スイカ茶/シトルリンティー
健康茶と期待される効果効能紹介

むくみ改善だけではなく、シトルリンとリコピンの働きで美容面にも期待

スイカは利尿効果があるとして古くから民間療法で利用されてきた食材であり、近年はトマトよりもリコピンを多く含む果物としてダイエットやアンチエイジングなど美容果物としても注目されています。スイカ茶もシトルリンによる血行促進作用や成長ホルモン分泌促進作用などあると考えられ、むくみ改善・疲労回復からアンチエイジング・生活習慣病予防など様々な効果が期待されています。

画像:スイカ(シトルリンティー)

 

西瓜(スイカ)について

植物紹介:スイカ(西瓜)

夏の風物詩としてもお馴染みの果物、スイカ。水分とカリウム含有量が多いため古くから“利尿作用がある・むくみに良い”食材とされてきましたが、近年はトマトよりも多いと言われるほどリコピンを多く含み高い抗酸化作用が期待できることなどから美肌果物としても注目されています。日本ではスイカと言えば果肉を食べる・一部地域で皮を漬物にするくらいしか利用されていませんが、中国・台湾をはじめとしてアジアではおやつ感覚でスイカの種(仁)を食べる地域も多いのだとか。日本でも最近はナッツ・シード類の健康効果が注目されていることもあり、スイカの種も食用として受け入れられています。

スイカはウリ科に属す一年草で、原種と見られる野生種がアフリカ中部のサバンナ地帯や砂漠地帯などに分布しています。スイカの先祖とも言える品種は固く苦味が強かったため、初期の頃は種を食べることが目的だったようです。ただスイカは数週間から数カ月間保存が効き、水の少ない地域で水分貯蔵源として役立つことから栽培に力が入れられていたようです。栽培の歴史も古く約4000~3000年前の古代エジブトでは栽培が行われていたと考えられており、栽培技術が発達とともに苦味を抜くような品種改良が重ねられ、現在のように生でそのまま食べられる状態になっていたと言われています。

紀元前500年頃には交易品・交易団の水分補給源として、アフリカからユーラシア大陸へとスイカが伝えられていきます。古代ギリシアやローマでも解熱・利尿作用などが認められ医療に利用されていた記述が見られますし、アラビアでも薬効が認められていたようです。シルクロードを通じて11世紀頃には中国へも伝わり、17世紀前半頃には日本にも伝播します。現在私達がイメージするスイカは明治以降にアメリカから導入した品種を改良したものですが、スイカ自体は江戸時代後期頃にかなり広い範囲で栽培が行われていました。

漢方の本場である中国ではスイカの赤い実には利尿を促すことで熱を冷ます(清熱利尿)作用があるとされていますし、外皮と果肉の間の白い層は「西瓜翠皮」と呼ばれより利用作用に優れた生薬として利用しています。そのほかスイカ果汁を煮詰めた“西瓜糖”もむくみや腎臓トラブルの緩和に利用されていますし、スイカの中に芒硝(硫酸ナトリウム)を入ると外側に透析してくる白色結晶を“西瓜霜”と呼び、こちらは喉の不調や口内炎緩和などに良いとしてトローチなどにも配合されています。

基本データ

通称
西瓜(スイカ)
別名
ウォーターメロン(Water melon)、シトルリンティー
生薬としては種を西瓜子、皮は西瓜皮・西瓜翠皮(スイカスイイ)
学名
Citrullus lanatus
科名/種類
ウリ科スイカ属/つる性一年草
花言葉
どっしりしたもの、かさばったもの
誕生花
– (※記念日は7月27日)
使用部位
果実(皮・果肉・種)
代表成分
カロテノイド(リコピン、β-カロテン)、アミノ酸(シトルリン、グルタミン酸、アルギニンなど)、マンノシダーゼ、ビタミン類、ミネラル類
代表効果
利尿、腎機能向上、血管拡張、肝機能向上(アンモニア分解促進)、抗酸化、肥満予防、血圧降下、血糖値上昇抑制、記憶力向上
こんな時に
むくみ、膀胱炎、腎炎、血行不良(冷え・肩こり・腰痛など)、のぼせ、疲労、筋肉痛、体臭(疲労臭)、アンチエイジング、デトックス、ダイエットサポート、筋肉・持久力アップ、肌老化・シミ予防、美肌維持、生活習慣病予防、やる気・集中力アップ
おすすめ利用法
食用、飲用、手作り化粧品
ハーブティーの味
あっさりとしているが、微かにウリ独特の風味がある
カフェインの有無
ノンカフェイン

