ローズペダル/ローズバッツ
ハーブティー・精油と期待される効果効能紹介

女性を癒やし、整え、輝かせてくれる「花の女王」

美しい花と上品で魅力的な甘い香りを持り、観賞用や高級香料としても高い人気を誇るローズ。ハーブとしてはホルモンバランスを整える働き・美肌効果など女性の健やかさや美しさのサポートとしても支持されている存在。香りには憂鬱な気持ちを盛り上げたりリラックスさせるなど精神のバランスを整える働きも期待できますし、近年は口臭予防などエチケット面でも活用されています。

画像:ローズ(薔薇)

 

ローズについて

植物紹介:ローズ(薔薇)

「花の女王」と言われるローズ(薔薇)はバラ科バラ属の植物の総称です。上品で優雅な見た目や香りから園芸・観賞用として不動の人気を誇る存在ですし、エディブル・フラワーとして生食やジャムなどの加工食品として、香水などの香料原料、ハーブとしてなど幅広く活用されています。

バラが歴史に記録として登場するのは今から4000年以上前、古代バビロニア『ギルガメシュ叙事詩』が最古とされています。古くから人々を魅了し、古代エジプト神話では愛の女神ハトホル、古代ギリシアやローマにおいては愛の女神アフロディーテやヴィーナスなど多くの神話の中で“愛”や“女神”に関連付けられています。また古代ギリシアやローマではバラの香油も愛好されていましたし、クレオパトラや皇帝ネロなど時の権力者が愛した花としてもよく知られていますね。

ローマ帝国の衰退後、バラの美しさや芳香が「人々を惑わす」としてキリスト教会によってタブー視された時期もあります。一方イスラム圏では白バラはムハンマドを、赤バラは唯一神アッラーを象徴する花として大切にされていました。十字軍の遠征によって中近東のバラが導入されルネサンス期にはヨーロッパでも再びバラへの注目が高まります。現代に残るルネサンス芸術にも“美の象徴”としてバラのモチーフを見ることが出来ます。1802年には“バラの母”と呼ばれるナポレオンの皇后ジョゼフィーヌがバラ園を設立し、このバラ園で世界で初めて人工交雑によって新しいバラが作られたのをきっかけに“モダンローズ”と呼ばれる様々な改良品種が生み出されていきます。

現在ハーブとしては古くから薬用利用されているオールドロースの1つで、薬剤師の薔薇を意味する“Apothecary Rose”という別名も持つロサ・ガリカ・オフィキナリス(Rosa gallica officinalis)が最もよく利用されています。そのほかに薔薇の中で最も香り高いとされ“バラの女王”とも呼ばれるダマスクローズ(Rosa damascena)やキャベジ・ローズ(Rosa centifolia)もハーブティーとして利用されていますし、精油(エッセンシャルオイル)原料としても高く評価されています。ちなみにローズオイルは採油率が非常に低いことから「プラチナよりも高価なオイル」と呼ばれ、高級香水や化粧品などにも利用されています。まさに花の女王ですね。

基本データ

通称
ローズ(Rose)
別名
薔薇(バラ/ショウビ)、ローズペタル(花びら)、ローズバッズ(蕾)、ローズレッド、ローズピンク、Apothecary Rose(アポテカリ-ローズ)
学名
Rosa gallica officinalisなど
科名/種類
バラ科バラ属/落葉低木
花言葉
(赤)情熱、愛情、あなたを愛します
(ピンク)気品、感謝、愛、温かい心
誕生花
(赤)1月3日、2月25日、6月1日・9日、12月25日など
(ピンク)3月26日、4月15日、6月17日、7月3・17日など
使用部位
花部(花びら・つぼみ)
代表成分
精油(シトネ-ル、ゲラニオール、ネロールなど)、フラボノイド、タンニン、有機酸、ペクチン、ビタミンC
代表効果
抗鬱、鎮静、強壮、緩下、利尿、抗炎症、抗菌、浄化、強肝、強肺、収斂
こんな時に
情緒不安定、イライラ、軽度の抑鬱、生理不順、生理痛、不正出血、更年期障害、月経前症候群(PMS)、美肌、アンチエイジング、血行不良、冷え、むくみ、便秘、食欲不振、口臭・体臭予防、心因性の不調
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、浸出油、湿布、スチーム吸引、手作り化粧品、料理用ハーブ(香辛料)、精油
ハーブティーの味
甘く上品なバラの花の香り、味は薄くさっぱり
カフェインの有無
ノンカフェイン

