リフレッシュと巡りを整える働きで、心も体もシャッキリ
少し苦味を感じさせる爽やかな香りが特徴のレモンピール。レモンの皮の砂糖漬けなどは製菓材料としても利用されていますし、ハーブティーの香り付けにも使われています。近年は花粉症軽減や、エリオシトリンなどのポリフェノールによる抗酸化作用やダイエット効果を持つ可能性が報じられたことから美容ティー・美容ハーブとしても注目されています。芳香成分の働きからリフレッシュや集中力アップ、血行を促進し体を温める働きも期待されていますよ。
レモンピールについて
植物紹介:レモン
強い酸味と爽やかな香りで飲物の風味付けや揚げ物などの脂っこさ緩和、フレッシュな香りを出す香料としてまで様々な用途で使われるレモン。そのまま果物として食べることは少ないですが、馴染みのある存在です。ビタミンCを含む食材の代表としてもよく引き合いに出されますね。
レモンの原産はインド北部・ヒマラヤ辺りと考えられており、ハラッパー遺跡からレモンの葉を象った首飾りなどが出土していることからインダス文明で利用されていたと考えられています。また古代エジプトでも抗菌作用が知られ、防腐剤や食中毒の解毒剤として利用されていました。大航海時代にはイギリスで航海中の壊血病の予防として取り入れられ、1795年にはレモンジュースを積込み船員に摂取させることが義務付けられたそう。
ちなみに日本でのレモン栽培は明治6年から。明治31年頃になると国内主産地となる広島県でも栽培が行われるようになり規模も拡大していきますが、1964年にレモンの輸入自由化が行われるようになったことなどから国内生産は落ち込みます。しかし食の安全面などから国内産レモンの需要が増え生産量も急増しています。レモンを使うついでに、皮を再利用してレモンピールを作る場合などは国内産レモンの利用が安全でしょう。
レモンピールというと製菓材料やヨーグルトなどへのトッピングとして売られている「レモンの皮の砂糖漬け」がイメージしやすいですが、ハーブとして利用されるものはレモンの皮を乾燥させただけのシンプルなもの。日本ではブレンド用のフレーバー的な利用が一般的でしたが、近年エリオシトリン(通称レモンポリフェノール)の抗酸化作用やダイエット効果への期待から単体でも注目されるようになっています。比較的相手を選ばずにブレンド出来る、使いやすいハーブの一つです。
基本データ
- 通称
- レモンピール(Lemon peel)
- 別名
- 檸檬(レモン・ネイモウ)、リモーネ、シトロン
- 学名
- Citrus limon
- 科名/種類
- ミカン科ミカン属/常緑低木
- 花言葉(実)
- 熱意、陽気な考え、分別
- 誕生花
- 5月20・22・24日、11月12日
- 使用部位
- 果皮
- 代表成分
- エリオシトリン、フラボノイド、ビタミン類、精油(リモネン、リナロール、ピネン、シトラール、クマリンなど)
- 代表効果
- 利尿、血行促進、食欲増進、抗菌、抗炎症、抗酸化、抗ヒスタミン
- こんな時に
- 風邪予防、発熱を伴う風邪、食欲不振、むくみ、静脈瘤、冷え性、アレルギー(花粉症など)緩和、老化防止
- おすすめ利用法
- ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ、湿布、スチーム吸引、手作り化粧品、料理に
- ハーブティーの味
- 爽やかなレモンの香り、味はピール特有の苦味がある
- カフェインの有無
- ノンカフェイン
レモンピールの栄養・成分・期待できる効果
レモンピールティー(レモンピール茶)
精神面への働き
リフレッシュに
レモンピールには柑橘系に多い芳香成分(精油成分)「リモネン」が含まれており、精神面に対しての鎮静効果があると考えられています。また爽快感あるすっきりとした香りは同じ柑橘系でもリラックス・鎮静に強いオレンジピールと比べてリフレッシュ効果に優れていると言われています。
集中力アップに
頭をリフレッシュさせて気分をすっきりさせることで、記憶力や集中力アップにも効果が期待出来ます。リフレッシュや集中力アップなどを期待して勉強中・仕事中に飲む場合はペパーミントやローズマリーとブレンドすることで相乗効果が狙えるでしょう。
