アントシアニンを含むため、目の疲れが気になる方にオススメ
コーンフラワーはトウモロコシではなくヤグルマギクというキク科のハーブで、ほぼ無味無臭のためブレンド用としてよく用いられています。アントシアニンを含むことから目の疲れの軽減や眼精疲労予防に取り入れられている他、フラボノイドによる消息作用から口臭対策などにも役立つとされています。抗酸化作用を保つ成分が含まれていますのでアンチエイジングにも効果が期待できるでしょう。
コーンフラワーについて
植物紹介:コーンフラワー(矢車菊)
目を引く美しい青紫色から、園芸植物としても人気のあるコーンフラワー。「コーンフラワー」と言うとトウモロコシの花? トウモロコシ粉? と思うような名前ですが、このコーンはイギリス英語で穀類を意味する言葉の方なのだそうです。と言っても小麦の仲間というわけではなく、かつてヨーロッパでは麦畑周辺によく咲いていたためと言われています。ちなみに“パープルコーンフラワー”になるとエキナセアを指す呼び名になります。
矢車菊の花の色である特徴的な少し暗い青紫色はコーンフラワーブルーとも呼ばれており、最高級サファイヤの色を表す時にも使われるのだとか。もっと身近なところだとコーンフラワーブルー(sRGB:#6495ED)はMicrosoft社でも使われていましたので、昔前のWindowsを知っている方なら見覚えがある色味かもしれません。
コーンフラワーの原産地はヨーロッパの温暖な地域とされており、畑のほか至る所に生えている雑草だったそう。品種改良によって八重咲きのもの・白やピンクの花が咲くものなど様々な品種が作られたことで園芸植物として広まりました。またギリシア神話で半人半獣の種族ケンタウロスの賢者が薬草として使っていたという伝説があるほど、古くから薬効が知られた存在でもあります。古代エジプトでも魔除けや薬用として利用されていたと考えられています。ツタンカーメン王の墓から発掘された花輪に使われていた植物としてもよく知られていますね。
ニコラス・カルペッパーが治療に使った、マリー・アントワネットが好んだ花などコーンフラワーのエピソードはいくつかありますが、特にドイツ(当時はプロイセン)ルイーズ王妃の話は有名。ナポレオンの侵略によって首都から子供と共に避難した際、ルイーズ王妃は穀物畑に生えていたコーンフラワーで王子たちに花冠を作って慰めていたそう。この王子の一人が後に初代ドイツ皇帝とも言われるヴィルヘルム1世で、彼はコーンフラワーを皇帝の紋章と定めました。これが現在でもドイツの国花とされているのだそうです。
コーンフラワーは明治の中頃にに観賞用として伝来しました。かつては“矢車草(ヤグルマソウ)”とも呼ばれていたそうですが、ユキノシタ科にも同じ呼び名を持つ植物があるため混同を避け現在は使われていません。現在使われている呼び名が矢車菊である通り、植物分類上はキク科に属します。日本ではあまり見かけませんが、ヨーロッパではエディブルフラワーとしてサラダやスイーツなどにも使われているそう。日本の食用菊ほど臭みがなく、食感もさっくりとしていて食べやすいと言われています。
基本データ
- 通称
- コーンフラワー(Cornflower)
- 別名
- ヤグルマギク(矢車菊)、bachelor’s button(バチャローズボタン)、Bluebottle(ブルーボトル)
- 学名
- Centaurea cyanus
- 科名/種類
- キク科ヤグルマギク属/1年草
- 花言葉
- 繊細、優美、信頼、教育、幸福
- 誕生花
- 3月1日・5日・27日、4月24日・26日、5月11日
- 使用部位
- 花
- 代表成分
- フラボノイド類(アントシアニンなど)、クマリン類、インドールアルカロイド類、タンニン、カリウム
- 代表効果
- 視機能保護、消臭、抗菌、抗炎症、抗酸化、去痰、利尿
- こんな時に
- 目の疲れ・眼精疲労、口臭、口内炎、咳、気管支炎、風邪予防、老化予防、生活習慣病予防、美肌、むくみ、筋肉痛、リウマチ、関節痛
- おすすめ利用法
- 食用、ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、浸出油、湿布、作り化粧品
- ハーブティーの味
- ほぼ無味無臭、ものにより仄かに花の香がある程度
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
コーンフラワーの栄養・成分・期待できる効果
コーンフラワーティー(矢車菊茶)
気になる不調軽減に
疲れ目・眼精疲労対策に
コーンフラワーの花の青紫色にはブルーベリーなどと同じく「アントシアニン」が含まれています。アントシアニンが目の疲れや視力低下などに良いと言われるのは、ロドプシンの再合成を活性化させる働きがあることに由来しています。ロドプシンは人の眼の網膜にある色素体で、光の刺激を受けると分解されることで脳へと情報を伝える働きを担っています。ロドプシンは分解された後に再合成され再び情報を伝える働きをします。しかし加齢や目の酷使が続くとロドプシンの再合成が上手く行われにくくなり、視機能が低下すると考えられています。
