溜め込み体質の方・デトックスのサポートとして
浜茶はカワラケツメイと呼ばれるマメ科植物を原料としたお茶で、弘法大師が広めたという伝承から弘法茶とも呼ばれています。決明子(ケツメイシ)に似ていることから和名が付けられており、同じく緩下作用や肝臓強壮作用が期待されるアントラキノン誘導体を含んでいることが特徴。このため便通サポート・デトックス系のブレンドティーなどにも配合されていますし、近年はカシアノールと呼ばれるポリフェノールに脂肪吸収抑制作用が報告されていることもあり肥満予防としても注目されています。
浜茶(弘法茶)について
植物紹介:カワラケツメイ
デトックス効果が期待できることから、スタイルキープを心がけている女性に嬉しい健康茶として注目されている浜茶。原料として使われているカワラケツメイは日本では北海道と沖縄を除く地域に分布する野草で、呼び名の通り河原に多く見られるほか土手・路端など日当たりの良い場所にも生えています。浜茶という呼び名についても海岸の砂地に多く生えている植物のお茶ということが語源と言われています。単体で飲まれることは少ないので浜茶やカワラケツメイ茶という呼び名ではピンと来ない方も少なくないかもしれませんが、ブレンドティーや青汁などの健康食品にも配合されています。
カワラケツメイを使ったお茶は浜茶以外にも、弘法茶・ネム茶・豆茶など様々な名前で呼ばれています。浜茶・カワラケツメイ茶以外に使われる機会の多い弘法茶という呼び名は、真言宗の開祖である弘法大師(空海)が全国行脚の際に広めたお茶だという言い伝えがあるため。弘法大師が活躍したのは平安時代初期ですから、1300年の健康茶・日本古来のデトックスティーと称されるのも納得ですね。またネム茶という呼び名はカワラケツメイの葉の形・夜になると葉が閉じるという性質がネムノキに似ていることが由来とされています。
豆茶については諸説ありますが、元々は茎葉を乾燥させて作ったお茶を浜茶や弘法茶・果実を煎じたものを利用するのが豆茶と呼び分けていたと言われています。しかし近年は茎葉を乾燥させた茶の呼び名の一つとして使われています。生薬名の“山扁豆(サンヘンズ)”にも豆と付きますが、こちらも豆ではなく「未熟な果実をつけた全草」を指す言葉ですね。ただし山扁豆と称してカワラケツメイを使うのは日本だけで、中国などではリュウキュウカワラケツメイ(学名:Cassia mimosoides)が使われているそうです。
ちなみにカワラケツメイの“ケツメイ”というのはハブ茶の原料であるエビスグサ=決明子(ケツメイシ)と良く似た外見・効能を持つと考えられているためです。植物としても同じくマメ科ジャケツイバラ亜科に分類されるためエビスグサの仲間と紹介されることもありますが、エビスグサはセンナ属・カワラケツメイはカワラケツメイ属と別属。センナとハブ茶ほど近い存在ではありません。と言ってもデトックスサポート系のブレンドティーやサプリなどの健康食品にも使われているように、浜茶もアントラキノン誘導体と呼ばれる緩下(瀉下)作用を持つ成分が含まれています。似た効能を持つと言われるのも、この成分の働きが大きいでしょう。
作用は格段に穏やかであるとは言われていますが、成分の系統としては“センナ(Senna alexandrina)”や、デトックスティーとして用いられる“キャンドルブッシュ(Senna alata)”などと同じになります。浜茶は味にクセがなく飲みやすいこと・カフェインを含んでいないこともあり妊娠中の方の方向け商品にも配合されていますが、体質や摂取量によってはお腹を下してしまう危険性もあります。適切に取り入れることで便秘やむくみの軽減や健康サポートにも役立つお茶とされていますが、過剰摂取に注意したいお茶の一つと言えます。
基本データ
- 通称
- カワラケツメイ(河原決明)
- 別名
- 浜茶(ハマチャ)、豆茶(マメチャ)、弘法茶(コウボウチャ)、合歓茶(ネムチャ)、山扁豆(サンヘンズ)
- 学名
- Chamaecrista nomame
- 科名/種類
- マメ科カワラケツメイ属/一年草
- 花言葉
- 自由
- 誕生花
- –
- 使用部位
- 茎葉
- 代表成分
- アントラキノン誘導体(クリソファノール、エモジンなど)、フラボノール類(ルテオリン、ビテキシン)、カシアポリフェノール(カシアノール)、ミネラル類
- 代表効果
- 緩下、整腸、利尿、解毒、抗肥満、健胃、整腸、強壮、抗酸化、血圧降下、抗コレステロール、消臭
- こんな時に
- 便秘、むくみ、デトックスサポート、肥満予防、ダイエットサポート、肝臓機能向上、滋養強壮、疲労回復、生活習慣病(高血圧・動脈硬化・糖尿病)予防、疲れ目、肌荒れ・くすみ、体臭・口臭軽減