ローズの栄養・成分・期待できる効果

ローズバッツ/ローズペタルティー

ローズティーは赤い花びらはローズレッドペダル・蕾はローズレッドバッツ、ピンク色の花びらを使ったものはローズピンクペダル・蕾はローズピンクバッツの大きく4つに分けられています。原産地やメーカー等によって違いはありますが、一般的にレッド系はシャープで濃厚な香り、ピンク系は上品で甘みのある香りを持つと言われています。

精神安定・女性に嬉しい働き

精神安定・リラックス

ローズの優雅な香りは鎮静作用を持ち、ストレスや疲労で過敏になっている神経を鎮めてれると考えられています。心を癒やすことで前向きさや明るさを取り戻す手助けをしてくれますから気持ちの落ち込みや鬱っぽいとき・無気力なときなどにも適しています。気持ちを落ち着けてリラックスさせる・気分を高揚させ明るさ活力を取り戻す、この両方の働きを持つことから精神的な不調・不快感に対して幅広くローズは活用されています。

ストレスが多くて疲れている時、精神的に不安定だなと感じる時にはカモミールラベンダーレモンバームなどとブレンドして自分を労ってあげましょう。バラの花弁がふんわりと開く様は視覚的にも癒やし効果抜群です。味の薄さが気になる場合は紅茶ハイビスカスティーなどとブレンドしたり、レモン汁やハチミツを少量加えると飲みやすくなりますよ。


女性の体を整える

ローズは含まれているゲラニオールやネロールなどの芳香成分は視床下部(脳下垂体)を刺激し、性腺刺激ホルモンの分泌を促す作用があります。この性腺刺激ホルモンが卵巣に伝わることで女性ホルモン、特にエストロゲンの分泌を促すことから、ローズの香りには女性ホルモンのバランスを整える作用があると考えられています。

そのため生理不順や生理痛・不正出血などの月経トラブル、不妊、更年期障害など女性ホルモンの乱れが原因と考えられる女性の不快感緩和に取り入れられています。月経不順や不正出血にはヤロウ、更年期障害にはフェンネルカレンデュラなど症状に合わせて他のハーブと組み合わせて利用すると良いでしょう。


PMS(月経前症候群)に

ホルモンバランスを整える働きと精神状態を整える働きが期待できることから、近年ローズティーはPMS(月経前症候群)の諸症状を緩和するお茶としても注目を集めています。生理前にイライラや気分の落ち込み・抑うつ感など精神面での症状が強く出る方に特に適していると言えるでしょう。PMS対策の場合にはラズベリーリーフサフランチェストベリーなどとブレンドしての利用することで相乗効果も期待できます。


美肌・アンチエイジングに

ローズの香りの元となるゲラニオールやネロールなどの芳香成分は視床下部を刺激し、エストロゲンの分泌を促すと考えられています。エストロゲンは別名「美肌ホルモン」とも呼ばれているように、肌の水分量維持やコラーゲンの生成を促す働きがあります。加齢やホルモンバランスの乱れによるエストロゲン分泌減少は肌の乾燥・たるみ・シワ等が発生する原因となりますので、ローズはそれを防いで若々しく美しい肌を維持する効果が期待されています。

芳香成分以外にもローズにはビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質も含まれています。エストロゲンの働きと相乗して肌老化予防に役立ってくれるでしょう。ビタミンCが豊富なローズヒップ、皮膚を健やかに保つシリカを含むネトル、アルブチンなどの美白成分を含むヒース(ヘザーフラワー)などとブレンドして利用すると良いでしょう。


そのほか期待される作用

血流改善・むくみ

ローズには血行を促進する作用があるとされています。成分的に考えるとビタミン類やポリフェノールなどの抗酸化物質の働きによって血流が良くなること、ビタミンEとエストロゲンの血管拡張作用によって血流量がアップすることが考えられます。

血流が改善されることで冷え性の緩和や新陳代謝向上による美肌・くすみ改善などの効果も期待できるでしょう。内蔵全体の機能向上にも繋がりますし、冷えや血行不良による筋肉の硬直などから起こるむくみ緩和にも有効とされています。


内蔵機能サポート

漢方でローズペタルは生薬“薔薇花(しょうびか)”として健胃薬などに配合されています。成分的にも芳香成分ゲラニオールには消化器官への抗菌・消炎作用作用があり胃腸の状態を整える働きがあると考えられています。リラックス効果から自律神経のバランスを整えることで胃炎予防などに役立つと考えられていましすし、血流改善作用と合わせて便秘改善にも有効とされています。

そのほか肝臓や肺の機能を整える働きなどがあるとする説もありますが、何かに際立った働きがあるというよりは精神・自律神経・ホルモンバランスを安定させ、血流を整えることで内臓器機能全体のサポートをしてくれると考えると無難でしょう。


