ヒソップ
ハーブティーと期待される効果効能紹介

呼吸器系の不調や精神安定に役立つ「浄化のハーブ」

薄荷に似た清涼感のある香りが特徴的なヒソップ。シソ科ヤナギハッカ属に分類される植物で、属名のHyssopusはギリシア語の「聖なるハーブ」が語源とされています。聖書にも清めのハーブとして登場しており、ヨーロッパを中心に“浄化に役立つ聖なるハーブ”として古くから大切にされてきたと考えられています。1,8シネオールなどの精油成分を含むことから、風邪やインフルエンザ予防・花粉症軽減などに効果が期待されています。ストレス軽減・リラックスにも繋がりますから、実用面でも浄化のハーブとして取り入れられていますよ。冷え性や低血圧の女性にもオススメです。

画像:ヒソップ(ヤナギハッカ)

 

ヒソップについて

植物紹介:ヒソップ

ヒソップはヨーロッパ南部~西アジアが原産とされるシソ科の植物で、高さ50~60cmくらいまで成長する多年草です。紀元前には既に地中海沿岸地域全域で利用されており、古くから薬として重宝されていたと考えられています。ちなみに属名のHyssopusはギリシア語の「hussopos(聖なるハーブ)」が語源。聖書の詩篇51章には「ヒソプをもってわたしを清めてください、わたしは清くなるでしょう。」とダビデ王が祈る記述も見られ、浄化に役立つ聖なるハーブと考えられています(※記載されるヒソプがHyssopus officinalisであったかについては諸説あります)。

現在でもヒソップはスパイスとして料理に用いられるだけではなくリキュールの香り付けに利用されていますが、10世紀頃ベネディクト会の修道士たちがヒソップを中央ヨーロッパに持ち込んでリキュールの風味付けに利用したことが始まりと言われています。現在もこれをベースにした「ベネディクティン」や「シャルトリューズ」など薬草系リキュールに配合されています。中世では料理に苦味を付けるためにも利用されていたようです。

宗教的な意味合いに加え消毒・消臭効果など実用性も認識されていたことから、ヒソップは教会で空気浄化に利用されてきた歴史もあります。一般家庭でも家の中に吊るす・床にまくなどして部屋を香らせ、空気清浄や疫病予防・防虫などに利用されてました。また厄除けや魔除けなどに役立つ「浄化のハーブ」としても大切にされていました。

中世イギリスではガーデニングにも取り入れられるようになり、エリザベス朝(1558年~)時代にはハーブガーデンの必需品として人気を博します。また1525年イギリスで刊行された「バンクスの本草書」には口内病気の治療、人間の体内の寄生虫駆除に有効と記載されており、観賞用としても薬用としても需要の高い存在であったと考えられます。現在でも観賞用として人気があるハーブの1つです。

基本データ

通称
ヒソップ(Hyssop)
別名
柳薄荷(ヤナギハッカ)
学名
Hyssopus officinalis
科名/種類
シソ科ヤナギハッカ属/多年草
花言葉
浄化、清潔、清浄
誕生花
2月17日、5月25日、9月10日
代表成分
精油(1,8シネオール、ケトン類)、フラボノイド類、苦味質(マルビイン)、タンニン
使用部位
地上部全草(葉・茎・花)
代表効果
抗ウィルス、抗菌、去痰、健胃、鎮痙、鎮静、強壮、循環刺激、末梢血管拡張、発汗、利尿、収斂
こんな時に
風邪、インフルエンザ、感染症の予防、咳、気管支炎、発熱、消化不良、腹部膨満感、便秘、ストレス、神経疲労、低血圧、冷え性、むくみ
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、湿布、スチーム吸引、料理用ハーブ(香辛料)、精油
ハーブティーの味
ハッカを薄めたような清涼感ある香り、やや苦みがあるが後味はスッキリ
カフェインの有無
ノンカフェイン

ヒソップの栄養・成分・期待できる効果

ヒソップティー

体の調子を整える

呼吸器ドラブル・花粉症に

ヒソップの苦味の元である「マルビイン」には痰を取り除く作用があり、ハッカのような香りのもととなっている精油成分「1,8シネオール」は、粘膜の炎症を抑える働きに加え、抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上に有効とされる成分です。

