【リンデン・ウッド】
原料植物、ハーブティーに期待される効果効能

むくみ対策・デトックスサポートに期待

ヨーロッパ原産で菩提樹の近縁種であるリンデンバウムは、ヨーロッパで「千の用途をもつ木」として幅広く活用されてきた植物。リンデンフラワーのお茶には心身のリラックス用として親しまれていますし、あまりポピュラーではありませんが白木質を使ったリンデンウッドのお茶も存在しています。リンデンウッドティーは香り・味ともに薄め。作用については民間両方の粋を出ない部分も多いもの、利尿作用やデトックス効果が期待されています。脂肪分解を促進するという説もあり、ダイエット用のブレンドなどに使用されることもありますよ。

リンデン・ウッドのイメージ画像

リンデン・ウッドとは

植物紹介:リンデン(木)

和名ではセイヨウボダイジュや洋種菩提樹とも呼ばれるリンデン。名前のとおりにシナノキ科もしくはアオイ科のうちシナノキ属に分類される樹木で、日本のお寺などでよく見かける菩提樹(ボダイジュ/学名:Tilia miqueliana)の近縁種です。ヨーロッパ原産のフユボダイジュとナツボダイジュの自然交配種で、学名はTilia europaea。余談ですが和名やルーツとなる植物に“ボダイジュ”が多く出てきますが、お釈迦様が悟りを開いたとされる「菩提樹」はクワ科イチジク属の“インド菩提樹(学名:Ficus religiosa)”という別物。インド菩提樹は中国や日本に存在しなかったので、似ていたボダイジュが代用されたのだそうです。

庭木などの場合はさておき、ハーブや香りの表現としてはセイヨウボダイジュという和名よりもリンデンと呼ぶ方のほうが多いのではないでしょうか。このリンデン(Linden)というのはドイツ語の“リンデンバウム(Lindenbaum)”を元にした呼び名。英語、特にイギリス英語の場合はコモン・ライム(common lime)と呼ぶほうが正式です。ただしライムと言えば柑橘類の方のライムもありますから、アメリカ英語でもリンデンの呼び方が使われる事が多いようで、日本でも「リンデン」という呼び方のほうが定着しています。

原産とされるヨーロッパでリンデンは古くから植えられ、様々に活用されてきた植物。シナノキ属の樹木、特にフユボダイジュ・ナツボダイジュ・セイヨウボダイジュの3種はまとめて“Linden”と呼ばれていたため種が断定できない部分もあるようですが…木は材木として、樹皮は紐などを作る繊維原料として活用されていたようです。リンデンが属すシナノキ属の属名Tiliaも、繊維を表すラテン語“tilos”が語源とされています。その他に花はハーブやハチミツの蜜源にも使われていましたから「千の用途をもつ木」と称されるのも納得ですね。

またリンデンはキリスト教以前の宗教でも重要と考えられていた存在で、特に古代ゲルマン民族はリンデンを神の宿る木として神聖視していました。お祭りや宴会をするのもリンデンの樹の下、裁判をするのもリンデンの樹の下だったんだとか。現在もドイツの首都ベルリンにはリンデンの並木道がある“ウンター・デン・リンデン(Unter den Linden)”という大通りがありますね。そのほか中世ヨーロッパではリンデン=愛と自由の象徴と考えられていましたし、フランスでもフランス革命後に自由を象徴する木として各地に植えられたという逸話があります。また、古くはリンデンの木を持ち歩くと幸運を引き寄せるという伝承もあったそうですよ。

古い時代から様々に利用されてきたリンデン。ハーブとして使用する場合も花葉を乾燥させた「リンデンフラワー」と、木部を乾燥させた「リンデンウッド」の2つに分けて利用するのが一般的。これは部位によって含まれている成分が異なる=作用や効能が分かれると考えられるため。ハーブティーとして一般的に使用されているのは香りの良いリンデンフラワーの方ですが、リンデンウッドもむくみ解消やデトックス効果が期待されています。

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基本データ

通称
リンデン・ウッド(Linden wood)
別名
コモン・ライム(common lime)、セイヨウボダイジュ(西洋菩提樹)、セイヨウシナノキ(西洋科の木)、リンデンツリー(Linden Tree)、リンデンバウム(Lindenbaum)
学名
Tilia europaea
科名/種類
シナノキ科シナノキ属/落葉高木
花言葉
夫婦愛、結ばれる愛、結婚
誕生花
7月9日、7月30日、8月23日
使用部位
木質部(白木質)
代表成分
フラボノイド、タンニン、サポニン、フェノール類(カフェ酸など)、精油
代表効果
肝機能向上、腎機能活性化、利尿、脂肪分解、消化促進、収斂
こんな時に
むくみ軽減、老廃物排泄促進(デトックス)、ダイエットサポート、便秘予防
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、湿布、手作り化粧品
ハーブティーの味
香り・味ともに薄い、ほのかに乾いた木のような香りがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

