ほのかに甘い香りが魅力的な、収斂作用を持つハーブ
ハチミツのようなふんわり甘い香りで、味も香ばしい程度の苦味で飲みやすいアグリモニーティー。収斂作用を持つタンニンを含むことから下痢止めや呼吸器系の不調緩和に役立つと考えられており、風邪の初期症状ケアとしても利用されています。また外用として止血・治癒促進なども期待できることから傷・炎症のケアにも活用されています。
アグリモニーについて
植物紹介:アグリモニー
アグリモニーはヨーロッパ原産のバラ科のハーブで、属名の Agrimonia は棘が多く姿が似ているアザミゲシ属を表すギリシャ語“argemone”が由来とされており、転用する際にスペルを間違えため現在の形になったと言われています。種子名は「良き父」に由来するそうです。
薬草としては古代ギリシアやローマ時代から消化促進や傷の手当に役立つ薬草として利用されていたと言われています。アグリモニーと近縁種にあたる日本~中国などで自生している金水引(キンミズヒキ、学名Aqrimonia pilosa)も、“龍牙草”もしくは“仙鶴草”という生薬名で健胃消化促進・下痢止め・収斂止血など、アグリモニーとほぼ同様の用途で用いられています。
アグリモニーの花はアプリコットやリンゴとも称されるフルーティーで甘い香りを持つことから、古くはハチミツ酒の香りつけにも利用されていたそうです。そのほか染料としても利用されていたようですし、現在でも香りの良さから香味野菜・料理ハーブとしてやポプリなどの芳香剤として活用されています。小さな黄色い花を沢山付けるため観賞用としても人気があります。
アグリモニーはハーブとしてドイツのコミッションEでも一般的な下痢治療への有効性が認められており、胆石や肝硬変の治療にも取り入れられているそうです。そのほかにも収斂作用などから様々な用途に役立つハーブとしてハーバリストに支持されている存在ですが、やや使い方が難しい部類ですから自己判断での過剰利用は控えましょう。健康茶として一日1~2杯飲む程度であればほとんど心配はありません。
基本データ
- 通称
- アグリモニー(Agrimony)
- 別名
- 西洋金水引(セイヨウキンミズヒキ)、欧州金水引(オウシュウキンミズヒキ)、アグリモニア、ハーベストライフ
- 学名
- Agrimonia eupatoria
- 科名/種類
- バラ科キンミズキ属/多年草
- 花言葉
- 感謝の気持ち
- 誕生花
- –
- 使用部位
- 全草(地上部)
- 代表成分
- タンニン、フラボノイド、ビタミン類、ミネラル類、苦味質、精油
- 代表効果
- 収斂、止血、利尿、消化促進、胆汁分泌促進、強壮、創傷治癒
- こんな時に
- 消化不良、胃もたれ、下痢、膀胱炎、喉の痛み、咳、口内炎、傷や炎症の洗浄
- おすすめ利用法
- ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、料理用ハーブ(香辛料)
- ハーブティーの味
- ハチミツのような甘い香り、味は烏龍茶に似てさっぱりしている
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
アグリモニーの栄養・成分・期待できる効果
アグリモニーティー
内蔵機能のサポート
消化促進・下痢の改善
アグリモニーティーは消化を助ける食後のティーとして親しまれています。食べ過ぎによる胃もたれや胸焼け、胃痛などの胃の不快感を予防する働きが期待できます。またアグリモニーにはタンニンが含まれているため収斂作用があるとされています。収斂作用によって腸を引き締める働きが期待できることから下痢の緩和によく利用されてます。
ただし元々便秘気味の方や小さいお子さんの場合は便秘を起こす/悪化させる可能性がありますので、飲用量には注意が必要です。下痢の場合はキャラウェイなどとブレンドされることも多く、粘膜保護作用のあるマーシュマロウともよく組み合わせて使われます。
泌尿器系トラブルへ
アグリモニーは収斂作用と利尿作用があることから膀胱炎や尿道炎など尿路感染症の緩和にも利用されています。尿酸値を抑える作用があるとされており、海外では尿路結石や腎臓結石の改善にも取り入れられているようです。
呼吸器系の不調へ
咳・のどの痛みへ
タンニンによる収斂作用、シリカ(ケイ素)による消炎作用などが期待できることから、アグリモニー咳・喉の痛み・気管支炎などの緩和に有効とされています。口内炎のケアにも用いられています。毎日少しずつ飲み続けると口内炎の予防にも良いと言われています。
ただし喉が乾燥して痛みを生じているような場合には悪化させてしまう危険性があるのでマーシュマロウなど粘膜保護作用に優れたハーブのほうが適しています。用途・目的に応じて使い分けるようにすると良いでしょう。
風邪気味の時に
喉の炎症を抑える働きに加え、アグリモニーはある程度の抗ウィルス作用があることが認められています。そのため風邪気味の時に役立つハーブティー・健康茶としても利用されており、成分の吸収を助ける・体を温める効果が期待できるジンジャーとセットでよく利用されています。プラスしてマレインやヤロウなど症状に合わせたハーブを加えると良いでしょう。
そのほか期待される作用
月経過多に
アグリモニーは血液凝固物を増加させるという研究報告がなされており、ヨーロッパでは子宮内の血液凝固剤(内服)として月経過多の緩和に用いられています。
お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果
怪我・炎症の洗浄に
浸剤を洗浄液として利用することで、火傷や傷、皮膚炎症(かぶれ・湿疹など)などの手当や治癒促進に役立つと言われています。湿布や塗布する方法もありますが、逆に皮膚炎症を起こしてしまう可能性もありますので注意が必要です。洗浄液として使う場合もはじめは薄めに浸出し、様子を見ながら利用するようにしてください。
また濃い目に煮出したものをうがい薬として利用すると咽頭炎をはじめ、口内炎・歯肉炎などのケアにも良いと言われています。
肌への使用について
収斂・消炎作用が期待できるため浸出液は化粧水や入浴剤に利用されています。化粧品原料として主に皮脂分泌調整・たるみケアなどに役立つ植物エキスとして利用されていますが、手作り化粧品においてはメジャーな存在ではなく、データも少ないため利用は控えたほうが無難でしょう。
アグリモニーの注意事項
- 適量を心がけ、多量飲用は避けましょう。
- 妊娠中・便秘の方、小さいお子さんへの利用は控えましょう。