ジンジャー/生姜
ハーブティー・精油と期待される効果効能紹介

冷えとりの定番! 血行不良や冷えから起こる不調に

香辛料もしくは香味野菜として世界中で食されている生姜。生薬としても古くから各地で親しまれてきた植物で、現在も体を温める働きに優れた食品として女性を中心に人気がありますよね。ジンゲロールやショウガオールなどの成分が血流や代謝に働きかけることが報じられ、冷え性の改善をはじめ、風邪予防、血行不良から起こる肩こり・関節痛・生理痛など様々な不調改善に取り入れられています。代謝アップやむくみ解消など美容面に嬉しい働きや、消化器系のサポートにも期待できますよ。

画像:ジンジャー(生姜)

 

ジンジャー(生姜)について

植物紹介:ジンジャー(生姜)

薬味やガリなどの漬物・葛湯などでもお馴染みの生姜。日本では生のまま擦りおろしたものをよく用いますが、欧米・中東諸国ではドライジンジャーやパウダーを使うことのほうが多いそう。ジンジャーエールやジンジャークッキーなど飲み物・お菓子まで幅広く世界中で活用されているスパイスと言えます

園芸上「ジンジャー(ginger lily)」と呼ばれているハナシュクシャ(花縮砂/学名Hedychium coronarium)は同じショウガ科ですが別種です。香辛料として用いられているジンジャー=生姜は学名Zingiber officinale、属名の「Zingiber」はサンスクリット語で角(srinagam)と根(vera)を表す言葉が語源とされ、この属名が英名の元となっています。

ジンジャー(生姜)はインド、熱帯アジア原産とする説が有力ですが、野生ショウガが発見されていないため断定はされていません。インドや中国では紀元前に防腐剤・医薬品として利用されており、吐き気や下痢・腹痛の改善などに用いられたのち、呼吸器系の不調に対しても利用されるようになっていきました。

1世紀頃にはショウガはヨーロッパにも伝えられ、当初は主に薬用として用いられました。中世にはコショウと同様にショウガの需要が高まり価格も高沸したようです。気軽に料理用に用いられるようになったのは、各地での栽培化が定着した15~16世紀以降と言われています。

日本にも稲作などと同時期、2~3世紀頃にを中国から伝来したと考えられており、魏志倭人伝にも記述が見られます。奈良時代には栽培も行われるようになたっと考えられていますが、当時日本では山椒やミョウガなどをまとめて「はじかみ」と読んでいたため曖昧です。しかし日本最古のスパイスの1つと言える存在であることは間違いないでしょう。ちなみに生姜(ショウガ)と呼ぶようになったのは江戸時代以降と言われています。

基本データ

通称
ジンジャー(Ginger)
別名
生姜(しょうが)、呉薑(クレノハジカミ)、
・生姜(ショウキョウ:生のもの・生のまま乾燥したもの)
・乾姜(カンキョウ:乾燥したもの・加熱後乾燥したもの)
学名
Zingiber officinale
科名/種類
ショウガ科ショウガ属/多年草
花言葉
あなたを信頼します、豊かな心
誕生花
6月12日、7月16日
使用部位
根茎
代表成分
ファイトケミカル(ジンゲロン/ジンゲロール/ショウガオール)、精油(シトラール、ジンギベレン、ガラノラクトンなど)
代表効果
消化促進、健胃、駆風、制吐、利胆、去痰、抗菌、鎮痛、鎮痙、抗炎症、血行促進、発汗、抗酸化
こんな時に
風邪・インフルエンザ、解熱、血行不良、冷え性、むくみ、消化不良、腹部膨満感、吐き気、乗り物酔い、関節炎、生理痛、月経不順
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、浸出油、湿布、手作り化粧品、料理用ハーブ(香辛料)、食材として、精油
ハーブティーの味
スパイシーなショウガの香り、ピリッとした辛味がやや舌に残る
カフェインの有無
ノンカフェイン

ジンジャー(生姜)の栄養・成分・期待できる効果

ジンジャーティー(生姜茶)