リンデン・ウッドの成分と作用

リンデンウッドティーに期待される効果

デトックスサポートに

肝臓サポート

根拠や作用秩序などは分かっていませんが、伝統的にリンデンウッドは肝臓の働きを強化してくれる民間医薬品として使用されています。肝臓は肝臓はアルコール類・タバコ・薬物ほか化学物質類など、毒素や有害物質と呼ばれるものを分解・無毒化する働きを担っています。デトックス器官と紹介されることもある臓器であり、体が本来持っている解毒・デトックス力を高める際には肝機能を高めることも重要であると考えられています。デトックスのサポートとしてはローズマリーとブレンドして使われることも多いようですよ・


むくみの軽減に

リンデンウッドは肝臓の働きを高めることで毒素排出を高めるだけではなく、より直接的な利尿作用がある・腎機能を活発化させるという説もあります。肝機能の向上と合わせて体内に滞留している老廃物や余分な水分の排泄を促すことでむくみの軽減をサポートしてくれると考えられていますし、タンニンなどの抗菌成分の働きと合わせて膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症対策に用いられることもあります。


ダイエットのサポートにも

肝臓や腎臓の働きを高めて老廃物の排出を促しす働きが期待できるリンデンウッドティーはダイエット用としても注目されています。リンデンウッドには脂肪分解を助けるという説もあり、デトックスと合わせてスタイルキープ・ダイエットの成果を出やすくする目的でブレンドティーに使われることもあります。有効性や効果の程については分かっていませんが、脂肪燃焼効果を期待する場合はアーティーチョークレモングラス・デトックスサポートにはジュニパーベリーなど他のハーブと組み合わせて取り入れてみても良いでしょう。発汗促進作用があるという説もあります。

そのほか期待される作用

消化機能サポート・便秘予防に

リンデンウッドのお茶もリンデンフラワーと同じく、消化器系への働きかけが期待されています。リンデンウッドの場合は特に消化器系を刺激して働きを高めることで、食欲を高めたり、腸の動きを活発化させて便通を良くしてくれる働きがあると考えられています。


関節痛・リウマチ軽減

体の持つ解毒機能を高めて老廃物の排出を促してくれると考えられていることから、リンデンウッドのお茶は関節痛やリウマチ・痛風などの痛みの軽減にも効果が期待されています。これはデトックスを手助けすることで、体内の毒素が減少し血が綺麗になるという考え方がベースとなっています。リンデンフラワーのように成分や実験報告があるわけではありませんが、フラボノイドなどの働きで抗炎症作用が期待できるという説もあります。


便利なブレンド要員としても…

上記でご紹介したリンデンウッドに期待されている働きは伝統的に使用されてきた効能というものが大半で、実際に含まれている成分・作用秩序など科学的な根拠が認められていません。さらに単体だと味気ないと感じるほど味は薄めで、香りは商品によりバラツキがあるようですが個人的な見解としては「ほんのり」木っぽい香りがする程度なものが多いように感じます。シングルだと飲みにくい部類と言えるかもしれません。

しかし、むくみ軽減やデトックスにも効果が期待できるハーブティーとして紹介される機会も少なくない存在。スタイルキープなどの目的で使用してみたい場合には、他のデトックス・ダイエットサポート系のハーブと組み合わせてブレンドティーにするのがオススメです。効果的なものだけではなく、風味としても格段に飲みやすくなりますよ。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

リンデンウッドは収斂作用を持つタンニンを含むことから、毛穴開きが気になる場合や脂性肌のお手入れに役立つと考えられます。フラボノイドを含んでいるので抗酸化作用も期待できるでしょう。脂性肌やニキビ・毛穴ケアとして洗顔時の“すすぎ”水代わりにハーブティーを使用したり、化粧水に混ぜて使用してみても良いでしょう。

リンデン・ウッドの注意事項

  • 妊娠中や授乳中の安全性については十分なデータがありません。念のために使用を控えるようにすると良いでしょう。
  • 持病・服用中の薬がある場合には医師に確認の上で使用して下さい。

参考元