- おすすめ利用法
- 健康茶
- お茶の味
- コーン茶に近い香ばしい風味、味にはすこし甘みがあり飲みやすい
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
カワラケツメイの栄養・成分・期待できる効果
浜茶(弘法茶/カワラケツメイ茶)
スタイルキープに
便秘予防・改善に
カワラケツメイの葉・茎にはハブ茶(ケツメイシ)などと同じくクリソファノールやエモジンなどのアントラキノン誘導体が含まれています。アントラキノン誘導体は大腸に対して刺激物質として働き、蠕動運動を活発にすることで便通を促す働きがあります。このため浜茶は便通改善をサポートしてくれる健康茶として利用されており、便秘に悩む方に古くから使用されてきました。翌朝スッキリ・ドッサリ系のお茶にも取り入れられていますね。
ただしアントラキノン誘導体は刺激・緩下作用を持つ成分であるため、体質や摂取量によっては腹痛や下痢の原因となる場合もあります。量については個人差がありますから、少なめの量から使い始めて自分にあった適量を見つけるようにしましょう。またアントラキニン系成分を含むアロエやセンナなどを長期間服用すると、腸粘膜の筋力低下・色素沈着による大腸メラノーシス(大腸黒皮症)を起こす可能性も指摘されています。浜茶はセンナ茶などよりは作用が穏やかで安全性が高い・お腹を壊しいくいとは言われていますが、刺激成分が含まれていることには違いありませんから長期間の継続利用は避けたほうが良いでしょう。
むくみ軽減・デトックスに
カワラケツメイの葉を乾燥させたものは、古くから民間療法の中で利尿薬として利用されてきたとも伝えられています。現在でもアントラキノン類は大腸を刺激することで緩下作用をもたらすだけではなく、利尿作用があるのと考えられています。また作用機序などははっきり分かっていないそうですが、アントラキノン誘導体は若干の毒性を持つ成分のため、腎臓や肝臓に対しても刺激物質として働きかけることで機能を高めるという説もあります。
こうした見解から浜茶はむくみの軽減や腎臓の負担軽減、肝機能を高めることと合わせてデトックス効果などが期待されています。肝臓は老廃物や有害物質の無毒化や排出を司る臓器ですから、血液を綺麗にすることにも繋がる可能性がありますね。便秘やむくみの軽減+有害物質の排出促進効果が期待できるので、体が重い・すっきりしないという方に良いと考えられます。デトックスサポートとしては甘草やクコ茶・タンポポ茶などと組み合わせてみても良いでしょう。
ダイエットのサポートに
浜茶が減肥茶のようなダイエットサポートを主眼とした健康茶に配合されている理由としては、便秘やむくみを軽減して即時的なサイズダウンが期待できることが大きいと言われています。肝機能向上が期待できることもあり、デトックスから代謝向上(代謝低下の改善)に繋がる可能性もありますね。加えてカワラケツメイに含まれているカシアポリフェノールもしくはカシアノールと呼ばれるポリフェノールの一種には、高い膵臓リパーゼ阻害活性作用が見られたことも報告されています。
リパーゼは消化酵素の一つで、食物中の脂肪を吸収しやすい形へと分解する働きがあります。リパーゼの働きを抑制すると脂肪の一部は吸収されにくい形のままとなりますから、腸で吸収されずに排出される=脂肪の吸収を抑えることに繋がると考えられます。このため便や尿の排出を促すだけではなく、脂っこい食事などと合わせて摂取することで体脂肪蓄積を抑える働きが期待できるお茶としても浜茶は注目されています。ダイエットサポート用としては鉄観音などの烏龍茶類、杜仲茶・グァバ茶などと組み合わせて利用されることも多いようです。
健康サポートに
二日酔い予防・肝臓保護に
浜茶の代表成分と言えるクリソファノールやエモジンなどのアントラキノン誘導体類は、少量であれば肝臓を刺激してその働きを高めると考えられています。この働きは肝臓の解毒機能を高めてデトックス力をアップさせるだけではなく、肝臓疲労の軽減や肝機能全体の向上にも効果が期待されています。利尿作用と合わせて二日酔いの軽減に良いという説もあります。
ただしアントラキノン誘導体が肝臓を指摘するのは、毒性がある成分であるためという見解が主流となっています。ダイエットや肝機能向上を期待して大量に摂取してしまうと、逆に肝臓他内臓への負担となり各機能を低下させてしまう可能性もあるため摂取量には注意がしましょう。
滋養強壮・胃の健康維持に
