天然甘味料以外に、人にも地球にも優しいハーブとして期待
ダイエット食品や糖尿病食に使われる、天然由来の低カロリー甘味料原料として知られるステビア。人工甘味料よりも安全性の高い甘味料として親しまれているほか、インスリン抵抗性改善・C型肝炎ウイルス抑制・ヒスタミン分解解毒効果などにも注目が集まっています。土壌や水質の汚染改善など環境汚染改善にも有効性が期待される、みんなに優しいハーブです。
ステビアについて
植物紹介:ステビア
ダイエット用甘味料の原料として知られるステビア。葉部分に含まれる甘味成分「ステビオシド」は砂糖(ショ糖)の200~300倍の甘みを持つものの低カロリーで、強い甘みを持つ分使用量も少なくて済むことからダイエット用食品や糖尿病患者用メニューなど多くの食品に利用されています。そのほか苦い薬を飲みやすくするための矯味剤として医薬品にも配合されています。
ステビアは南アメリカ原産のキク科植物です。原産国の一つであるパラグアイでは「甘い草」を意味する“kaa jhee(カーヘーエー)”という名前で呼ばれ、16世紀半ば頃からマテ茶に甘味を付けるために利用されていました。甘味料として以外にも整腸剤や心臓病・高血圧などに対する医薬品として、また虫よけ、美容など幅広い面で薬草として利用されており、ステビアは神聖な薬草として崇拝のされる存在であったそうです。ちなみにステビアという名前は初めてステビアの調査研究をしたとされるスペインの植物学者ペドロ・ハイメ・ステビア氏にちなんで付けられました。
ステビアは1971年に日本(大阪の守田化学工業)で、世界で初めて商品化されます。作用の代用品としての利用されるようになり、1990年に「ポカリスエット ステビア」が発売されたことで広くその存在が認知されるようになります。2007年にはアメリカでコカ・コーラ社がステビア甘味料の販売を開始ししますし、ADI(一日摂取許容量)も定められます。甘味料だけではなくハーブとしても糖尿病・高血圧・健胃・強壮などに利用されています。
サッカリンなどの人工甘味料の健康被害の影響から、ステビアも体に悪い(不妊・発がん)と心配される方もいらっしゃいます。しかしステビアは天然甘味料ですし、導入・商品開発において発がん性が疑われる人工甘味料から天然甘味料への切り替えという意図があったとも言われています。多くの国の研究機関でも調査が行われました、副作用は無いということが報告されています。またステビアは制癌効果・C型肝炎ウイルスの抑制効果が見られる等の研究発表もなされており、臨床研究が予定されている存在でもありますし、葉だけではなく茎を使った健康食品や化粧品などの応用も行われています。
基本データ
- 通称
- ステビア(Stevia)
- 別名
- アマハステビア、シュガーリーフ(Sugar Leaf)、スウィートリーフ(Sweet Leaf)、キャンディリーフ(Candyleaf)
- 学名
- Stevia rebaudiana
- 科名/種類
- キク科ステビア属/多年草
- 花言葉
- 清潔、生きる
- 誕生花
- –
- 使用部位
- 葉部、茎
- 代表成分
- ステビオール配糖体(ステビオサイド、レバウディオサイドAなど)、タンニン、精油
- 代表効果
- 矯味、緩和、血糖値上昇抑制、健胃、整腸、強壮、抗酸化
- こんな時に
- 血糖値が気になる方、肥満予防、ダイエットサポート、胃腸機能低下、便秘、老化予防(精神安定、ヒスタミン分解、花粉症などのアレルギー緩和)
- おすすめ利用法
- ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、手作り化粧品、料理用ハーブ(甘味料)
- ハーブティーの味
- 味・香りともにクセがあり好き嫌いが別れるが、強い甘みを持つ
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
ステビアの栄養・成分・期待できる効果
ステビアティー
糖の摂り過ぎ防止に