このためロドプシンの再合成を助けるアントシアニンもしくはコーンフラワーのようなアントシアニンを含む食材の摂取は目の疲れ・ショボショボ感・かすみなどの軽減に役立つとされています。ただしコーンフラワーティーはマロウブルーのように青色のお茶にはなりませんので、見た目や雰囲気を楽しみたい時はブレンドして使うと良いでしょう。目の疲れが気になる時はルテインを含むカレンデュラなどと組み合わせるのもおすすめです。
口臭予防・口内炎ケアに
フラボイド系ポリフェノールには消息作用があること・クマリンによる抗菌作用が期待できることから、コーンフラワーティーは口臭予防に役立つと茶とされています。といってもコーンフラワーティー自体はほぼ無味無臭ですから、緑茶やミントなどとブレンドして使った方が直接的なサッパリ感もあって良いでしょう。またフラボノイドには抗炎症作用も期待できることから、お茶として飲んだりマウスウォッシュのようにして利用することで口内炎の緩和にも取り入れられています。
風邪・呼吸器系の不調に
殺菌・抗菌作用を持つ成分が含まれていること・抗炎症効果が期待できることから、コーンフラワーティーは風邪による咳や気管支炎などの呼吸器系症状の軽減にも役立つと考えられています。シングルで飲むというよりはブレンドの彩り感覚で使われることの多いハーブですから、風邪予防にはタイムやレモンバーベナ・喉の痛みがある時はリコリス・咳や気管支炎にはエキナセアなど、目的や用途に合わせて組み合わせると良いでしょう。
老化予防・美容面への働き
老化・生活習慣病予防に
老化の原因物質とされる活性酸素ですが、これはストレスから私達の体を守るために必要な物質でもあります。そのため体内では活性酸素を抑制するSOD酵素(Super Oxide Dismutase=活性酸素除去酵素)とバランスを取り合って働いています。しかし加齢による抗酸化力の低下・諸々のストレスが多いことなどから活性酸素過多状態となっていると考えられています。
コーンフラワーティーはアントシアニンやクマリンなど抗酸化作用を持つポリフェノールを豊富に含むことから、酸化(老化)の予防にも役立つと考えられています。またクマリンは抗血液凝固作用(血液を固まりにくくする作用)があることから、血液サラサラ成分として血栓予防にも効果が期待されています。アントシアニンにも脂肪蓄積抑制や血糖値上昇抑制効果が見られたという実験報告があります。抗酸化作用とこれらの働きが複合することで生活習慣病予防にも効果が期待されています。
美肌作りに
抗酸化物質を豊富に含むコーンフラワーティーはお肌など外見のアンチエイジングにも効果が期待されています。日々紫外線などの刺激から皮膚を守るためにも活性酸素が生成がされていますが、この活性酸素が必要以上に増えすぎることで細胞がダメージを受け光老化と言われるような状態になります。
また活性酸素によって皮脂などが酸化して過酸化脂質が蓄積されることもシミの原因の一つとされています。過酸化脂質は大人ニキビの原因物質とも言われていますから、抗酸化は肌の老化だけではなくニキビ予防にも役立つと考えられますね。そのほか血流を良くすることで肌のくすみ改善や新陳代謝(ターンオーバー)促進にも繋がるでしょう。
むくみ・リウマチ軽減に
コーンフラワーに含まれているクマリンは血液をサラサラに保つことで血液・リンパ液などの体液循環を促進する働きが期待されています。またクマリンの働きで体液循環が良くなることに加え直接的な利尿効果があるとされるカリウムなども含まれていることから、むくみ軽減用としても取り入れられています。
そのほか血行が良くなること・抗炎症作用が期待できることからリウマチや関節痛などの症状軽減にも効果が期待されています。眼精疲労に良いと言われるのもアントシアニンを含んでいるというだけでなく、血行促進によって目周りや肩のコリが緩和される関係もあるという説もあります。
お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果
疲れ目・痒みに
コーンフラワーのエキスには抗炎症作用や血行促進作用が期待されるため、外側からも目の疲れや炎症のケアに用いられています。現在は煮出したもの(ハーブティー)を布やコットンなどに浸して湿布として利用する方法が主流ですが、目薬のように点眼する方法をとっていらっしゃる方もいるそう。アイブライトと同様に洗眼にも用いられていますが、専門医などの監修なく個人で行う場合は感染症などのリスクが高いためお勧めできません。
スキンケア・ハーブバスに
コーンフラワーは外用で用いた場合、タンニンなどの成分による収れん作用が期待できます。この働きは皮膚・毛穴を引き締めることに繋がりますし、クマリンなどの抗菌成分も含まれているため肌を清潔に保つのに役立ってくれるでしょう。そのほか抗炎症作用もあることから、洗顔・スチームやヘアトニックとしても利用されています。入浴剤として使うとむくみに良いという説もあります。
ちなみにコーンフラワーの花を原料とした浸出油(インフューズドオイル)やフローラルウォーター(芳香蒸留水/ハイドロラット)は化粧品原料としても用いられています。年齢肌のケアやかゆみ対策に良いと言われています。作ってすぐのものならティーを化粧水代わりに使うことも出来ます。
コーンフラワーの注意事項
- 妊娠中・授乳中の方は使用を控えましょう。
- キク科植物にアレルギーがある方は使用に注意が必要です。