浜茶は民間療法において便秘薬・利尿薬のような形で利用されてきた以外に、健胃整腸作用がある・滋養強壮に良いお茶としても親しまれてきました。こうした働きもアントラキノン誘導体によって肝臓の働きが高まることが大きいのではないかと考えられます。肝臓は消化液の一種である胆汁を生成・分泌する役割もあり、代謝機能にも関係の深い臓器の一つです。このため肝臓機能の回復によって胃腸機能の働きも整い、疲労回復や体力アップなどに繋がるのではないかと考えられます。
また浜茶の原料であるカワラケツメイにはカシアポリフェノール(カシアノール)や、ルテオリンなどのフラボノール類が含まれています。カワラケツメイの総ポリフェノール量は柿の葉やドクダミとほぼ同程度であるという報告もなされていますから、抗酸化作用によって酸化ダメージを軽減することからも内臓機能やエネルギー代謝の向上・疲労や疲労感の軽減サポートが期待できます。
生活習慣病予防に
カワラケツメイに含まれているポリフェノールが持つ抗酸化作用は、血中脂質の酸化を抑えることで血栓・動脈硬化予防などの生活習慣病予防にも役立つと考えられます。デトックスからも血液サラサラ効果が期待できますし、アントラキノン誘導体類には血圧降下作用を持つという説もあるので血圧が気になる方にも適しているでしょう。そのほかアントラキノン誘導体にはコレステロール低減作用を持つ可能性が報告されていること・カシアノールによるリパーゼ阻害作用から、コレステロール値が気になる方にも取り入れられているようです。抗酸化作用とWの働きで、血流関係のトラブル予防としても役立ってくれるでしょう。
またカシアノールがリパーゼを阻害し脂肪の吸収を抑制することは、肥満やメタボリックシンドローム予防にも繋がります。肥満(内臓脂肪型肥満)はインスリン抵抗性の原因となることも指摘されていますし、アントラキノン誘導体は血糖値上昇を穏やかにするという説もありますから、生活習慣病と呼ばれる様々な疾患の予防に効果が期待されています。生活習慣病予防効果を期待する場合は、食前に飲むとより効果的だと言われています。
目の疲れ・充血に
名前の由来が“決明子”に似ていることとされるように、カワラケツメイも目・視機能のサポートに役立つ薬草と考えられています。今のように目薬などが流通していなかった時代には、カワラケツメイを煮出した汁を洗顔に使うことなどもあったのだとか。カワラケツメイなどが目に良いとされるのは「肝は目に穴を開く」という中国医学の考え方に起因していましたが、現代でも肝臓疲労は眼精疲労の原因となるという説もあります。
肝臓をサポート効果が期待されるアントラキノン誘導体にも、目の疲労軽減や充血緩和効果があるのではないかと言われています。ただしこちらも実際の効果が実験などで認められたものではありませんし、肝臓サポートが主なためパソコンやスマホを長時間使うなど目の酷使による眼精疲労にはあまり役立たないと可能性が高いと言えます。目を酷使している覚えがないのに、最近急に目が疲れるようになったと感じている方であれば取り入れてみても良いかもしれません。
そのほか期待される作用
肌荒れの予防・軽減に
便通改善やデトックス効果を持つとされることから、浜茶(カワラケツメイ茶)は肌荒れの予防にも効果が期待されています。便通が悪いと老廃物がいつまでも腸内に蓄積し、発酵・腐敗が進むことで腸内環境が悪玉菌優勢の状態になってしまいます。善玉菌によるビタミン合成なども低下してしまいますし、溜まっている便から発生する腐敗ガスなどの有害物質(毒素)が腸から吸収されてしまい血液に乗って全身へと回ってしまう恐れもあります。この有毒物質が混じった血液が循環することによって、くすみ・乾燥・ニキビなどの肌荒れが起こると考えられます。
浜茶は便通を促す作用があるほか、肝臓機能を高めることで血液中の有害物質を減少させる働きも期待されています。このため便秘や毒素の滞留によって起こる肌荒れの予防・軽減が期待できます。体内が綺麗になることで、身体やお肌に必要な栄養成分を吸収しやすくなるというメリットもありますね。花茶には抗酸化作用を持つポリフェノール類も豊富に含まれていますから、相乗して美肌をサポートしてくれるでしょう。肌荒れが気になる場合にはどくだみ茶と合わせて取り入れてみて下さい。
口臭・体臭対策に
フラボノール類には消臭作用があるため、浜茶は消臭作用があるお茶の一つにも数えられています。間接的な働きとはなりますが、便秘改善・デトックス効果によって体内の老廃物や腐敗ガスなどの毒素が減少することも体臭対策に繋がります。抗酸化物質の補給と合わせて体臭や口臭の軽減に役立ってくれる可能性はあるでしょう。
浜茶(弘法茶/カワラケツメイ茶)の注意事項
- 低血圧の方・下痢をしやすい方は使用を控えましょう。
- 腸を刺激する成分が含まれているため、妊娠中・授乳中の方は使用に注意が必要です。
- 慢性肝炎、慢性腸疾患等の疾患がある方は医師に相談のうえ利用して下さい。