ステビアはステビオサイドやレバウディオサイドなどのステビオール配糖体と呼ばれる成分が主成分で、最大の特徴とも言えるのが「強い甘み」の元となっています。ティースプーン一杯のステビアパウダー・シロップはカップ一杯分の白さ等に相当するとも言われており、元々のカロリーの低さと使用料の少なさから非常に低カロリーで甘さを得ることが出来ます。
糖尿病予防に
ステビアは糖尿病療養食などにも取り入れられている存在です。動物実験では腸内では吸収されず排泄されることが認められているため、砂糖(ショ糖)の用に急激な血糖値上昇を起こさないと考えられています。
また一部人工甘味料については砂糖同様に肥満・2型糖尿病のリスクが示唆されていることに対し、ステビアはⅡ型糖尿病の原因の一つである「インスリン抵抗性」を細胞レベルで改善する可能性があるという研究報告もなされています。ちなみに自然抽出物では世界初の報告だったのだとか。血糖値を上げにくいというだけではなく血糖値を下げる働きが期待できることから、糖尿病もしくは予備軍の方の健康維持に役立ってくれそうです。
ダイエットに
ステビアは特に日本では「ダイエット甘味料」としてよく知られています。砂糖と比べてカロリーが低いく血糖値を上げにくい=ステビアや同時期に摂取したものが脂肪として蓄積されにくいと考えられます。人工甘味料であればノーカロリーのものもありますが、ステビアの方が安全性が高いというのも支持されているポイントでしょう。
ダイエット中であっても甘いもの断ちはストレスがかかりすぎて続かない、という方には特に適していると考えられます。甘味料として利用するほか、香りの良いハーブや酸味があるハイビスカスティーなどとブレンドすることで清涼飲料水の代用としても役立ちます。
苦味の緩和に
ハーブの中には強い苦味・エグみを持つものも多くあります。ステビアは矯味剤として利用されている存在でもあり、甘さを加える事で苦味による飲みにくさを緩和してくれる働きがあります。ステビア自体もシングルで浸出した場合はやや青臭いような独特のクセ(臭み)があり苦手という方も多いですが、こちらも風味の強いハーブとブレンドすることである程度緩和することが出来ます。
植物そのものよりは加工されたステビアパウダーやシロップのほうがクセは少ないと言われていますが、どちらにせよ好き嫌いが別れるところなので最初は少量から試してみてください。ブレンドティーを作る場合はすり切り小さじ1杯程度でも充分に主張してくれます。クセが気にならない場合は煮詰めたものを作っておくとシロップ代わりに利用できます。
そのほか期待される作用
胃腸サポート・便秘
ステビアは健胃・整腸剤として利用されてきたハーブでもあります。胃腸の調子を整える働きから二日酔い緩和などにも役立つと考えられています。お腹の調子を整える作用に優れたカモミールジャーマンやレモングラスなどとブレンドすると相乗効果が期待できそうです。
ステビアに含まれる酢酸が腸壁を刺激して蠕動運動を促進すること、葉緑素が腸壁に付着している老廃物の排泄を促すことなどから穏やかな緩下剤としても役立つと考えられています。下痢になる心配は少ないそうですが、どちらかというと便秘傾向の方に適しているでしょう。
精神安定・強壮
ステビアは精神安定や強壮に良いとする説があります。これはステビアが精神安定に良いとされるのは「白砂糖の摂取量を減らす」ことによって依存状態や低血糖状態が改善される、神経伝達物質の分泌が正常になることなどが根拠として大きいと考えられます。
白砂糖は脳を刺激して神経伝達物質であるドーパミンを分泌させる・脳内モルヒネと呼ばれるエンドルフィンが放出される・血糖値を急激に上昇・下降させ低血糖症を起こすことで精神障害等を引き起こす可能性がある等と言われています。これらは健康食品ビジネスや自然派信仰による過剰バッシングとも言われていますが、ステビアを使ってから「イライラしにくくなった」など実感される方もいますから、甘いものが好き・砂糖の摂り過ぎが気になる方は試してみても良いでしょう。
抗酸化・アレルギー予防