体の調子を整える
風邪予防・発熱に
レモンピールティーは殺菌・抗菌・解熱作用があり、風邪の初期症状・発熱時のケアに適しています。ヨーロッパでは風邪をひいた時に飲むお茶の定番として親しまれています。
ビタミンCを含み、疲労回復効果もありますので、風邪予防にも役立ってくれるでしょう。少しハチミツを加えてホットで飲む・症状や目的に合わせたハーブティーに加えて飲むのがオススメです。
食欲不振・胸焼けに
レモンピールのハーブティーは胃の活動を促進することで食欲不振や胸焼けの解消に役立ちます。爽やかで受け入れやすい香りですので夏バテの時などにもよく利用されます。食欲不振の時は食前にハーブティーを飲むようにすると良いでしょう。
冷え性・静脈瘤に
静脈や血管、毛細血管を強くする働きがあることから、レモンピールは静脈瘤予防や打ち身の治りを早めるのにも有効とされています。また末梢血管への血流を促す働きもあり冷え性、特に末端冷え性の方にも適しています。
利尿効果もありむくみ効果にも役立つほか、血行不良・冷え・むくみ自体はもちろんのこと、それらに起因する不調(頭痛・めまい・倦怠感など)の緩和効果も期待でいます。毒素排泄促進(デトックス)、関節炎やリウマチにも有効と言われています。
アレルギーの軽減
レモンピールに含まれる精油成分「シトラール」は抗炎症作用や抗ヒスタミン作用(アレルギー症状を起こす原因となるヒスタミン分泌を抑える働き)があります。またポリフェノール類の抗酸化作用もアレルギー体質の改善が期待出来まから、様々な成分の複合効果による花粉症などの症状緩和に有効と考えられています。
レモンピールは殺菌作用などもあり風邪予防にもお茶ですから、春や秋など季節の変わり目に花粉症が気になる方はネトルやエルダーフラワー、風邪をひきやすい方・体調を崩しやすい方はローズヒップやエキナセアなどと合わせて取り入れてみると良いでしょう。
美容面での働き
ダイエット効果
レモン、特に皮部分に多く含まれているポリフェノールの一種「エリオシトリン(通称レモンポリフェノール)」はビタミンCの約2倍の抗酸化力があることが報告されています。エリオシトリンは肥満予防や糖尿病の合併症予防にも効果が期待されており、腸での脂肪吸収を抑える働きも報告されています。
美肌効果
レモンピールにはメラニン色素生成抑制やコラーゲン生成を補助するビタミンCが豊富に含まれています。末梢血管の血行を促進させる働きもありますので、くすみや乾燥・肌のゴワつきなどに効果が期待出来ます。
加えてエリオシトリンやフラボノイドなど抗酸化作用のあるポリフェノールを含む事から老化防止、デトックス効果や殺菌作用などによるニキビ・肌荒れ予防にも有効と考えられています。他のハーブティーや紅茶などにブレンドして飲むと続けやすいでしょう。
お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果
入浴剤として
レモンピールをお湯にいれ入浴剤として用いることで、血行促進によって体をしっかりと温める効果や殺菌・デオドラント効果等が期待出来ます。脂性肌の方や体のニキビが気になる方に適していますし、爽快感のある香りによるリフレッシュ・意識をハッキリさせる働きもあるので朝風呂にもオススメです。
無農薬・ノーワックスものであれば絞ったあとのレモンの皮を袋に入れて入浴剤にすることもできます。乾燥させていないものでも利用できますし、果実全体を輪切りにして浴槽に浮かべる方法もあります。使い切れなかった時などに試してみてください。
スキンケアに
レモンピールは収斂作用とビタミンCによる美白作用があると言われており、血行促進によるくすみ対策としても効果が期待出来ます。石鹸やクレイパックに利用されていることが多いですが、化粧水にも利用できローズマリーがメインではあるものの「ハンガリアンウォーター」のレシピにもレモンピールが登場します。
ただし光毒性の成分が含まれており若干の刺激もありますので、肌の弱い方や朝・お出かけ前には使用しないほうが安全です。
レモンピールの注意事項
- 急性の痛みがある場合は使用を避けましょう。
- 稀に光過敏症を起こすことがありますので、肌の弱い方やお子様は注意が必要です。