西瓜(スイカ)の栄養・成分・期待できる効果

スイカ茶/シトルリンティー

巡り・代謝のサポート

むくみ・腎臓サポートに

スイカに期待できる効果として「利尿・むくみ改善」を真っ先に思いつく方が多いのではないでしょうか。スイカにはカリウムが比較的多く含まれており、余剰ナトリウムと水分を尿として排出させる手助けをしてくれます。

加えてスイカには遊離アミノ酸の一種「シトルリン」が含まれています。シトルリンは血管を拡げて血行を良くする働きがあるため血行不良によるむくみの緩和にも効果が期待できますし、シトルリンとアルギニンが相乗して働くことで腎機能・水分排出効率の向上効果があるとされています。

また果物としてのスイカにせよ、スイカのお茶にしろ水分補給にもなりますから、水分不足(脱水)を予防するために水分を蓄えることで起こるむくみの予防にもなります。水分補給・巡りの改善・腎臓機能サポートと3つの働きからむくみの改善に役立つと考えられますし、膀胱炎や腎炎・腎臓結石など腎臓疾患の予防に対しても効果が期待されています。むくみ解消の場合は同じく生薬として利用されているトウモロコシのひげ(南蛮毛)や、はと麦茶などと組み合わせても良いでしょう。


血行不良に

スイカなどウリ科植物に多く含まれている含まれている「シトルリン」は血管を広げる働きのある一酸化窒素の生成を促す作用があるとされ、結果的に血管拡張・血流改善効果があると考えられています。またスイカの赤色の色素成分であるリコピンなどの抗酸化物質も血液をサラサラにすることで血液循環をサポートしてくれますから、シトルリンとの相乗効果が期待できます。

血流が良くなることでむくみ以外にも血行不良によって起こる冷え性・肩こり・腰痛などの改善に効果が期待できますし、手先や足先などの毛細血管も拡張されますので末端冷え性の改善に繋がる可能性もあります。漢方で西瓜は利尿効果によって熱を排出させるため“体を冷やす作用がある”とされていますが、血行不良やむくみから起こっている冷えの改善には効果が期待できるでしょう。

ただし熱を出す働きもありますので代謝(熱生成)自体が少ない方にはあまり向かず、末端冷え性や火照り・冷えのぼせタイプの方に適しています。冷えが気になる方は生姜ヨモギ茶などと組み合わせて利用してみてください。


疲労回復・体臭予防に

疲労には様々な原因がありますが、疲労の原因物質として“乳酸”がよく知られています。近年乳酸は完全なる悪玉ではないことが認知されていますが、瞬発的に大きな力を出す速筋(無酸素運動やウェイトトレーニングで鍛えられる部位)にとっては筋肉疲労・筋肉痛の痛みの原因となります。シトルリンを摂取すると運動時の乳酸値の低下が見られることが報告されているため、シトルリンは乳酸を抑えることで筋肉疲労の軽減に効果が期待されています。

もう一つの代表的な疲労物質としては“アンモニア”があります。アンモニアはエネルギー代謝などで自然に生じる老廃物ですが、過剰に発生する無毒化が遅れてしまうと疲労の原因となります。アンモニアは肝臓が行っている尿素回路(オルニチンサイクル)において分解・無毒化されますが、シトルリンはこの尿素回路を構成する化合物の一つのため摂取することで代謝を促しアンモニア分解を促進すると考えられています。

この2つの疲労物質軽減効果が見られること・血管拡張作用によって血流量を増やすことなどから、シトルリンは筋肉回復に高い効果が期待され、海外ではアスリートを対象としたシトルリンサプリメントも販売されています。また俗に“疲労臭”と呼ばれる、アンモニアの臭いがする体臭予防にも有効と言われています。


