ゴーヤ茶/苦瓜茶/ビターメロンティー
健康茶と期待される効果効能紹介

脂肪燃焼や血糖値抑制効果が期待され、ダイエット用としても人気

沖縄料理の食材として発信され、今や全国的に定着したゴーヤ(苦瓜)。野菜としての利用だけではなく、完熟したゴーヤで作った“ゴーヤ茶”は共役リノレン酸を含むことから肥満予防・ダイエット効果が期待できるお茶として利用されています。ビタミンCを含むため紫外線対策や美肌維持などにも取り入れられていますし、糖尿病予防やアレルギー緩和などにも効果が期待されています。

画像:ゴーヤ(ビターメロン)

 

ゴーヤについて

植物紹介:ゴーヤ(苦瓜)

ゴーヤーチャンプルーなど沖縄料理の体表的食材として知られていることもあり“沖縄の野菜”という印象が強いゴーヤですが、原産地はインド・東南アジアなどの熱帯地域と考えられています。いつ頃から食用・栽培が行われていたのかは定かではありませんが、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは薬用として果実・葉・茎など地上部全てを利用するそう。14世紀には中国に伝播し、中医学(漢方)でも実は苦瓜・花は苦瓜花・根は苦瓜根・種子は苦瓜子と各部位が生薬として利用されています。

日本へのゴーヤー伝来は1600年前後と言われています。沖縄県への伝播時期ははっきりしていませんが、1713年に上覧された『琉球国由来記』に“苦瓜”の記述が見られることから1600年代には伝わっていたのではないかと考えられています。当時中国と独自の関わりがあった沖縄県では現在で言う医食同源のような考え方が根付いており、夏バテ予防などに役立つ薬用食材として親しまれるようになっていきます。21世紀に入る頃になるとTVドラマや沖縄=長寿県と報じられた影響もあり、沖縄の食材・料理が注目されるようになります。

1900年代までは苦瓜(にがうり)という名前のほうが広く使われていましたが、沖縄県での呼び方である「ゴーヤー」の方が一般的に利用されるようになったのもこの時期からのことです。苦瓜と呼ばれる通り、ゴーヤーはウリ科に分類される植物。緑色のコブ状突起がある果皮と、これまた甘えの由来である独特の苦味を持つ野菜…という印象をお持ちの方も多いかと思いますが、これは果実が未完熟状態のうちに採取しているためで、完熟したゴーヤは果皮・果肉がオレンジっぽい色になります。

またゴーヤは完熟すると種子表面を覆う仮種皮が赤く、甘みのあるゼリー状になります。一般的にほとんど使われることはありませんがゴーヤの正式和名はニガウリではなく“蔓茘枝(ツルレイシ)”とされています。この茘枝(レイシ)はライチとも呼ばれる球状で鱗状の皮を持つトロピカルフルーツで、ゴーヤのイボイボとした果皮・仮種皮の甘い味が似ているとして命名されたと言われています。完熟ゴーヤは食べられないと捨ててしまう人もいる一方、種子周りの赤いゼリー状部分の甘みにハマる人も結構いらっしゃるそうですよ。

野菜としてのゴーヤ(未完熟)は独特の苦味と食感から好き嫌いが分かれる存在ですが、ゴーヤ茶もまた苦好き嫌いが分かれます。お茶用としては完熟したゴーヤを利用していることが多いため苦味はさほど感じませんが、ウリ科特有の青っぽさを香り・味共に感じる方も多いよう。未完熟のゴーヤ茶の場合は苦味が出るので更に好き嫌いがハッキリと分かれます。購入する場合も自作する場合も、ゴーヤの熟し具合で味が変わることを考慮すると失敗しにくいかもしれません。

基本データ

通称
ゴーヤ(Bitter melon)
別名
苦瓜(ニガウリ/クカ)、Balsam pear(バルサム ピアー)、蔓茘枝(ツルレイシ)
学名
Momordica charantia
科名/種類
ウリ科ツルレイシ属/つる性一年草
花言葉
強壮
誕生花
10月19日
使用部位
果実
代表成分
モモルデシン、チャランチン、共役リノレン酸、ビタミン類、ミネラル類、葉緑素(クロロフィル)、食物繊維
代表効果
緩下、利尿、解熱、抗酸化、健胃、整腸、血糖降下、脂肪分解促進、抗炎症
こんな時に
肥満予防、ダイエットサポート、便秘、むくみ、生活習慣病予防(高血圧・糖尿病・動脈硬化など)、アレルギー症状(花粉症・アトピー性皮膚炎など)、紫外線対策、肌荒れ・ニキビ、夏バテ、食欲不振
おすすめ利用法
食用、ハーブティー
ハーブティーの味
ややクセのある香りだが、苦味は少なくほうじ茶に近い味
カフェインの有無
ノンカフェイン

