コーンシルク/トウモロコシのひげ
健康茶と期待される効果効能紹介

抗糖化作用も期待できる、むくみケアとして人気の健康茶

韓国ブームの影響もあり、日本でも女性を中心にむくみ対策やスタイルキープに役立つお茶として注目されたトウモロコシのひげ茶。トウモロコシのヒゲ部分は生薬「南蛮毛」やハーブ「コーンシルク」と呼ばれ、利尿作用を持つとして利用されてきました。スイカの50倍と言われるほどカリウムを豊富に含んでいるほか、フラボノイドなどの抗酸化物質も豊富に含んでいることからアンチエイジングにも注目されています。近年は血糖値上昇抑制効果や抗糖化などにも期待されていますよ。

画像:コーンシルク/トウモロコシのひげ

 

コーンシルクについて

植物紹介:コーンシルク/トウモロコシのひげ

韓流ブームなどの影響から日本でもスタイルキープ、むくみ取りに良い健康茶として親しまれるようになったトウモロコシのヒゲ茶。単に「ヒゲ茶」で通じてしまうことも多々ありますね。日本でも話題になったことでドラッグストアなどでも手軽に手に入れられますし、皮付きのトウモロコシを買った場合はヒゲを捨てずに再利用することができるのも嬉しいポイントです。お茶にする以外にもスーブにしたり、素揚げにして料理のトッピングに使う方もいらっしゃるようです。

同じ“トウモロコシ”を原料とするお茶でも実の部分を使ったコーン茶(とうもろこし茶)と、ヒゲと呼ばれている部分を利用したコーンシルク茶の2つに大きく分かれます。ヒゲ部分は実よりも薬効があると考えられ、漢方では生薬「南蛮毛」と呼んで利尿剤として利用されています。むくみ改善に飲用する場合はコーンシルクの方が効果を期待できるでしょう。ヒゲ部分100%でお茶を煮出すと苦味があり飲みにくいことから、実とブレンドしたものも多く販売されています。

トウモロコシは小麦・米と共に世界三大穀物の一つとされ、人の食料だけではなく飼料用、コーンスターチ・油・バイオエタノールなどの原料となる工業作物として世界中で栽培されています。原産は中南米とする説が有力で、マヤ・アステカ・インカなど文明において常に重要な食料として栽培され続けてきた存在です。16世紀には世界中に伝播し、日本にも1579年に伝わっています。

日本でトウモロコシと呼ばれるようになったのは外国から伝わったモロコシ(学名Sorghum bicolor)という意味で、唐蜀黍と書くとどちらも中国の呼び方になって重複するため、別名の玉黍から漢字を取って“玉蜀黍”と記載するようにしたそうです。日本ではヒゲ部分を利用する習慣はありませんでしたが、ヨーロッパ・中国など広い範囲の伝統医療・民間療法としてむくみの改善に利用されている存在です。日本ではヒゲと呼びぶ部分は雌しべで「絹糸(けんし)」とも呼ばれています。英名のコーンシルクの方がヒゲよりも的確な呼び名かもしれませんね。

基本データ

通称
コーンシルク(Corn silk)
別名
トウモロコシ(玉蜀黍)、トウキビ(唐黍)、南蛮毛(ナンバンゲ・ナンバンモウ)、玉米鬚(ギョクベイシュ)、メイズ(maize ※イギリス英語)
学名
Zea mays
科名/種類
イネ科トウモロコシ属/一年草
花言葉
富、財宝、豊富、喧嘩、繊細さ
誕生花
8月4日、8月7日
使用部位
柱頭、花柱(ひげ)
代表成分
カリウム、フラボノイド、サポニン、タンニン、アルカロイド、フィトステロール
代表効果
利尿、緩和、胆嚢機能向上、血糖値抑制、解毒促進、抗糖化
こんな時に
むくみ、膀胱炎や尿道炎など泌尿器系炎症、高血圧、糖尿病、肝炎
おすすめ利用法
ハーブティー、食材として
ハーブティーの味
コーン茶よりも草っぽい香り、やや苦味・エグみがある
カフェインの有無
ノンカフェイン

コーンシルクの栄養・成分・期待できる効果

コーンシルク茶(とうもろこしのひげ茶)

泌尿器系への働き

コーンシルクは韓国だけではなく、中国・ヨーロッパなどでも利尿効果がある薬草として利用されてきました。この働きはヒゲに含まれているカリウム塩によるものではないかと考えられています。

穏やかな利尿茶として

コーンシルクの代表的な働きと言えるのが利尿効果。トウモロコシのひげ部分にはスイカの50倍と言われるほど豊富なカリウムが含まれています。カリウムは細胞の浸透圧を維持・調整する働きがあり、ナトリウム濃度を調整することで溜め込みすぎた水分の排泄を促進する働きがよく知られています。また腎臓に溜まった老廃物の排泄を促す・塩分過多以外の場合でも若干の利用作用を持つと考えられている、むくみ改善成分の代表的な存在です。

