エリキャンペーン
ハーブティーと期待される効果効能紹介

呼吸器ケアなどに有効とされるが、使用に注意が必要

ワイルドサンフラワーとも呼ばれる黄色い花が特徴のエリキャンペーン。古くからヨーロッパでは薬草として利用されており、漢方でも土木香(ドモッコウ)として利用されてきた存在です。ただし日本では『専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト』に区分されていますし、作用が強いことから薬用植物ではなく“有毒植物”に数えられることもある存在なので、用法用量を守り自己判断での使用は避けるようにしましょう。

画像:エリキャンペーン

 

エリキャンペーンについて

植物紹介:エリキャンペーン

タンポポやヒマワリに似た黄色い花を咲かせるハーブ、エリキャンペーン。この外見からイエロースターワートやワイルドサンフラワーとも呼ばれるキク科に分類される植物で、大きいものでは3mくらいまで成長する大型の植物。ハーブとして用いられるのは独特の香りと苦味がある“根部”で、エリキャンペーンではないものの同属(Inula属)植物の根部から現在食品添加物として利用されている食物繊維の一種「イヌリン」が初めて抽出されたことも知られています。

古代ギリシア・ローマ時代から薬用利用されていたハーブの一つに数えられており、学名(種子名)の“helenium”はギリシア神話の伝説に由来しています。パリスによるスパルタの王女ヘレンの誘拐がギリシア神話ではトロイア戦争の直接的なきっかけとされていますが、この誘拐時にヘレンはエリキャンペーンを摘んでいたという言い伝えがあるのだとか。ちなみに古代ギリシアやローマでは呼吸器系や心臓に良い薬草とされていた他、消化を助けるハーブとして食事にも使われていたと考えられています。中世以降になるとイギリスでも広く栽培されるようになり、ポプリやドライフラワーなどにも利用されるようになります。リキュールなどのお酒類やお菓子の風味付けなどにも多用されていたのだそう。

日本には江戸時代に生薬として伝えられ、国内でも栽培が行われていたそう。エリキャンペーンの和名はオオグルマとされていますが、これは日本に自生している同属の植物オグルマ(小車、学名:Inula britannica)と比べて花が大きいことに由来しています。また漢方の生薬としては“土木香”と呼ばれていますが、こちらはインドやネパールでよく使われている木香(学名:Saussurea costusまたはS. lappa)に似た香りを持つことが由来とされています。ただしエリキャンペーンは木香よりもかなり香りは弱いのだそう。

日本でエリキャンペーン(土木香/オオグルマの根部)は『専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト』に区分されています。エリキャンペーンを配合した商品は基本的に医薬品となることもあり、日本で健康食品・健康茶としてはほとんど流通していません。下記では有効性が期待されているものをご紹介しますが、薬として扱われることもある存在ですので自己判断では服用せず、専門家の指示のもとで行うことをおすすめします。味としても苦味が強く美味しいものではないそうですので、健康増進のために取り入れるのならば別のハーブを選ぶと良いでしょう。

基本データ

通称
エリキャンペーン(Elecampane)
別名
エレキャンペーン、イエロースターワート(Yellow starwort)、オオグルマ(大車)、土木香(ドモッコウ)
学名
Inula helenium
科名/種類
キク科オグルマ属/多年草
花言葉
誕生花
使用部位
代表成分
精油成分(アラントラクトン、イソアラントラクトンなど)、イヌリン、フィトステロール
代表効果
食欲増進、健胃、消化促進、去痰、鎮咳、殺菌、発汗、利尿、強壮
こんな時に
おすすめ利用法
ハーブティーの味
カフェインの有無
ノンカフェイン

エリキャンペーンの栄養・成分・期待できる効果

エリキャンペーンティー

胃腸・呼吸器系のケア

食欲不振・消化不良に

エリキャンペーンの塩漬けにした根は古代ローマ時代から消化促進に用いられており、漢方でも消化器系の不調軽減に取り入れられてきました。特に駆虫効果が高いと考えられ、虫下しとしても利用されていたのだとか。日本でも江戸時代には腹痛や胃腸炎に用いられていた“木香丸”に配合されていたそうです。

ただしエリキャンペーンに含まれているアラントラクトンは有効成分であると同時に、中毒症状を起こす原因でもあります。そのため現在では利用はあまり行われておらず、エリキャンペーン(土木香)も薬を飲みやすくするための賦香料として用いられているくらいなのだとか。薬用植物ではなく“有毒植物”に数えられることもある存在なので、自己判断での使用は避けるようにしましょう。


咳・気管支炎に

エレキャンペーンを伝統的に用いてきたヨーロッパでは、古代ギリシア・ローマ時代から咳や気管支炎・喘息など呼吸器軽トラブルに取り入れていました。優れた効き目を発揮することから、かつては結核の特効薬とも考えられていたそうです。現在でも喘息や気管支炎などの治療に使われることがあるそうですし、最近では花粉症の軽減に役立つのではないかという説もあります。


風邪予防・ケアに

エレキャンペーンは咳などの炎症を抑えてくれることに加え、殺菌作用がある・発汗利尿作用によって解熱をサポートするという説もあることから風邪やインフルエンザケアにも良いと考えられています。特に喉の痛みや咳など“喉”から風邪の初期症状が始まる方に適しているとされていますが、上記の通り扱いが難しいハーブですので使用はオススメ出来ません。セルフケアであればエキナセアエルダーフラワーなどを取り入れるほうが無難でしょう。

エリキャンペーンの注意事項

  • 妊娠中や授乳中の方、医薬品を服用中の方は使用を避けましょう。
  • 稀にアレルギー反応を起こす方がいます。キク科植物にアレルギーのある方は特に注意しましょう。
  • 飲用・服用する場合は用法用量を遵守して下さい。