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ハーブ・生薬・スパイス…植物のチカラで日々を素敵に

パッションフラワー
ハーブティーと期待される効果効能紹介

「植物性の精神安定剤」とも呼ばれ、ストレス対策として注目

パッションフラワーは高い鎮静効果が期待されているハーブで、ヨーロッパでは医薬品原料としても利用されている存在です。不安・イライラなどの情緒不安定さの緩和を始め、不眠・過敏性腸症候群などストレス性の様々な症状に取り入れられており、女性のメンタルサポートとしても注目されています。そのほか鎮痛作用なども期待できますし、作用が穏やかで副作用が少ないハーブとされていますが、過剰摂取は様々な健康リスクを及ぼす可能性も指摘されていますので使用時には注意が必要です。

画像:パッションフラワー

 

パッションフラワーについて

植物紹介:時計草(トケイソウ)

日本ではすごくポピュラーなハーブとは言えないものの、リラックス系のブレンドティーなどに使われているパッションフラワー。植物としては時計の文字盤のように円形に開いた花・針に見える3つの雄しべが特徴で、和名ではトケイソウとも呼ばれています。パッションフラワーやトケイソウという言葉はトケイソウ属(Passiflora)の植物の総称ですが、ハーブとしては最も薬効に優れていると言われる、学名Passiflora incarnataという種が利用されています。和名はチャボトケイソウ、英語ではPurple Passionflowerと呼ばれています。ちなみに近年日本でも栽培・食用されるようになったパッションフルーツ(学名:Passiflora edulis)も種は違いますが、同じトケイソウ属の植物です。

パッションフラワーの原産はアメリカ大陸で、先住民族であるチェロキー族やアルゴンキン族などの人々は古くから薬草として利用していました。彼らは既にパッションフラワーの中でチャボトケイソウが最も薬効高いと分かっていたとも言われています。アステカ王国の人々も鎮静剤・精神安定剤としてパッションフラワーを利用しており、スペインによるアステカ征服後にはスペインを中心にヨーロッパへと広まっていきました。

スペイン人医師・モナルデスは1569年にペルーでパッションフラワーを発見し、先住民(インディヘナ)にその用途を聞いて本国へと持ち帰ります。ヨーロッパで鎮静効果があるハーブとして紹介され、精神安定や不眠改善用として受け入れられていきます。メキシコ~中南米でも同様に先住民から用途や使用法を学んだスペイン人達が持ち帰ったことで、ヨーロッパでも栽培が行なわれるようになり急速に普及していったそう。その特徴的な外見から観賞用としても栽培や品種改良が行なわれ、パッションフラワー(トケイソウ属の植物)は約500種類・栽培品種を含めると把握できないほど多いと言われています。

ところでパッションフルーツという呼び名は情熱的なイメージの花と捉えがちですが、ここでのパッション(passion)は“イエス・キリストの受難”にちなんで命名されています。パッションフワラーが発見された当初、イエズス会宣教師がこの花をキリストの受難に見立て「flos passionis(受難の花)」と呼び、新大陸での布教に利用していたことが名前の由来です。宣教師の見立てでは“3つの雌しべはイエス・キリストの磔刑の釘、5つの雄しべはキリストに付けられた5つの創傷、花弁と萼は合わせて忠実であった10人の使徒・葉はロンギヌスの槍”だったと言われています。もっとシンプルにキリストが処刑時に被された茨の冠に似ているという説もありますが、何にせよ花言葉に宗教的なワードが多いのも納得ですね。

1800年中頃には南米の先住民や奴隷たちから鎮静剤鎮痛剤としての使い方が北米へも伝わり、アメリカやカナダでもハーブとして利用されるようになったと言われています。欧米では200年以上も使用・記録されてきたハーブで、研究も1900年前後とかなり古くから行なわれています。1980年代になると不安緩和・痙攣抑制作用・高血圧における有効性が臨床的に確認され、現在ドイツを筆頭としたヨーロッパ諸国では伝統的医薬品(THMPD)として承認されOTC薬の原料にも使われています。習慣性・副作用が少ない「植物性のトランキライザー(精神安定剤)」とも称されており、日本でもリラックスやストレス対策をサポートしてくれる健康食品として取り入れられています。