美容面で期待できる作用

老化予防

スイカの赤い果肉部分にはトマトの抗酸化物質として注目されたカロテノイドの一種「リコピン」が含まれています。リコピンはカロテノイド類の中でも秀でた抗酸化作用を持つとされているため、高い抗酸化作用によって活性酸素を除去して細胞を正常に保つことで内蔵や肌などの老化予防に役立つと考えられています。

またシトルリンには成長ホルモンの分泌を促進する作用があると言われています。成長ホルモンは別名“若返りのホルモン”とも言われており、成長期の身長アップだけではなく、筋肉量の維持やコラーゲンの生成などにも関係しているため分泌低下を防ぐことがアンチエイジングに繋がると考えられています。リコピンなどによる抗酸化作用と、シトルリンの成長ホルモン分泌促進作用が共に働くことで、スイカ茶は若々しさの維持にも効果が期待されています。


デトックスに

シトルリンは肝臓で行われる尿素回路の働きを高めることでアンモニア分解を促進するほか、アンモニアから分解されて出来た尿素の排泄を行う腎臓の働きを助ける働きもあります。シトルリンはアンモニアの無毒化から排泄までの流れをトータルでサポートしてくれると考えられますし、スイカ茶にはナトリウムの排出を促すカリウムなども含まれていますから、相乗して利尿効果を高め老廃物や有害物質の排出をサポートしてくれるでしょう。

また老廃物の排出を促すだけではなく血行促進にも役立つため、体全体の代謝を高めて便通の改善にも役立つと言われています。このことからスイカ茶はデトックス茶としても取り入れられています。老廃物の排出をスムーズに行うことで代謝低下や肌荒れの予防にも効果が期待できます。


肥満予防・筋肉増強

シトルリンが分泌を促す成長ホルモンは筋肉の合成・維持に加えて、脂肪分解を促してくれる作用があります。また夜トマトダイエットなどが話題になったように、リコピンにも血流改善による代謝向上効果・抗酸化作用による白色脂肪細胞の増加抑制効果・成長ホルモンの分泌促進効果などが期待されています。相乗して脂肪蓄積予防や脂肪燃焼促進に役立ってくれるでしょう。

また成長ホルモンが筋肉を作ってくれること、血液循環が促されることからスイカ茶は筋肉量を増やしたいアスリートタイプの方・健康的なダイエットを目指している方のサポートとしても役立つと考えられます。運動の前後に摂取するようにすると持久力アップや運動による疲労・筋肉痛の軽減にも効果が期待できます。


美肌維持に

リコピンなどの抗酸化物質は紫外線などによって発生した活性酸素を抑制することで、シミやシワなどの肌老化を防ぐ働きがあります。またシトルリンは成長ホルモンの分泌を促すことでコラーゲン生成を促す他、天然保湿因子(NMF)の原料としても利用されるため肌のハリや水分量を高める効果も期待されています。血流を促す働きもありますので肌のくすみ、ターンオーバーの乱れによる乾燥・ゴワつきが気になる場合などにも役立ってくれそうです。

スイカを丸ごと使ったお茶であれば、種子に豊富に含まれているビタミンB群も含まれています。ビタミンB群は代謝をサポートすることで肌・髪・爪などの状態を維持したり、肌荒れを防ぐ働きがあります。抗酸化・コラーゲンや天然保湿因子増加作用と合わせて乾燥や肌トラブル予防に役立ってくれるでしょう。そのほか脂溶性ビタミンなのでお茶として利用した場合の摂取量はさほと多くありませんが、種子には抗酸化作用や血行促進効果のあるビタミンE、赤い果肉部分には体内でビタミンAに変換され皮膚粘膜保持に働くβ-カロテンも含まれています。


そのほか期待される作用

生活習慣病予防

スイカに含まれているリコピンは高い抗酸化作用によって血管や血液中の悪玉コレステロールの酸化を予防し、正常な血流を保つ働きがあります。リコピンは血液循環の悪化に起因する病気を防ぐ働きが期待されていますし、シトルリンにも血管を拡張させるほか血球の血管壁への接着阻害・血管肥厚抑制効果が報告されています。この2つが相乗して働くことで動脈硬化・心筋梗塞などの予防に役立つと考えられていますし、ナトリウム排出を促すカリウムと合わせて高血圧の予防にも有効とされています。

