オオバコ(車前草/大葉子)
健康茶と期待される効果効能紹介

葉は呼吸器系の不調に、種子は便秘改善やダイエットに効果が期待

日本全国、道端などにも自生しているオオバコ。漢方では全草を車前草と呼んで喉の不調緩和に利用していますし、種子には便通改善などの効果があるとされています。粘膜保護や炎症緩和などが期待できるためオオバコ茶は咳・痰などのほか、消化器系や泌尿器系炎症の緩和にも取り入れられています。また近年は近縁種のインドオオバコ(Plantago ovata)種皮を粉末化したサイリウムハスクが便通改善・ダイエットに役立つ健康食品として注目されています。

画像:大葉子(オオバコ)

 

オオバコについて

植物紹介:オオバコ

オオバコは日本全国の幅広い地域に広く自生しており、雑草というイメージを持っている方も多いかもしれません。栄養の少ない場所や人・車に踏みつけられても絶えることなく存在しています。オオバコの種子は水に濡れることで粘液を出し、靴底などに付着して遠くへと運ばれ分布範囲を広げていきます。オオバコ属の属名である“Plantago”はラテン語で足跡・足裏を表すplanta+行く・運ぶを意味するagoが語源とされています。由来については大きな葉を足跡に見立てた・足裏について遠くまで種子が運ばれるから、2つの説があるようです。

オオバコは全草で車前草(シャゼンソウ)、成熟種子で車前子(シャゼンシ)として日本薬局方に生薬として収録されています。漢方薬としての歴史は古く、中国最古の薬物書『神農本草書』にも“上品”として収載されています。中国では“漢の時代、行軍中に兵士も戦馬も血尿症を患ってしまった際に、数頭の馬だけが血尿が治り元気を取り戻した。馬の周りの雑草が綺麗に食べられていたことに気づいた兵士が将軍に報告し、兵士もこの雑草(オオバコ)を食べて回復した”という伝説があります。車前子と名付けれれたのは馬車の周りに生えていた草、馬車がよく通る轍に生える草だからなどの説があります。

ちなみに日本でもオオバコの葉陰に弱ったカエルを置くと元気になるという変わった俗称があり、カエルバ(カエルッパ)とも呼ばれています。子どもたちが葉を引っ掛けて引っ張り合う事から相撲草など、身近なだけに様々な通称もありますね。かつては手軽に使える民間薬として使用され「大地の薬箱」とも呼ばれていたそうですし、若い芽は現在でもお浸しや天麩羅など野菜感覚でも利用されています。

日本で生薬とししてはオオバコ(Plantago asiatica)の一種のみが規定されていますが、民間薬・健康食品としては同属の近縁種も同様に利用されています。それぞれインドのアーユルヴェーダ医薬やヨーロッパのハーブ療法などで取り入れられてきたようです。近年はインドとヨーロッパ南部~アフリカに自生するインドオオバコ(Plantago ovata/プランタゴ・オバタ)の種子がダイエットや便秘解消などに役立つとして日本でも注目されていますね。

基本データ

通称
大葉子(オオバコ)
別名
車前草(シャゼンソウ)、蛙葉(カエルバ)、プランタゴ(Plantago)、Asian Plantain
※種子は車前子(シャゼンシ)
学名
Plantago asiatica
科名/種類
オオバコ科オオバコ属/多年草
花言葉
足跡、白人の足跡、耐えしのぶ愛
誕生花
9月26日
使用部位
全草
代表成分
タンニン、イリドイド配糖体(アウクビン)、フラボノイド(プランタギニン、ホモプランタギニン)、β-シトステロール、ウルソール酸、ビタミン類
代表効果
全草:鎮咳、去痰、利尿、尿酸分泌促進、健胃、整腸、止瀉、抗炎症
こんな時に
咳・痰、喉の痛み、風邪予防、むくみ、泌尿器トラブル、胃痛・胃潰瘍、下痢、便秘
おすすめ利用法
食用(若芽)、ハーブティー、チンキ
お茶の味
うっすらと草の香りがするが、味・香りともに薄い
カフェインの有無
ノンカフェイン

オオバコの栄養・成分・期待できる効果

オオバコ茶(全草)

喉の不調・風邪予防に

オオバコは古くから咳止めや痰切りに役立つ民間医薬として利用されてきました。成分的に見てもオオバコに含まれるプランタジンという成分には抗炎症作用や保湿作用があり、喉の炎症や乾燥を改善することで席を押さえる働きがあると考えられています。加えてイリドイド配糖体の「アウクビン」という成分には粘膜の保護や分泌促進作用があると報告されているため、プランタジンと相乗して呼吸器粘膜の状態を整える働きが期待されています。

オオバコは「風邪対策の民間薬」と呼ばれていますが、これは粘膜系の保護や炎症を鎮めることで風邪による喉の不調改善に役立つというのが第一。呼吸器粘膜を保護・強化することでウィルスの侵入を防ぐ効果も期待できるため、風邪予防にも役立つと考えられています。喉が弱く声がれしやすい方などにも適しているでしょう。