口臭・体臭予防に

ローズの芳香成分である「ゲラニオール」は体内で吸収された後、吐息や汗腺から放出されることが認められています。ゲラニオールには胃腸を整える働きがあるほか、女性ホルモンのバランスを整える・ストレスを緩和するなどの働きも口臭予防に繋がると考えられています。

数年前からローズオイルのサプリメントが口臭・体臭予防として販売されているのもこの性質によるものです。オイルよりも薔薇の香り感は弱いかもしれませんがハーブティーとして摂取しても芳香が期待できますし、タンニンと相乗して口内炎や歯周病・口臭の原因となる嫌気性菌の抑制などにも役立ってくれるでしょう。ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質も含んでいますので加齢臭対策としても効果が期待できるでしょう。


アレルギーの緩和に

近年ガリカ種などのバラの花弁に含まれるポリフェノールの一種「オイゲニン」に抗酸化作用や抗アレルギー作用があることが報告されています。ヒスタミン遊離を抑制することで過剰な免疫反応を抑制すると考えられ、マウスを使った実験でも有効性が報告されています。このことからローズティーはアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状緩和に役立つのではないかと注目されています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

ハーブバスとして

多くの女性が憧れる薔薇の花を散りばめたローズバス。世界三大美女の一人クレオパトラもローズの花を浮かべたお風呂を好んだという伝説もありますね。見た目でも気分が高まりますし、香りの効果からも疲労回復や抗うつ・リラックス効果を得ることが出来ます。そのほかに女性ホルモンのバランスを整える・美肌・新陳代謝向上など、女性の美容と健康に嬉しい様々な働きも期待できます。

生花を浴槽いっぱいに浮かべるのも憧れますが、より身近な方法としてはお茶用のドライハーブを活用したり、エッセンシャルオイルを数滴入れるなどの方法でも効果が期待できます。生花を使った場合は乾燥してポプリなどに再利用すると良いそう。自分へのご褒美やとっておきの日にローズバスにゆったりと浸かると、クレオパトラのように英気や美貌の保持に繋がりそうです。


スキンケアに

精油(ローズ・オットー)やハーバルウォーターなどは乾燥肌・脂性肌・成熟肌・敏感肌と肌タイプを選ばず使用しやすいことから、スキンケア用としても非常に高い人気を持ちます。シトロネロールやゲラニオールなどの芳香成分は肌を柔らかく弾力ある状態に保つ働きがあると考えられていますし、保湿効果なども期待できます。

短期間で使い切る場合はハーブティーを化粧水代わりに利用することも出来ます。エモリエント作用が期待できるラベンダー、抗炎症作用が期待できるカモミールやレモンバーム(メリッサ)などブレンドティーを作る感覚でオリジナルのローズローションを作るのも楽しいですよ。


ローズ精油に期待される作用

浸出油の場合はそのまま利用することもできますが、精油をスキンケアやマッサージに利用する場合は必ず希釈して利用してください(協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、肌に使用する場合は概ね1%以下が安全とされています)。精油の経口摂取は出来ません。

ローズの精油は水蒸気蒸留された「ローズ・オットー」と、溶剤抽出された「ローズ・アブソリュート」の大きく2つに別れます。どちらも非常に高価ですがアブソリュート方がやや価格が安く濃厚な香りを持ち、一方のオットーはトリートメンなど肌に直接塗る場合の安心感が高いこと、優しく上品な香りが特徴とされています。

心への作用

ローズの精油は鎮静・高揚の両作用を持ち、精神のバランスを整える働きに優れていると考えられています。イライラやヒステリーなどの興奮状態を緩和させ、ストレスや疲労などから起こる気分の落ち込みを緩和し、安定と安らぎを取り戻す手助けをしてくれるでしょう。ローズは多幸感をもたらす精油の1つにも数えられていますから、幸せな気分に浸りたい時にもオススメです。


体への作用

ホルモンバランス調整作用や子宮強壮作用があると考えられ、月経不順・月経過多・少量月経・生理痛・月経前症候群(PMS)・更年期障害などあらゆる女性の悩みの緩和に取り入れられています。精神面への働きかけと合わせて生理前のイライラや更年期障害による情緒不安定さの緩和に利用されるほか、不感症や勃起障害などの緩和にも効果が期待されているようです。

ローズの注意事項

    お茶として通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。

  • 女性ホルモンへの刺激作用があるため、妊娠中・授乳中の方は摂り過ぎに注意しましょう。精油の利用は避けてください。