苦味質(マルビイン)との相乗して花粉症や風邪による喉と鼻の不調、気管支炎・ぜん息など呼吸器系の症状全般に対してヒソップは利用されています。花粉症の場合はネトルペパーミントとブレンドして利用すると良いでしょう。


風邪・発熱時のケアに

ヒソップには血行促進作用や発汗作用があり、温かいハーブティーは寒気・悪寒がする時や発熱時の解熱剤としても利用出来ます。呼吸器系への働きと合わせて「風邪っぽい」と感じた時に飲んでおきたいハーブティーの1つと言えます。

また1,8シネオールの抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上も期待できるため、風邪やインフルエンザなどの感染症予防としても役立ってくれるでしょう。


消化器系の機能向上に

キッチンハーブとして利用される多くのハーブと同様、ヒソップも消化吸収機能を向上させる働きがあります。特に脂肪分の消化吸収を促進する働きに優れているとされています。消化不良や胸焼けがあるときは勿論ですが、腸の動きを正常化させる腸内に溜まったガスの排出促進・便秘の解消などにも効果が期待出来ます。


そのほか期待される作用

精神面への働き

ヒソップは鎮静作用と神経の強壮作用を持つことからストレス対策のハーブティーとしても利用されています。不安・緊張や神経疲労の緩和はもちろんのこと、感情のコントロールが上手くできなくなっている時のイライラやヒステリー緩和にも有効と考えられています。


冷え性やむくみに

ヒソップは血行を促進させる働きや「高血圧の人は利用を控える」とされるように血圧を上昇させる働きがあります。低血圧気味の方や冷え性の方には有用なハーブティーと言えるでしょう。また血液だけではなくリンパなどの循環を促進する働きや利尿作用もあると考えられていますので、むくみがちな方にもおすすめです。

体を温めたい時にはリンデン(フラワー)レモンバーム、むくみが気になる時にはリンデン(ウッド)など目的に合わせてブレンドティーを作ってみるのもオススメです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

皮膚のケアに

ヒソップのチンキや浸出油は外用として軟膏がわりに利用することで、傷や火傷などの炎症を抑える働きがあります。濃い目に煮出したハーブティーは湿布として打ち身・打撲・筋肉痛に利用されるほか、ヘルペスに有効とする説もあります。

ヒソップ精油に期待される作用

浸出油の場合はそのまま利用することもできますが、精油をスキンケアやマッサージに利用する場合は必ず希釈して利用してください(協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、肌に使用する場合は概ね1%以下が安全とされています)。精油の経口摂取は出来ません。

心への作用

ストレスや神経疲労、不安・緊張・イライラ・興奮・ヒステリーなど様々な感情の揺れを落ち着ける働きが期待できます。
ヒソップの香りは「魂を浄化し、守護する」と称されることがあります。植物としての象徴性や歴史上の用途などの影響ももちろんありますが、気持ちを落ち着けることで冷静さを取り戻し、周囲の環境に飲まれて自分を見失ってしまわないように守ってくれるとも言えるでしょう。


体への作用

ハーブティーと同様に呼吸器系の不調を改善したり、風邪・インフルエンザなどの感染症予防に役立ちます。また消化機能の向上や血行促進、利尿作用などもあり、冷え性の改善や便秘・腸内ガスの排出促進・むくみ解消などにも有効と言われています。

ただし成分が濃縮されている精油の場合、毒性を含む成分(ケトン類)が含まれているため、デイリー使いや妊娠中の方・お子様がいるこ家庭などには適しません。一時的な利用でない場合や、使用に不安がある場合は似た働きを持つ精油を選んだほうが無難です。

ヒソップの注意事項

  • 妊娠中・癲癇・高血圧の方は使用を控えましょう。
  • 精油の場合、妊娠中・授乳中・幼児・てんかん・高血圧の方の使用、高濃度・高頻度での使用を避けましょう。