基本データ

通称
パッションフラワー(Passion flower)
別名
チャボトケイトウ(矮鶏時計草)、時計草(トケイソウ/ジケイソウ)、Purple Passionflower、passion vine、maypopなど
学名
Passiflora incarnata
科名/種類
トケイソウ科トケイソウ属/つる性多年草
花言葉
神聖な愛、信心、信仰、受難
誕生花
6月13・24・27日、7月13・21日、8月21日
使用部位
全草(地上部)
代表成分
フラボノイド類(アピゲニン、ケルセチン、ビテキシン、クリシンなど)、アルカロイド類(ハルマン、ハルモール)、青酸配糖体
代表効果
鎮静、抗不安、精神安定、催眠、筋弛緩、鎮痙、鎮痛、血圧降下、抗酸化
こんな時に
ストレス、神経疲労、不安、情緒不安定、不眠、月経前症候群(PMS)・更年期障害に伴う精神面の不調、自律神経失調症、過敏性腸症候群、、緊張性頭痛、神経性頻脈、ストレス性高血圧、神経痛、関節痛、アンチエイジング
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーブチンキ、浸出油、湿布
ハーブティーの味
緑茶を薄めたようなグリーンで淡白な風味で、フローラル感は無い
カフェインの有無
ノンカフェイン

パッションフラワーの栄養・成分・期待できる効果

パッションフラワーティー

メンタル面のサポートに

気持ちを落ち着かせる

パッションフラワーは精神への優れた働きかけが古くから認められてきたハーブです。現在でも「植物性の精神安定剤(トランキライザー)」と称されるほど優れた鎮静作用があるされ、ヨーロッパでは副作用や依存性の低さから子供や高齢者でも使用できる穏やかなハーブとしても評価されています。パッションフラワーのどの成分がどう働きかけるかははっきりと分かっていないようですが、ハルマンやハルモールなどのアルカロイド類や、フラボノイド類が複合して働くことで神経・精神を鎮静させ穏やかな状態へと導いてくれるのではないかと考えられています。

またパッションフラワーに含まれているフラボン類のクリシンやベンゾフラボンなどには、脳内のギャバ(γ-アミノ酪酸/GABA)を増加させる可能性を持つことも報告されています。この働きから伝統的に有効とされていた抗不安作用についての有効性も示唆されており、慢性的なストレスや気持ちの落ち込み・気分障害などの軽減に効果が期待されています。度の緊張や不安、イライラ、気持ちばかりが急いてソワソワと落ち着かない時などにも役立ってくれるでしょう。

これらのことからパッションフラワーはリラックスしたい時・ストレスが気になる時に適したハーブティーの一つとして世界中で愛されています。情緒不安定さや不安感が強い時にはバレリアンやホップなど同様の働きが期待できるハーブとブレンドして利用されることも多いようです。パッションフラワーの働きとしては抗鬱よりも鎮静・抗不安方面が強いと考えられますから、気持ちの落ち込みが気になる場合はレモンバーベナセントジョーンズワートなどとブレンドする方が良いかもしれません。

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不眠軽減・安眠サポートに

パッションフラワーは安眠をサポートしてくれるハーブティーとしても親しまれています。鎮静作用が高いことからトレスや不安・心配事など精神的な問題に起因する寝付きの悪さに有効とされていますし、筋肉を弛緩させることでより直接的な不眠解消(睡眠への誘引)があるという説もあります。2011年にオーストラリアのモナッシュ大学で行なわれた二重盲検試験でもプラセボ摂取群よりもパッションフラワーティーを飲んだ被験者の方が睡眠の質が有意に良好出会ったことも報告されています。欧米ではパッションフラワーは睡眠薬のような寝起きの辛さがなく、スッキリと起きられるハーブとしても支持されているようです。

グッドナイトティーとして摂取する場合はラベンダーカモミールなどのハーブとブレンドして飲むと、より高い効果が期待出来ると言われています。ちなみに不眠のサポートティーとしてはバレリアンもよく使われていますが、パッションフラワーの方が作用は穏やかであると言われています。


女性特有の心の不調に

通常量を摂取した場合、パッションフラワーに直接的な生殖器・女性ホルモンへの働きかけは無いと考えられています。しかし鎮静作用や抗不安作用によって気持ちを安定させてくれると考えられることから、生理前に起こるイライラや気持ちの落ち込みなどのPMS(月経前症候群)症状・更年期障害に伴う精神面での不調軽減にも取り入れられています。クリシンなどがGABAの分泌を高めるという報告があることから、間接的にホルモンバランスを整えるサポートをしてくれるのではないかという説もあるようです。

加えてパッションフラワーに含まれているフラボノイドなどの抗酸化化合物は神経系を弛緩させることで、筋肉の強張りを緩める働き=筋弛緩作用があると言われています。鎮痛作用も報告されているため合わせて腰痛や体の強張りなどの肉体面での不調にも効果が期待できますが、特にイライラしたり緊張・不安など精神面での不調が出る方に適しているでしょう。


