バーベイン
ハーブティーと期待される効果効能紹介

心と体を強く保ってくれる「神の恵みのハーブ」

古くから魔力を持つ植物、聖なる力を持つ万能薬と信じられてきたバーベイン。ヨーロッパでは宗教儀礼でも使われていたほか、日本でも平安時代以降は生薬として用いられていました。現在でもリラックス作用や神経・肉体の強壮に役立つハーブとして、ストレスが気になる現代人のサポーターとして取り入れられることがありますよ。女性領域のサポートが期待できるだけではなく、恋を叶えてくれる植物としておまじないに使う方もいらっしゃるのだとか。面白い歴史と伝承を持つハーブとも言えますね。

画像:バーベイン(Vervain)

 

バーベインについて

植物紹介:バーベイン

バーベインはヨーロッパ~アジアが原産とされているハーブで、日本でも北海道以外の地域では野生化したものが自生しています。属名からバーベナとも呼ばれますが、バーベナはクマツヅラ属(バーベナ属)全体を指す言葉でもあるため、ハーブとしてはバーベインやコモン・バーベナなど区別しやすい名前で呼ぶのが一般的です。

利用の歴史は紀元前、古代ギリシアやローマでまで遡ります。バーベインは「神の恵みのハーブ」「聖なる草」と呼ばれ、祭壇を浄化したり予言力を与えてくれる神聖な植物として神事に利用されたほか、万能薬として様々な不調を癒す力があると考えられていました。属名のバーベナ(Verbena)には「祭壇を飾る草」という意味があり、宗教的・呪術的な方面で多用されていた植物であることがうかがえます。キリスト教においても十字架に磔にされたイエス・キリストの出血を止めたハーブという言い伝えがあります。

日本にも早い時代に薬草として伝えられており、平安時代中期に記された「和名類聚抄」にも「久末都々良」として記載が見られます。葉は漢方の生薬、馬鞭草(バベンソウ)としても古くから利尿・月経不順・月経痛・腫塊などに利用されてきました。

バーベインは呪術に利用されていた歴史からか、体をこすると願いが叶う、煮出した液をまくと悪霊から身を守る、家に置いておくと天災避けになる、庭に植えると金運アップなど、おまじないのような形でも広く親しまれていたようです。また古くは惚れ薬としての効果が信じられていた影響か、「過ぎ去った愛を復活させる」という説もあり、復縁のおまじないとしてバーベインを入れて入浴を紹介する方もいらっしゃるようです。

基本データ

通称
バーベイン(Vervain)
別名
熊葛(クマツヅラ)、馬鞭草(バベンソウ)、コモン・バーベイン(Common Vervain)、コモン・バーベナ(Common Verbena)
学名
Verbena officinalis
科名/種類
クマツヅラ科クマツヅラ属/多年草
花言葉
魔力、魔術、魅惑、心を奪われる
誕生花
10月26日
使用部位
全草(地上部)
代表成分
精油(シトラール)、タンニン、サポニン 苦味質、アルカロイド
代表効果
鎮静、抗鬱、神経強壮、鎮痙、鎮痛、疲労回復、消化促進、緩下、強肝、胆汁分泌促進、通経、催乳、発汗
こんな時に
ストレス、精神疲労、抑うつ、イライラ、神経過敏、食欲不振、過食、消化不良、便秘、
おすすめ利用法
ハーブティー、ハーバルバス、ハーブチンキ
ハーブティーの味
渋み・苦味が少しあり、濃い目の紅茶に近い風味
カフェインの有無
ノンカフェイン

バーベインの栄養・成分・期待できる効果

バーベインティー

心身のバランスを整える

ストレス・神経疲労に

バーベインは神経に対して優れた強壮作用や鎮静作用を持つハーブとされています。そのため精神的な疲労感や神経過敏、イライラ、不安、緊張、無気力、軽度の抑うつ症状、心因性の頭痛などの改善によく利用されています。