体を温める働き

近年の冷えとり・温活ブームの影響もあり、ショウガの代表効果と言われれば「体を温める」ことと言っても過言ではないでしょう。ジンジャーティーも体を温める作用に優れているとされ、シングルだけではなく様々なブレンドティーに配合されています。

ジンゲロールとショウガオールについて

ジンジャー(生姜)は辛味の元ともなっているジンゲロールという精油成分を含んでいます。ジンゲロールは加熱もしくは乾燥することで一部がショウガオールと呼ばれる成分へと変化します。

ジンジャーは生(ジンゲロール)でも加熱したもの(ショウガオール)も共に体を温める作用があると言われていますが、生の場合は末梢血管拡張により体を温める作用があるものの、深部体温を末梢に送り出すため深部体温を下げる可能性があります。
加熱・乾燥により生成されるショウガオールは胃腸壁を刺激し、心臓から血液の拍出量を増やす・腹部への血行を高める働きがあるため深部体温を高める(体を芯から温める)働きがあります。


冷え性・冷えによる不調の緩和に

ショウガオールにも末端までの血行を促して手足の冷えを和らげる効果もありますから、冷え性の場合は加熱・乾燥したジンジャーを摂取した方が良いと考えられています。漢方でも乾姜は深いところ・生姜は浅いところを温めるとされ、冷え性や腹冷痛には乾姜が用いられます。体を温める作用に加え、鎮痛作用もありますので冷えからくる肩こりや腰痛・生理痛・関節痛などの緩和にも役立ちます。

ハーブティー用に市販されているものは乾燥生姜ですし、ご自宅で利用する場合にも冷え性の改善・深部体温向上を期待する場合は乾燥してから抽出した方が良いでしょう。体を温める働きをもつカモミールとのブレンドもよく利用されますし、冷えによる生理痛や月経トラブルの場合はサフランローズヒップなどと組み合わせて使用するのもオススメです。


風邪予防や初期症状ケアに

ショウガオールは体(深部)を温める作用に優れていますが、生ジンジャーに含まれているジンゲロールは強い殺菌作用や白血球を増やす免疫力向上作用に優れています。また風邪などによる熱を下げたい場合にも、体の表面を温め発汗を促すことで熱を下げる働き(発汗解表作用)のある生姜の方が適しています。

風邪に用いる漢方薬としてよく知られている「葛根湯」にも生姜が用いられています。特に38度以上の熱がある場合はショウガオールはさらに熱を上げてしまう危険があるため生ジンジャーの絞り汁などを使うようにしてください。

風邪・インフルエンザ予防として飲む場合は乾姜(ドライハーブ)でも深部体温を上げて免疫力を高める効果が期待できますのでさほど気にしなくても良いでしょう。免疫力を高める働きがあるとされるエキナセアエルダーなどとブレンドすると相乗効果が期待出来ます。


消化器系への働き

便秘改善・代謝向上に

腸内細菌(善玉菌)は体温が高いほうが活発化すると言われています。お腹を冷やすと腸内善玉菌の働きが低下して、便秘や代謝低下の原因となると言われています。ホットのジンジャーティーを飲むことで、直接的にお腹を温める+腸への血流量アップが期待できますから、善玉菌活性化と蠕動運動促進による便秘解消効果が期待出来ます。

また腸内発酵による発酵熱は熱生成(代謝)と密接な関わりがあると考えられています。ジンジャーなどの摂取は血行を良くして代謝を高める以外に、お腹を温めることで善玉菌の活性化・腸内フローラが整うことからも代謝向上効果が期待出来ます。このためジンジャーはダイエットの味方としても注目されています。


消化促進・便秘改善に

ジンジャーは腹部への血行促進・保温作用から胃腸機能の向上にも役立ちます。胃腸が活動しやすい状態に整えることで消化を促進し食欲を高めたり、胃腸のガスによるハリを改善、お腹の冷えによって起こる腹痛・下痢の改善など、消化器系の幅広い不調改善効果が期待出来ます。