甘味成分を多く持つ葉に対してあまり重要視されてこなかったステビアの茎ですが、近年はその茎部分に様々な可能性が報告され注目されています。抗酸化力の実験ではステビアの茎部分(熱水抽出したもの)に緑茶の5倍以上の抗酸化力が証明されています。このことから活性酸素による細胞へのダメージや機能低下を抑制することで、生活習慣病や老化予防に役立つと考えられています。
ヒスタミン解毒・アレルギー抑制
ステビアにはヒスタミンの分解・解毒作用も確認されています。ヒスタミンはアレルギーの原因物質として知られていますが、食品内にも含まれています。通常ジアミンオキシダーゼ(DAO)酵素によって分解・解毒されますが「ヒスタミン不耐症」と呼ばれる酵素の働きが弱い場合は分解がスムーズに行われず、鼻水・鼻詰まり・くしゃみなどの鼻炎症状を始め、頭痛、めまい、吐き気、イライラなどの不調を引き起こします。女性ホルモンがヒスタミンを分解するDAOの生産を抑制するという説もあり、その関係で月経前症候群(PMS)など生理前に不調を起こしやすくなるとも考えられています。
また食品含有分は体内で分解出来る方の場合でも、ヒスタミンの分泌が多い・反応が過剰な場合にはアレルギーを引き起こすことが知られています。ステビアは抗酸化作用によるアレルギー反応時に発生する活性酸素の抑制・除去効果にも役立つと考えられますし、ヒスタミン自体の分解・解毒効果と相乗することで花粉症・喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患への応用が研究されています。アレルギー薬として利用されるステロイドホルモン剤の副作用軽減効果なども報告されています。
C型肝炎などの予防に
2008年の米国消化器病週間(DDW:Digestive Disease Week)ではステビアエキスのC型肝炎ウイルスの抑制への有効性が発表され、研究が行われてれいるそうです。そのほかに免疫力向上・抗癌作用などを示唆する研究報告もなされており、さらなる研究・実用化が期待されています。
お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果
スキンケアに
ステビアのハーブティーで洗顔すると抗酸化作用と保湿収斂作用により、肌がしっとりしつつ脂っぽさ・ニキビを防ぐ働きが期待できます。手作り化粧品(石鹸・化粧水など)にも利用されるようになっています。
化粧品原料としては「ステビアエキス・ステビア発酵エキス」が利用されており、抗酸化作用の他、ビタミン類・ミネラル類・βグルカン・有機酸などを含む総合的な美肌成分として活用されています。
ハーブバスとして
ステビアは低刺激かつ保湿作用があるとされています。そのため乾燥性敏感肌の方・アトピー性皮膚炎でお悩みの方などにっも支持されています。入浴剤として利用する場合はステビアの葉と茎を10~15g程度を布袋に入れた、そのまま浴槽に入れて揉みながら入浴すればOK。ハーブティーとして浸出した後の茶葉を使う場合は少し煮出すと良いでしょう。使用後は家庭菜園・プランターなどの土に肥料として混ぜることが出来ます。
土壌改良・再生
ステビアは農産・畜産・環境分野などにおいても役立つと考えられています。ステビアの農業利用の始まりは鹿児島県、ステビアを栽培していた農家がステビアの葉を取った後の茎を堆肥として利用し、栽培したミカンの風味が変わったことと言われています。ほかの果物や野菜においても甘みや栄養価が増すことが分かり「ステビア農法」として取り入れられています。
野菜の出来だけではなく農薬・残留硝酸態窒素の低減、ダイオキシン分解などにも役立つことが認められています。また近年はステビア農法で育てられた作物は放射能値(放射性ヨウ素含有量)が低下することが報告されており、土壌や水質の汚染防止・無毒化など環境汚染の回復を助ける可能性を秘めた植物としても注目されています。
ステビアの注意事項
- キク科植物にアレルギーのある方は使用に注意が必要です。
- 食品添加物として許可されていない国もあるため、国外への持ち出し等は確認が必要です。