ゴーヤ(苦瓜)の栄養・成分・期待できる効果

ゴーヤ茶(ビターメロンティー)

美容面への働きかけ

ダイエットサポート(脂肪燃焼)に

ゴーヤ茶が支持されている大きな理由として「ダイエット効果が期待できる」健康茶であることが挙げられます。これはゴーヤの種子には脂肪酸の一種である「共役リノレン酸(CLN)」という成分が約60%と言われるほど豊富に含まれていることや、苦味成分のモモルデシンやチャランチンによる血糖値上昇抑制・糖代謝促進効果が期待できるためです。

ゴーヤの種子に含まれている共役リノレン酸(CLN)は体内で共役リノール酸(CLA)へと変化します。共役リノール酸にはリパーゼの活性化作用によって脂肪分解を助ける働き・遊離脂肪酸(血中の脂肪酸)が再び白色脂肪細胞に戻るのを防ぐ働きが報告されています。この働きから脂肪をエネルギーとして活用させる=脂肪燃焼促進効果が期待できる成分として共役リノール酸はダイエットサプリメントなどにも利用されています。

ただし共役リノール酸の摂取は運動と同じような効果が期待できるという説もあるため「ゴーヤ茶を飲むだけで肥満予防・脂肪燃焼効果が期待できる」と言う方も居ますが、ダイエット目的で飲用する場合は代謝のきっかけとなる適度な食事制限・有酸素運動などと組み合わせるようにした方が良いでしょう。

※動物実験では共役リノール酸を過剰摂取した場合、体に必要な脂肪(善玉コレステロールなど)までも減少させてしまい、逆に脂肪肝や糖尿病の発症リスクが高まる危険性も示唆されています。ゴーヤ茶は共益リノレン酸が豊富とは言ってもサプリメントなどと比べると含有量は少ないですから適度に補充しやすい存在と言えますが、飲み過ぎないように注意しましょう。


便秘・むくみの緩和に

ゴーヤにはお茶として滲出される水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は便の硬さを調節する・腸内善玉菌のエサとなって善玉菌を活性化させるなどの働きがあり、整腸作用が期待できます。加えて苦味成分のモモルデシンも腸を刺激することで蠕動運動を促進する働きがあるとされていますから、相乗して便通改善効果が期待できるでしょう。

またゴーヤはカリウムの含有量も多いため、余分な塩分を排出させて体内の水分量を適正に保つ=むくみの緩和にも役立つと考えられています。ただしゴーヤは漢方で体の熱を冷ます“清熱”の性質を持つ食材とされていますから、冷えによってむくみが悪化している場合には適さないと考えられてます。気になる方は生姜など体を温める働きを持つものと組み合わせて飲むようにしましょう。


紫外線対策・老化予防に

ゴーヤは1本につきレモン約2個分と言われるほどビタミンCが豊富な野菜です。またゴーヤのビタミンCは熱に強い性質があるため、熱湯を注いでお茶として浸出した場合も損失が少なくビタミンCを補給することが出来ます。脂溶性ビタミンですから浸出量は期待しないほうがよいですが、βカロテンやビタミンEなどもゴーヤには含まれていますからビタミンCと相乗しての抗酸化作用が期待できるでしょう。

ビタミンCには抗酸化作用があるため、紫外線を浴びることで発生する活性酸素の抑制・除去効果が期待できます。また美白に役立つビタミンとして利用されているように、メラニン色素生成抑制することでシミ等の色素沈着を予防する働きもあります。このためゴーヤ茶は内側からの紫外線ケアに役立つと考えられています。もちろん活性酸素抑制による、肌の老化予防・エイジングケアとしても役立ってくれるでしょう。肌老化予防やシミケアにはポリフェノールが豊富なルイボスクミスクチンとブレンドして飲むのもオススメです。


肌荒れ予防・緩和に

ゴーヤ茶はビタミン・ミネラルを含むことから肌の健康維持に関わる栄養素の補給になり、肌荒れ予防に役立つとされています。中でも豊富に含まれているビタミンCには過剰な皮脂分泌の抑制やコラーゲン生成促進作用などがありますから、ニキビ予防や改善に高い効果があると考えられています。

ちなみに漢方の考え方でも清熱類(体内の余分な熱を取り去る性質を持つもの)に分類されるゴーヤは、熱がこもることで起こるニキビや口内炎などの肌あれに有効な食材と考えられています。中国の古い書物に「ニキビや口角炎が多いとき、苦瓜で治す」との記載もあるそうです。