むくみ・尿路感染症ケアに

オオバコに含まれているアウクビンは粘膜保護以外に利尿効果があるとされており、痛風などの原因となる尿酸の排泄を促す働きもあると考えられています。加えて炎症を抑えるプランタジンも含んでいることから、むくみの改善や膀胱炎・尿道炎などの尿路感染症のケアにも役立つとされています。むくみの改善用にはジュニパーマルベリー(桑葉)などと組み合わせると相乗効果が期待できますし、味の薄さなども緩和され飲みやすくなります。


胃腸のサポート・デトックスに

粘膜の保護・抗炎症作用が期待できることからオオバコは胃痛・胃潰瘍・消化不良・腸炎・下痢など胃腸の炎症の改善にも利用されています。とくに細菌性の下痢に対して役立つと言われています。

種子ほどではありませんが、オオバコ全草を使ったお茶にも粘液質や食物繊維が含まれていますから、便通の改善やデトックスなどにも役立つと考えられています。むくみの緩和にも効果が期待できるのでダイエット・スッキリサポート用としても役立つと考えられますが、単体で飲むよりもサラシア・ルイボスレモングラスなどのブレンドティーに加える形の方が適しています。


その他期待される効果

オオバコ茶は疲れ目・眼精疲労の予防改善や、滋養強壮に良いとも言われています。また抗炎症作用が期待できること、便通の改善などから腸内環境の改善が期待できることからアレルギー緩和に対しても効果が期待されています。


オオバコ茶の自作について

オオバコ全草を使ってお茶を作る場合はオオバコの成長期(4~8月頃)に地上部を刈り取ったものを使用します。よく水洗いして泥などの汚れを落とした後、根本などにある枯れた部分を取り除き、天日干しにします。

自生しているものを採取してお茶を作る方もいらっしゃいますが、道端のものは犬の排泄物や排気ガスなどがかかっている可能性があります。なるべく清浄なところに生えているものを探すようにするか、きちんと検査を受けている商品を買うようにした方が安全性は高いでしょう。


オオバコ種子(種皮)について

便秘薬や健康食品・ダイエット用に“オオバコ種子”もしくはサイリウムハスクやイサゴールとして販売されているものはインドオオバコ(Plantago ovata/プランタゴ・オバタ)と呼ばれる種類です。車前子(Plantago asiatica)も同じような働きを持っていますのでこのページで紹介させていただきます。

プランタゴ・オバタの方が便通改善やダイエットという点では優れているとされていますし、流通量も多いのでオオバコ種子(種皮)を利用する場合は市販の粉末を利用してみてください。予め風味付けをしたものでなければ味がかなり独特になりますので、コーヒーゼリーやチヂミなどに加えるなど味を誤魔化せるようなレシピで活用するのがオススメです。


便秘解消・ダイエットに

オオバコの種子は食物繊維含有量が高いこと・保水性の高い粘液質の膜を持つことから健康食品として人気を集めています。プランタゴ・オバタの場合は全体の約80%が不溶性食物繊維と言われており、また粘液質が水を吸って数十倍に膨張する性質があるため、相乗して便のカサを増やし蠕動運動を促してくれます。勿論お腹も膨れますから食べ過ぎ防止としても役立ちますし、余分な脂質を包み込んで排出させるなどの働きも期待できます。

不溶性食物繊維は摂り過ぎると便が固くなってしまうという難点がありますが、サイリウムバスクの場合は吸水性の高い粘液質が便に適度な水分を含ませることでデメリットを最小限に抑えると言われています。ただし水分摂取自体が少ない場合には便秘を悪化させる可能性がありますし、摂り過ぎると腹痛・お腹の張り・下痢などを起こす可能性もあります。少量ずつ摂取するようにして、こまめな水分補給を心がけるようにしてください。


生活習慣病の予防

オオバコ種子にはコレステロール値減少・血糖値降下作用などがあると考えられています。LDL(悪玉)コレステロール値、血中脂質低下などが見られたという研究報告もあり、生活習慣病の発祥リスクを低減させる働きもあるのではないかと期待されています。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

オオバコは皮膚の化膿を予防する働きや感染症治癒を促す作用があるとして、傷・腫物・痔などのケアに利用されていたようです。熱を冷ます働き(清熱)があることから熱を持つ腫れ物などにも良いそうです。水浸剤は皮膚真菌の成長抑制作用があるという報告もなされていますが、現在一般家庭において傷や炎症ケアなどに利用されることはほとんどありません。

近年はセイヨウオオバコ種子に含まれているフラボノイド系ポリフェノール「プランタゴサイド」に強い抗糖化作用があることが報告されており、皮膚にあるタンパク質の糖化を防ぐことで透明感・ハリ・柔らかさを持つ肌作りに効果が期待されています。抗糖化だけではなく抗酸化作用もありますので、エイジングケア化粧品原料として“セイヨウオオバコ種子エキス”が注目されています。

オオバコの注意事項

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 喘息のある方は使用を避けましょう。
  • オオバコもアレルゲンになりますので、アレルギー体質の方は注意が必要です。