またストレス性の不眠解消にもホップラベンダーなどとブレンドしてよく用いられています。辛い時はバレリアンとのブレンドもオススメです。


心身の強壮に

消化を促す作用や肝臓の働きを強化する作用があるとされるバーベインは病後の回復や虚弱体質の改善など肉体面の強壮にも用いられています。精神・神経面での強壮作用もありますので、慢性疲労症候群や原因不明のだるさ・無気力感などにも試してみると良いでしょう。スカルキャップオートムギとブレンドして利用すると相乗効果が期待出来ます。

鎮静作用の強いハーブは継続利用をしないほうが良いものも多くありますが、バーベインは継続して飲むことでストレス耐性がアップすると言われています。


ストレス性の食欲異常に

精神面への働きかけに優れているバーベインはストレスによる食欲不振や過食を抑えるためにも有効とされています。鎮痛・鎮痙作用や消化促進作用などもありますので、心因性の食欲異常はもちろんのこと、胃痛・腹痛・便秘・下痢など様々な胃腸トラブルに効果が期待出来るでしょう。

イライラ食いに走りやすい方はレモンバーム、食欲不振や吐き気が出る方はペパーミントとブレンドして飲むと良いでしょう。少々ハチミツを加えると飲みやすくなりますし、リラックス感もアップしますよ。

女性の体のサポートに

生理不順・生理痛に

バーベインの葉は漢方薬(馬鞭草)として生理痛や生理不順など月経トラブルの改善に用いられています。月経を促す働きで月経周期の正常化、鎮痙・鎮痛作用によって月経時の痛みを直接的に緩和させる働きが期待出来ます。動物実験ではエストロゲンと類似した働きを示すことも報告されており、現代人女性のホルモンバランス異常やストレス性の子宮障害の改善に役立つハーブとしても期待されています。


PMS(月経前症候群に)

精神面に対する鎮静・リラックス作用や鎮痛作用などからバーベインは生理前に心身に起こる不調・不安定さの緩和にも役立ちます。イライラや気分の落ち込みなどの精神的不調緩和、過食・食欲不振の改善、体の痛みの緩和など様々な面からPMS(月経前症候群)の症状緩和の助けとなってくれるでしょう。更年期障害の精神的不快感の改善にも用いられます。


産後のサポートに

バーベインは古くから母乳の分泌を促進するハーブとして利用されてきました。また産後のおりものの改善や、産後の情緒不安定さの緩和にも有効とされており、出産後のママを優しくケアしてくれるハーブティーとしても親しまれています。

そのほか期待される作用

解熱剤として

バーベインには発汗作用があり、また漢方では表証・半表半裏証・裏証の全てに対応する幅広い作用を持つ生薬として風邪やインフルエンザによる発熱時などにも利用されています。


むくみ解消・美脚

バーベイン(馬鞭草)は中国では古くから体内の水分の巡りを改善し、余分な水分を排出する「利水消腫」効果があるとされており、細く美しい脚を作るのに良いと言われているようです。近年日本でも美脚ハーブとして紹介され、むくみ対策・便秘解消効果と合わせスタイルキープ用として取り入れる女性も増えているようです。

お茶以外の使い方(外用)で期待できる効果

お疲れ時の入浴に

精神面・肉体面両方に対しての強壮作用を併せ持つバーベイン。入浴剤として利用することで疲労回復に有用とされています。特に神経疲労の回復に高い効果が期待出来ますから、ぬるめのお湯で行う半身浴と組み合わせるのがオススメです。復縁効果は定かではありませんが、失恋や人間関係のトラブルなどで落ち込んでいる時にも適しているハーブだと言えるでしょう。

皮膚トラブルに

バーベインはタンニンなどを含む事から抗炎症作用による虫刺され・湿疹・切り傷などに外用薬として、口内炎や歯茎の出血などの緩和にも役立つうがい薬として用いられています。また傷の治癒を促進する効果も期待できます。
生葉を擂り潰したものは打ち身のケアに良いと言われています。

バーベインの注意事項

  • 妊娠中の方・高血圧の方・お子様への使用は避けましょう。