリウムの摂取は血圧を一定に保つことに繋がると考えられています。アントシアニンにも血圧降下作用やコレステロール低減作用を持つ可能性が示唆されていることから、合わせてコレステロール対策や高血圧予防としてもハイビスカスティーは役立つ可能性があります。

実験でもハイビスカスは悪玉(LDL)コレステロールの低減作用を持つという報告は多くなされています。2014年にAllison L. Hopkins博士等によって作成されたレビューでは、ローゼルティーや抽出物の摂取によって善玉(HDL)コレステロールが増加し、悪玉コレステロールと中性脂肪の減少が見られたことが示されています。まだ研究段階ではありますが、アテローム性動脈硬化などの予防に役立つ可能性も示唆されています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

ハイビスカス(ローゼル)はビタミンCやクエン酸を含んでいます。このためハイビスカスティーをそのまま化粧水代わりに利用したり、チンキなどを使ってスキンケアを行うことでも抗酸化作用や美白効果(シミ予防)効果が期待できると考えられています。そのほかペクチンなどの成分が保湿に役立つ、クエン酸が穏やかなピーリング剤として作用することで肌をツルツルにしてくれる、という説もあります。ハイビスカスティーの香りが気にならない方は、出がらしの茶葉とお塩を入浴剤代わりに利用することで全身の肌の状態を整え、血行促進・保温などのメリットがあるとされています。

ただし市販されている化粧水などに含まれているビタミンCとは異なり、ハイビスカスから自分で浸出したものは安定性が低いことから、スキンケア基剤として売られているビタミンCのような効果は期待できないという見解もあります。クエン酸などの成分は皮膚を刺激する可能性もありますから、肌へ使用する場合にはご自身の肌調子を確認しながら取り入れるようにしましょう。

ハイビスカス(ローゼル)の注意事項

  • 諸説ありますが、妊娠中・授乳の使用は控えるようにした方が確実です。
  • 摂取量によってはお腹がゆるくなる可能性があります。
  • 医薬品を服用中の方は医師・薬剤師に相談の上で利用してください。

参考元