腎臓の老廃物排泄促進などによって腎機能を高めると考えられていますから、継続して飲用することでむくみにくい体質作りもサポートしてくれるでしょう。その働きから有名むくみ対策サプリメントなどにも配合されています。またスタイルキープ用としてだけではなく、腎炎や妊娠時のむくみ対策としても取り入れられています。

むくみ改善の定番タンポポ茶や水分代謝を高めるハトムギ、冷えがある場合はアンジェリカなど、むくみの原因や目的に合わせてブレンドして利用するのがお勧めです。コーンシルクはシングルで飲むとやや苦みがあるので、ブレンドすることで飲みやすくもなりますよ。


泌尿器の炎症に

コーンシルクは利尿作用に優れていることから膀胱炎や尿道炎・前立腺炎など泌尿器系の炎症を緩和する働きがあると考えられています。泌尿器系の炎症の緩和には抗菌・抗ウィルス作用のあるヤロウエキナセア、抗炎症作用を持つ甜茶などとブレンドすると良いと言われています。


そのほか期待される作用

夏バテの予防・緩和

夏バテの原因の一つとして、大量の汗をかくことで「低カリウム血症」もしくはそれに近い状態になってしまうことが考えられます。カリウム不足になると筋肉の伸縮が鈍ることでだるさを引き起こす、血管壁が水分で膨れむくみを起こす、胃腸機能が低下して食欲不振・便秘などを起こすと言われています。このことからコーンシルク茶はカリウム補給源として夏バテの予防・緩和に役立つと考えられています。


高血圧・糖尿病予防に

カリウムはナトリウムの排泄を促すことで高血圧の予防に役立ちます。また腎臓の老廃物排泄を助けるだけではなく、肝臓の解毒の作用向上・血液浄化作用があると考えられていることから肝炎・脳卒中などのリスク低下にも有効と考えられています。

また血糖値が高い糖尿病II型の方はミネラル、特にカリウムが不足傾向にあることも指摘されています。カリウムにはインスリンインスリンの糖代謝作用を助け、血糖値の上昇を抑制する働きがあります。このことからコーンシルクは血糖値コントロール・糖尿病予防に役立つのではないかと注目されています。


抗糖化による老化予防

糖化(メイラード反応)は皮膚・筋肉をはじめとする人体の随所に含まれているタンパク質が糖と結びつき、体内で熱せられることでAGEs(終末糖化産物)と呼ばれる褐色物質に変化することを指します。老化の原因というと酸化が広く認知されていますが、糖化は酸化以上に有害と考えられています。

美容面では肌のハリを保つタンパク質のコラーゲンが糖化することでシワ・たるみ・シミの原因となると言われ、抗糖化化粧品や健康補助食品が続々と販売されています。また健康面でもAGEsの蓄積により認知症・動脈硬化・骨粗鬆症・白内障など様々な病気を引き起こす原因となります。

とは言っても摂取した糖質すべてがコゲ物質AGEsになるわけではなく、血中のブドウ糖が過剰となり溢れた分が糖化を引き起こします。体内でできるAGsEの量は血糖値が高い状態の時間と比例すると考えられています。コーンシルク(ヒゲ茶)はカリウムの働きから血糖値の上昇を抑制すると考えられるため、糖尿病予防だけではなくこの糖化を防ぐ働きに期待されています。老化防止・美肌茶として取り入れられているほか、より効果を高めた抽出エキスを利用した糖尿病合併症治療薬の研究も進められています。

トウモロコシのヒゲ茶の作り方

ご自宅でコーンシルクを作る場合は、ヒゲの黒い部分を取り除き綺麗に洗ったものを利用します。ちなみにヒゲよりも手間がかかりますが、実部分コーン茶も自作できます。

ヒゲの緑色の部分をなどに広げて干すか電子レンジで水分を飛ばします。乾燥させたトウモロコシのヒゲを3~4cm位にカットし、弱火で乾煎りしていきます。ポップコーンのような香りがして、きつね色~飴色くらいの色でパサつくくらい乾燥していれば完成です。熱を冷ましてからビニール袋などに入れて手で揉みほぐしておきましょう。

お茶の浸出分量はかなり幅広いですが、1カップに小さじ1~2位、熱湯を入れて5~10分程度蒸らすというのが主流です。薄く感じる場合は5分程度煎じた後、3~5分蒸らすと良いでしょう。

コーンシルクの注意事項

  • 小さいお子様への利用は控えたましょう。
  • イネ科植物にアレルギーのある方は注意が必要です。