またスイカ茶にどの程度含まれているかはハッキリしませんが、スイカにはマンノシダーゼという糖質分解酵素が含まれており、血糖値上昇を抑える働きがあることも報告されています。そのほかにⅡ型糖尿病のラットにL-シトルリンに富むスイカジュースを摂取させると血糖コントロールの改善が見られたという実験報告もなされていますので、スイカは糖尿病予防にも役立つのではないかという見方が強まっているようです。


記憶力向上・不眠緩和

シトルリンは血液循環を改善することで脳の機能を活発化させ、精神疲労の軽減・集中力や記憶力の向上などにも繋がると考えられています。またシトルリンやリコピンが分泌を促してくれると考えられている成長ホルモン、も簡単な動作で次ぐに疲れてしまう易疲労感の解消・やる気・集中力を維持する働きがあると言われています。

血流改善によって脳の機能が正常化するだけではなく、全身にしっかりと血液が循環することでリラックスしやすくなったり、眠りに就きやすくんるなどの効果も期待されています。スイカ茶を眠る前に飲むことで翌朝の疲労感が軽減されたという話もあるようですし、ノンカフェインのお茶なので睡眠前でも飲みやすいですね。
成長ホルモンは眠っている間に多く分泌されますから、きちんと眠りにつければ代謝・美肌・集中力アップなどにより役立ってくれるでしょう。リラックス・安眠効果を期待する場合はローズカモミールなどと組み合わせてみても良いかもしれません。


スイカ茶の作り方

スイカ茶を手作りする場合は

  1. 果肉・皮・種子をまとめてミキサーに入れて粉砕する
  2. 布巾などで包んで絞る
  3. 搾りかすをなるべく薄く広げて乾燥させる
    (電子レンジで水分を飛ばしても可)
  4. フライパンで軽く焦げ色が付くくらい乾煎りする
  5. 冷ました後、すり鉢やミルで粉末にする

という方法で作ることが出来ます。お茶として利用する場合はお湯で蒸らすだけでは出にくいので、10~15分ほど煮出して利用してください。ちなみに絞り汁にも成分は多く含まれていますし、煮詰めることで「スイカ糖」を作ることが出来ますから、捨てずに利用するのがオススメです。

…とは言え市販されているスイカ茶は果肉・皮・種子とスイカの実を丸ごと利用したものが多いですが、ご自宅で作る場合は果肉を食べた後に残った皮と種を使って作る方が簡単です。基本的な作り方は上のスイカ茶と同じですが、種だけのお茶(スイカの種茶)を作る場合には

  1. スイカの種をよく洗い、水気を拭く
  2. フライパンで乾煎りする
  3. すり鉢などで種を砕く

の3stepで作ることが出来ます。スイカの種茶にする場合はやや苦味がありますが、煮出さなくてもお湯を入れて3~5分程度蒸らせば飲むことが出来るので作り方・入れ方ともに手軽かもしれません。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

スキンケアに

近年シトルリン・リコピン・βカロチン・ビタミンCを含むことからアンチエイジングや紫外線ケアなどに有効として、スイカエキスを原料とした化粧品(ローション)がいくつか販売されています。冷却効果もあると言われており、日焼けした肌のケアやシミ予防などに利用する方が多いようです。

スイカ果肉を擦りおろしたものを濾したスイカの絞り汁、もしくはスイカの果肉と皮の間の白い部分のみで絞り汁を作り、スイカの絞り汁と同量~2.5倍程度の蒸留水を混ぜたもの(お好みで日本酒・グリセリン・クエン酸などを加える)も化粧水代わりに利用できると言われています。

ただし手作りコスメの場合仕方がない部分もありますが、市販されている抽出物よりもシトルリンなどの含有量が低いため作用については疑問視する声もあります。また人・作り方によっては臭いやベタつきが気になる場合も有りますので注意が必要です。

スイカ茶/シトルリンティーの注意事項

    食材・お茶として通常量を摂取する場合は特に問題はないとされています。