そのほか期待される作用

ストレスに起因する不調全般に

パッションフラワーは神経系の緊張を緩め、ストレスを軽減してくれる働きを持つハーブと考えられています。このためストレス性・心因性の頭痛や動悸・過敏性腸症候群・神経性胃痛ほか様々な不調の軽減に効果が期待されています。加えてGABAは末梢神経節の自律神経に作用し自律神経のバランスを整えることも報告されています。パッションフラワーは脳内のGABAを増やしてくれる可能性があるハーブでもありますから、自律神経失調によるめまいや倦怠感・だるさ・慢性的な疲労感などの軽減にも効果が期待できるでしょう。


高血圧予防・軽減に

パッションフラワーティーは血圧降下作用を持つハーブティーとも言われており、特にストレス性の高血圧の軽減に用いられることが多いようです。そのほかインドールアルカロイド類の一つであるハルマラアルカロイドには冠状動脈を拡張する働きがあることも報告されており、動脈硬化や冠状動脈性心疾患の予防に役立つのではないかと考えられています。


痛みの軽減に

パッションフラワーに含まれているフラボノイドやアルカロイドは共同して働くことで神経や筋肉の強張りを緩め、痛みや痙攣を抑えてくれる働きが期待されています。このため鎮痛・鎮痙作用があるハーブとして頭痛や偏頭痛・生理痛、筋肉痛、肩こり・神経痛など様々な痛みの緩和にも取り入れられています。抗炎症作用を持つとされるケルセチンも含まれているためか、伝統的には関節炎・痛風・痔・腸の炎症などにも用いられきました。


アンチエイジングのサポートにも

パッションフラワーはメンタル面へのサポートが注目されているハーブですが、ビテキシン、イソバイテキシン、ケンフェロール、ケルセチン、ルチン、アピゲニン、ルテオリンなど抗酸化作用を持つポリフェノールを多く含む植物でもあります。このため抗酸化という面でも優れた存在とされており、上記の血圧降下や鎮痛などの働きにも活性酸素を抑制することが関係しているのではないかと考えられています。抗酸化物質は酸化ダメージを抑制することで体を健康に若々しく保つためのサポートが期待されています。肌老化予防にも抗酸化物質の補給が推奨されていますから、アンチエイジングティーとしても役立ってくれるでしょう。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

筋肉痛・神経痛のケアに

パッションフラワーに含まれるアルカロイドとフラボノイドは神経や筋肉の緊張を緩和する効果を持つとされており、鎮痛作用も持つことから筋肉痛や神経痛のケアに利用されることがあります。足がつる(こむら返り)ことが多い方の予防策に良いという説もあります。痛みのケアとして用いる場合はチンキや浸出油をマッサージオイルに希釈したり、湿布として利用するのがポピュラーです。

ただしパッションフラワーによって接触性皮膚炎などの炎症が起こる可能性も指摘されています。温湿布として利用する場合には煮出したハーブティーを布に浸しても使うことも出来ますから、薄めのものからパッチテストを行いつつ利用するようにしましょう。

パッションフラワーの注意事項

パッションフラワーの摂取について

パッションフラワーは様々な働きが期待されており、通常の食品に含まれる量の摂取であれば重篤な副作用などは無いと言われています。しかし過剰摂取や医薬品類との併用による危険性は指摘されています。ハルマンやハルモールなどのアルカロイド類の過剰摂取が厳禁なのはもちろんですが、クリシンの過剰摂取もテストステロン過剰による諸症状(脱毛・前立腺障害・攻撃性など)を引き起こす原因となること・甲状腺機能に依経を及ぼす可能性などがあります。副作用が少ない・安全性が高いとは言われていますが、ハーブティーであれば1日1杯程度・サプリメントであれば記載されている用法用量を守るようにして下さい。

また「子供でも使えるハーブ」としている文献・サイトも多くありますが、当ページの作成でも参考にさせていただいているDr. Axeでは“6才未満の子供には適さない可能性がある”と表記されています。そのほか不眠対策としては独断で2週間以上使用しないほうが良いという声もあります。日本でパッションフラワーは医薬品ではなく食品・健康食品として扱われていますから使用の基準や規格はありませんが、自分の健康を守るために正しく取り入れるようにして下さい。眠気・吐き気・低血圧・胃腸の不快感などの副作用を感じた場合は使用を中断しましょう。

  • 妊娠中・授乳の方、お子さんへの利用は避けましょう。
  • 血圧を下げる働きがありますので低血圧の方は注意して利用しましょう。
  • 持病がある方や医薬品を服用中の方は医師に相談の上で利用するようにして下さい。
  • アルコール類との併用も避けましょう。

ハーブティー

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