吐き気・頭痛に

ジンジャーに含まれているジンゲロールには抗セロトニン作用があります。吐き気や頭痛はセロトニンが嘔吐中枢を刺激することによって起こると考えられており、過剰なセロトニンの作用を抑えることでジンゲロールは制吐作用を発揮すると考えられています。

吐き気・乗り物酔いなどの改善には生姜(生のもの)の方が高い効果が期待出来ます。乾姜は妊娠中の使用を控えたほうが良いハーブとされていますが、生姜の場合は過剰摂取しなければ妊娠中でも使用できます。つわりの改善にも有効とされていますから、細かく刻んでドレッシングに加えたり、絞り汁を飲み物に入れるなどしてみると良いでしょう。


そのほか期待される作用

老化防止(抗酸化)

ジンゲロールやショウガオールには抗酸化作用があります。活性酸素による血管や細胞の老化を防ぐ働きがありますし、胆汁の排泄促進作用もあり血中コレステロールの低下にも役立ちますから、生活習慣病が気になる方にも適しています。
その他がん予防やアレルギー予防にも効果が期待されています。


美肌作りに

ジンジャーには抗酸化作用があり酸化ストレスから細胞を守ってくれるため、シワやたるみ予防にも役立ちます。血行促進作用や代謝向上効果、冷えによる筋肉のこわばりなどの緩和効果も期待出来ることから、血の巡りを整え顔色を良くする・くすみ改善にも役立つと考えられています。

また消化機能の向上によりお肌に必要な栄養吸収がよくなること、便秘を改善することで肌荒れの緩和、腸内フローラが整う(善玉菌が活性化する)ことで腸内のビタミン合成が促進されることなど、副次的効果も期待出来ます。ただし極端な乾燥肌の場合、乾姜(ドライジンジャー)の摂取で状態が悪化してしまう可能性があるため、摂取を控えるか生姜(生のもの)を適量取り入れるようにしましょう。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

むくみケア・肩こりなどに

ジンジャーは外側からでも血行促進に役立つと考えられており、精油を希釈してマッサージなどに用いると足先などの冷え解消やむくみの緩和、セルライト予防などに役立つと考えられています。またハーブティを布に浸すか、精油をお湯に希釈したものを湿布として利用することで肩こり・腰痛・関節痛など、血行が滞って冷えている部位の痛みの緩和にも役立ちます。


ハーブバスに

ジンジャーを入浴剤として利用することで保温効果が高まり、入浴後の湯冷めを防ぐことが出来ます。冷え性の改善や新陳代謝促進に役立ちます。血行を促進して温めることで筋肉の強張りを解す働きもあるため、肩こり・腰痛・筋肉痛などの緩和にも利用されています。


ジンジャー精油に期待される作用

浸出油の場合はそのまま利用することもできますが、精油をスキンケアやマッサージに利用する場合は必ず希釈して利用してください(協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、肌に使用する場合は概ね1%以下が安全とされています)。精油の経口摂取は出来ません。

心への作用

ジンジャーの香りには刺激作用があり、感覚を鋭敏にする、集中力・記憶力の向上効果あると言われています。ストレスや神経疲労などで落ち込んでしまった気持ちを鼓舞し、やる気や活力アップにも効果が期待できるでしょう。
仕事中・勉強中など活動時に適した香りをもつ精油です。


体への作用

ジンジャーティー同様に血流を促して体を温める働き・消化機能を助ける働きに優れています。また鎮痛作用もありますので痛みの緩和、特に血行不良・冷えから起こる肩こり・腰痛・関節痛・リウマチ・生理痛などの緩和に用いられます。
殺菌・解熱・去痰作用などもあるとされ、喉や鼻の不調・咳など風邪の初期症状緩和にも効果が期待出来ます。

(生姜)の注意事項

  • 妊娠中・授乳中の使用は使用を避けましょう。
  • 胆石のある方は医師に利用を相談してください。
  • 消化性潰瘍がある場合は使用を控えましょう。
  • 刺激があるため肌への使用には注意が必要です。