生活習慣病予防に

血糖値が気になる方に

ゴーヤには植物インスリンと呼ばれるタンパク質(コロソリン酸)が含まれていることが認められています。インスリン注射などの場合は血糖値を下げるという一方向のみに作用することで低血糖を生じることがありますが、ゴーヤに含まれているコロソリン酸は血糖値を安定させる働きに優れ、低血糖症のリスクが低いことが認められています。

そのほかゴーヤの苦味成分である「モモルデシン」や「チャランチン」は膵臓を活性化することで血糖の代謝促進作用があると考えられています。ゴーヤの糖尿病予防に対する有益性については諸説ありますが、血糖値が気になる方は健康茶の一つとしてゴーヤ茶を取り入れてみても良いかもしれません。


高血圧・動脈硬化予防に

ゴーヤの苦味成分である苦味成分モモルデシンは肝臓の中性脂肪を減少させることで肝機能を高める働きがあると考えられています。コレステロール低減にも有効と考えられていますし、共役リノール酸(CLA)も抗酸化作用によって血中の悪玉コレステロール蓄積を予防する働きが期待されています。

ゴーヤ茶にはナトリウム排出に役立つカリウムも豊富に含まれていますから、これら成分と相乗して高血圧・動脈硬化など生活習慣病予防に役立つと考えられています。沖縄では古くから「ゴーヤの苦味は血液を浄化し、血圧を安定させる」と言われていたのも納得ですね。


そのほか期待される作用

夏バテの予防・解消に

ゴーヤの苦味成分であるモモルデシンは胃腸保護や食欲増進効果があるとされています。神経に働きかけることで気持ちをシャッキリと覚醒させる働きもあるとされていますし、疲労回復効果があるビタミンCも含まれています・。中医学的には余分な熱を冷ます性質とされていますから、様々な方向から夏バテの予防や回復をサポートしてくれると考えられています。同様に夏バテ改善効果が期待できるペパーミントティーとブレンドするとさっぱりして飲みやすくなりますし、心も体もぐったり感が強い時はマテ茶との組み合わせもオススメです。


アレルギー症状の緩和に

ゴーヤの種に含まれている共役リノレン酸(CLN)から変換される共役リノール酸(CLA)は、アレルギー炎症促進物質とされるアラキドン酸や免疫抗体グロブリンE(IgE)の産生を抑制する働きが期待されています。アレルギーを起こす・悪化させる成分が減少することから炎症緩和が期待できますし、抗アレルギー作用を持つ免疫抗体グロブリンGとAの生成を促進するという説もあります。このためアトピー性皮膚炎や花粉症・アレルギー性鼻炎などの緩和にゴーヤ茶も役立つのではないかと考えられています。


ゴーヤ茶の作り方と注意

市販されているゴーヤ茶とは若干成分が異なりますが、野菜として食べている未成熟ゴーヤからもゴーヤ茶を作ることが出来ます。

作り方としては

  1. ゴーヤは縦半分に切り、スプーン等で種の部分をくり抜く。
  2. 繰り抜いたワタの中からは種だけを取り出す。
  3. 果肉部分は1~2mm程度に薄切りにしておく。
  4. 果肉と種を天日干しにするか電子レンジで水分を飛ばす。
  5. 乾燥させたゴーヤをフライパンできつね色になるまで乾煎りする。

の大まかに5工程で、熱を冷ましてから密閉容器に入れて保存してください。

お茶を出す場合は1カップ辺り小さじ1程度のゴーヤを使い、熱湯を注いで5分程度蒸らして飲むのが一般的です。茶葉の量や浸出時間はお好みに合わせて調整してください。1日5杯~6杯程度を上限として飲用し、長期継続はせずお休み期間を入れるようにして飲むと安全性が高まると言われています。
茶殻(ゴーヤ)は煮物・佃煮・ポタージュなどに活用することで水に溶けなかった栄養素も余すところ無く摂取できます。


共役リノレン酸の摂取について

ゴーヤ茶のダイエット成分とも言われる共役リノレン酸は完熟した種子に多く含まれていますが、野菜として食べている未完熟の状態の場合はほとんど含まれていないと言われています。モモルデシンやチャランチンによる血糖値上昇抑制効果は期待出来ますので低インシュリンダイエットなどのサポートには役立つと考えられますが、より高いダイエットサポート効果・脂肪燃焼促進効果を期待する場合は完熟ゴーヤを使用したお茶を選ぶようにした方が良いでしょう。

ゴーヤ茶(ビターメロンティー)の注意事項

  • 妊娠中・授乳中の方、小児の飲用は控えましょう。
  • ゴーヤーを食べ慣れていない方・お腹が弱い方ははじめから大量に飲まず、少量ずつ飲むようにすると無難です。